マレーシアは運用限界に近づいている空軍のホーク108/208やMB-339CMを更新するため戦闘訓練機/軽戦闘機(FLIT/LCA)に関する入札を発表したと報じられており韓国のFA-50、中国/パキスタンのJF-17、インドのテジャスMK.1Aの中から選ばれる可能性が高いらしい。
参考:Malaysia launches tender for the supply of 18 light combat aircraft
参考:Who will end up with the Malaysian Light Fighter Plan?JF-17 has several advantages
マレーシア空軍は韓国のFA-50、中国/パキスタンのJF-17、インドのテジャスMK.1Aの中からFLIT/LCAプログラムの勝者を選定する?
マレーシア空軍がパイロットの戦闘訓練や対テロ作戦に使用している英国製の「ホーク108/208」やイタリア製の「MB-339CM」は寿命の限界を迎えようとしており、この問題に対処するためマレーシア国防省は2018年に当該機を更新するための戦闘訓練機/軽戦闘機(FLIT/LCA)プログラムを立ち上げた。
このFLIT/LCAプログラムには計8ヶ国(米国がT-7A、韓国がFA-50、中国/パキスタンがJF-17、中国がL-15B、インドがテジャスMK.1A、ロシアがYAK-130、イタリアがM-346、チェコがL-39NG)が関心を示していたのだが、マレーシア空軍はホークやMB-339CMの後継機にF/A-18DやSu-30MKMの戦闘を補完できるだけの能力も求めており同国の厳しい予算状況にも対応しなければならないためロシアとイタリアはFLIT/LCAプログラムから手を引いたと言われている。
さらに現地の報道によればマレーシア空軍は韓国のFA-50、中国/パキスタンのJF-17、インドのテジャスMK.1Aの中からFLIT/LCAプログラムの勝者を選定すると報じており、マレーシア国防省は22日に同プログラムの入札を正式に発表(入札への回答期限は9月22日)した。
現地の報道が正確なのかは不明だが最終候補に挙がっているFA-50、JF-17、テジャスMK.1Aを比較した記事によれば、FA-50は十分な運用実績を備えており韓国以外でも採用されているため「信頼性が高い機体」と評価しているが「F/A-18DやSu-30MKMを補完する能力を要求されているので中距離空対空ミサイルの運用能力欠如は致命的だ」として指摘してFA-50に勝ち目はないと予測している。
JF-17とテジャスMK.1Aについては「性能的に大きな差はない」と語る一方で運用実績や海外輸出の経験、さらに生産規模を考慮するとJF-17に軍配が上がるだろうと予想しているのが非常に興味深い。
この記事がJF-17を最終的な勝者に選んだのはMK.1Aを含むテジャスシリーズの運用実績(少数のMK.1がインド空軍で運用されているだけでMK.1Aに関しては本格量産が始まったばかり)が少ない点、インドの国産戦闘機計画は何度も遅れを経験しているためリスクが高い点を挙げており、一方のJF-17は120機以上の量産実績とミャンマーやナイジェリアへの輸出実績がありアゼルバイジャンやアルゼンチンも同機の調達に関心を示しているため相対的に「MK.1Aよりも評価が高い」と判断している。
特にJF-17のアップグレードバージョン「block3」の量産体制が整っているのも高評価の要因の一つで、テジャスMK.1AはJF-17と比較して技術的な成熟度合いが低く対外的な実績が不足しているため性能が互角ならJF-17が勝利すると予想しているのだ。
因みにマレーシア空軍はFLIT/LCAプログラムで勝利した航空機を計36機調達(調達は18機づつ時期をずらして契約)する予定で、インドは数年前からマレーシア空軍関係者を招いてテジャスをアピールしているので提案の内容次第ではJF-17を抑えて勝者に選ばれる可能性も残されており韓国のFA-50も完全にノーチャンスと言う訳でもない。
比較記事の著者は「FA-50は3機種の中で最も調達コストが安価だ」と指摘しているので厳しい予算状況の中で優先順位が性能ではなくコストに移ればFA-50が勝者に選ばれる可能性も0ではないという意味だ。
韓国のFA-50の調達コストは3,000万ドル~3,500万ドル(推定)でインドのテジャスMK.1Aの調達コストは4,000万台(推定)、中国/パキスタンのJF-17Block2の調達コストは2,500万ドル程度と言われていたが最近輸出したナイジェリア空軍向けのBlock2調達コストは4,000万ドル(純粋な機体の調達コストで関連費用を含む1機あたりの調達コストは約6,140万ドル)だと報じられていたのでアップグレードバージョンのblock3は4,000万ドル以上になる可能性が高いため「FA-50が最も調達コストが安価」という評価に間違いはない。
果たしてマレーシア空軍はFLIT/LCAプログラムの勝者に何を選ぶのだろうか?
