中東アフリカ関連

イラク、導入したT-50IQのサポート契約を3年間約400億円で韓国と更新

イラク国防省は韓国航空宇宙産業(KAI)から24機調達したT-50IQのサポート契約を3.6億ドル/約400億円で更新したと報じられている。

参考:KAI, 3.6억달러 규모..이라크 ‘T-50IQ’ 후속운영지원 계약 체결

KAIは当分の間T-50シリーズのサポート契約で売上を上げることができるため、この資金でFA-50のアップグレードを開発か

イラクは2013年に韓国航空宇宙産業(KAI)から軽攻撃/訓練機バージョンのTA-50を「T-50IQ」として24機調達する契約(11億ドル以上と言われているが正確な数字は不明)を締結したが、一般的な航空機は30年近く運用されるためライフサイクルコストに占める航空機の取得費用は30%~40%と言われており残りの60%~70%が導入した航空機の運用・維持費用で、航空機の取得費用よりも運用・維持費用の方が遥かに大きな金額が動くのが常識だ。

つまりイラク国防省は導入したT-50IQを使用し続けるためにサポート契約を3.6億ドル/約400億円で更新したという意味(当然金額は変動するため今後も同じ額で更新されるのかは不明)だが、今回の契約は2022年~2024年の3年間しかカバーしていないためイラク国防省はT-50IQを運用開始から30年後にあたる2047年頃まで使用するならサポート契約を更新しつづけなければならず、単純に3年=3.6億ドルで計算するとKAIは最大26億ドル/2,900億円分(飽くまで推測金額でここまで高額にはならないと思う)の売上がイラクで発生して雇用維持や研究開発にこの資金を回せるようになる。

出典:Korea Aerospace Industries modified / CC BY-SA 4.0

T-50シリーズ(T-50、TA-50、FA-50)は韓国空軍が計144機導入、海外に計72機(今年受注した8機の追加発注分を含む)輸出しているため、KAIは当分の間T-50シリーズのサポート契約で売上を上げることができるため、この資金を元手にFA-50のアップグレード(マルチロール機化)を進めているのかもしれない。

KAIのT-50はボーイングのT-7Aに米空軍の次期訓練機T-Xで敗れたが、現在東南アジアのマレーシア、南米のペルー、中央ヨーロッパのスロバキアにFA-50を売り込んでいる最中でコロンビアやセネガルといった国へのマーケティングにも力を入れていくと述べている。

出典:Boeing

今後T-7Aが海外市場に供給され始めるとT-50の立ち位置も変わってくると思うが、T-7Aの軽武装バージョンは今のところ構想上の産物なのでKAIはT-50ではなくFA-50のアップグレードを優先して「軽攻撃機」としての立ち位置を強固なものにしておく狙いなのだろう。

関連記事:韓国で開幕したADEX 2021、FA-50のマルチロール機化や無人攻撃ヘリなど話題が盛り沢山
関連記事:ペルーの次はスロバキア、韓国が現地企業と共同でFA-50をスロバキア空軍に提案
関連記事:韓国がラテンアメリカでKF-21を初披露、チェックメイトと市場で競合するためロシアが警戒

 

※アイキャッチ画像の出典: Republic of Korea Air Force / CC BY 2.0離陸中のFA-50

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 11月 09日

    >単純に3年=3.6億ドルで計算するとKAIは最大26億ドル/2,900億円分(飽くまで推測金額でここまで高額にはならないと思う)の売上がイラクで発生して雇用維持や研究開発にこの資金を回せるようになる。

    これほんと強いよね。
    何もしなくても潰れていく産業なんだから、リスク覚悟で行動したほうが絶対いい。
    提案したり、入札したり。
    そのために法改正が必要なら、政府が支援するべき。
    カテゴリートップのホンダジェットですら、今はまだ赤字なんだから。

    17
      • 匿名
      • 2021年 11月 09日

      そもそもホンダジェットは、アメリカ法人では?

        • 匿名
        • 2021年 11月 09日

        リスクがあるから何もしないって言うなら、潰れたり、撤退しても仕方ないよねって話。
        ホンダジェットもアメリカ法人だから挑戦出来たというわけじゃないでしょ。

        8
        • 匿名
        • 2021年 11月 10日

        ホンダエアクラフトカンパニーはアメリカ法人でも、親会社は本田技研工業だろ
        しかも、ホンダエアクラフトカンパニー自体は100%本田技研の出資で、エンジンメーカーもGEと50:50の出資で作ったGE・ホンダ・エアロ・カンパニーだし

        8
    • 匿名
    • 2021年 11月 09日

    脱出成功率が低くて死亡しまくってる問題は改善されたのだろうか?

