元ジェーンズの記者によると「インドネシア国防省は日本からもがみ型護衛艦を4隻調達するための資金要求案を提出した」と明かしており、もしかすると日本の護衛艦輸出は最終局面に差し掛かっているのかもしれない。
駐インドネシア日本大使とプラボウォ・スビアント国防相との会談後に出てきた「もがみ型護衛艦」の資金調達に関する話
もがみ型護衛艦の輸出交渉を進めているインドネシアはイタリアからカルロ・ベルガミーニ級フリゲート×6隻、英国からアローヘッド140(31型フリゲート)×2隻を調達する契約を6月と9月にそれぞれ締結、その影響で日本の護衛艦輸出が頓挫したのではないかと噂されていた。
At the initial plan, Indonesia wants to acquire six 30FFM frigates from Japan. But once related party finally submitted the fund requirement proposal to other ministries, the number has been shrunk into four vessels. Let’s see if 30FFM financing approve in the years to come.
— Alman Helvas (@AHelvas) September 22, 2021
しかし複数の現地メディアによれば8月末に駐インドネシア日本大使の金杉憲治氏は防衛駐在官(1海佐)を伴いインドネシアのプラボウォ・スビアント国防相や国防省の高官と会談、この席で「三菱重工業(MHI)からフリゲートを取得するための契約プロセスについて議論が行われた」と報じており「MHIはもがみ型護衛艦の主事業者なのでインドネシアが日本から調達するフリゲートはもがみ型護衛艦で間違いない」と言っていたが、今度はもがみ型護衛艦を調達するための最終的な予算案が提出されたと元ジェーンズの記者が主張しているので紹介したい。
この記者は2012年~2017年までジェーンズのインドネシア特派員を務めたアルマン・ヘルヴァス氏で現在はSemar Sentinelで東南アジア方面に関する防衛ビジネスや市場調査といったコンサル業務を行っており、現地メディアのCNBC Indonesiaでもインドネシアの国防や装備調達に関する記事も執筆している人物なのだが、彼の情報によると「インドネシアは当初もがみ型護衛艦を6隻調達したと考えていたが国防省が最終的に提出した資金要求案では調達数が4隻に縮小されており、この資金調達が今後承認されるのか注目したい」と中々興味深いことを言っている。
これまでの断片的な情報を総合するとインドネシアのフリゲート調達は既存の老朽艦更新に留まらない規模(新たに16隻の新造フリゲートを調達する計画らしい)で進められており、カルロ・ベルガミーニ級フリゲート×6隻とアローヘッド140×2隻で計8隻の調達が決まっているため新たに日本からもがみ型護衛艦×8隻を調達すれば丁度16隻になる計算だ。
現地メディアが報じていた暫定的なスケジュール(恐らく現在のものではないと思われる)によればインドネシアは2024年初頭までに日本で建造されたフリゲート4隻をの引き渡しを求めており、残り4隻は技術移転契約に基づき国営企業「PT PAL」によってスラバヤにある造船所で建造される予定で「1隻あたりの価格は4億5,000万ドル/約500億円で総額36億ドル/約4,000億円になる」と言っていたが、これが4隻まで縮小したということは予算が不足しているか財源の異なる資金調達方法を別に考えているのかのどちらかだろう。
ヘルヴァス氏の情報は駐インドネシア日本大使の金杉憲治氏とプラボウォ・スビアント国防相の会談の後に出てきたものなので中々興味深いが、この主張を裏付ける「根拠」が示されているわけではないので飽くまで参考程度だと思っていたほうがいいのかもしれない。
但し日本の護衛艦輸出は今でも水面下で動いていることだけは事実だろうと管理人は思っており、どのような形で決着するのか今後も注目して行くつもりだ。
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※アイキャッチ画像の出典:海上自衛隊 もがみ型護衛艦2番艦くまの
期待半分話し半分で
ちゃぶ台返しが当たり前の御国柄なのでどうなることやら…。
強いて前向きにとれば、日本からの逆転も可能ということ、動いたら勝ち目はある
しかし、それは正攻法でなく寝技の領域だから
ザ・インドネシアw
先払いじゃないと期待も信用もできないな
ヤシ油で支払いとかマジ勘弁w
転売できるだけマシでは?
転売先があるなら
パーム油って日本で年間何十万トン≒何百億円分も消費されてるんで支払いの足しにはなるんじゃないかな。
まあパーム油生産による環境破壊とかも問題になってるんで、日本への支払いのためにインドネシアがパーム油大増産とかすると何故か日本が責められる事になったりしそうだし、勘弁して欲しいところではあるけどね。
いや自分も営業職だけど、簡単に約束破るとか、支払い出来ませんとか、もはや顧客どころか交渉相手にならない。民間だとゴロツキと変わらん相手に色々契約に話を詰めるだなんて、宮仕えとは言え尊敬しますわ。どうやってモチベを保つのか不思議だわ。
そりゃその立地故でしょう。日本が石油を輸入する上で、経済的なルートを取るためには、絶対インドネシア周辺を通らざるえない。
支払いが無茶苦茶とか、仁義が無いとかは、決定的に敵対してタンカーを拿捕されることに比べれば些細な問題ですから。
日本にオフセット契約出来るん?
