イスラエル国防軍は「ガザ地区沿いにある全ての街の支配権を取り戻し、スマート・ウォール(国境の壁)の穴も戦車によって物理的に塞いだ」と発表、さらに「48時間以内に30万人の予備役を動員を完了した」と付け加えた。
参考:IDF says it has regained control of all Gaza border towns but terrorists may remain
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イスラエル側は「何らかの脅威」に関する評価を間違えてしまった可能性がある
イスラエル国防軍のハガリ報道官は9日「ガザ地区沿いにある全ての街の支配権を取り戻し、ハマスに突破されたスマート・ウォールの穴も戦車によって物理的に塞がれ、これを攻撃ヘリや無人機で支援している。現在、どの街でも戦闘は起きていないが、まだテロリストが隠れている可能性もある」と発表した。
この話が事実なら「ハマスがガザ地区外に確保していた街や入植地を全て奪還して約40kmに及ぶ国境ゾーンを確保した」という意味になるが、ハガリ報道官はハマスが発射したロケット弾の数についても「約4,400発(7日~9日)」と明かしたため、駐米イスラエル大使がCNNに明かした「4,000発以上」という数字は正しかったことになる。
ただハマスの報道官は「全てのパレスチナ人捕虜を解放し、ヨルダン川西岸とエルサレム(アル・アクサ・モスク)におけるイスラエル側の挑発行為を終わらせるため戦いは続く」と述べており、WSJ紙も今回の攻撃について「イラン革命防衛隊の幹部と4つの過激派代表(ハマス、イスラム聖戦、ヒズボラ、パレスチナ解放戦線)はベイルートで定期的に協議を行って今回の作戦を練り上げた。10月2日の協議で革命防衛隊は作戦実施のゴーサインを出した」と報じているのが興味深い。
ハマスとヒズボラの幹部は「イスラエルに多方面から軍事的圧力を加えるのが本作戦の目的で、ネタニヤフ政権が内部分裂に隙に打撃を与えることを意図していた。他にも米国が仲介しているサウジアラビアとイスラエルの関係正常化協議を中断させる狙いもあった」と述べ、イスラエルのエルダン国連大使も8日「シリアとレバノンでイスラエルを取り囲むテロ組織の指導者が協議していたことを知っている。彼らはイランと可能な限り協調しようとしていた」と語ったため、イスラエル側も「何らかの脅威」が迫っていることを察知していたのだろう。
ただエジプト当局者はAP通信に「彼らにガザ地区の事態がまもなく爆発し『それが大きなものになる』と警告してきたが、イスラエル当局はヨルダン川西岸に注目してガザ地区の脅威を軽視していた」と述べているため、イスラエル側は「何らかの脅威」に関する評価を間違えてしまった可能性がある。
因みにイスラエル国防軍のハガリ報道官は「48時間以内に30万人の予備役を動員したが装備や食料に不足はない。これほど迅速にこれほど多くの予備役を動員したのは初めてのことだ」と述べた。
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※アイキャッチ画像の出典:Israel Defense Forces