インド太平洋関連

タイ海軍が中高度長時間耐久に対応したUAV導入、候補はヘロンTP、ヘルメス900、翼竜II、MQ-9

タイ海軍は中高度を長時間飛行できる無人航空機を取得するため競争入札を実施すると発表、ヘロンTP、ヘルメス900、翼竜II、MQ-9が導入候補に挙がっているらしい。

参考:Thai Navy Seeking Long-Range Maritime Surveillance Drone

果たしてタイ海軍はどの無人航空機を導入するのか、ジェネラル・アトミックスは低予算の入札に応じるのだろうか?

タイ海軍は海上監視と戦術的任務の強化・支援のためMALE(中高度を長時間飛行できる無人航空機のこと)タイプのUAVを4機取得するため競争入札を実施すると発表、本プログラムの予算上限は39億6,000万バーツ/約137億円でイスラエル航空宇宙産業のヘロンTP、エルビット・システムズ製のヘルメス900、中国航空工業集団有限公司の翼竜II、ジェネラル・アトミックスのMQ-9が導入候補に挙がっているらしい。

出典:Boevaya mashina / CC BY-SA 4.0 ヘロンTP

実際に導入候補がタイ海軍の入札に参加を表明している訳ではないが挙げられている候補は中々興味深いメンツだ。

タイ空軍とタイ陸軍はイスラエル製のドミネーター×3機、オービター×4機、ヘルメス450×4機、サーチャー×7機、米国製のRQ-11×12機、国産のRTAFU-1×17機を既に運用中で、タイ陸軍は中国企業と契約を締結してサーチャーを更新するための国産UAV開発に取り組んでおり、これまでの関係性や実績から言えばイスラエルのヘロンTP(最大滞空時間/45時間~50時間)やヘルメス900(最大滞空時間/約36時間)が優位だがタイ軍の武器供給国として台頭している中国の翼竜II(最大滞空時間/約32時間)も侮れない存在と言えるだろう。

出典:Martin Thoeni、www.powerplanes.ch / CC BY-SA 4.0 ヘルメス900

特に興味深いは米国のMQ-9(シーガーディアンは最大滞空時間/約40時間)が導入候補に挙げられていることで、性能的にイスラエル製や中国製のUAVと十分競合するものの39億6,000万バーツの予算では1機も調達できない可能性が高い。

台湾は遠隔操縦に必要な管制装置や支援システムといった関連費用込みでMQ-9×4機を調達するのに最大6億ドル(1機あたりの導入コストは1.5億ドル/169億円)の支払いを要求されているため「タイ海軍の予算で4機も取得するというのは不可能」と言いたいとことだが、2035年までにMQ-9(300機以上)を全機退役させる米空軍から中古機を引っ張ってくれば「39億6,000万バーツでMQ-9を4機取得」というのもあり得ない話ではないが、米空軍の計画に議会は承認を与えていないため何ともあやふやな可能性だ。

出典:Mztourist / CC BY-SA 4.0 翼竜II

果たしてタイ海軍はどの無人航空機を導入するのか、ジェネラル・アトミックスは低予算の入札に応じるのだろうか?

関連記事:海自が検討を進めている滞空型UAV、調達性を優先すればトルコ製やイスラエル製も候補に

 

※アイキャッチ画像の出典:GA-ASI MQ-9

韓国のKF-21を後部から撮影した珍しい写真+中国の第6世代戦闘機に関連した写真?前のページ

輸入兵器の闇、トルコの輸出向けバイラクタルTB2にはキルスイッチを搭載か?次のページ

関連記事

  1. インド太平洋関連

    韓国、国産MLRS「天武」で新型ロケット弾を発射出来ない問題が浮上か?

    韓国が国産した多連装ロケットシステム「天武」が今年6月に新型230mm…

  2. インド太平洋関連

    アジアも欧州も軍事衝突寸前、中国は軍に動員をかけギリシャは戦争準備中

    アジアでは中国とインドの間で欧州ではトルコとギリシャの間で軍事的対立が…

  3. インド太平洋関連

    中国はクアッド同盟成立を黙認? インドと14時間話し合うも成果なし

    インドと中国は21日、カシミール州ラダック地域での軍事的緊張を解消する…

  4. インド太平洋関連

    韓国財政部が軽空母設計予算を全額削除、事業の妥当性検討を要求

    韓国メディアは12日、企画財政部(財務省相当)は防衛事業庁が軽空母建造…

  5. インド太平洋関連

    韓国、豪州への自走砲K-9輸出はファイブアイズ構成国進出への第一歩

    韓国防衛産業はファイブアイズ構成国のオーストラリア市場に進出することで…

  6. インド太平洋関連

    中国の潜水艦に狙いを定めたインド、対潜哨戒機「P-8I」追加導入に動く

    西側陣営と急速に関係が悪化している中国だが、今度は中国の潜水艦にとって…

コメント

    • そら
    • 2022年 1月 03日

    普通に考えたらイスラエルか、中華かって感じだけど、ここに米国製入れるか。
    これで中華選んだら当て馬扱いみたいだけど、米国はどう見るかな?

    4
    • おわふ
    • 2022年 1月 03日

    これ見ると、本当に自衛隊の大型ドローン運用は遅れているなと思う。

    5
  1. この記事へのトラックバックはありません。

ポチって応援してくれると頑張れます!

にほんブログ村 その他趣味ブログ ミリタリーへ

最近の記事

関連コンテンツ

  1. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  2. 米国関連

    米陸軍の2023年調達コスト、AMPVは1,080万ドル、MPFは1,250万ド…
  3. 欧州関連

    オーストリア空軍、お荷物状態だったタイフーンへのアップグレードを検討
  4. 中国関連

    中国は3つの新型エンジン開発を完了、サプライチェーン問題を解決すれば量産開始
  5. 北米/南米関連

    カナダ海軍は最大12隻の新型潜水艦を調達したい、乗組員はどうするの?
PAGE TOP