中東アフリカ関連

サウジアラビア、英国主導のFCASプログラム=テンペスト開発に参加

サウジアラビアのハリド・ビン・サルマン国防相と英国のベン・ウォレス国防相が新たな軍事協定に署名、英国主導のFCASプログラム=テンペスト開発に参加(研究開発・共同生産)することになったと報じられている。

参考:Saudi Arabia to join UK-led FCAS program after signing new military agreement
参考:Saudi, British Defense Ministers Sign Agreement on Riyadh’s Participation in FCAS

新たな開発資金を獲得した英国のFCASプログラムは仏独西のFCASプログラムに先んじる可能性を示している

日本、英国、イタリアの3ヶ国が発表した次世代戦闘機を開発するための新たな枠組み「グローバル・コンバット・エアー・プログラム(Global Combat Air Program=GCAP)」は大きな注目を集めているが、GCAPは共通プラットフォームを開発・生産するのか、共同で技術開発を行い共通要素をもつF-Xとテンペストを別々に生産するのか当事国でさえよく分かっていない。

出典:防衛省 次期戦闘機のイメージ

日経新聞の報道ではGCAPについて「日本の次期戦闘機構想と英国とイタリアが開発に着手していたテンペスト開発計画を統合、各国の技術力を集めて共通の機体をつくり共に生産する。これを日本はF-2、英伊はタイフーンの後継機として採用する」と報じているため、GCAPは「3ヶ国が共通プラットフォームを開発・生産する国際共同開発計画」と呼べるものだが、英メディアは「テンペスト・プログラムを3ヶ国で開発するための枠組みがGCAP」という認識で、イタリア政府も3ヶ国で戦闘機を開発すると発表したもののタイフーンの後継機に採用するとは言及していない。

サウジアラビアのハリド・ビン・サルマン国防相と英国のベン・ウォレス国防相が新たな軍事協定に署名し「英国主導のFCASプログラム(研究開発・共同生産)することになった」と報じられているが、GCAPではなくFCASという語句を使用しているためディフェンスメディアは「今回の合意はGCAPにサウジアラビアを結びつけるものではないようだ。英国が取り組む次世代戦闘機のアプローチは複雑でGCAPとテンペストは本質的に区別されている」と報じている。

出典:英国防省 FCAS(テンペスト)のイメージ

つまりサウジアラビアが参加を決めた次世代戦闘機はGCAPではなく「英国主導のFCASプログラム=テンペスト」という意味で、サウジアラビア産業界が果たす役割りについては今のところ不明だが「新たな開発資金を獲得した英国のFCASプログラムは仏独西のFCASプログラムに先んじる可能性を示している」と指摘しているの興味深い。

追記:仮に英国主導のテンペストプログラムがGCAPの下位(GCAPの構成要素の研究開発や英空軍向けの次世代戦闘機を開発するプログラムという意味)に位置するものなら、英国は自国の作業・生産分をテンペストプログラム参加国=スウェーデンやサウジアラビアに分け与えることで英国が負担する(GCAPに拠出する)開発費用を削減したと考えているのかもしれない。

関連記事:日英伊が次世代戦闘機の新たな枠組、グローバル・コンバット・エアー・プログラムを発表
関連記事:日英伊は共通の戦闘機を生産するのか、共通要素をもつ戦闘機を別々に生産するのか

 

※アイキャッチ画像の出典:Ministry of Defence

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コメント

    • さめ
    • 2023年 3月 02日

    いやまったくわからん
    FCASとGCAPが区別されてるとはいえ、イギリスが複数の戦闘機を開発するというわけではないだろ
    今回のサウジ加入について、日本やイタリアにどのような説明があったのか気になるところ

    32
      • pradiaf
      • 2023年 3月 02日

      この枠組みでは次世代戦闘機が実体化できない。という事を10年程かけて検討の末、判明して終わることであろう

      13
        • 全てF-35B
        • 2023年 3月 02日

        そして、F-35Bが積み増しになって、4個護衛隊群が機動部隊になる。

        8
      • 2023年 3月 02日

      GACPは標準機の研究・製造プログラム。カスタマイズが容易になるよう各コンポーネントは高度に規格化されている。
      テンペストはGACP type英国の名称。
      今回の合意はGACP typeサウジ。
      それらを一元管理するプログラムがFACS。

      と解釈すれば割と分かりやすいかと。

      5
        • 2023年 3月 02日

        少し違うか
        今回のサウジはGCAPに将来統合するサブシステムの研究開発と解釈すべきかな

        2
      • NHG
      • 2023年 3月 02日

      順当に考えるとUAV機じゃないかな
      テンペストが当初うたってたような有人機と高度に連携もできる無人機(もち単体でも使える)
      一応、市場としてはF-16やFA-50のようなコスパ機も入れ食い状態だから小型有人機という可能性はゼロではないけど、将来性としてはUAV市場狙いだと思う

      1
    • ido
    • 2023年 3月 02日

    そもそも英国は2個の次期戦闘機プログラムを持っているということかな?どっちも生産するとなったらかなりきつそうだが。
    色々と複雑すぎて訳がわからん。

    1
      • ブルーピーコック
      • 2023年 3月 02日

      GCAP=日本・イギリス・イタリアによる戦闘機開発。ただしイタリアが採用するかは不明

      テンペスト=GCAPに関わる電子機器など先進航空システムの開発。高額な資金は折半

      自分はこう解釈してます。間違っていたらごめんなさい。
      少なくともスウェーデンというかサーブはテンペストで得られた技術で新しい戦闘機を開発するつもりなので、テンペストは成功したら相応の見返りがあるのではないかと。成功したらですけど

