米国のバイデン政権は23日、トランプ大統領が問題化するのを避けていたエジプトの人権問題やSu-35導入について懸念を表明して注目を集めている。
参考:U.S. “Concerned” Over Egypt’s Procurement of Su-35 Jets
ブリンケン国務長官「エジプトがロシアから調達中のSu-35導入についても注意深く見守っている」
エジプトのシシ大統領は自身の出身母体であるムスリム同胞団をテロ組織とみなして徹底的な弾圧を加えており、ジャーナリストも同組織を少しでも擁護=つまり政権に批判的な内容の記事を書けばテロ容疑関連で実刑(中東メディアのアルジャジーラで働いていたオーストラリア人記者は400日近く拘束された後に解放された)を課すなど「報道の自由を守る」という原則すら無視されており、欧米諸国や人権団体から強く批判されている。
勿論、当時のオバマ政権もエジプトの人権問題を非難していたがテロ組織「イスラム国」との戦い優先するため凍結していたエジプトへの武器販売や軍事援助を再開、その後を引き継いだトランプ政権もエジプトとの2ヶ国間関係を優先するため人権問題やSu-35導入問題に目を瞑っていたのだがバイデン政権のブリンケン国務長官は23日、エジプトのシュクリ外相との電話会談で人権問題は今後の2ヶ国間関係の中心議題になると語り「エジプトがロシアから調達中のSu-35導入についても注意深く見守っている」と伝えたらしい。
エジプトの人権問題については本ブログの守備範囲外なので置いておくとしてもブリンケン国務長官が言及したエジプトの「Su-35導入問題」は2019年にロシアからSu-35を24機購入する契約を結んだことを指しておりトランプ政権は過去「敵対者に対する制裁措置法(CAATSA)」の発動対象になると警告をしたが具体的な制裁発動は行っておらず、エジプトも米国の警告を無視してエジプト人パイロットをロシアに派遣するなどSu-35導入に向けて着々準備を進めている。
すでにエジプト空軍向けのSu-35は何機か完成済み(推定5機)で、もう間もなく訓練を受けているエジプト人パイロットと共にエジプトへ持ち込まれる予定だ。
要するにブリンケン国務長官は「Su-35導入についても注意深く見守っている=エジプトがSu-35を持ち込めばCAATSAに基づく制裁を発動する」と脅しているという意味なのだが、エジプトは2012年にシナイ半島の過激派に対する軍事作戦実施に関連して米国から制裁(軍事援助の凍結及び発注済みのF-16やAH-64Dの引き渡しを拒否)を受けて武器調達先(欧州やロシアなどに分散)の多様化が進んでいるためエジプト軍の米国製兵器への依存率は下がっている。
そのためCAATSAに基づく制裁を受けてもエジプトの安全保障に与えるダメージは限られており、同国の人権問題とあわせると米国との2ヶ国間関係は極端に悪化する可能性が高い。
米国の同盟国でもなくNATO加盟国でもないエジプトのSu-35導入ぐらい目を瞑った方が良いのではないかという意見もあるかもしれないが、すでに米国はCAATSAに基づく制裁をチラつかせてインドネシアにSu-35導入を諦めさせているのでエジプトだけ特別扱いすればCAATSA適用の整合性が取れなくなるため強行するしかないのだろう。
果たしてエジプトはバイデン政権の方針転換にどのような反応を示すのか注目されるところだ。
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※アイキャッチ画像の出典:public domain Su-35
スエズ運河の無害通航やイスラエルと周辺諸国の対立回避という観点で考慮すればロシアの戦闘機の受け取りを黙認し米国製武器の引渡しを拒否して両国の顔を立てた状態で今までの関係を維持するのではないでしょうか。
そういう大人の判断が出来ればいいのですが。
トランプ政権が退いたことで、中東・アフリカの勢力バランスがまた変わり始めた?
米国が一方的に影響力を失う方向にね
日本と中東の関係も悪化せざるを得ないので厳しいね。
バイデン政権は日本の国益に反する。
せっかく日本語で記事を書いてくれてるのだからちゃんと読みましょう。トランプ政権の頃から進んでる話です。
オバマ時代には「凍結」、トランプ時代は「目を瞑って」きた話を
バイデン政権で「中心議題」に持ち上げた、と書いてありますが?
