今年中にいずも型護衛艦の空母化改修工事が始まる予定だが、果たして改修が終わり空自のF-35Bを搭載して実戦に投入できるようになるのは何時だろうか?
空母化工事が完了するのは後から改修を受ける2番艦「かが」の方が早い?
海上自衛隊の艦船は毎年行われる年次検査とは別にドックに入渠して行う大掛かりな定期検査を3年から5年毎(艦種や使用されている材質、搭載機関の種類によって期間は異なる)に実施しており、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦の空母化改修もこの定期検査に合わせて実施される予定だ。
いずも型ヘリコプター搭載護衛艦1番艦「いずも」の空母化改修費は2020年度防衛予算に計上されているため2020年4月以降に開始されるのだが、この空母化改修工事は1回で終わらないらしい。いずもが予定している今回の空母化改修工事は最低限F-35Bの運用が可能になる程度(フライトデッキの耐熱強化や電源設備の増設等)に留める方針で、次回の定期検査(2025年頃)で再び改修工事を行い空母化が完了する予定だ。
逆に2番艦「かが」の空母化改修工事は2022年春以降に予定されている定期検査で、いずもが2回に分けて行う工事を1回で済ませる予定なので1番艦「いずも」も2番艦「かが」の空母化工事の方が先に完了する。
参考:護衛艦「いずも」、正真正銘の空母へ。F35Bの発着艦に必要な改修費31億円を計上
防衛省は1番艦と2番艦の空母化改修の違いについて説明していないため詳細は不明だが日本にとってF-35B運用を運用するための艦艇改造は初めてなので、まずは最小限の改造にとどめ飛行甲板の耐熱性能を確認したいのかもしれない。

出典:public domain 垂直着陸中のF-35B
ここからは管理人の推測だが、英海軍の空母クイーン・エリザベスも伊海軍の空母カヴールも米東海岸まで行ってF-35B運用適合テストを受けているため1番艦「いずも」も飛行甲板の耐熱強化工事が終われば、直ぐに米国へ移動するものと思われる。
さらに2番艦「かが」が受ける空母化改修工事は、いずもが受けた飛行甲板の耐熱強化に加えF-35Bが使用する兵器やジェット燃料の貯蔵庫を新たに増設したり格納庫を改良してF-35Bの整備環境を整えるなど大規模な工事になることが予想されるため、当然いずもより工事期間は長くなるはずだ。
肝心のF-35B調達は取得費846億円(6機分)が2020年度予算に計上されているため本年度中に正式な発注が行われるはずだ。あとはいつ日本に到着するかだが、導入中のF-35Aとは操縦方法が異なるため米アリゾナ州ルーク空軍基地や実際の空母で発着艦訓練を行う必要があるため相当時間がかかるだろう。
英海軍の例を挙げると英空軍パイロットが操縦するF-35Bが空母クイーン・エリザベスに初めて着艦したのは英国ではなく米東海岸で実施されているため日本も同じ手順を踏むものと思われる。
以上のことから、いずも型ヘリコプター搭載護衛艦の空母化改修スケジュールは以下のような感じになるのではないかと管理人は推測している。
いずも | かが | |
2020年 | 前期空母化改修工事に着手 | 通常運用 |
2021年 | ↓ | ↓ |
2022年 | 米国でF-35B運用適合テスト | 大規模な空母化改修工事に着手 |
2023年 | 帰国後ノウハウ収集(米F-35B利用) | ↓ |
2024年 | ↓ | 米国でF-35B運用適合テスト |
2025年 | 後期空母化改修工事に着手 | 空自F-35Bによる初の発着艦を実施 |
2026年 | ↓ | 日本に帰国して正式な運用開始 |
2027年 | 正式な運用開始 | ↓ |
恐らく管理人の推測が当たっていれば、海自の空母化されたいずも型護衛艦の実戦投入は早くても2026年~2027年以降になるだろう。
日本の空母いずもに早期警戒ヘリは必要か不必要か?
