米国からファーウェイを排除せよと要求されているアラブ首長国連邦は14日、中国国営の中国航空技術輸出入総公司(CATIC)と共同で航空機のスペアパーツ供給や製造を行う物流拠点をアブダビ国際空港に設立することで合意、これについて米メディアが警戒心を強めている。
参考:UAE conglomerate EDGE partners with China, US, unveils new homegrown capabilities
問題を米国が認識してやり方を改めない限り、第三世界の支持は中国やロシアに移って地域戦略が手に負えなくなるかもしれない
トランプ政権はイスラエルとの国交樹立に応じたアラブ首長国連邦(UAE)に見返りとしてF-35AやMQ-9の供給を約束、しかし中東政策の見直しを掲げたバイデン氏が大統領選挙で勝利してしまったためトランプ大統領は退任の1時間前に総額233.7億ドル(約2兆4,600億円)もの対外有償軍事援助をUAEと締結して義理を果たした格好だが、新しく大統領に就任したバイデン氏はこれを問題視して武器輸出プロセスを停止してしまった。
この武器輸出プロセスの停止は現在も続いているためUAEへのF-35AやMQ-9の売却は実現しておらず、バイデン政権は「ファーウェイとの関係を断ち切らなければF-35Aを失う可能性がある」と圧力を加えている中でUAEは「中国の防衛産業企業と共同で航空機のスペアパーツ供給や製造を行う物流拠点をアブダビ国際空港に設立する」とドバイ航空ショーの初日に発表、このニュースに米国が衝撃を受けている。
#LeadingEDGE and China’s CATIC open first regional distribution hub for aircraft logistics: https://t.co/bSuHRawnlk #FuturePossible pic.twitter.com/qlPvpBhILG
— EDGE (@_edgegroup) November 14, 2021
UAEの防衛産業企業「EDGE」と中国国営の中国航空技術輸出入総公司(CATIC)が共同で設立する施設は軍用及び民間航空機のスペアパーツ供給拠点として機能する予定で、主にMENA(中東と北アフリカを合わせた市場)の顧客をカバーして「スペアパーツの取り寄せにかかる時間を現在の数週間から48時間以内に削減する」と言及しており、これによりMENAの顧客は高価なスペアパーツの在庫を保有する必要がなくなる=コストの削減につながるという意味だ。
但し同施設は軍用スペアパーツの供給拠点としても機能=中国が海外市場に供給しているJF-17やUAV/UCAVといった装備品の運用支援態勢が強化されるという意味を含んでいるので、中国はMENA地域の国に戦闘機や無人機を売り込みやすくなり、米メディアは「米国の中東戦略において重要な役割を果たすアル・ダフラ空軍基地や米防衛産業企業の顧客としても大切なUAEが中国と関係を強化するのを見過ごせない」と言いたいのだろう。
ただUAE側にしてみれば自国の安全保障問題であるイエメン内戦への軍事支援(イエメン空爆を実施するUAE空軍への空中給油支援やパイロットへの訓練など)を人道的な問題を理由に一方的に打ち切り、トランプ大統領が約束していたF-35AやMQ-9の売却をストップさせて「中国との関係を切れ」と迫られているため米国以外=欧州、ロシア、中国との関係強化に動くのは自然の流れだ。
特に第三世界に属する国は安全保障問題に直結する武器供給国を分散させて政治・外交的な対立に備えているため、一方通行の脅しは効きにくくなっている。
この辺りの問題を米国が認識してやり方を改めない限り、第三世界の支持は中国やロシアに移って地域戦略が手に負えなくなるかもしれない。
関連記事:トランプ政権の置土産、バイデン政権誕生1時間前にUAEとF-35A輸出契約を締結
関連記事:米防衛産業は真っ青、バイデン政権がサウジへの軍事支援中止を今日にも発表
※アイキャッチ画像の出典:Public domain パキスタン空軍のJF-17
アメリカは中国版CAATSAを始めるかな?
まるで成長していない……
イランの正規の軍事行使は米やNATOが黙ってないからほぼあり得ない、イラクも今や民主国家になっている中東にあってUAEは今サウジとは仲いいんだから別に戦力整備急がなくても?と思ったら肩を並べてるはずのイエメン内戦関連でサウジと険悪な状態に戻ってるのか…本当に中東情勢は複雑怪奇だ。
UAE「ばいばいで~ん」
昔から民主党政権って独り善がりよね
良い事やってるんだから、きっとみんなわかってくれる
こう思い込んでる。楽観的な思考が強すぎる
やっぱり正義のために制裁します、というのは活動家しか喜ばない時代なんだろうね。
一方で西側の考え方自体、正義を御旗にしている節があるから、今更転換なんて出来ないでしょう。
私は欧州の上から目線の綺麗事と、それにしたり顔で乗っかる日本の活動家が大嫌いだから、そのまま正義に殉じりゃ良いと思ってるけど。
ただ今の日本にその後の無法地帯を生き残れる体力がないから、どうしたもんかなあと。
アメリカの制裁が正義のためか?
ただのアメリカの利権のためだろ。
それを”正義”だっていってるのがアメリカでしょ。
こうしてみると、バイデン政権はカーターの再来だな
ベトナム戦争後の米国が一番ヤバかったのがカーター大統領の時代で、CIAや軍事力を軽視して中東問題でポカを連発し(イラン革命やイーグルクロー作戦の失敗等)、台湾との断交や中国への接近・アフガンへの資金工作(ソ連軍によるアフガン介入の前)をやらかして、その後遺症は今でも残っているのに、それと似た様な事をバイデンがやらかすから…こんなんだったらトランプが続投した方がマシだったと思っている奴は米国だけでは無く世界各地に結構居そうだな
カーターの人権外交。あなたと同じことが頭をよぎった。
今のところ、バイデン政権がトランプ政権よりうまくやったこと何かある?
すくなくとも、大統領がトランプじゃないことだな
は?
そういう返しが来るということは、つまりバイデン政権がトランプ政権よりうまく出来ていることが全く無いということか
中東からすりゃ米中の争いなんざどうでもいいもんな。
商売相手として上手くやってたのに、俺の味方なんだから縁を切れと詰め寄られても、そりゃ上手くいかんわ。
理屈っぽいDV夫に嫌気が差したら、誰だって別れて新しいパートナーを探しますわ。え?そういう話じゃない?