      8
    • かず
    • 2023年 3月 02日

    順調に共同開発・生産の罠に飛び込みつつあるような
    共同開発を立ち上げる、進行がグダグダになる、離脱して単独or一部国での開発に変わるはドイツのお家芸でしたが
    日本はどうなるんでしょうかねえ

    9
      • kitty
      • 2023年 3月 02日

      >離脱して単独or一部国での開発に変わる

      離脱はしないまでも日本は黙々と自国分だけ完成させそう。

      19
        • 58式素人
        • 2023年 3月 02日

        最悪の場合でも、自国の必要分は完成/採用して欲しいですね。

        2
          • ido
          • 2023年 3月 02日

          というか完成させないといけないと思います。F3がなければ日本は守れないとも。F35追加購入でどうこうできる話ではないでしょうし。

          13
      • ネコ歩き
      • 2023年 3月 02日

      GCAPはそうならないよう2023年度中に三国間で作業分担等の細部を詰めるんでしょ。後で不満が噴出しないよう、事前に権利や負担配分を調整して事業契約等に反映させるのは大事です。
      日英間では、両国の次期戦闘機への要求仕様がかなり近いことが共同開発合意に至った理由として挙げられてますし、事前に時間をかけ協議を重ねた結果ですから私はあまり心配していません。もしかするとイタリアとの調整は難航するかもですが。

      英政府のプレス向け公表では、KSA政府と合意に至ったFCASはGCAPとは異なると強調してますので「?」がいくつか出てきます。判断や懸念は今後の情報を待ったほうが良いのかと。

      4
    • 2023年 3月 02日

    随伴機、兵装、ウェポンベイ規格、アビオニクスは共同開発で。
    親機、エンジンは英Verと日Verを開発で。
    ってな感じでさっさと進めてほしい。
    時間だけダラダラ流れてる気がする。

    4
      • ブルーピーコック
      • 2023年 3月 02日

      JBPressの記述ですが2022年12月9日の発表では2024年から着手し、2035年の運用開始を目指して

      ・機体:三菱重工業(日本)、BAEシステムズ(イギリス)、レオナルド(イタリア)
      ・エンジン:IHI(日本)、ロールス・ロイス(イギリス)、アヴィオ(イタリア)
      ・電子機器:三菱電機(日本)、レオナルドUK(イギリス)、レオナルド(イタリア)

      で進めるそうです。
      また同日に発表された「防衛省と米国防省による共同発表」の中で、日本と米国は、次期戦闘機とともに運用する無人機開発などで連携していくとのこと。

      3
        • 成層圏
        • 2023年 3月 02日

        レオナルド、多いなぁ。揉めないのかな?

        2
          • ブルーピーコック
          • 2023年 3月 02日

          懸念はFCASで早速揉めているワークシェアですかね。胴体はどこで作るとか、羽根はうちで、とか。パトリアのポーランド版のロマソクみたく、自国生産OKで輸出は自己責任・・・とかなら揉めずに済むんですが。
          レオナルドはヘリや艦載砲などで、自衛隊を始めとした日本との長年の繋がりはあるので、知らない企業と組むよりは良いかなと。

          1
        • ホテルラウンジ
        • 2023年 3月 02日

        これ機体デザインおよび、機体とエンジンと電子機器を繋ぐインターフェイスだけを統一して
        後の中身は各社自由に作る、にした方が良いですね。
        共同開発の利点はお互いに融通し合える柔軟性が持てるという所で
        逆に欠点は船頭多くして船山に上るで折衷案の連発やスケジュール遅れと、あとは技術開示範囲で誰かが開示損になり、誰かが開示した以上に他国の最新技術をゲット出来て得という不平等が発生する事ですね。
        だから機体デザインとインターフェイスだけを統一して、あとは各社がコンポーネントの中に関しては技術開示せずに最高性能のものを作るという感じにしておけば、各社も開示しなくていいインセンティブがつく一方で
        共同開発の利点である融通性もある程度維持(自作PCのようにコンポーネントの組み合わせで相性の問題は出ると思いますが)できると思います。

        3
      • HY
      • 2023年 3月 02日

       まずイギリスの実証機が飛ばないことには何も始まらないんだよ。

    • ブルーピーコック
    • 2023年 3月 02日

    テンペストの進捗次第で中国のFC-31の現地生産の提案を受け入れるんだろうが、金に物を言わせて平行して進めるのも出来そうなのがなあ。

    • 霞ヶ浦
    • 2023年 3月 02日

    日本の想定戦場的に思ってた以上にステルス性能が必要になってきてるからそこら辺ちょっと心配ではある

    1
    • ハナー
    • 2023年 3月 02日

    共同開発で思い出したけどJNAAMはどうなってるだろう?今年で試作完了だっけ?

    1
    • 匿名
    • 2023年 3月 02日

    来年度(23年度)の試射
    インテグレート予定がf35
    2027-2028年頃の予定だけどブロック4で遅延ぎみだったはず
    完成しても装備化は数年待ちです

    1
      • ハナー
      • 2023年 3月 02日

      情報ありがとうございます。まだまだ先か。

    • Natto
    • 2023年 3月 02日

    シンプルで軽量、頑丈で大出力エンジンを積んだ機体を造って、後は各国の好きなように改良という訳にいかないんだろうな。

    2
    • 匿名
    • 2023年 3月 04日

    英は独仏や米に比べてイスラモフォビアが弱そうな感じですね。
    将来、イスラム文化に浸食される可能性が浮上しそうです。

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