中東アフリカ関連

狙いはS-400の情報収集? ロシアが警戒するイスラエルのF-35特殊試験機

米国のステルス戦闘機に深刻な影響を及ぼしているロシアの防空システム「S-400」の能力を丸裸にするため、特殊試験機のF-35がイスラエルに間もなく到着すると報じられている。

参考:Стало известно о провокации израильского F-35 против российских С-400 на авиабазе “Хмеймим”

イスラエルに持ち込まれるF-35の特殊試験機はS-400の情報収集が目的か?

イスラエル空軍は今年1月、F-35I アディールを装備する2番目の第116飛行隊をネバティム空軍基地で正式に発足させており、2024年までに発注済みの30機のF-35Iを受け取って飛行隊編成を終える予定で、7月には同隊が装備するF-35Iが米国から3機到着する予定だが、これとは別にイスラエルが特別に発注した特殊試験機仕様のF-35Iも一緒に到着する予定で注目が集まっている。

基本的にロッキード・マーティンはF-35購入国によるカスタマイズを受け付けていないがイスラエルだけは例外的にカスタマイズを認めており、F-35が搭載するコンピュータの基本ソフト(OS)上で動かす「ソフトウェア扱い」で独自のC4システムを搭載すること成功、これによりF-35が収集したターゲット情報をイスラエル全軍で共有することが出来るようになった。

出典:U.S. Embassy Tel Aviv / CC BY 2.0 F-35I アディール

補足:F-35は機体端に埋め込まれた複数のパッシブ・アンテナによって敵信号情報を受信、各アンテナが受信する信号の僅かなズレから信号がどこから発信されたのか座標を割り出すことが可能で、F-35が搭載するコンピュータに直接アクセスすることはロッキード・マーティンに拒否されたがソフトウェア扱い独自のC4システムを載せ、収集するデーターを吸い上げることに成功している。

しかしイスラエルはF-35の高度なステルス性能も10年で追いつかれる=探知されるようになると判断、独自の電子妨害装置を開発してF-35Iに搭載することを目的にイスラエル独自の物理的な改造を施したF-35Iが今回登場する特殊試験機という訳だ。

この特殊試験機は昨年引き渡されていたのだが独自にイスラエルが開発したシステムを組み込むため米国で作業が続けられていたらしく、イスラエルに運ばれ後もイスラエル・エアロスペース・インダストリーズ(IAI)に設置された独自の整備工廠に持ち込まれ、最終的な仕上げ(最高機密に指定されるシステムや電子装置の追加)が行われ完成する事になっている。

出典:Deror Avi / CC BY-SA 4.0 F-35I アディール

一応、特殊試験機はイスラエルのF-35Iをアップグレードするためのテスト機だと言われているのだが、ロシア系メディアはシリアのフメイミム空軍基地に配備されているS-400の能力や電波特性などの情報を収集して、新たな電子妨害装置開発するのが特殊試験機の真の目的で、恐らく特殊試験機はフメイミム空軍基地に接近してS-400を挑発してくるに違いないと予想している。

米国とイスラエルで様々な兵器の実験やロシア製兵器の情報収集を行っているため、もしかしたらロシア系メディアが予想しているような意図があるのかもしれないが、こういった情報は表には出ないので何とも言いようがない。

ただ日本の立場からすれば、こういった活動によってF-35がアップグレードされるのなら悪い話ではないが、ロシアや中国といったS-400運用国にすれば迷惑な話でしかない。

 

※アイキャッチ画像の出典:Major Ofer, Israeli Air Force / CC BY 4.0 F-35I アディール

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 6月 20日

    独自仕様のF-35、実際イスラエルが羨ましい時が有る。

    • 匿名
    • 2020年 6月 20日

    ロシアもイスラエルから無人機買ってるし、お互い様だな。
    ロシアもまたF35を調べるチャンスでもある

    • 匿名
    • 2020年 6月 20日

    F-35のOS上で動かすソフトウェアの扱いで独自仕様のF-35にする・・・・。
    LMはOSのシステムコールをイスラエルだけに公開したのか?
    アメリカの兵器を使うとこれだから困る、日本独自のF-3が絶対に必要な理由、ソフトもハードも好きにいじれるのは基本だよね。
    F-3のOSは何を使うんだろう、できれば絶対にバグの出ないガチガチ仕様のM(ミリタリー)ーTRONがいいな、そんなものがあればの話だが。

