日本関連

米空軍がRQ-4廃止を引き続き推進すると表明、日本のRQ-4導入に悪影響を及ぼす可能も

米空軍は議会に提出した書面の中で「引き続きRQ-4グローバルホークのBlock20とBlock30に使用されている資金を他のISR戦力に回すため2021年度の国防予算で提案した同機の廃止を引き続き推進する」と明かして注目を集めている。

参考:Air Force once again asks Congress to let it mothball oldest RQ-4 Global Hawk drones

昨年議会に拒否されたRQ-4グローバルホークの廃止を今年も推進すると表明した米空軍、日本の導入するRQ-4にも影響を及ぼす可能性が

米空軍は複数保有する情報収集・監視・偵察(ISR)戦力を整理して資金を捻出するため2021年度の国防予算でRQ-4グローバルホークのBlock20とBlock30の早期退役(計24機)を提案、最終的に最も新しいRQ-4 Block40と運用コスト安価なU-2だけを残す計画を進めようとしていたが議会は「ISRの包括的な近代化計画を提出するまでBlock20とBlock30の退役を認めない=要するにBlock20とBlock30が退役してもISRで問題がないことを証明しろという意味」と主張して計画が頓挫してしまった。

出典:public domain RQ-4 グローバルホーク

しかしジョン・P・ロス空軍長官代理とチャールズ・ブラウン空軍参謀総長は議会に提出した書面の中で「空軍は引き続きRQ-4グローバルホークのBlock20とBlock30に使用されている資金を他のISR戦力に回すため2021年度の国防予算で提案した同機の廃止を引き続き推進する」と明かして注目を集めている。

補足:空軍が廃止を訴えているRQ-4はBlock20は戦場の通信を中継するEQ-4B(3機)のことを際しており厳密にいうと純粋なBlock20は存在しない。

では米空軍はBlock30の廃止を何故執拗に求めているのかについてだが、これは高価な運用コストとBlock30が提供できるISR能力が釣り合っていないためだ。

出典:public domain U-2ドラゴンレディ

米空軍が運用する比較的大型な無人航空機RQ-9の1時間あたりの運用コスト(CPFH)は4,864ドル/約53万円だがRQ-4のCPFHは1万8,591ドル/約200万円もかかり、これは旧式で運用方法が特殊なU-2よりも高額だと言われいる。

さらにBlock30はEO(光学センサー)/IR(赤外線センサー)/SAR(合成開口レーダー)に加え高帯域と低帯域の両方に対応したSIGINT(通信や電子情報の収集)装置を搭載しているのだが、Block40はBlock30が搭載するセンサー(同じ型式なのかは不明)に加え地上の車輌監視や巡航ミサイルの追跡や監視を可能にするモジュール式のAESAレーダー(MP-RTIP)を搭載しておりBlock30とBlock40では得られるISR情報に差があるので、運用コストが高価でもBlock40だけは残すと言う判断(極秘に運用中のRQ-180も関係しているかもしれない)に至ったらしい。

追記:米空軍は今後2年以内にレガシーISR戦力(RQ-4 Block20とBlock30)を廃止して貫通型プラットフォームや第5世代~第6世代の能力を備えたプラットフォームへ移行すると発表、ここで言及されたプラットフォームとは高度な敵防空システムに守られた空域に侵入可能なステルス性能の高い機体のことを差しており、極秘に開発され本格的な運用開始が間近に迫っている新型の無人航空機「RQ-180」が含まれている可能性が高い。特に米空軍はRQ-4Block30について「昨日と今日までのISRには欠かせないプラットフォームだったかもしれないが将来の厳しい環境下では戦えない」と言い切っている。

