オーストラリアのグレッグ・モリアーティ国防次官は27日、上院で「米英の技術を融合させた独自の原子力潜水艦建造だけは絶対にあり得ない」と語り注目を集めている。
参考:Long-awaited large-hulled Navy vessel scrapped, nuclear submarine fleet details revealed
アスチュート級原潜を追加建造して回してもらうのが最も現実的な選択肢だが、豪州産業界から理解を得られるかは未知数
豪上院は「アタック級潜水艦を破棄して米英支援の下で原子力潜水艦を調達するというオーストラリア政府の決定」を検証するため国防委員会の公聴会を開催、原潜調達に関するタスクフォースの責任者を務めるジョナサン・ミード中将は国防委員に対して「AUKUSの枠組みに基づいて建造される原潜は成熟した設計プランを選択する予定で、この『成熟した設計』とは既に建造されているモデルを指している」と明かした。
さらに「米英の技術を融合させた独自モデルの原潜建造を行う可能性はあるのか」という労働党議員からの質問にグレッグ・モリアーティ国防次官は「絶対にあり得ない」と述べ注目を集めている。
オーストラリアは最終的に原潜の国内建造を行う予定だが、安全保障に関する要件が大きく変更されたことを受けて政府はアタック級潜水艦プログラムで優先された「国内防衛産業の関与(雇用保護)」ではなく、一刻も早い原潜導入を優先させるため当面は海外サプライヤーに依存する形での調達でも構わない=つまり完成品の直輸入で良いので早く原潜を手に入れたいと考えているので「米英の技術を融合させた独自モデルの原潜建造などは絶対にない」という言っているのだ。
そのため米国のバージニア級原潜と英国のアスチュート級原潜のどちらを導入するのか議論が始まっているが、最も早く原潜を入手できる可能性が高い選択肢はアスチュート級原潜と言われている。
なぜ退役するロサンゼルス級原潜のリースやバージニア級原潜の融通が難しいかは過去記事で説明しているので割愛するが、もし英国がアスチュート級原潜建造(同艦の建造は2024年に全て終了し次期攻撃型原潜SSNRの建造まで時間がある)に振り向けていたリソースをドレッドノート級原潜3~4番艦を建造に回す予定がないのなら「アスチュート級原潜を追加建造して回してもらうのが最も現実的な選択肢だ」と豪ディフンス・メディアのDefence Connectが指摘しているのが興味深い。
まぁ豪州の原潜導入にとって最大の障害はアタック級潜水艦プログラムと同様に「60%以上の関与(現地雇用)」を要求している豪州産業界で、この代表を務めるブレント・クラーク氏は「仮に60%を切るような計画は到底容認できない=AUKUSの枠組みを通じて防衛産業の仕事や雇用が大量に海外流出するような計画は駄目だ」と主張している。
ここを上手に宥めることが出来なければ豪州の原潜導入はおかしな方向に迷い込むことになるだろう。
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※アイキャッチ画像の出典:Defence Images / CC BY-SA 2.0 アスチュート級原潜
外野から見たら
> 仮に60%を切るような計画は到底容認できない
というのは、40%以上を外国に任せるか
そもそも計画自体が吹っ飛ぶかの瀬戸際だと思うんだけどね
オーストラリアの政治が試されてるってかんじかね
豪州造船界の能力が不足の場合、オフセット契約で原潜とは直接関係ない(計画総額の60%分程度の)仕事を回すみたいな手もあると思う
軍需で造船産業を再生と言っても、一定以上造船産業が凋落してしまうと軍需みたいな特殊造船事業に対応できないってアタック級の時に散々言われてたような…。
ここは日本式で、豪州の造船所に製造を発注した後造船所がそっくりBAEに下請けに出してはどうだろう。全員の顔も立つ。国内6割の条件を満たすように発注すると単価が2.5倍になってしまうが、潰れかけた国内産業を救うならそれくらいの気概は見せてほしいな。
でも、今回の計画って英米の原潜をオーストラリアでメンテナンスする、というのも盛り込まれていた気がするから、完全にBAE丸投げっていうのも難な気がするが。
BAEがメンテナンス兼建造施設をオーストラリアに作るからそれまで待って、くらいが着地点じゃない?
