台湾軍の兵士が石を投げて侵入してきた中国軍のドローンを追い払う動画が出回り、最終的に台湾国防部は「2023年にアンチ・ドローンシステムを基地に配備する」と発表した。
参考:Taiwan military to launch new anti-drone system in 2023
今回の事件は台湾に対抗手段を張り巡らせる重要性を悟らせる格好になった
台湾国防部が設立したシンクタンク「国防安全研究院(INDSR)」は中国軍が使用する小型ドローンの脅威を訴え、昨年7月に「RWSを統合したアンチドローンシステムの開発」を提案していたが、台湾国防部も今年5月に「国家中山科学研究院が開発するアンチ・ドローンシステム(RWSを統合したものは不明)を2026年までに国内の基地や拠点など計45ヶ所に配備する」と発表した。
經衛哨依“標準作業程序”通報及警示後,該架無人機即迅速飛離
作业程序非常标准
🤧🤧🤧🤧 pic.twitter.com/0qQROQWRot— 杨威利 (@hfgang) August 24, 2022
しかし小金門島にある台湾軍の駐屯地に中国軍のドローンが侵入、対抗手段を持ちわせていなかった兵士2人が呆然とドーロンを見上げる様子や、これを追い払おうと石を投げつけている様子がネットに出回り、台湾国防部は動画が本物であると認めたが「領空外から望遠カメラで撮影したもの」だと主張したため「ドローンに石を投げつけている様子」と状況が食い違う。
さらに「無線で警告するとドローンは直ぐに飛び去った」という怪しげな主張まで登場したが、UHF/VHF無線機を搭載している小型ドローンは非常に稀なので「操縦者に無線で警告するのは不可能だ」とメディアが指摘、まともなアンチ・ドローンシステムの整備が遅れていると国内で批判され始めたため台湾国防部は「2023年にアンチ・ドローンシステムを基地に配備する」と発表して注目を集めている。

出典:Kongsberg Defence & Aerospace AS
つまりアンチ・ドローンシステムの配備を大幅に前倒しするという意味で、今回の事件は台湾に対抗手段を張り巡らせる重要性を悟らせる格好になった。
因みに米中央軍のマッケンジー米海兵隊大将も「大型UAVには対処できても、電気モーターで静かに作動する小型ドローンに対応した検出システムも無力化する方法も持っていない」と語り、全兵士にアンチ・ドローンのスキルを見つけさせるため2024年までに訓練アカデミーを創設する予定だ。
ウクライナでも小型ドローンへの脅威に両軍とも「肉眼監視とMANPADSの組み合わせ」か「アンチ・ドローンガン(商用ドローンには効果的だが軍用ドローンには限定的な効果しかないらしい)」で対処しており、イスラエルが開発したコンピュータ制御の照準機能付きスコープ「SMASH(スマッシュ)」に関心を示す国も増えている。
強力な電子妨害装置やGPS妨害装置でUAVやドローンの動きを封じれば効率的だと思うかもしれないが、高出力で継続的な無線周波数は直ぐに特定され砲弾が飛んでくるため敵砲兵戦力のカバーエリアでは使いづらく、GPS妨害装置の効果範囲も思っているより狭いと軍事アナリストが指摘しており、ロシア軍がウクライナでクラスハ-4やPole-21を多用しないのもそのためらしい。
関連記事:台湾、小型ドローンに対応するためアンチドローンシステム導入を発表
関連記事:中国軍が使用するドローンから逃れられない台湾、RWSを活用した野戦防空能力強化に着目
※アイキャッチ画像の出典:联合早报
アンチ・ドローンシステムの重要性を台湾軍に教えてくれる優しい解放軍
これを他山の石とせず日本も対処しないと
何でや。
他山の石としなさいよ…
>たざんのいし
>【他山の石】
>よそのできごとや自分に対する批評が、自分の知徳をみがく助けとなるということ。
ほんとだ
指摘ありがとう(「対岸の火事」と書いてたけど火事は起こってないもんなと、同じ意味だと思って書き変えちゃいました)
すばらしい非対称戦闘だ、最新兵器も石には敵わない場合もある
クマのプーさんの人形をドローンに見せて投げつけてやったら
慌ててすぐに立ち去るんじゃないのかな
習近平の娘や指導部のゴシップのような中国国内では検閲されているネタを用意して
電光掲示板や横断幕で、飛んできたドローンに見せてやったらどんなことになるかな?
何が映ったか上司に報告できるのかな。
有事ならともかく嫌がらせ演習程度なら、それに対抗できるものも用意した方がいいかと
しかし、これ日本も他人事じゃないよね。自衛隊の場合はどうするんだろ?
大型ドローンに網ぶら下げて追いかけまわすとか?