果たしてグローバルホークのBlock20とBlock30の早期退役を議会が認めるのかは不明だが、米軍がBlock30を退役させると日本(3機)と韓国(4機)が導入を進めているRQ-4B Block30iの運用コストが高騰する可能性が指摘されており、日本よりも先にBlock30iを先に導入した韓国では同機に要求される保守サポート費用(機体や収集したデーターの情報処理装置等のサポート費用や訓練のための模擬飛行運用維持費用など)が当初予定の4倍に達して問題になっている。

出典:駐韓米国大使館

この保守サポート費用の高騰原因は米空軍、NATO、韓国が運用する全てのRQ-4を足しても50機足らずで保守部品等の製造単価が年々上昇しているためで韓国軍の関係者は「グローバルホークの維持費削減ため軍の整備能力を早期に獲得してノースロップ・グラマンから派遣された技術者の数を減らしていく」と語っているが、保守部品等の製造単価に関しては運用台数が増えない限り価格値下げは見込めないため日本など新しい国がグローバルホークを導入することに期待するしかないらしい。

ただ現実は米空軍がBlock30を廃止したいと今年も言ってるので、最悪グローバルホークは日本と韓国が導入することになるBlock30×7機と米空軍とNATOが保有するBlock40を15機のみなってしまう。

一応、グローバルホークをベースに開発された海軍向けのMQ-4Cトライトン調達(米豪合わせて約70機+インドが12機調達予定)が本格的に始まっているためRQ-4ファミリーとして見ると運用台数は増加傾向だが、RQ-4BとMQ-4Cの共通性は機体部分のみなのでRQ-4の運用コスト上昇を抑制する効果は限定的だと思われる。

出典:ノースロップ・グラマン

日本は米空軍がBlock30廃止に動いた昨年8月に「維持費高騰」を懸念してRQ-4の導入中止も視野に再検討に入ったと報じられていたが、今年4月にノースロップ・グラマンは日本向けに製造していたRQ-4B Block30iの初飛行を無事完了したと発表しているので日本のRQ-4導入は予定通り行なわれる可能性が高い。

恐らく日本政府は米空軍が進めていたBlock30廃止が議会で拒否されたためRQ-4導入を続行する決断を下したのかもしれないが、今年も米空軍がBlock30廃止を訴えてくるとは思っていなかったのだろう。

因みにドイツは推定約6.7億ユーロ(約870億円)もの資金を無駄にして保管中だったRQ-4Eユーロホークのカナダ売却が絶望的になり、同機の博物館展示を決定したと今年3月に報じられいる。

関連記事:導入中止も噂されていた日本発注のRQ-4Bグローバルホークが初飛行に成功
関連記事:非常に賢い判断、日本がグローバルホーク導入を再検討する理由
関連記事:米議会、A-10サンダーボルトやRQ-4グローバルホーク等の退役拒否
関連記事:6億ユーロ以上を無駄にしたドイツのユーロホーク、売却処分に失敗して博物館送りに

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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Juan Torres

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 5月 08日

    意外とグロホって配備数少ないんだな。
    落としても良いくらいの機数かと思ってたわ。

    12
      • 匿名
      • 2021年 5月 08日

      こいつたけーもん
      配備コストバカ高い

      27
    • 匿名
    • 2021年 5月 08日

    悪影響(でも事業は推進する)

    6
    • 匿名
    • 2021年 5月 08日

    高いのはわかるけど、尖閣やら人員のこと考えたら、必要じゃない?
    代用できるUAVを早期に安価で導入できる対案って何かあるのかな

    15
      • 匿名
      • 2021年 5月 08日

      正しくその通りで監視用の機材として必要不可欠だし、性能的に代案も無い
      某・清谷が主張する様な「兵器は輸入に頼ればOK」を受け入れるとこう言う破目になると言う好例だよ

