マスコミは武器輸出や共同開発を厳しく制限してきた「武器輸出三原則」を撤回すれば日本製防衛装備品に世界中から発注が殺到するとでも思っていたのかもしれない。
今後も日本は防衛装備品の輸出過程で多くの失敗や挫折を経験する必要があるルーキー
日本は武器輸出や共同開発を厳しく制限してきた方針を転換して新たに「防衛装備移転三原則」を2014年に閣議決定、しかし思うような国産防衛装備品の輸出に繋がらずマスコミから多くの批判を浴びることになったが閣議決定から6年後の今年、三菱電機製の固定式警戒管制レーダー「J/FPS-3ME」と車両に搭載された移動式レーダー「J/TPS-P14ME」をフィリピンに輸出する契約を正式に締結した。

出典:J/FPS-3警戒監視レーダー 防衛省
この契約は政府開発援助(ODA)による円借款を活用したものではなく正真正銘、米国(AN/TPS-77)やイスラエル(EL/M-2238)と競合する中で受注した契約なので過去の巡視船輸出とは全く意味が異なり、何度も跳ね返されてきた海外市場の壁を突破すること初めて成功した事例と言えるだろう。
この他にも防衛装備庁はベトナム、マレーシア、インドネシア、インドを対象に国産防衛装備品の輸出拡大を図るため対象4ヶ国の国防計画や装備調達等に関する情報収集を丸紅エアロスペースと伊藤忠アビエーションの2社に依頼、丸紅がインドを伊藤忠がベトナム、マレーシア、インドネシアの状況や需要を調査して輸出可能な装備品の選定に活かす計画で来年以降の成果に期待したいところだ。
現在進行中の事案の中で特に注目されるのは三井E&S造船の動きだろう。

出典:海上自衛隊 三井E&S造船が建造した護衛艦「ふゆつき」
海上自衛隊向けの護衛艦建造を手掛ける日本企業の三井E&S造船と石油や天然ガスの海上生産整備や関連艦艇の建造を手掛けているマレーシア企業のT7グローバルは共同でベトナム人民海軍や沿岸警備隊向けの受注獲得に動いており、このような民間企業主導による防衛装備品の輸出がどの様な結果を残すのか注目される。
補足:ベトナムのハノイを今年3月に訪問した山崎統合幕僚長はベトナムの軍総参謀長兼国防次官のファン・ヴァン・ザン陸軍上将と会談を行い、ベトナムに対し軍艦の建造技術の移転や陸上自衛隊とベトナム陸軍との関係強化を進めることについて合意しており、三井E&S造船の動きの裏には日本政府の意向が絡んでいる可能性もある。
他にもインドネシアへの護衛艦輸出、アラブ首長国連邦への輸送機「C-2」輸出、英海軍の補給艦建造への参入など色々と話題は多いが果たして輸出契約まで辿り着ける事案がどれだけ出てくるだろうか?

