中東アフリカ関連

GA-ASIとEDGE、MQ-9Bにアラブ首長国連邦製のスマート兵器統合で合意

米国のGA-ASIとアラブ首長国連邦のEDGEは「MQ-9B SkyGuardianにEDGE製の精密誘導兵器と誘導滑空爆弾を統合する」と発表、GA-ASIは「UAE製スマート兵器が米国製プラットフォームに統合されるのは初めてのことで両国の防衛協力が新たな段階に到達した」と述べている。

参考:GA-ASI Partners with EDGE to Integrate Smart Weapons onto MQ-9B
参考:GA-ASI Partners with EDGE to Integrate Smart Weapons Onto MQ-9B

欧米企業と手広く協力を行なうEDGEの成長ぶりは本当に目覚ましいものがある

アラブ首長国連邦は防衛装備品の海外依存から脱却するため2019年に国内の防衛産業企業を再編、25を超える企業を合併させる形で巨大な防衛産業グループ「EDGE」を創設し、中東企業として初めてストックホルム国際平和研究所が発表する年間売上ランキングで22位(2020年は25位)に食い込み、欧米企業との幅広い協力関係を構築して海外需要の取り込みに挑戦している。

EDGEは伝統的な陸海空のプラットフォームに加え、無人化技術、ミサイル、精密誘導兵器、弾薬、電子戦、サイバー、通信といった幅広い分野をカバーしており、飛躍的に需要が高まっている無人機や徘徊型弾薬のラインナップも非常に豊富で、UGVの開発と実用化で世界をリードする欧州企業「Milrem Robotics」も買収したため、EDGEの無人プラットフォーム群は「世界でも有数の規模と能力を備えている」と言っても過言ではない。

EDGEは11月に開催されたドバイ航空ショーでも国内外から計65.3億ディルハム(約2,620億円)分の受注を獲得、さらに「インドのテジャスと精密誘導兵器の初期統合に成功した」「C295向け燃料タンクの製造・供給でエアバスと合意した」「777および77X向けの部品供給でボーイングと合意した」「Coyoteプログラム向けの部品供給でRTX(レイセオン)と合意した」「スマート兵器の共同開発でトルコのRoketsanと合意した」「MQ-9BへのEDGE製スマート兵器統合でGA-ASIと合意した」と発表、特に注目すべきはCoyoteプログラムとMQ-9BにEDGEが食い込んできたことだろう。

出典:RTX Coyote Block2

RTXのCoyoteプログラムとは「小型ドローンを小型ドローンで破壊する」というカウンタードローンシステムの一種で、まだ開発過程にあるものの「Coyote Block3」は米陸軍のデモンストレーションで「異なる10機のドローンで構成されたスウォーム(群れ)と空中で交戦、全機を無力化して回収したCoyote Block3が再使用できる」と実証するのに成功、このCoyoteには「non-kinetic effector/非運動エフェクター」と呼ばれる装置が搭載されているのが、これが何なのかは不明で「電子戦システムか何らかの指向性エネルギー兵器ではないか」と米メディアは予想している。

要するに「開発過程にあるCoyoteのプロトタイプ製造にEDGEが部品を供給する」ということで、仮に開発作業が完了して米陸軍の採用を勝ち取れば「Coyoteの量産に食い込める可能性を秘めている」という意味だろう。

出典:EDGE

さらに興味深いのは「MQ-9B SkyGuardianにEDGE製の精密誘導兵器と誘導滑空爆弾を統合する」という合意で、GA-ASIは「UAE製のスマート兵器が米国製のプラットフォームに統合されるのは初めてのことで、米国とUAEの防衛協力が新たな段階に到達したことを示している」と、EDGEも「GA-ASIと協力できることを誇りに思う。我々のスマート兵器をMQ-9Bに統合することでエンドユーザーに費用対効果の高い地上攻撃手段を提供できるだろう」と述べている。

UAEはMQ-9B取得を予定しているためオフセットの一環(他のMQ-9B導入国がEDGE製のスマート兵器を選択できるのかどうかは不明)かもしれないが、カナダもMQ-9B導入に国内で製造する「WESCAM MX-20(標準はRTX製のMTS)」の採用を要求中だ。

数年前なら中東製品を米国製プラットフォームに統合するなど「実現困難」だったと思うが、欧米企業と手広く協力を行なうEDGEの成長ぶりは本当に目覚ましいものがある。

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※アイキャッチ画像の出典:GA-ASI

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コメント

    • 774rr
    • 2023年 11月 29日

    > UAE製スマート兵器が米国製プラットフォームに統合
    純粋に羨ましい。。。

    今後ほんぽーの兵器が統合される日は来るのやろうか?
    AAM-5ちゃんとかF35で使える日は来るのかな?

    3
      • 2023年 11月 29日

      >純粋に羨ましい。。。
      羨ましいがるポイントどこにあるのでしょうか

      目標を設定して投資を行い成果を挙げるプロフェッショナルな他国企業に対してう目標すら設定していない日系企業はアマチュアでしょう
      もしかしたらハイレベルな部活動程度かもしれません

      プロとアマで土俵が違うのですから、羨ましがる必要ありませんよ

        •  さ
        • 2023年 11月 29日

        >目標を設定して投資を行い成果を挙げるプロフェッショナルな他国企業に対してう目標すら設定していない日系企業はアマチュアでしょう

        ごめん、言ってる意味が分かりづらいので解説をお願いします

        6
        • kitty
        • 2023年 11月 29日

        そりゃ、AAM-5をF-35に載せられるようにしろってお上が言わなきゃ、企業側は何ともしようが無いでしょうに。

        AAM-5がJ-MSIP機にしかフルスペックでしか対応できないというのはMIL-STD-1553Bに対応しているからだという話ですし、サイズ的にもちょっとした手直し程度でできることをやれないのは単にコストとかでGoサインが出ないのでしょう。
        ウェポンベイ内収納諦めて、ビーストモードで積ませるなら意外と簡単なのかも。

          • 匿名希望係
          • 2023年 11月 30日

          ビーストモードなら多分現状でもうてそうだしね。(AIM-9との互換があるらしいので)

      • 匿名希望係
      • 2023年 11月 29日

      LMの開発部が手が空いているとして予算的にペイできるかは別だしな

    •  さ
    • 2023年 11月 29日

    金持ってるところは違うなぁ
    中東の産油国内でも、石油に頼る経済からの脱却を本気で図っている国と、
    そうでない国の差が明確になってきた感じがする

    12
    • 58式素人
    • 2023年 11月 30日

    自衛隊と海上保安庁でそれぞれ運用する長距離無人偵察機の運用については
    何かしら協力の打合せはできているのかな。それとも協議中かな。
    無人偵察機は平時は非武装だろうけど、武装ができる下地はあるのかな。
    武装の運用の規定はできているのかな。警察行動も含めて。
    以上は、行政の問題とも思えるけれど。

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