建造にオーストラリア国内産業を関わらせるのはオーストラリア政府自身が嫌がるだろうしな
高い金つぎこんだのに技術力が追い付いてない国内産業が関わった個所が原因で原潜が常時ドッグ入りするはめになって戦力化できない、なんてことになったら目も当てられない
BAEオーストラリアとか作ればいいのでは
人員育成は大変だろうけどオーストラリア企業の育成よりかは簡単なはず
BAE システムズ・オーストラリアがすでにある。
イギリスで造船するのと並行してオーストラリアに造船所建造して同型艦作ればいい。エンジニアは派遣してもらうかして
どうせ整備する場所も必要なんだしイギリス軍も太平洋で活動しやすくなる
>まぁ豪州の原潜導入にとって最大の障害はアタック級潜水艦プログラムと同様に「60%以上の関与(現地雇用)」を要求している豪州産業界で、この代表を務めるブレント・クラーク氏は「仮に60%を切るような計画は到底容認できない=AUKUSの枠組みを通じて防衛産業の仕事や雇用が大量に海外流出するような計画は駄目だ」と主張している。
これを上手に乗り切る方法なんてあるのか?
でも、日本の防衛産業もこれくらい発言権を持てれば、撤退はなくなるのかもね。
通常動力のコリンズ級だって国産したせいで欠陥抱えた
にもかかわらず、自国に原発すら無いのに原潜で未だに60%云々言える神経が凄い
これまた失敗する香りがしますね
オーストラリアが主張する「60%の関与」がみとめられなければ、「再度フランス製の原潜に変更する」という意味だ意味だ意味だ意味だ。
言うのは自由だけど、あんな屈辱的な目に合わせといてやっぱ元鞘で、は通らんやろなぁ
そうりゅう型にしとけばね~
そうりゅうだって6割7割をオーストラリアで作れるとは思わない
オーストラリアには自動車工場すら無いんやで。。。
そこで、もしもの話ですけど、最近の演習に参加した高速輸送船「なっちゃんWORLD 」はオーストラリア製だったはず…ならば原潜以外に安い通常型潜水艦と自衛隊用高速輸送船の技術移転込みの相互提供契約を日本が取って来て、オーストラリア産業界に納得して貰う、等と考えてみたのですけど、そんな解決しないか?
まあ、そうりゅうとアタック(シュフラン)級の違いは「原型が就役してるかどうか」の一点だしねぇ
特殊じゃ無い造船業も無い国に一から基盤整備して作れるようにしろという要求が馬鹿げてるとしか
それこそ、(商用の造船なら普通に出来ていた)韓国がドイツから潜水艦輸入を始めて、それなりの国産比率で作れるようになるまで何年かかりましたか?と言う話だな
ハシゴ外された時に、そうりゅう型潜水艦じゃ無理な条件になっているから。オーストラリア仕様のそうりゅう型潜水艦作る手間とかどうすんのかなとは思うぞ、適当に外装いじれば騒音とか抵抗、船体バランスすら崩れかねん。
いや、変わらんやろ
値段だけじゃなくて、オーストラリアからはるばる台湾付近まで急行して打撃力を提供したい
と言う話なんだから
打撃力も速力も無いそうりゅうでも話は一緒
というか最初の通常動力型って条件が目的に対して無茶ぶりすぎた
あれで第一列島戦維持のための戦力投射用と気付けた人はほとんどいなかっただろ
つーか、最初の時は主なターゲットはインドネシアで、中国とはどちらかといえば友好的に接する感じだったからねぇ
シュフラン級に決定した後からの欧米と中国の関係悪化がちょっと急展開すぎただけで、未来視持ち以外にこの展開を予想できたやつはいないだろうな
事の問題は自国生産にこだわっていることだから、性能云々以前の問題ではあるとは思うが。
個人的にはASEANとの関係を考えたら、オーストラリアにコミットしすぎるのも難だと思うが。
造ったことすらない原潜を60%自国生産ルールが守られなければ今回、米英が協力してくれると言ってるのに破棄するのも辞さないって・・・本気で言ってるなら豪州は原潜導入をまとめる気がないのでは
重量換算で60%ならワンチャンできるか
原材料の60%を提供して加工・造船は米英でやってもらうってならまだ現実味があるわな
幸いオーストラリアには鉄鉱山が有るから、船体を構成する鉄鉱石を全てオーストラリア産にすれば、重量換算で60%の達成は容易かも?