出典:航空自衛隊 C-2輸送機
日本が武器輸出や共同開発の方針を転換した一因には国産装備品の調達規模が少なすぎて量産効果を期待できない問題の解消も含まれており、今後の装備品開発は例え自衛隊向けでも海外市場で支持を得やすい仕様や要求性能を考慮して魅力を高める努力が必要だ。
さらに言えば日本は共同開発の経験が少なく日本主導の共同開発に至っては皆無に等しいので、まずはこの辺りの経験を積むため適当な装備品=戦闘機や艦艇など大型で複雑なものではなく簡単な装備品で良いので日本主導の共同開発を立案・企画してみるのも悪くはないかもしれない。

出典:JGSDF / CC BY 2.0 スラローム射撃を行う10式戦車
とにかくマスコミは武器輸出や共同開発を厳しく制限してきた「武器輸出三原則」を撤回すれば日本製防衛装備品に世界中から発注が殺到するとでも思っていたのかもしれないが、自衛隊向けに設計された装備品の多くは海外市場で求められる仕様とかけ離れているもの(良くないという意味ではなく輸出を前提に設計されてない&専守防衛という特殊環境で運用されることが前提なので仕方がない)が多く、海外輸出に関する実績もノウハウもない状況下では順当な結果なのだろう。
今後も日本は防衛装備品の輸出過程で多くの失敗や挫折を経験するだろうが、当面は勉強だと割り切り長い目で見守る必要があると管理人は思っている。
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※アイキャッチ画像の出典:海上自衛隊 対潜哨戒機P-1
失敗を恐れるものにはチャンスもない
敗戦後を建て直した先人たちの勇気を再び、だ
日本の中央官僚は、査定に響くので、失敗することを酷く怖れる。
永田町という”村社会”の中では、前向きな出世競争だけでなく、後ろ向きなイデオロギー
対立まであるので、官僚たちは横ばかり見て、前に出る意識が育たない。
走り始めは、首相がトップセールスして、流れをつくっていくのが現実的。
日本の中央官僚は、どんなに失敗しても首を切られる可能性は極低いと言う致命的な問題が有るんだが?
せいぜい左遷される程度じゃあ、何回失敗しても教訓にならないよ
まずは官僚が失敗したら、政治家が即座に首を切れる様にしないと無理だと思うけど
日本が他国に装備品の輸出に成功すると経済面以外にも防衛協力の面での結びつきが多少強まるというメリットがあるよね。
それを嫌がる国もあるみたい。
その国は五毛党さんみたいな組織まで作ったり、一帯一路政策を実施たりして、自国が【孤立】するのを何とか力づくで防ごうとしてるみたい。
車のように10-20年で補修部品が出せませんよという世界じゃなだけにその辺りの体制が気になる下請け企業に多く支えられてる防衛産業
この辺を軽く考えてる国産装備輸出論者って多いよね
買う側からすれば生命線に当たる条件なのに
わかってないのは国防族議員と、失敗を怖れる老害リーマンだけですよ
F3もどうなることやら。
ノウハウ蓄積のためにもここは頑張って欲しいところ
いや解禁した途端豪から首相直々に潜水艦十隻の注文が入るとか実際すごいぞ
結果はアレだけだけど曲がりなりにも先進国で武器取引で現役首相失脚させられて商談ひっくり返るとか継続的に武器輸出してた国でもなかなか経験することじゃないし
ひっくり返したことを今の豪は割と後悔してる雰囲気だけど
通常動力型攻撃潜水艦十二隻で三兆九千二百億円規模だっけ? 豪州内で組み立てるとは言えさすがにぼられすぎでは…
そうなんだよね。
何気に「輸出解禁したら引く手数多」に近い状態に見える。
ただ一方で日本側の「いいから完成品を買え。技術は教えん、生産もさせん」って姿勢には「売る気あんのか?」と思えてしまう。
自分達がアメリカからブラックボックス売りつけられた時はどう思ったよ?
売るなら技術も出す、技術を出せないなら売らない、で相手に応じてきっちり線引いて、
技術出せない部分は「共同開発」として相手側の技術ベースに足りない部分を
ちゃんと真面目に(適正価格で・教えられる範囲で)教えてやればいい。
要するにF-2の時に欲しかった支援、F-3のためにして欲しい支援と同じ事をしてやればいい。
あ、ただし第3国への技術の再移転については厳格な制約と罰則を用意してな。
トルコの戦車エンジンの話もあったし引く手数多はわりと事実なんだよね
本気で輸出を考えるなら日本のミサイルはどうでしょうか。
印象ですが、日本のミサイル、特にセンサーは技術水準が高いイメージです。
もし本当に高い水準なら、ミサイルそのものの輸出や対象国と共同開発は考えられます。
ただ、日本の技術情報を売渡すようなことにならないようにしてほしいです。
AAM-4が売れますかねー?
