ロシア軍によるルハーンシク州制圧を阻止するためウクライナ軍が抵抗を続けるリシチャンシクの補給路は事実上遮断された格好で、数万人のウクライナ軍兵士がロシア軍に包囲される寸前だ。
現在も街に残る人々の多くはウクライナ軍が撤退してロシア軍占領下になっても街から離れるつもりがない
ロシア軍がドネツ川の渡河に成功してリシチャンシク北西のPryvillyaを制圧したことを視覚的に確認、リシチャンシク南西のVerkhn’okam’yankaを巡る戦いは現在も続いてるが、もはやリシチャンシクへ続く主要幹線道路は全て閉じられており、Sivers’kからSerebriankaを経由してリシチャンシクに向かう道路が物理的(実際にはロシア軍の砲撃範囲に収まるの機能しているのかは謎)に開いているだけだ。
リシチャンシク市内の大半はウクライナ軍が保持しているが、絶え間ない砲撃に晒されているため8,000人前後の市民は地下シェルターから避難するのが不可能だと報じられている。
因みに「なぜ事前にリシチャンシク市民を避難させないのか?」と不思議に思うかもしれないが、現在も街に残る人々の多くはウクライナ軍が撤退してロシア軍占領下になっても街から離れるつもりがなく、セベロドネツク郊外のアゾット工場に避難した市民も「戦闘区域外に避難出来なかった」のではなく「戦いが収まれば自分の家に帰るつもりで一時的に身を隠していた」だけという方が正しい。

出典:Сергій Гайдай
経済的な問題や住み慣れた土地を離れて「どこで暮らすのか?」という問題のため避難を拒むウクライナ人は一定数存在し、恐らくウクライナ軍も彼らを強制的に避難させていないはずだ。
西側諸国の政治的指導者はウクライナ勝利を諦めておらず、必要な武器をウクライナに届けようとしている。
リトアニアのアヌシャウスカス国防相は2日、NATO首脳会談でバイデン大統領が「ラムシュタイン会議(ウクライナへの武器支援を調整する連絡会議)に参加する50ヶ国がウクライナに対戦車システム14万発、戦車600輌、砲兵システム500門、砲兵システム用の砲弾60万発、多連装ロケットシステム、対艦ミサイル、防空システムの供給を約束した」と明かしており、各国の武器支援には非公開の部分が相当数あることを伺わせる内容だ。
🇺🇸President Joe Biden during #NATO summit announced that 🇺🇦 Defense Contact Group (50 countries) pledged to 🇺🇦:
➡️140,000 anti-tank systems
➡️600 tanks
➡️500 artillery systems
➡️600,000 rounds of artillery ammunition
➡️multiple launch rocket, anti-ship, air defense systems.— Arvydas Anušauskas (@a_anusauskas) July 1, 2022
ストルテンベルグ事務総長も首脳会議後に「ウクライナに提供する装備に除外リストはない、西側製戦車の提供を支持する」と言及しているため、西側諸国の政治的指導者は「ウクライナ勝利を諦めていない」と解釈できる。
関連記事:NATO事務総長、除外リストはなく西側製戦車のウクライナ提供を支持
関連記事:ロシア軍に包囲されつつあるリシチャンシク、補給路維持も限界か
※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
自分だったら如何に行動するか?
考えてしまいますね
自分だったら、親露派になんてなる気もないから逃げられるものなら速攻逃げると思いますけど・・、
マリウポリで、自由に体を動かすこともできない、逃げることもかなわない高齢の老人が、アパートから身投げしてるなんて報道を見た時は、心がきつかったですね・・・。
下がるとしたらどのラインだろうか?
スラビャンスクとバフムートあたりのライン?
この戦線はウクライナとしては遅滞戦術をとるしかないかぁという感じだが
どうでしょうね?
さしあたりはバフムート~シヴェルスク間を流れる小河川のラインが収容線になって、その後は所在の丘陵地を利用しつつ逐次抵抗の形ですか。バフムート東方~南方のウクライナ部隊もあまり楽観出来ない状態(後退続きの連戦で予備隊も少ない)なので、この線でも長期の阻止は難しい感触ですね。
スラビャンスク自体は人工湖の総構に囲まれた城郭みたいな有様の土地で、防御力は高そうなんですが、人工湖西側でのロシア軍の攻撃が変に進展しちゃう(可能性としては微妙)と状況が変わってきます。
まあ、ロシア軍も量的制約から自軍の戦力の縦深に欠けるので、会戦的な規模の追撃をかけるような能力は無いんですが。
リシチャンシクの後方で開囲している部分は、もう10km~5km程でしょう
もう主力の撤退は済んでいると推察しますが、より多くの兵士が脱出できるよう願います。
道路ほぼ押さえられて未舗装の狭い農道が繋がってるかどうかという状態なのに主力の撤退なんて出来てるかなあ
下のコメ欄でタブーさんが言っているように、militaryland.netなどを見ると数日前に
機械化部隊は市内から撤退し、包囲の進行を抑えるような位置にいます。
国際旅団はかなり後方まで撤退し補給ないし再編中と思われます。
大規模な支援が決まったことはけっこうなことだが、どれくらいの速度で供給できるかが一番の課題。
militaryland.netなどを見るとリシチャンシクにいるのは郷土防衛隊など軽歩兵主体なので、
恐らく機動力が無く後退できなかったのかなと
もともと居たのは郷土防衛隊かもしれないが、今となってはセベロドネツクとゾロテから撤退してきた、エリート正規軍が相当大量に居るのでは。
そんな部隊はとっくに撤退の中で重装備を失ってるだろう
この戦線で重装備を持っていたのはゾロテが二重包囲を受けた時にT1302から解囲に動いた部隊くらい、まあそれも失敗したから今みたいになってるんだけど
ドネツ川の北から来ましたか。
流石にこれは無理そうなのでリシチャンシクから撤退ですね。
ドネツ川が防衛ラインとして機能しなくなるとかなりまずい。
スラビャンスク北方も動きがありますし、ウクライナ軍としてはかなりきつい状況ですが、西側の援助が十分な量になるまで、まだまだ時間がかかるでしょう。
この夏の間は、戦力を保持しながらなんとか時間を稼ぐしかないですね。
戦車600輌?どっから湧いてくるんだその戦車群は。レオ2とかまとめて送ることになったのか?
