イランはフーシを通じてサウジアラビアの首都リアドにミサイル攻撃を仕掛け、イスラエルはイランが影響力を強めるシリアの首都ダマスカス周辺にミサイル攻撃を仕掛けるなどアラブ･スンニ派諸国＋イスラエルとシーア派を支援するイランの戦いは激しさが増す一方だ。

参考：Saudi air defences intercept five Houthi drones and ballistic missile over Riyadh
参考：Syrian Army intercepts Israeli missile attack

バイデン政権による中東和平への取り組みと逆光する中東諸国の首都上空、両陣営のミサイルや無人航空機が飛び交う

イエメンを舞台にしたサウジアラビアが主導するアラブ･スンニ派諸国とイランが支援するイエメンのシーア派反政府組織フーシとの戦いを終結させるためバイデン政権はサウジアラビアやアラブ首長国連邦が実施するイエメンへの軍事作戦支援を打ち切りことを決定、さらに前政権によるフーシへの「テロ組織指定」も解除するなど両陣営の停戦に向けた取り組みを加速しているが、フーシ側は先週末（26日と27日）に弾道ミサイル（もしくは巡航ミサイル）や無人航空機を使用してサウジアラビアの首都リアドを含む複数の地域に攻撃を仕掛けた。

※リアド近郊の上空でフーシが発射したミサイルを迎撃した瞬間を捉えた映像

幸い首都に向けられたミサイルは防空システム「パトリオット」による迎撃が成功、湾口都市のジーザーンや内陸部の都市カミスムシャイトに向けて発射された計5機の無人航空機も全て無力化することに成功したとサウジアラビア側は発表しているが、今回の攻撃はフォーミュラE世界選手権（首都リアド郊外のディルイーヤ）の開催に合わせて実施されておりサウジ軍の司令官は「意図的かつ組織的に民間人と民間物を標的とするこのような行為は侵略行為や戦争犯罪に等しい」と強く非難している。

補足：今年1月にはイラク方面から正体不明の自爆型無人航空機がサウジアラビアに侵入して首都リアドの王室公邸に着弾して防空網の穴を突かれたと問題になっている。

正確に攻撃回数をカウントしている訳ではないので真偽は不明だが、現地メディアはイエメン内戦に対するバイデン政権の取り組みが発表されて以降フーシ側の攻撃は逆に増えていると主張しており、同組織の背後にいるイランがバイデン政権の中東戦略を妨害するため意図的に攻勢を強めているのかもしれない。

※イスラエルのミサイルをシリア防空軍が迎撃したことを伝えるUAEメディア

因みにサウジアラビアへの攻撃のみが注目されているが、先月28日にはイランが影響力を強めているシリアの首都ダマスカス周辺に向けてイスラエルがミサイル攻撃を実施、飛来したミサイルの大半をシリア防空軍のS-300が撃墜したとイラン公営放送が発表しておりサウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーンと4ヶ国同盟を設立するため動いているイスラエルがバイデン政権の圧力で身動きが取れないサウジアラビアの代わりに間接的な報復攻撃を実施したと見ることも出来る。

まぁイスラエルの攻撃はバイデン政権初となるシリア国内のイラン系民兵組織空爆に便乗したものかもしれないが、中東諸国の首都や都市はいつ敵対する勢力からミサイルや無人航空機による攻撃を受けてもおかしくない状況が続いており、日本も北朝鮮の弾道ミサイルの脅威に晒されているが実際に日本の都市に向けて飛んできたことはないので中東地域の緊迫を日本人の管理人が理解するのは到底不可能だろう。

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