インド太平洋関連

タイ海軍、イスラエルからヘルメス900×7機を1.2億ドルで導入

タイ海軍は海上監視と戦術的任務の強化・支援のためヘルメス900を導入する発表、エルビット・システムズは候補に挙がっていたヘロンTP、翼竜II、MQ-9を破って約1.2億ドルの契約を受注した。

参考:Navy to sign UAV contract

将来的には本機に攻撃任務必要なハードウェアとソフトウェアが搭載されUCAV化するヘルメス900

タイ海軍は海上監視と戦術的任務の強化・支援のためMALE(中高度を長時間飛行できる無人航空機のこと)タイプのUAVを4機取得するため競争入札を実施すると今年1月に発表、本プログラムの予算上限は39億6,000万バーツ(約1.1億ドル)でイスラエル航空宇宙産業のヘロンTP、エルビット・システムズのヘルメス900、中国航空工業集団有限公司の翼竜II、ジェネラル・アトミックスのMQ-9が導入候補に挙がっていたが、タイ海軍はヘルメス900の採用を発表した。

出典:GA-ASI MQ-9

エルビット・システムズはタイ海軍にヘルメス900×7機を約40億バーツ(約1.2億ドル)で提案したと報じられており、1機辺りの調達コストはたったの1,714万ドルなのでMQ-9(1億ドル以上)の1/10で調達できる計算だ。

ヘルメス900のサイズはMQ-9よりも小型なMQ-1に近いが、MALEタイプのUAVにとって重要な滞空性能はMQ-9を上回る「連続36時間の飛行」が可能で見通し通信と衛星通信の両方に対応、ELINT、EW、COMINT、COMJAM、戦術通信の中継任務などに使用でき、EO/IRセンサーに組み込まれたレーザー目標指示装置を使用して精密誘導兵器の最終誘導を行うこともできる。

タイ海軍は導入するヘルメス900について「ひとまず海上監視用途で使用するが、将来的には本機に攻撃任務必要なハードウェアとソフトウェアが搭載される予定だ」と述べているので、ヘルメス900をUCAV化するつもりなのだろう。

因みにタイ軍が運用中のUAV/UCAVは以下の通りで、この他にも中国企業の協力を受けて軍が無人航空機の国産化を進めている。

種別機種運用数
陸軍UCAVD-Eye04(本格的なMALEタイプのUCAV)開発中
 UAVヘルメス4504機
UAVサーチャー7機
UAVRQ-11レイヴン12機
ドローンサイアム製クワッドローター不明
空軍UAVエアロスター26機
UAVオービター4機
UAVRTAFU-117機
UAVドミネーター3機
UCAV TigersharkII(RTAFU-1の武装型)2機
海軍UAVS-100UAV4機
UAVRQ-215機
UAVヘルメス9007機

関連記事:タイ海軍が中高度長時間耐久に対応したUAV導入、候補はヘロンTP、ヘルメス900、翼竜II、MQ-9

 

※アイキャッチ画像の出典:Ronite/CC BY-SA 4.0

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コメント

    • 通りすがり
    • 2022年 7月 02日

    無人機云々より、イスラエルから兵器を買えることが羨ましい
    原油を盾にイスラエルとの縁を切らせた、パレスチナとその支援国共のやったことは忘れまい
    いつか中東原油の重要性が下がったら、しっぺ返しを喰らわせてやりたいが…
    生きている内に原油の価値が下がることはなかろうな

    6
    • tarota
    • 2022年 7月 02日

    安い方が勝つわ

    11
    • WSO
    • 2022年 7月 02日

    イスラエル・米国・中国・オーストリア…この豊富な保有ラインナップよ、とはいえ現代の軍隊のUAV運用状況なんていずこもこんな感じなんですかね。これだけ種類が豊富だと確かにUAV要投入シチュエーションで選択肢が多い点は利点だろうけど維持管理はそうとう煩雑なんじゃあるまいか。

    10
      • バーナーキング
      • 2022年 7月 03日

      まあ対戦車ミサイルや偵察・観測(歩兵やバイクから航空機まで)、近接支援航空機・ヘリに戦闘機まで多種多様なシステムが、丸々とは言わないけどUAVに置き換わりつつある上に、既存兵器では考えられてなかった様な使い方も色々出て来てる訳ですからね。
      UAVって括りで考える事自体が間違いなのかも。

      2
    • じぇね
    • 2022年 7月 03日

    これでチャクリナルエベトも浮かばれるな

    1
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