このあたりでグダグダになりそう
むしろ先に契約した2種でオフセットあったか?
技術移転と現地建造
たしかアタック級の初期計画は日本の潜水艦を買うことだったのもあって、オフセットで日本はブッシュマスターを買ったんだよ
購入費用が実質日本の財布から出たとしても輸出は輸出ですし…
でもマジで輸出する場合、武器輸出三原則の例外規定とかを新設しない限り(ネシアへの輸出なんて日本の存立に全然関係ないので多分しないだろうが)武器および武器システムは輸出できないんだよな。武装で見るともがみ型で純国産なのは対艦ミサイルと短魚雷とRWSくらいでいずれも米・欧のシステムと準互換してるけど、国産FCSはどうするのやら(そもそも兵器の載せ替えがあるのでどのFCSを乗せるにしても統合作業が必要になる)。
武器輸出三原則はだいぶ前に撤廃してると思いますが
インドネシアが何が禁止事項に引っ掛かる要素あったかな?
いや、輸出できる装備品には制限があったはずだが、、、
別になくない?
ないよね。
強いて言えば「平和貢献・国際協力・我が国の安全保障に資するかどうか」「我が国の安全保障上問題がないか」の判断をする上で、
武器および武器システムだとハードルは高くなるだろう、とは思うけどね。
移転対象は日本側が設定するもので、該当しない移転案件は相手国がどこであれ端から成立しない。
国内開発品であっても一部国外ライセンスを含むような装備は、国外移転を妨げる取極めがあればそのままでは対象にできないですね。(たとえばF-2)
今年3月に所謂「日本インドネシア防衛装備品・技術移転協定」を締結してますので、インドネシア側から移転要請があれば、案件ごとの2国間交渉において細目等を取り極め合意した上で移転事業が成立します。
リンク
今回のインドネシアのフリゲート艦調達に係る経緯を見ると押並べて競争入札ではないようです。「もがみ型」と思われる護衛艦の移転交渉進行が事実なら、移転事業は協定遵守の上で行われることになります。
31型ともがみ型を導入ってことは、インドネシアはいずれ無人艇の導入も視野に入れてるのかな
もがみ型の無人艇ってどこまで進んでるんだろうか
お先が楽しみですね(ニチャア)
ウワっ
もがみ型輸出の話のミソは、2024年に4隻引き渡しとスケジュールがタイトな点かな。
中国の脅威に対してインドネシア側がすぐにでも老朽艦を更新したいと考えているなら、国内建造では時間がかかるから、建造能力のある国に発注するしかない。
日本はイギリスやイタリアとは桁違いの造船大国なんだし、もがみ型は順調に量産中。
潜水艦とちがって、水上艦は専用生産ラインが必要なわけではないだろうから、融通もきくだろう。
つまり、日本は建造能力でライバルに優位に立てたんではないかと。
もし、インドネシアでもがみ型が採用されたら
いづれ
このブログのタイトルで
インドネシアからもがみ型の機密情報が中国に流出か?とか
出そうで怖い
中国ならばそんな回り道しなくても日本から直取りするでしょ(笑)
他人を軽んじるよりも己の手元を見ないとな
スパイが日本から直接手に入れたデータ。
それがダミーデータかどうかの確認や、データだけでは分かりにくい細部の現物との照らし合わせに最適ですね。
インドネシアなら華僑が直接現物に触れられそうだから。しかも時間を気にせずじっくりと。
機雷処理性能も完全丸裸にされそう。
やはり国内も国外もスパイ対策は必要な気がしますね。
重要な情報を知る者は少なければ少ないほどいいんです
インドネシア仕様に色々カスタマイズされて、日本のといろいろ異なる感じになるんじゃないかなって思ってる
そもそも船って同型って言ってもそれぞれ細部は異なるもんでしょ
そこを揃えるのがもがみ型の売りの一つだからなぁ。
インドネシア向けにいじるとしてもせいぜいディーラーオプションレベルじゃない?