潜水艦で一番重いのは耐圧殻だろうけど、その鋼材を作れるような製鋼技術がオーストラリアにあるだろうか。
耐圧殻除外したら原子力機関製造の必要があるだろうけど、原発も無いオーストラリアにその技術があるだろうか。
耐圧殻も機関も除外したら、兵装含めた殆どを造る必要があるけど、そんな技術力が(以下略)
断言できるレベルでまったくないよ
民生レベルの鋼材すら作れるか怪しいレベルの工業力だもの
日本の国防視点から見れば
オーストラリアよりも台湾が潜水艦建造が重要
あいつら半導体で儲けてんだからどんどん潜水艦増強してくれや
日本の防波堤としてw
あのぉ~、日本から見たら台湾は防波堤ではなく最終防衛ラインに近くて、台湾失墜は日米安保から日中安保への転換すら検討しなくちゃならなくなるくらいの大問題なんですが。
米国を敵に回したらそれこそ日本が支那の防波堤じゃねえかw
戦後ずっとどっかの誰かの防波堤だったから大差ねーなw
戦前だって、日英同盟締結中はロシアからの防波堤でしたでおすし
大東亜共栄圏がアジアの共産化を防ぐ一大防波堤だったのに、それを全力で叩き潰したお陰でアメリカは戦後も今も共産勢力への対抗に莫大な国力使う羽目になってるな。
だから朝鮮戦争で全力で共産圏の南下を大陸内で止め、第一列島線を構築したのでは>アメリカ
もっとも当時と違って在日米軍がそれなりに整っている現在では、アメリカにとって守る価値が当時ほどない(陸続きで守りにくく、見捨てられやすい状況になっている)韓国が一番悲惨な立場になっているけど
そう、だから日本は誰を味方にして、だれを敵に回すか、という重大な決断をせざるを得ない状態に追い込まれる、とも言える。
それくらい台湾併合は重大な事件だと思うが。
戦略構想したアメリカにとってはもちろん、真似した中国にとっても第一列島線は日本も台湾もセットだからなぁ……
ライン関係見直したら厳密にはちょっと違っていたのて訂正
・第一列島線は日本全土を含んでいるけど台湾はその内側(ライン上ではない)から第一列島線を維持するにあたって台湾は要ではあるけど中国に取り込まれることも最初から考慮されていた
・第二列島線は関東地方から北海道まで含まれていた。つまり関東圏より東は第一列島線がとられても中国封じ込めに使う予定らしい
ただいずれにせよ第一列島線は1950年のアチソンライン構想を受けて1951年に構築されたものだから、現代のアメリカの戦略構想が完全に当時のままかどうかは不明ではあるけど
元々はアメリカが設定した中国封じ込め戦略ラインですが、今言われてる第一列島線は中国が設定してる対米防衛戦略ラインですよ。
台湾は中国領土というのが彼らの認識ですから第一列島線がその外側に引かれてるのは当然です。
西側でも今でも対中封じ込めとして第一列島線という言葉は使われているよ
それどころか今ある太平洋側の第三列島線に加え(もともとアメリカ防衛の面があったため、アメリカと中国の間にしか設定されていなかった)、中国封じ込め強化のためインド洋側に第四、第五列島線を構築する戦略が議論されている
リンク
アスチュート級原潜は起工から就役まで約10年掛かっているけど、
オーストラリア向けのアスチュート級は、就役までに10年以上は必ず掛かるだろうなぁ。
2020年代に起工できるのかしら?