多分、トランプ政権時でもSu35がエジプトに持ち込まれていたら制裁発動に動いていたと思うよ。
CAATSAの発動タイミングは契約や導入への動きではなく該当兵器が持ち込まれた後だから。
だからなんですか?バイデン政権でアメリカ政府の牽制が強まったのであってバイデン政権のせいで各国がロシア製兵器の導入を始めたわけじゃないですよね?そもそもインドネシアに断念させたのはトランプ政権時代でSu-35導入を妨害する方針は元からです。あとオバマ政権が「凍結」(解除)というのは自国兵器の輸出ですよ?エジプトのSu-35導入の話なんて始まってもいません。さらに「中心議題」というのは人権問題です。
内政における言論弾圧と、ロシア戦闘機を関連づけて制裁する無理話
たしかクーデターのときには米国製の戦闘車両が出動してましたが、そっちは制裁の対象にならんのかねw
トランプの一国主義から国際協調に転じると言っておいて、敵国を増やすようなことするなよな。
西側の協調体制からしたら悪法でしかない・・・
その辺りが根底にある。エジプトはアラブであって西側の自覚なんかないから、噛み合わない議論になってしまう
そもそも西側って何だろう
敵の陣営潰すつもりでトータルで見ると敵増やすスタイル。
バイデン政権のほうがアメリカファーストゴリ押しじゃねーか
スホーイ使ってる国なんていくらでもあるのに新しいスホーイ買ったら片っ端から制裁していくつもりかよ
バイデン政権は協調路線よりになるかと思ってたので、正直意外です。
見方が甘かったと評すべきかもしれませんが。
「アメリカファースト」ではないんですよ、国益に反しているので。
バイデン政権はイデオロギーに忠実ということです。
>スホーイ買ったら片っ端から制裁していくつもりかよ
制裁するつもりなんじゃない?
「西側諸国の兵器を買うか、自国で開発しなさい」って踏み絵みたいな法律ですし。
トランプ大統領の時に成立した法律ですけど、民主党はロシアに厳しいので、見直すつもりはないみたいですね。
もっとも、アメリカの影響力が低下しているのか、各国は気にせずにロシア兵器を購入しようとしていますけど。
スホイもそうだが、S-400みたいな迎撃システムもダメって考えが分からん。
トルコ・アゼルバイジャンには効かなかったとは言われるが、何処も迎撃システムは欲しいはずなのに。
ついでにロシアに情報抜き取られるのかね?
マジでCAATSAに関しては中身を見直した方が良いと思う
北風と太陽かな
ISシナイ州もまだ元気なのにこれはあかんでしょ…
というか人権問題ならまずアフリカを解決してくれバイデン。
あそこのほうが人権蹂躙進んでるぞ。
金にならない人権蹂躙は人権問題じゃないのです@米民主党
その内新興国からドルも見放されるんやろうか?
制裁する制裁すると騒ぎ、最後は一番忠実な日本を叩く
民主党は数十年コレでやってきた
今度はどうかな
文句があるならアメリカさんが代わりになるものを売ればいいんじゃないですかね
インドの情報ではF-15EXよりもSU-35の方が高性能で、S-400の代わりになる防空システムはアメリカには存在せずなので、難しくないですかね?大統領がどうのというよりもアメリカ議会の横暴が原因なのと、アメリカ自体が冷戦終結後に兵器更新を止めてしまった事による問題を他国に押し付けるのは止めてもらいたいです。アメリカは景気対策も兼ねて
兵器一気に更新して仲間にも安価に販売する様にしてもらえないとこまりますよね。
F-15EXに関するインドへのマーケティングライセンスは先月末に認可されたばかり、ようやくボーイング関係者がインド空軍にF-15EXの性能について説明できるようになったばかりだけど、もうSu-35との比較が出てくるのって早すぎない?
特別条件出してもいいのよ?位に捉えておくと良いですよ。
傲慢なアメリカ人って良く映画で言うけど…
AEW並みのレーダーに高い攻撃力 機動力
こんなのが本土から200km程度の島にスタンバっている
南ばかり目がいくが千歳や三沢も温くないわな
ぶっちゃけCAATSA匂わせるなら自国でSu-35並の性能で即デリバリー出来る機体ぐらい用意しろと思うわ。そう考えると新型4.5世代機作って余力のある国内メーカーに作らせるとかすべきじゃないかねぇ。
出力的に無理をしない双発、AESAレーダー、IRST内蔵、RCSは4.5世代機中最低クラス、スーパークルーズ可能、最高速度マッハ2.3以上、搭載10t以上、推力偏向ノズル付きで短納期ならSu-35の2割高くらい高くても買ってくれるんじゃないかな。そう考えると電子戦装備は別にして、Su-35並の性能を持つ双発機体ですぐに輸出出来る機体がアメリカに無いってのは異常よね。