wikipedia「M1エイブラムス」によれば、アメリカには105mmライフル砲の旧型エイブラムス戦車・M1IPの予備役在庫が二千輌以上存在するみたい。ウラン装甲やウラン砲弾でなければウクライナに500輌くらい支援しても良いと思う。高度な射撃管制装置が故障してても弾除けとか敵兵に対する心理的威圧とか上に乗る(タンク・デサント)には使えるはず。
現状を打破するには戦闘機が必要だろうな。
西側機の要員はこっそり訓練受けてるんじゃ?
ロシア空軍の活動を見てるとかなりの低空飛行で攻撃をしてるようです。
同等の事をウクライナ空軍もしなきゃいけないと思うのですが付け焼刃で出来るかなあ。
(F35とかのステルス機を使わせて貰えるなら別ですけど)
AWACSの誘導で接近してアムラーム射って逃げる作戦で良いんじゃ?
遠すぎてAWACSから見えない。見えるところまで進出すると、ミグ31が射程延伸ブースター付きのR-37撃ってくる。
中々、難しい。
ロシアはミグ31を有効に使ってるな。
いよいよ来るべき時が来てしまったという感じですね
逃げない人達は親ロ派住民なんでしょうか
南部では激しいパルチザン活動があるようですが、東部ではほとんどそういった話を聞かないので想像以上に親ロ派住民が多いのだろうとは思います
逆に言えばロシアに東部の統治は可能でも南部はなかなか難しそうですね
流石に理由が親ロだけってのは短絡過ぎる。故郷を捨てても行く所がないから死ぬとしても残る老人とか居るんだし。動かすのが難しい親を見捨てられずに残る人も居る。残るなりの様々な理由があるし、ひょっとすると効率の良い避難のために切り捨てられた人も居るかもしれない。
東部でパルチザンが少ないのは開戦時にロシアFSBにより反ロ組織が潰されていたとか、占領地域が広く正規軍では攻めにくい南部のパルチザン組織立ち上げに力を入れていたからとかあるだろう。
パルチザン活動は多少なりともウクライナ政府の都合とかが絡んだ物であるのは間違いないし、親ロ派が多いから東部では活動が鈍いってのはどうかと思う。
そもそもパルチザン活動が全く出来ないほど親ロ派の勢いがあるならば親ロシア派騒乱時にウクライナと袂を分かつ州がもっとあったと思う。
日本でも深刻な災害が迫っているのに、逃げようとしない住民は一定数いますね。
彼らにとってはロシア軍も天災も同じようなものなのでしょう。
国外へ脱出した人たちも、ロシアの侵攻が落ち着いた地域では、帰還する人が増えてると言うし
彼らの郷土意識は良きにつけ、悪しきにつけウクライナ防衛の特徴となってますね。
日本が攻撃されたら、強制的に住民を移動させる法律は作っておいたほうがいいと思います。
ウクライナはなぜ強制退去の法律を作らないんでしょうかね。
自国民がいるなら自由に榴弾砲も撃てないしウクライナが不利になるばかりだと思います。
中には介護が必要な家族がいるなどの事情がある方も多いのではないでしょうか?
長距離の移動が困難となると見捨てて逃げるか残って介護をするか
前者は必ず後悔する事になるのがわかっているので決断は難しいでしょう
この方面へのまともな補給路ってバハムート経由だけなのかな?
それだとバハムートにも20~30kmに迫ってるから、そろそろ砲兵の射程圏内に近づいていて
全面撤退するにしても一週間ぐらいしか余裕がなさそう
バイデン大統領が約束したとされる兵器類の
引渡しはいつ行われるのだろう。
新たな種類のものは慣熟期間も必要ですから。
北のドネツ川湾曲部の渡河は、一応戦線縮小に伴う必然的な現象とも見え、リシチャンシク周辺のウクライナ軍が後退を図って動き出していることが読み取れます。
市内に残っているのは郷土防衛旅団1個と国家親衛隊系の旅団2~3個の各残部、ドンバス大隊、幾つかの部隊から抽出された小部隊複数といった所でしょうか。Verkhn’okam’yankaを保持している間に離脱出来るといいんですが。
それでもやはり航空機の供給は難しいのね
ウクライナパイロットを転換訓練するだけで半年は喰うだろうし、高価過ぎるか