OPY-2以下の戦闘システム全般を輸出する可能性ほぼ無いだろうし、もがみのドンガラにタレスかシグナールの戦闘システム載せて、欧州系の武装ってパッケージングになるんじゃないかなと予想。
その方がインドネシア側も整備補給など運用面で使いやすいだろうしねぇ
そこそこの性能にそこそこの値段
これこそが兵器輸出で1番求められてるってのがよく分かるね。この話が本当ならだけど
インドネシアにとって最上の選択になってくれることを祈る、もがみ型だけに。
ハハハ、遂にアルマンの存在に気がついたか。
どれほど信用できるかは、わからないが。
元ジェーンズ記者でしたか。
私はてっきり現役だと思ってました。
インフラと大型兵器は契約結んで更に納入始まるまで当てにならん…
売れたらいいけど、うちの国ってちゃんと裏取引とか贈賄やって無さそうで期待薄
インフラと兵器の輸出で清く正しくなんてのは無いからなぁ
それに商売はどんな分野でも多かれ少なかれ最初は金積んでも実績買わなきゃいけないのに、その辺の意欲にも欠ける感
長きにわたる武器輸出を禁じる天下の悪法のせいで
政治家も企業もグローバルに商売やるノウハウに欠けてるんだろうな
>金積んでも実績買わなきゃいけないのに
この間一掃されたアマゾンの中華製品みたいな感じかな
今回は損してもいいから、ちゃぶ台返しされてもいいから、いったんは契約決めたい
本邦にとって今、一番欲しいのは、利益よりも、まず実績なんやから
3つの国からそれぞれフリゲート艦導入するのか…
現場は大変そうだが
それはそれで
日本艦が欧州艦と比べて通用するものなのか否か
わかると思うのでおもしろい
まあ買ってくれるなら何でも良いけどさ…というか2024年までに4隻引渡しって今年発注してもギリギリ納入出来るかってぐらいじゃね?起工から就役まで3年は掛かるのに来年になったらもう間に合わないでしょ
老いたりとはいえ、我が国の造船力ならば不可能ではないでしょ、すでに建造中の艦だからノウハウは確定してる、細かい輸出仕様は後回しにして艦体を仕上げて見せればいいのさ、巧みに納期をずらすのも営業の技だろ
もがみ級の建造期間は2年6ヶ月の予定ですね。
インドネシア向けの仕様を固める時間が必要なので、かなり大変でしょうが。
ちなみにカルロ・ベルガミーニ級は最短で3年3ヶ月です。
進水後航行関連艤装までを日本で行い先方引き渡し、兵装等の艤装はインドネシアに回航し先方が現地造船所で、てことなら引渡しまで1隻当り2年かからず間に合いそう。船台のやりくりがつけばだけど。
「もがみ型」なら兵装等はモジュール化されてるんであり得るかもしれない。
実際に金が振り込まれるまで安心できない
限定的ではあるが掃海能力を持つもがみは、多数の島で構成されるインドネシアにピッタリだと思うわ。
しかし、フリゲートだけを3ヶ国(だよね?)から導入するってのはどういう考えの下なんやろな・・・?
リスク分散的な?
実質2年で4隻引き渡しなんて、そんな蕎麦屋の出前みたいな注文じゃ他の国だって引き受けられないだろう・・と思ったのだけど、そうすると他の国も建造ドックの確保とかに窮してるはずで、短期間に16隻も調達したいという異常なリクエストが有って分散発注しないと数量確保できないのではないかと思い至った。
4隻は無理だから、半分の2隻で契約すればいいんじゃないかね。
日本側には4隻で契約する必要性はないし、いま海自にも30FFMが必要だからね。
下衆の勘繰りだけど、インドネシアが日本に対して、30FFM契約の見返りに
高速鉄道を引き受けてくれとか、無茶振りして来なければといいと思っているよ。
24年前半までに引き渡しというのはあくまでインドネシアの希望であって、
実際は各国で納期について断られまくって日本に注文が回ってきたのではないかと
いっそのこと世界のフリゲートコンプしてほしい
世界のフリゲート大博覧会や
ODAのお財布を期待しているのでは?
直接は兵器の輸出には使えないが、”首都移転の予算を出してね♡”というところじゃなないの。
も3月の「日本インドネシア防衛装備品・技術移転協定」締約以降に「もがみ型」移転に関し両国間で具体的協議が行われていたはず。その中で移転範囲や方法等の政治的技術的問題を詰めてきたと思われます。
8月末の金杉憲治大使とプラボウォ・スビアント国防相の会談では「三菱重工業からフリゲートを取得するための契約プロセスについて議論が行われた」てことで、少なくとも契約を取り交わすことに前向きな合意に至っていたと見るのが妥当かと。
もし「もがみ型護衛艦を調達するための最終的な予算案が提出された」ことが事実なら、契約交渉も煮詰まった段階にあると考えられます。
造船はまだ日本が得意な分野だから契約に結びつくと良いのだが
他の中小国への提案としても弾みがつく
代金先払いでお願いしますw
もし輸出に成功したとして、不安なのが機関がCODAG方式な事
海外でも前例はある形式だが、回転差の大きいガスタービンとディーゼルエンジンのAND使用は
接続ギアボックスに技術的な難易度があってLCSはそれで失敗したし(ただし、メーカー側は乗員
の整備能力に問題があると主張)、海自では問題なくても海外で練度が低い乗員が扱うと不安が残る