イスラエルのThe Times of Israel紙は8日、ハマスの奇襲攻撃について「敵はガザ国境から24kmも離れた22の街や集落に押し寄せ、国防軍が到着するまで何時間も徘徊して民間人を殺害し続けた」と報じており、この攻撃による死傷者数は1,800人を越えた。
参考:Massive IDF call-up as gunfights continue in towns; 250 Israelis dead, rockets persist
参考:Israel at war: 300 killed in Hamas assault, hostages taken to Gaza, rockets on Tel Aviv
このような惨劇を引き起こした政府や軍の失敗についてイスラエル国民は説明を要求している
イスラエル人ジャーナリストは「我々にとってハマスによる前例のない奇襲攻撃は9.11に匹敵する」と表現し、現地の医療関係者も「これまでに250人以上の死亡が確認され、負傷した1,590人が治療を受けている」と明かしたが、The Times of Israel紙は今回の攻撃の全容について「敵はガザ国境から24kmも離れた22の街や集落に押し寄せ、国防軍が現地に到着するまで何時間も徘徊して民間人を殺害し続けた。日が暮れても国防軍は敵の鎮圧に苦戦しており、民間人を人質にとった敵と睨み合いになるケースもある」と報じている。
ネタニヤフ首相は7日夜の国民向け演説の中で「ハマスは我々全員を殺そうとしており、高齢者、子供、若い女性を誘拐する敵だ」「祭りを楽しもうしていた我々の市民や子供を虐殺する敵だ(ハマスがキブツ・レム近郊で行われた大規模な野外パーティーを襲撃し数十人を殺害したと報じられている件のこと)」「ガザ地区の住民は今直ぐ出ていけ」と述べたが、The Times of Israel紙は「国民は混乱と苦難の光景が何時間も続き、事態の収集がつかず長期化する様子に衝撃と憤りを感じ、このような惨劇を引き起こした政府や軍の失敗について説明を要求している」と指摘。
ハマス側も「今回の作戦はイスラエルの意表をつくため用意周到に準備された」「今回の戦いは過去のどの戦いとも異なる」「我々の作戦は初期段階に過ぎず攻撃は始まったばかりだ」「イスラエルは占領地から出ていくべきだ」と述べているため、今回の戦いは相当長引くかもしれない。
因みにイスラエル国防軍のナハル旅団(歩兵旅団)の司令官がハマスの攻撃で死亡、ハマスに襲撃されニムロッド・アローニ少将も捕虜になった可能性が高い。
追記:イスラエル国防軍の反撃で自治区外のハマスは押し戻されつつあり、現地の医療関係者は「今回の攻撃で300人以上の死亡が確認された」と明かした。
追記:イスラエルはハマスのテロ攻撃に慣れているものの「7日の攻撃」は予兆や警告がないまま始まったため、イスラエルメディアを含む多くの海外メディアは「なぜ世界有数の軍事力と一流の情報機関をもつイスラエルがハマスの奇襲を許してしまった」と首を傾げており、CNNの取材に応じたイスラエル国防軍のジョナサン・コンリクス元報道官も「これはシステム全体の失敗を示しており、イスラエルにとってのパールハーバーだ」と述べた。
イスラエル国防軍のヘクト報道官は「インテリジェンスの失敗」を追求する記者の質問に沈黙を貫いているものの、CNNの取材には「目の前の戦いと市民の保護に集中してるため(インテリジェンス面で)何が起きたのかは後で話すことになる」と述べているため、情報面で何らかの問題があったと認識しているのだろう。
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