基地防御の予算が足りてないから、隊員に投石訓練でもやらかすのでは
副作用としてオリンピック陸上での自衛官メダリストが期待される
なんだろうB-29に竹槍を連想してしまった
近距離ならショットガンでいいんじゃない?
バードショットの類いは射程距離は100m無いです。
それでも落ちてくる弾の危険性はしっかりあるのでドローン対策には使えないと思います。
動画のアンチ・ドローンライフルいいな。ビジュアルがゲームっぽい。
『アインシュタインの第四次世界大戦の予言』が脳裏を過りました。
人類が77年前よりも少しだけ知的に進化していることを祈ります。
対空投石の精度高いな。
Mk-1 eyeball sensor と stone対空弾で構成される強力な防空システムですね。
有史以来の信頼性があります。
本当そう思います。
台湾は来年までに各基地45か所に大谷翔平を配置すれば良いんですよ。
ドローンだからと難しく考えすぎですよね。
数あるスポーツの中でも、野球が一番有事に貢献できるということが証明されたのです。
台湾も結構野球好きですよね。
ドローン検知にADASのシステム応用できんかな
各自動車メーカーが開発してるし逆にドローン側がレーダー波捉えてもそこらの自動車と同じな訳だし
先日黒海艦隊司令部に自爆ドローンが突入した時にロシア兵が小銃でバンバン対空射撃してましたけど、アメリカ軍もしばらくは小型ドローン対策としてこれと同様の対応をするしかないってことなんですかね?
>「大型UAVには対処できても、電気モーターで静かに作動する小型ドローンに対応した検出システムも無力化する方法も持っていない」
しかし開戦前の電子戦でドローンは簡単に無力化できるとはなんだったのか……
つい最近イギリスがウクライナに供与したVAMPIRE(Vehicle-Agnostic Modular Palletized ISR Rocket Equipment)とかいいと思うけど
弾薬は70mmレーザー誘導ロケットらしい
>台湾国防部は動画が本物であると認めたが「領空外から望遠カメラで撮影したもの」だと主張したため「ドローンに石を投げつけている様子」と状況が食い違う。
台湾国防部の発表が信用できなくなるなぁ。
中国軍が和平火力発電所や澎湖諸島に接近した映像等を公開した時に、台湾国防部は全て中国軍の誇張だと発表したけど、どっちが正しいのやら…。
ロシアやウクライナの報道見てても思うんだけど、なんですぐバレる嘘言うんだろうね
今の時代、すぐ検証されんのに
正直、アンチドローンシステムというOODAサイクルのA(Act)を支援する機材より、二つのO(Observe – Orient)を支援する機材がないことのほうが問題だよなぁ、この手のハラスメントは。何処にあって誰のものか分からないと撃墜するという意志決定はかなり取りにくくなるし。
完全に戦時下にあるウクライナやロシアだと連絡のないドローンの接近は全て迎撃しろと命令出来るし、兵士たちは命令に従うだけだから意志決定しやすいけど、一応平時である台湾でそこまで強行できるかと聞かれると無理だろう。
でも素人がパッと考え付くことだとドローンにトランスポンダの搭載を義務付けして特に所有者を明確化する事しかないんだよね。
>イスラエルが開発したコンピュータ制御の照準機能付きスコープ「SMASH(スマッシュ)」
以前に記事掲載されてたライフル用スコープの続報が知れてよかったです。しかし未だに自分の知識が追い付かない。どうやってスコープでドローンを追跡するんだろう?そして射撃して当たるのだろう。腕利きのスナイパーでも難しそうなのに。
詳しくは知らないけど、
物体を画像認識する技術は普及済みなので、こんな感じかと:
対象を画像認識→移動を認識→未来位置をスコープに表示
未来位置がスコープに表示されているので、射撃手は単にそこにセンターを合わせて撃てば当たる。
領空の外を飛んでいるだけの航空機(民間のものかもしれない)を投石で撃墜?
これはたぶん明確に国際法に違反するよ!(知らんけど)
台湾軍の蛮行、国際法への挑戦を許していいのか?
金門島は中華民国ですよ?
やはりレーザー…
いま現在、中国本土に近接する金門島等は、台湾の対中軍事戦略において、どのような位置づけになっているのでしょうね。自分には、”望まぬトリップワイヤー”のようにみえているのですが。
実際ウクライナだと商用UAVレベルでも砲撃指示してるからどっちにしても砲撃圏内に妨害装置展開しているなら狙われると思うし、妨害しない事での損壊を許容出来るのかトレードかね。
コントール元を正確に検出して攻撃出来るかと言われたら難しい事もあるだろう。
ロシアはコントローラーの位置を攻撃出来ても潰しきれなくて電波妨害でドローンを無力化してる。ドローンを見つけ攻撃する手段があるかでも対応は違って来る。