最後に管理人が気になる点はいずも型護衛艦に搭載する早期警戒ヘリの問題だ。

出典:ロッキード・マーティン 早期警戒ヘリ「マーリン HM.2」
今の所、早期警戒ヘリ導入は話に挙がっていないため搭載する予定が無いのかもしれないが、英国はクイーン・エリザベス級空母に搭載する新しい早期警戒ヘリ「マーリン HM.2」を開発中で2021年頃には実用化される見込み(遅れる可能性もあるが・・・)で、伊海軍のカヴールも早期警戒ヘリ「EH101 AEW」を運用中なので日本のいずも型護衛艦も早期警戒ヘリの導入を検討すべきではないだろうか?
関連記事:日空母にも早期警戒ヘリは必要?英海軍が開発進める「早期警戒型マーリン」の状況
V-22をベースにした早期警戒機開発構想があるのだが、あくまで構想止まりで同機導入に手を挙げ開発費を負担する国が現れなければ永久に開発されることはない。そのため現実的な選択肢は英国が開発中の早期警戒ヘリ「マーリン HM.2」かイタリア海軍が開発した早期警戒ヘリ「EH101 AEW」ぐらいだ。
流石に4機~6機程度の需要で日本が独自開発したり早期警戒機型のV-22開発に手を挙げるのはコスト負担が重すぎるが、米海軍がライトニングキャリアのために早期警戒型V-22を開発すると言うなら便乗するのも有りだ。
果たして、日本はいずも型護衛艦に早期警戒機を載せるつもりがあるのか非常に気になる。
※アイキャッチ画像の出典:海上自衛隊 護衛艦いずも ※因みに本記事は2020年2月に初掲載した記事を大幅に加筆したものである。
F-35Bのリンク機能を活用して、AEWの代用にするのかも。
ライトニングキャリア練習艦としての改修スケジュールとしては堅いと思いますが、いずもの運用適合テストと、かがの改修時期が詰まってるのが気になりますね。
かがの飛行甲板の改修を改修後半にまわして、いずものフィードバックができればベストではあるのですが。
あと、4隻しかないDDHの半分が運用に出られないのは本来の任務をひゅうが型などに回すことになるので、仮想敵国の活動が活発になるタイミングで現場の負担が大きそうです。
DDHを増やすにしても、ライトニングキャリアの仕様が確定してからの方が効果的なので、少し間が悪いですね。
たかが31億円の改修で運用に支障が出るほど時間かけんよ
そんなこと言ってたら一般的なIRANすらできない
普通に定期的なドック入りの時期に合わせて工事しちゃうだけでしょ
ですよねえ
「いずも」を大規模改修してたらドッグにいる内に「かが」の定期点検が始まってしまい2隻共にお休みになってします。
まずは「いずも」を最小限の改修をするってだけでは?
でもって、最初の18期は2023年度って言われてるから、本当なら「かが」は大規模改修後に長期の(長ければ)半年ぐらいの試験航海をする、アメリカ送りはその後だから、「いずも」を最小限の改修をしないで「かが」の大規模改修を待ったならF-35Bがもったいない。
お値段の問題ではなく、ノウハウの問題では?
自衛隊が慎重になるのは分かる気がしますがねえ。
イタリア海軍のカブールをF-35Bに対応させる改修工事に1年以上かかってるから、金額の問題ではない気がする
残念なのは、F-35Bの欠陥問題で一部機能をじゅうぶんに発揮できないことでしょうね。
そのあたり、自衛隊としてどう補っていくのかも注目されるところかと。
空母化改修したとして搭載機の機種と機数はどうなるのだろう?
すでに、F-35Bを40機導入すると防衛省が発表しているよ。
F35Bのパイロットは海自パイロットでなくては世界に笑われます、空自隊員には水泳訓練から必要でその他沢山NAVYとしての訓練が備わって初めていずも型の艦隊訓練ができるのです。
早期警戒機は必要だが乗せるスペースが足りないだけの話。
艦載機は多分全機合わせれば12機~15機搭載ぐらいだと思うから、対潜ヘリに早期警戒ヘリがローテーションを考えればそれぞれ3機ずつ、となるとF-35Bが6機から9機程度。
そうなるとF-35Bそのものが一度に出撃できるのは2機から3機程度になるから艦隊防空ぐらいしか使えない。
じゃあヘリを乗せなければ、護衛艦の数が必要だし、アウターゾーンにもCAPを置かないといけないから、防空担当機がより多くいるから減らしたヘリ分がそれに消えるわな。
あくまでも素人考えです。
無人機やドローンは活用できませんか?