      • 匿名
      • 2020年 6月 20日

      日本なら1から作れるはず

      1
        • 匿名
        • 2020年 6月 20日

        諸外国から立ち遅れた祖父と開発力しかない日本にそんな高度な開発はムリやね
        TRONなんてもう35年

        • 匿名
        • 2020年 6月 20日

        諸外国から立ち遅れたソフトウェア開発力しかない日本にそんな高度な開発はムリやね

        TRON云々なんてもう40年近くもも前の話でしょ
        70年以上も前の話を持ち出して「旧軍の運用実績があるから日本は既に空母運用能力を持ってる」と豪語する位滑稽な話やわ

          • 匿名
          • 2020年 6月 21日

          TRONは現在進行形で活用・発展中なんですが。

          • 匿名
          • 2020年 6月 21日

          TRONの派生はイプシロンロケットやswitchのコントローラに使われるなどしてますし現役ですね
          それに自衛隊向け兵器開発ではソフトウェアも日本で開発してますが
          ソフトと言えばスマホしか思い付かない人でしょうか

            • 匿名
            • 2020年 6月 22日

            TRON(ITRON)は、H-2A/Bロケットの誘導制御用計算機に使われていますね。また、人工衛星でも使われていて、宇宙航空分野での実績は十分にありますよ。

    • F-35が採用しているOSはGreen Hills SoftwareのINTEGRITY-178 RTOSのようです。
      C/C++, Adaのランタイムを持っており、B-2, F-16, F-22, F-35の他に戦闘ヘリAH-1Zの近代改修版ミッションコンピュータ、B787、A380など民間航空機にも採用実績があります。
      リンク

      • 匿名
      • 2020年 6月 22日

      M-TORON・・・いいネーミングですね。
      日本人なら本気で憧れます。

    • 匿名
    • 2020年 6月 20日

    イスラエル空軍に与えられた任務は
    1、シリア、レバノンの地対空ミサイル(SAM)陣の撃破
    2、イランの原発の破壊
    3、その他(相手国の戦闘機の撃破など)
    2018年? (1)の任務中のF-16がS-200に撃墜されてるから、将来に向けてのS-400の性能確認、対応は必要でしょうけど、
    (2)は緊急性を帯び始めてるから
    吊り下げたバンカバスター弾にステルス性の付与?、精密誘導爆撃の試験ってのもありかもね。
    距離だけなら、往路で捨てるだから、F-35Iの主翼下に追加するタンク(非ステルス)で充分なんだけど、背中にコンフォーマルタンクも開発してますよね。

    • 匿名
    • 2020年 6月 20日

    中東でこのような活動に協力するから独自仕様を認められたのかな?単にカネ積めばいいって訳じゃないんだな
    ところで前々から思ってたんですが記事中に時折ある不自然な脱字はコピペ転載対策ですかね?

    • 匿名
    • 2020年 6月 20日

    端から見たら日本もそれなりに優遇されているとは思うけどね
    金や時期、購入量等要因はあるけど優先で回してもらったり、ライセンス生産認めているわけで。

    1
    • 匿名
    • 2020年 6月 20日

    >パッシブ・アンテナによって敵信号情報を受信、各アンテナが受信する信号の僅かなズレから信号がどこから発信されたのか座標を割り出すことが可能

    干渉法で受信系二個一組で位相差を検出して、受信アンテナの間隔と受信信号の波長を用いて到来角を算出し、
    二次元座標なら二組以上、三次元座標なら三組以上用意して座標を割り出すのかな?
    ただ干渉法だと複数の到来波﹙含むマルチパス﹚を区別出来ないから、受信系を多数用意して﹙複数の到来波を分離推測可能な﹚MUSIC法とか使っているのかな?

    • 匿名
    • 2020年 6月 22日

    匿名 :
    中東でこのような活動に協力するから独自仕様を認められたのかな?単にカネ積めばいいって訳じゃないんだな
    ところで前々から思ってたんですが記事中に時折ある不自然な脱字はコピペ転載対策ですかね?

    私も気になっていましたが、筆者は外国記事も渉猟しているので、もしかして日本語が堪能ではない部分があるのかなと理解していました。
    表現の瑕疵はどうであれ、精力的に引っ張ってくる情報には毎日楽しませて頂いているので、感謝しかありません。
    ありがとうございます。

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