AAM4Bのセンサーを利用したJNAAMは世界最高の空対空ミサイルになる、F-35に搭載すれば他の航空機は逃げ回るしかない、というか気が付いたら撃墜されていることになる。
それならJNAAMみたく、日本はシーカーだけ担当して本体は海外と組んでそっちに作ってもらった方がよくない?
どこの国もパワーパックやエンジンに苦労しているからそこらへんの供給から始めるとかでも良いかもしれない
正直、余り輸出はお勧めしない。
民生品と違い、政治に左右される。
見込み違いによる無駄な投資による赤字で、結果として企業が倒産しては元も子もない。
いざとなれば、当該国を支援するために軍事行動を起こせる覚悟が無ければ、今からレッドオーシャンな市場に食い込むのは難しいだろう。
隣国のように徹底した顧客志向で我国の電化製品を駆逐していったように、軍事品でも同じ手法で食い込んでいる。
スマホの中身は日本製の部品が結構入っているが、スマホそのものは日本のシェアはほとんどない。
このような、パッケージングの下手さが国全体の利益率の低下につながっている。
日本からの完成品の武器輸出は難しいだろう。
せめて、中古の護衛艦を輸出して、日本製の良さを分かってもらうことから始めるべきだろう。
まず、手始めに輸送艦から始めてはどうだろうか。
インドネシア、フィリピン、マレーシアへおおすみ型輸送艦を輸出してはどうだろうか。
島嶼部を持つ国には、大きさからも絶好だと思う。
勿論代替艦として、DDH、輸送艦及び掃海母艦任務を兼ねられる艦を配備してからだが。
スマホ部品のシェアも、諸外国にだいぶ食い荒らされたけどね…
ぜひ輸出をすすめてシェアを大きくしていって欲しいです
産業の創出ということもありますが日本が戦争に忌避間を持っているからでしょうか
武器輸出国国民にそうした気概がないと国を挙げて「マーケットの拡大・創出」にいそしむことになるでしょう
だから韓国製の武器など絶対買ってはいけませんw
日本独自のとか、国土に合ったなどと言う誤魔化し兵器が売れる訳もなく、なれ合いの無駄な努力は止めて、売れるミサイルとかレーダー等を売れば良いだろう。地対空、空対空、空対艦、地対艦ミサイルは世界でもトップクラスの性能だから、販売は可能だろう。
後半には同意するが「日本独自のとか、国土に合った」が誤魔化し、ってのは違うだろ。
国産兵器は輸出なんかより自国の国土・防衛事情に適合してる事の方が重要だ。
輸出はコスト削減(や安保・外交)の一手段でしかない。
現在の「どうしても欲しいって言うのなら売ってやらんでもない」みたいな謎のウエメセ態度改めないと大成功は無いよ
死の商人大国のフランスですら自分から必死に売り込んでオプションもたくさん付けてようやくってのが実情なんだからさ
>しかし思うような国産防衛装備品の輸出に繋がらずマスコミから多くの批判を浴びることになった
あったかな?
輸出に批判的な勢力なら、何となくイメージ出来るけど。
スウェーデン用にガラパゴス化してたサーブ37なんか高評価されてても全く売れてないし、そういう事例は輸出に長けてるはずの米国製品やらでも見受けられる
性能のみならず売り手の側の姿勢がどうか、その時点での国際情勢、ライバルの有無、
官から約束された商売に慣れた国内メーカーにはまだハードルが高いのが現実
輸出制限の少ない韓国とて最初から売れていたわけではないだろう、ちゃんと他人の有り様も研究しとかないとね
10式なら欲しい国もあるでしょうが
いかんせん高すぎがな
別に10式は他国の戦車と比べて特別高くはありませんよ。
G会議「武器」
S民団体「輸出」
特定YATO「反対!」
武器輸出推進するなら害虫をプシューも並行してやりましょう
そもそも政府支出の上限がどこにあるのかも知らずに話をすすめるのはいかん