    3
      • 匿名
      • 2021年 11月 10日

      まだそんなこと言ってるの?
      購入国がミリオタ以上に調べないわけ無いでしょ。

      6
    • 匿名
    • 2021年 11月 09日

    よー売れよる
    そして売上で更なる技術蓄積と

    4
      • 匿名
      • 2021年 11月 10日

      日本の T-2/F-1は合計で173機製造したけれど、それを上回る機数となっている。

      これからも売る気満々だから、まだまだ差が開くんだろう。

      6
    • 匿名
    • 2021年 11月 10日

    このサポート契約で使用部品の欠品終売が起こると毎度の如く何も出きず相手側から詰め寄られそうな予感

    3
      • 匿名
      • 2021年 11月 10日

      どこからそんな予感が?
      負け惜しみはみっともないよ。

      7
    • 匿名
    • 2021年 11月 10日

    えらく短く感じるが、軍用機ではこういう契約は珍しくないのか?
    25年以降は別の航空機を使うつもりに見えるが。

    2
      • 匿名
      • 2021年 11月 10日

      各国の台所事情もあるからなぁ。
      ドカンと払って割引狙う国もあれば、割高だけど刻んで年間の軍事予算の負担抑えたり。

      3
    • 匿名
    • 2021年 11月 10日

    練習機に限れば、その分野の競争は激しくなる一方だね
    エアバスも参入してきたようだし、今後どう動いていくのかが愉しみだ
    リンク

    2
    • 匿名
    • 2021年 11月 10日

    現地生産関係なくこう言う製品が売れたら美味しいよな。売った以上サポートする義務は生じるが何十年かすれば打ち切りも視野に出来るし。製造業だけど偶に20年くらいずっと作り続けて納品している製品とか見ると、息の長い製品の積み重ねで利益が出ているとか思う時あるわ。物作り日本とか言うなら、息の長い仕事が出来るように政府も民間の兵器アレルギーとか緩和するような動きもするべきじゃないかね。外に向けて輸出するぞとか号令だけじゃなくてさぁ。

    4
      • 匿名
      • 2021年 11月 10日

      「兵器批判」なら解決の余地もあるが、
      まさしく「アレルギー」だからなぁ。

      2
        • 匿名
        • 2021年 11月 10日

        それに防衛装備品関連の部署ってどこも発言権ないしな。
        日本のそういう企業って、別に武器売って利益出してるような会社じゃないし。
        利益出せてないから、発言権もない。
        企業イメージが損なわれるっていうトップの思惑があるんだろう。
        当たり前だけど。

        4
      • 2021年 11月 10日

      それこそ三菱重工がボンバルディアの小型機部門買ったりしてるがな
      まぁMSJでガーガー言ってる奴はそもそもMHIのメインのセグメントすら知らんで騒いでたりするが(実際にいた)

      3
    • 匿名
    • 2021年 11月 10日

    KAIがT-50シリーズから得られる利益ってどれ程なんでしょ?LMのワークシェアが50%以上あるはずで、サーポートに関連する売上も半分はLMにもって行かれると思うが。韓国の重工業は薄利多売傾向が強く、特に軍事分野は実績作りのために赤字覚悟で売り込んでいますから。国家ぐるみで支援しているから、できる芸当なんですけどね。

    3
    • 匿名
    • 2021年 11月 10日

    FA-50のマルチロール化が成功すればF-16やF/A-18の更新需要も見込めるか。その頃に(仮想)敵国にどんな機体が配備されるかによるんだろうが

      • 匿名
      • 2021年 11月 10日

      長距離AAMとしてミーティアを統合出来たとして機体価格はどれ位になるのか、それでも輸出されるような主力機と比較すれば半額以下で買える機体にはなると思う。速度は許容範囲だろうが航続距離の短さと搭載量の少なさをどう考えるかになるけど、FA-50の電子戦能力がそこまで高いかは未知数だしF-16A/BとF/A-18C/D後継たりえるかね、元は自国のF-5E/F後継だからF-5レベルからの更新なら大幅なレベルアップになるんだが。

      1
      • 匿名
      • 2021年 11月 12日

      ぶっちゃけ北相手ならコイツでも必要十分なんじゃなかろうか?
      韓国がハイローミックス選択するならローの部分を担うのはこういう機体でいいよね。

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