      34
        • A
        • 2021年 5月 08日

        k谷もしくはその一派に責任とらせたいよな。

        8
    • 匿名
    • 2021年 5月 08日

    もうコイツ時代遅れだよなぁ…

    20
      • 匿名
      • 2021年 5月 08日

      余計に金が……掛かるねぇ

      5
    • 匿名
    • 2021年 5月 08日

    アメリカにとってはU-2よりコスパ悪いから退役させるにしても他の運用国にはそもそもU-2に相当する機体がないからな
    選択肢がほとんどない

    21
    • 匿名
    • 2021年 5月 08日

    日本はコイツを導入しても撮って出しの生データは見れない。
    アメリカが”編集”したデータなら見れるけどね。

    7
      • 匿名
      • 2021年 5月 08日

      そこまで機密性が高いとは知らなかった。

      3
    • 匿名
    • 2021年 5月 08日

    これってさ離陸した後はアメリカにある施設で操縦するらしいけど日本が使いたいときに使えるの?
    操縦者の休日出勤手当みたいなの出さなきゃダメとかいうアホな話はないよね?

    7
    • 匿名
    • 2021年 5月 08日

    高価なセンサー系はともかく、機体側の部品はたぶんblock40系と変わらないことを祈って、運用部隊の育成と国産機の開発要件の情報収集に使うしかないだろう

    それすらできないなら、日本に来る前にデビスモンサン空軍基地に行ってもらうしかないが

    3
    • 匿名
    • 2021年 5月 08日

    平時に有人機を撃墜されたらもう戦闘突入不可避になるけれど、
    平時にUAVを撃墜されただけではそうはならず、自分も相手も軽く見てしまう可能性がある
    それを逆手にとって日本は平時にはUAV撃墜され放題になるのではという懸念がある
    だから平時では有人機の方がある意味で抑止力になるのではないか

    それで撃墜されたら命が失われるという声もあるだろうけれど、
    平時に置いての偵察機にしてもスクランブルにしても海保にしても
    公式明言はできないけれどはっきり言って生贄でしょ?
    以後の交戦規定と世論を変えるための生贄

    2
      • 匿名
      • 2021年 5月 08日

      海保とか民間船を守る為にこれを撃墜させて9条とか諸々に疑問を投げかける?
      そこまで政府が考えてるのか……?

      4
      • 匿名
      • 2021年 5月 08日

      グロホで十分生贄になると思えないのかね?
      日本人そこまで平和ボケしてるとは思わんがな

      4
    • 匿名
    • 2021年 5月 08日

    ハハハッ!ゴミ!

    3
      • 匿名
      • 2021年 5月 08日

      ロマン枠だ
      口を慎みたまい

      4
    • 匿名
    • 2021年 5月 08日

    アメリカ「日本に恵んでやるRQ-4は
         導入数は少なく、購入費は馬鹿高く、維持費も高い  
         データはアメリカがすべて握り、改悪した部分だけやる
         運行状況もアメリカの言うとおりにしろ、
         いざ有事となれば真っ先に撃ち落とされるが金は払え!絶対買え!」

    防衛省「ヨシ!」

    軍オタ「・・・。飛んでいる姿が見たいから、ヨシ!」

    2
      • 匿名
      • 2021年 5月 09日

      自民党の一部議員「ヨシ!……じゃねえ!!!」
      自衛隊員「OTL」
      野党の一部「えぇ……?」

      3
    • 匿名
    • 2021年 5月 08日

    グローバルホークと同等な機体とか、もう少し小型でもリーズナブルなヘロンのような機体は日本でも作れないのかな。

    3
      • 匿名
      • 2021年 5月 08日

      これ東芝が失敗して裁判になった偵察ポッドよりも高性能でさらにC-2ELINTの機能の一部を詰め込んだ機体だぞ
      作れるんならとっくにF-15Jの偵察機型が存在してるはず

      5
    • 匿名
    • 2021年 5月 09日

    米は地理的にますます重要になる日本を食いつぶすのではなく
    同盟国どころか米の一部と認識して
    変な圧力や無駄金を使わせるような無駄な失敗兵器を押し付けないでもらいたい
    その労力を仮想敵のレッドチームにぶつけろ!!

    4
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