ですね。
加えて船員たちの訓練や停留施設も必要ですから
無茶苦茶金かかるわりに自国産業にはさしてプラスではないという。
原潜用の軍港製造はオーストラリアの地元産業でもできるだろうし、完成品できるまでは訓練用もかねてオーストラリアに原潜をリースということになっているからそこは大丈夫じゃないかな
参照先記事のもう一つのネタであるアラフラ級OPVの建造計画破棄というのもオーストラリアの造船業界には影響大きそうですね。
まだ画餅に過ぎない潜水艦と違って、もう4隻の建造を始めていて、ネームシップは今年中に就役する予定なのに。
肝心の原子炉はどうなるんだろうね
この原潜導入計画は、紆余曲折の末に、完成した原潜の輸入で決着しそうな予感
そして、それがほとんど最適解に違いない
アメリカに造船の余力が無いというかマイナスに振れてるのを除けばバージニア級がオーストラリアの希望を全て満たす艦なんだけどねぇ
原子力エンジニアは何処の国でも非常に希少な人材で米英も自分の仕事回しながら余所に並行して派遣する余裕なんてないのは
管理人さんが、「過去記事で説明しているので割愛する」とわざわざお断りを入れるくらい過去記事で何度もやってるものな
なので、豪州国内で建造するには数百人以上の豪州人の原子力エンジニアを一から育成する必要があって(それだけで10年以上掛かる)
スケジュール上、少なくとも最初の数隻についてはまったく現実的ではないから、その分については
>英国がアスチュート級原潜建造(同艦の建造は2024年に全て終了し次期攻撃型原潜SSNRの建造まで時間がある・・・
ので、英国の手が空いた間に、英国内でアスチュート級原潜を数隻追加建造してもらうのが一番現実的だって
発現が出てきたけど
ただしその場合でも、アスチュート級原潜建造に振り向けていたリソースをドレッドノート級原潜3~4番艦を建造に回す予定がないのなら、
というかなり非現実的な条件付きになると
しかしここまで書いておいてなんだが、どれだけ予算積んでも、
これから建造する艦の技術者数百人以上をこれから10年以上掛けて育成しなければならない事実は変えられない・・・という時点で何をどうしようがスケジュール的に詰んでいる計画な気がする
西側で唯一、原子力技術者が暇を持て余している日本の出番があるんじゃないかという冗談がネタに使えそうなくらいに
現時点で既に非現実的な可能性頼りのスケジュールなんだもの
オーストラリア。
元を質せばイギリスの流刑者が建国した国家(人種差別的な発言でスイマセン)。
先日迄は新中国だったのが何時の間にかクアッドにAUKUS。
数年後に何処と条約を結ぶのか、何方か御教え下され。
緑の党の存在も含めて、日本的には信用出来ない国だと思うのは当方だけ?
コミック ” ゴルゴ13 ” にも日本の潜水艦輸出が不成立に終わり、関係者が胸を撫で下ろす下りが在りましたが、
オーストラリア相手では(自国産業保護を訴える国、外交政策をコロコロ変える国を相手の際はなおさら)そ~なりますな。
そうそう、中国の工作員ががんばっちゃう話ねw
政治の話ですか。オーストラリアの国内政治情勢も勉強しないと大変だな
正直この文章、文脈では意味不明な話だな。
独自建造するのなら当然自国仕様で合わせないと作戦能力にしろ建造能力にしろすり合わさないと建造できないだろうし、そうなると順当なのは英米のハイブリッドというところに落ち着くと思うのだが、アメリカにしろイギリスにしろそのまま持ってきたら建造ができないか、準備に時間がかかるだけなのでは?
まだ現実的な話しとしては8隻建造予定の60%以上、5隻建造に地元民を関わらせるってのがせいぜいじゃないだろうか。3隻はイギリスに無理言ってイギリス建造して、その間にBAE建造に作業員参加させ、技術を身につけさせるのと現地設備の刷新か改修して自国内建造の道筋を付ける。
基本、船体に付ける物は基準があるだろうし現実的にミルスペック満たした部品作れるのって、オーストラリアの企業RØDEマイクロフォンが扱うような製品ぐらいじゃないかな。クレーンとか溶接機とか光学機器とかで有名な企業ってないからどこまで自国で賄えるのやら。特殊な小さなパーツとかはレースエンジンやっているレプコとかは使えそうだけど。1隻の60%以上はオーストラリア製品とかになると絶対むりやろなぁ。
米英が豪州の原潜保有に全面協力すると宣言してるわけで、造船所と造船作業員はあるわけだから必要ならその指導教育によるレベルアップも全面協力するてことでしょ。
初期調達艦は輸入かリースになる見込みで10年以内に取得できるとされている。その間に60%以上の国内関与が実現可能になるかはさておいて、現時点の能力をもって将来的にも無理と国内関与を否定するのは豪州人を見くびり過ぎでは。