サウジアラビアは昨年3月「韓国と7億ドルを超える武器調達契約を締結した」と報じられていたが、サウジアラビア国防省は韓国から導入した多連装ロケットシステム「天武」を公開して注目を集めている。これで天武の運用国は4ヶ国に増えた。
参考:[단독]사우디 1조원대 한화 ‘천무’ 수입 확인…파야드 총참모장 천무부대 전격 방문
韓国はサウジアラビア側の要請で受注の事実を伏せていたらしい
韓国のハンファが開発した多連装ロケットシステム「天武/Chunmoo」は米MLRSに匹敵する火力投射量(HIMARSの2倍)を備え、GMLRS弾に相当するGPS誘導の239mmロケット弾(射程80km)、ATACMSに相当するKTSSM-I(400mm弾道ミサイル/射程180km)とKTSSM-II(600mm弾道ミサイル/射程290km)が用意されており、射程拡張弾=ER GMLRS弾に相当する新型ロケット弾(射程160km~200km)の開発も進行中だ。
#فيديو_الدفاع | جانب من زيارة معالي رئيس هيئة الأركان العامة للوحدات العسكرية في المنطقة الجنوبية. pic.twitter.com/VdZyOsoKfG
— وزارة الدفاع (@modgovksa) March 31, 2023
天武のプラットホームも性能の良い油圧駆動装置とデジタル制御装置を採用しているため「高度」と「方位角」の同時駆動が可能で、MLRSと比較して射撃に要する時間は20秒、再装填時間に至っては100秒近く短縮されており、これまで韓国(2015年頃/218輌)、アラブ首長国連邦(2021年頃/12輌)、ポーランド(2023年引き渡し開始/288輌)の導入が確認されていたが、サウジアラビア国防省が韓国から導入した天武を公開して注目を集めている。
サウジアラビアは昨年3月「韓国と7億ドルを超える武器調達契約を締結した」と報じられていたが、どうやらハンファと9,880億ウォン相当の天武購入に関する契約、豊山は1,500億ウォン相当の弾薬購入に関する契約、LIG Nex1は825億ウォン相当の迎撃システムに関する契約を獲得していたものの「サウジアラビア側の要請」で受注の事実を伏せていたらしい。

出典:Hanwha
天武の調達単価は「推定30億ウォン」と予想されているので、仮に関連費用を含めた1輌あたりの取得コストが90億ウォン(調達単価の3倍)だったとしても、サウジアラビアが調達する天武の数は100輌を超えるため非常に大規模な契約だと言えるだろう。
因みに多連装ロケットシステムの海外市場における人気は米国製のHIMARS、イスラエル製のPULS、韓国製の天武に集中している格好だ。
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※アイキャッチ画像の出典:Hanwha
日本はMLRS廃止の予定だけど、ウクライナの様子見てると多連装ロケットシステムはまだまだ要るよなぁ。
相手が上陸してこない限り無用の長物なのが玉に瑕
長距離ミサイルと置き換えだからね。
運用部隊が、足りないのだろう。
置き換えた理由はクラスター爆弾禁止条約(オスロ条約)への署名ですけね
この手の兵器は面制圧効果としてクラスター弾頭が使えないと戦術価値半減なのですが
韓国は「国防上の理由」としてオスロ条約に署名していないので(なんせ人海戦術な
北朝鮮が相手ですからね)堂々と生産も配備も輸出も出来ますが、日本の場合は
オスロ条約がに署名してた事でMLRSの存在価値が薄れてしまいました。
多連装ロケットとしての性能も優れていると思いますが。
仮に、日本がGLSDB同等品を採用すれば、
かなり大きな抑止になるので有用に思えます。
日本で使うならHIMARSや天武の装輪で射程の長い兵器を運用する方が合ってると思う。四方を海に囲まれているけど上陸に適した場所なんて限られるし装輪の機動力をもって射程圏内に柔軟に移動するのがベストじゃないか。
装軌が活躍する悪路とか無理に入らずに運用出来るような射程の長いロケットが増えてきてるしあえてMLRSを使う必要があるかな。
HIMARSならC−130でも輸送可能で日本でも柔軟に移動させされそうだけど。
既存MLRSを活用するなら長射程のATCMS最新型導入したら極端に移動させなくても敵にプレッシャー掛けられるけど、ATCMSのは候補無いし、装軌並の安定性も誘導弾でカバー出来そうだし使い辛い兵器は早々に退場してもらって別の所にリソース振り分けるのも悪くは無いと思う。
HIMARSの活躍でお株が上がりましたからなあ、
タクシーを携帯のアプリで呼び出すようにGPS誘導弾を敵陣の急所に打ち込むという使い方は素晴らしい。
しかもウクライナでは本来の射程を封じられている状態だというところが恐ろしい所です。
このニュースはジェーンズも取り上げていました。配備先は国境を守る部隊の様で車体に「サウジ王立地上軍(Royal Saudi Land Forces、略称RSLF)」のマーキングがあったことから正式に配備されたものと指摘。公開されたビデオにはミサイルを格納するポッドが写っておらず、どの種類のミサイルが使用されているかは不明とのこと(製造元のハンファはATACMS相当の400mmと600mmのミサイルを提供しているがこれらが生産に入ったかどうかは不明)。
なお、このサウジ軍参謀総長のMRL部隊視察に合わせて参謀総長はイエメンのフーシとの戦いで連合を組んでいるバーレーンとアラブ首長国連邦(UAE)の職員と会っているとのこと。リンク
韓国の輸出案件が続いてますが生産ラインの確保は大丈夫なんでしょうか…
生産体制の事情が知りたいところです。