なんでもかんでも出来る器用な機体では無く、あくまでも「空中レーダー」に徹したら安価になりませんか。
もしかして気球とか飛行船とか。
早期警戒やCAPができる艦載型の無人機が無いよね。
MQ-8Cは、目的が違うし。
米軍すら研究開発してないので難しいでしょうね。
それよりも、EU(NATO)が提唱している、複数機のデータリンクで早期警戒機を代替する案の方が現実的な気がします。
というより、我が国は空母を使って外征するつもりはないので早期警戒機は載せない可能性が高いですね。
必要なら空自から飛ばせばいいだけですし。
・・・いずも型が次に繋がる布石であるなら、そっちには乗せるかもしれませんが。
E-2Dの足が届かない遠洋までF-35Bを持ってくようなミッションが多ければ必要なのでしょうが、明確な情報がないのでよくわかりませんね。
日本の環境において早期警戒ヘリの必要性は一体どれくらいなのだろう・・。
対潜哨戒機の分野で言えばアメリカでももうCVNでバイキングの運用を行っておらず陸上のP-3Cに頼っているので同じ理屈で海自軽空母が陸のE-767やP-1AEW(将来)に頼ってはいけないということはない
戦闘機と違って哨戒機や警戒機のような大型機は遠洋まで進出しやすい
P-1の早期警戒機バージョンは既にボツになってるのでわ?
個人的にはUS-2にアドバンスホークアイのシステム搭載なんて浪漫を求めたいす
新型の大型ミサイルとかの搭載考えるとP-1にアドバンスホークアイシステム載っけた方が有意義だとしても
AEWヘリの探知距離ってどんなもんなのかな
マーリンHM2のクロウズネストとか調べたけど見つけられなかった
識者の方いらっしゃったらご教示願います
単独で運用しないから、随伴艦に任せるつもりじゃないかな。
管理人さんこんにちは、HYです。いつも興味深い軍事情報をありがとうございます。
空母化した「いずも型護衛艦」ですが対潜哨戒ヘリの搭載機数から考えてもあまり多くない気がします。せいぜい訓練や有事に「F35Bの止まり木」になれる程度で普段はこれまで通りヘリ空母としての運用にとどまると思います。
もっとも本格的に空母機動部隊を整備するなら艦だけでなく、飛行隊の育成もしなければなりませんから、さらにもう10年・20年先を見据える必要がありますね。「いずも型」はスタートラインに過ぎません。
AEWヘリは艦とF35のデータリンクとセンサーが共用出来れば要らなくなるかもだ。
過去記事では将来的にAEWもAWACSも廃止される可能性があるとあった。
対空ミサイルの進歩で非ステルス機が生存出来ないためだ。
そうなるとAEWヘリも要らなくなるだろう。
何時も思うのは、AWACSにチャフやフレアーは搭載されてないの?
又、元々強力なレーダーが有るのだから遠距離からのミサイルを探知した時点で、電力の許す限り
(又は、一時的にレーダ照射を止めて)
指向性エネルギー兵器(電波系)を集中的にシーカー目掛けて照射をしたら無力化出来ないの?
と思う。円盤が回っている一部に指向性エネルギー兵器を忍ばせて置けば一時的に回転を止めて
狙い撃ち出来そうだが? あくまでも素人考えだが。。。。
その考え良いですね。
瞬時に無効化ってカッコいいですね。
2020年3月28日に年次点検に入り、改修中ですよね。
もうそろそろ終わってますかね?
楽しいですね。
2020年3月28日に年次点検に入りましたね。
もうそろそろ終わってますかね?
楽しみですよね。
空自のF-35Bと記載されていますが、間違いだと思います、海自のF35Bにするべきです、広大な海域の作戦となればF35Bを収納して、運用するひつようがあります、 TUCH AND GOと燃料補給の任務だけなら空自パイロットで表面上できるかもしれませんが、艦隊勤務しながらの作戦なら水泳訓練から空自隊員には必要です、その他基本的な艦内生活、通信、習慣がひつようです 、私の知る限りでは海自パイロットは厳しい乗艦実習、操縦訓練を受けています、今なぜいずも型DDHに空自パイロットを充てるのか艦内のチームワークに影響しかねません。、 一民間パイロット。
間違いではありません。機体もパイロットも空自所属。