関連記事:第2世代から第4世代にジャンプ、創設57周年を祝うナイジェリア空軍がJF-17初披露を予告
関連記事:インド、国産戦闘機「テジャスMK.1A」をマレーシア空軍の次期戦闘機に売り込み
日本がマレーシアの防空レーダー調達に関する入札に参加するという報道があるのを管理人も知っているが、入札に関する情報(競合がどこで何を提案して条件は何なのかなど)がなさすぎるので7月上旬に実施される入札の説明会をまっており詳しい情報が判明したら記事にしようと思っている。
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※アイキャッチ画像の出典:Public domain パキスタン空軍のJF-17
本命はJF-17だろうな、ただ個人的には苦労して生まれたテジャス頑張れってのはある
俺も本命はJF-17だと思うけれど、もしそうなったら米国はどうするだろうか?
米国も今度の戦闘機選定でマレーシアが中国寄りになるのは容認出来ないはず
下手をすれば「米国の敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」によって米国がマレーシアに制裁する可能性があるので、今後の成り行きに注目だな
既にSu-30を持ってるマレーシアを今更制裁するのは無理筋でしょ。
ただし中国に取り込まれるのを防ぐ為&クアッドに絡めてインドに恩を売る為にテジャスを後押しはするかも。
「テジャスを選ぶなら○○で便宜を図るよ」とかね。
JF-17でそれは絶対無いだろ…そもそもロシア意識の法だし軽戦闘機程度ならロシア製でも引っかからない
蛙の脚とか?
これは軽攻撃機の代替だし、すでにフランカーもある
めくじら立てるような事でもあるまい
事実上のアメリカ同盟国であるパキスタンもJF-17装備してるよ
トルコの場合はNATOだしな示しがつかん
中国との関係を深めてるパキスタンは、アメリカとの距離がどんどん離れてるが
輸出も表向きはパキスタンからという形なのかな?
韓国がFA-50の中距離空対空ミサイル対応を行えば
候補のトップに躍り出る可能性も有りますね。
FA−50の優位点がコストと実績だとすると、改良でのコストアップが如何程になるか?そして、そのモデルを導入した軍はない。
デメリット解消のためにメリット2つを消すことにならなきゃいいけどね。
中距離空対空ミサイル対応改修してもその他の性能はJ F-17には及ばないとなると改修費の上乗せをどれだけ抑えられるかがアピールポイントでしょうか
今回は主力戦闘機として求められているわけではないとしても将来的にその主力機が陳腐化更新の時期を迎えた時にどれだけ補助できる機体かというところですかね
採用実績が無い機体は評価するにも稼働実績がないのだから自分で実機の評価を行う必要がある。まともにやると結構面倒くさいと思う。
韓国軍が改良事業を仕切って採用すればよいのだろうがKF-21のさなかじゃ無理っぽい。
MRAAM搭載で現行機体にインテグレートするだけなら大した規模にはならないだろうけど、やるならもっと手を入れたいのがKAIなり韓国軍の本音かと思う。セールス的にも運用的にもエンハンスの必要は感じているだろうから。となると金額は跳ね上がるのではないか?
>韓国軍が改良事業を仕切って採用すればよいのだろうがKF-21のさなかじゃ無理っぽい。
FA−50の場合、統合作業を担当しているのはLMでは?
このメンツならE型じゃないグリペンも参加できそうだけど、
メーカーからの提案がなかったんかな。
今更C/D型の再生産は出来ないだろうし、そこらへんで提案が無かったのでは?
F/A-18DやSu-30MKMを補完するためですか
無茶苦茶バラエティに富んでるけど何とかなるもんなんですね
コストを低く出来る中距離AAMをオミットした機体を選ぶのか、
それとも中距離AAMは必要最低限なのか、
と言うかどれが当て馬なんだろうか?
JF-17は確かにそれなりに安価だけど後のスペアパーツ含めた保守整備で以外とコストかかるのでは?
今まで中国機とか運用したことないだろうから。ただ搭載エンジンはマレーシアが運用してるミグ29にも使われてるエンジンだから多少ノウハウあるかな。
JF-17はアメリカのナントカって制裁法受けないの?
かっこいいしテジャスにしようぜ
追加費用は発生するけどAIM-120に対応させるプランあったよなFA-50
6000万ドルクラスのF-16とFA-50の価格差、性能差を比べるとJ F-17とテジャスは上手いポジションに収まってる感じ
FA-50が一番安いと言えるくらい出せるのにイタリアとロシアが手を引いたって辺り相当な闇を感じる
個人的に驚きなのはテジャスくん輸出しようとしてるってポイントなんだが
スペック的に見るべきところあるか???
ないね。
単純に中距離対空ミサイルを運用出来て訓練に使える安い機体てのがポイントだと思う。
そもそもテジャス自体の性能に疑問符が入る
JF-17が条件に合致した戦闘機だからそっちで決まりそうな感じはする
無人機が使えたり、コンバットクラウドができたりと、将来の西側水準のモザイク戦に対応できるらしい
将来の発展性ではテジャスに軍配があるかと
問題はその”将来”がいつ頃になるのか誰も分からない。
10年以内には来るぞ
インド時空で10年なんだよなぁ。
欧米では実用化は目前
欧米のコンポーネントをそのまま持ってくるんだったら、10~20年で使えるようになってくるだろ
インドは欧米のコンポーネントをそのまま持ってこれるのだろうか…また迷走しそうな気がする。
10~20年後だったら中国のJF-17もBlock4に進化していて、西側水準のモザイク戦に対応していそう。
インドの戦略戦術システムはフランスNATO互換ベースなんで、統合はできるんじゃないかな?
JF17は通信が貧弱なので、対応は無理だと思われる
F-2やF-16でも同じなので、設計概念の古さと機体の小ささのダブルパンチは如何ともしがたい
テジャスとJF-17が同等…?
それはさすがにJF-17を低く見すぎなんじゃないか…?
将来性を見た拡張性では、設計概念の新しいテジャスの方が有利
価格と実績ではJF-17
マレーシアは南シナ海問題の参加国(?)だからJF-17は流石に無理なんじゃねーの
マレーシアは中国に沿岸警備艦 (LMS) を4隻発注して現在2隻運用していますし、
中国製無人機やドック型輸送揚陸艦にもマレーシアは興味を示しているので、
南シナ海問題とは分けて考えているみたいですね。
恐らく中国兵器は購入後の制約がない(バックドア問題は知らん)
高い金出して購入したのに制約だらけの米国兵器に懲りたんだろう
実際運用するに際して自由度はやはり重要だよ
>最近輸出したナイジェリア空軍向けのBlock2調達コストは4,000万ドル
ミャンマーは中国製JF-17Block2を1,600万ドルで購入しているので、
ナイジェリア向けのJF-17の価格が高いのはパキスタン製だからかもしれません。
中国はJF-17を低価格にして勝負を仕掛けてくるかもしれませんね。
ホーク208でさえAIM-120運用出来るはずなのにFA-50どうなってんのかね。運用して5年以上経つのにまともなレーダー誘導ミサイル運用出来てないのは韓国は不満に思わないのかな。
EL/M-2032にAMRRAMが対応していないみたい
トルコのF-4Eターミネーターで運用出来てるのなら話は違ってきますが
別にaim-120じゃなくても良いでしょ。イスラエル絡んでいるならイスラエルのミサイルでも良いだろうし、欧州でも良い。ブロック20で対応とか言ってるけど韓国としては歩みが遅い。
FA-50って、J F-17やテジャスと似たようなクラスの機体だったんだ。
何となく一回り小さな機体だと思い込んでた。
やっぱり輸出の実績は購入する側にとっては重要だよね。