グスタボ・ペトロ大統領は22日「行き詰まっていたクフィル後継機調達計画を進める」と発表、フランスが提案したラファールが最も条件(特に支払い条件)がよいと明かして注目を集めている。
参考:Colombia begins negotiations to buy 16 Rafale fighter jets
空軍が希望するF-16Vには米国による制限が懸念事項として浮上、グリペンEは支払い条件が最も厳しい
コロンビア政府は緊張感が高まる隣国ベネズエラとの関係を懸念して空軍の近代化=イスラエルから導入した戦闘機「クフィルC10/C12」の後継機選定に取り組んでおり、この戦闘機需要に名乗りを挙げたのはロッキード・マーティン、エアバス、サーブ、イスラエル航空宇宙産業の4社だ。
ロッキード・マーティンはF-16シリーズの最新バージョンF-16Vを提案、エアバス(窓口はスペイン)はタイフーン・トランシェ3を提案したが後にトランシェ1のリースに提案内容を変更、サーブはグリペンの発展型でブラジルへの輸出に成功したグリペンEを提案、イスラエル航空宇宙産業はコロンビア空軍が運用中のクフィルが搭載するエンジンJ-79をF-414に換装してアップグレードする案を売り込んだと言われており、この中でもっと費用が安価だったのはクフィルのアップグレード案だっと報じられている。
ただコロンビア政府や空軍は対米関係を重視してロッキード・マーティン側と水面下でF-16V導入に関する交渉が行なわれ14機導入の線で話が進んでいたのだが、新しく財務相に就任したマヌエル氏が「コロンビア政府は新型戦闘機導入計画に資金を絶対に供給しない」と発表して突然F-16V導入計画が宙に浮いてしまった。
なぜこんなことになってしまったのかと言うと慢性的な財政赤字に苦しむコロンビア政府は新型コロナウイルスの影響で低迷する経済状況のなか実質的な増税と映る税制改革を推進、これに多数の国民が反対して大規模な抗議活動や一部の参加者が暴徒化して警察と衝突するなどドゥケ政権は極めて苦しい立場に立たされたため税制改革案を撤回、この責任を取る形でカラスキジャ財務相は辞任してしまう。
しかし国民の怒りは収まらずドゥケ大統領の辞任を要求する事態に発展してしまい、マヌエル財務相は以前から不要な出費だと批判を集めていた「クフィル後継機調達計画」を凍結することで国民を宥めようとしたのだが、今月22日にグスタボ・ペトロ大統領が「クフィル後継機調達計画を進める」と明かして注目を集めている。
El proceso de renovación de la flota de superioridad aérea es un asunto de soberanía nacional, lucha contra el crimen organizado e interdicción aérea. ¡Ojo, infórmate bien y no caigas en noticias falsas!👀
🧵 (1/11) pic.twitter.com/SMm2A9Zxbe
— Presidencia Colombia 🇨🇴 (@infopresidencia) December 22, 2022
ペトロ大統領の説明を要約すると現在検討されているオファーはF-16V、グリペンE、ラファールの3つで、空軍が希望するF-16Vには米国による制限(詳しい内容は不明だが同機が使用するミサイル入手に関するものらしい)が懸念事項として浮上、最も安価な選択肢であるグリペンEは他の候補よりも性能が劣るという点と支払い条件(猶予期間と支払い期間がタイト)が最も厳しく、新たに提案されたフランスのラファールが最も条件的に有利らしい。
フランスは融資する資金の返済条件として「20年間の分割+支払い開始まで5年の猶予期間付き」を提案しており、ペトロ大統領は「ラファールの飛行コストは老朽化の影響で運用・維持にコストがかかるクフィルよりも30%も少なく、フランス案は価格、効率、操作性の面で最も優れたオファーの1つだ」と言及しているものの「まだ署名された契約はない=交渉中」と付け加え、導入した税制改革=増税分を戦闘機導入には使わないと強調している。
因みにクフィル後継機調達計画と同時並行で進めている次期練習機は韓国のT-50の派生型(TA-50とFA-50)とイタリアのM-346FAの間で争われていたが、コロンビ空軍の関係者は「次期練習機に韓国製ジェット練習機のT-50の派生型を選択した」と米DefenseNewsに明かしている。
関連記事:F-16V導入が挫折したコロンビア空軍、クフィルC10/C12運用を当面継続か
関連記事:コロンビ空軍、次期ジェット練習機に韓国製のFA-50を選択か
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Staff Sgt. Alexander Cook
金がないなら、クフィルの近代化改修かFA-50 Block20で良いんじゃないかな。
政治的に問題なら、修理費扱いでクフィルの近代化改修で誤魔化すのが最良だと思うが。
コロンビアが仮想敵としているベネズエラ空軍はSu-30MK2Vを24機保有している為、クフィルの近代化改修やFA-50 Block20程度では対抗し難いと思われたのかも知れませんね
実際、グリペンEでも性能不足と見做されている訳ですし
尚、コロンビア空軍が保有するクフィルの数は各型合計15機程度なので、コロンビア空軍的には可能な限り高性能な戦闘機が欲しいのだと思います
ラファールは3機種の中で一番金がかかりそうですが、仮想敵を考えると選択肢に入れざるを得ないのですね。
コロンビアに限った話ではありませんが、
高い機種を導入して低い稼働率を隠し、相手を牽制するか、
実戦での性能不足の不安を残しながらも安い機種で高い稼働率を維持するか、どっちがマシでしょうね?
我が国にも刺さるお言葉ですね
ところで高性能のフリで周囲を牽制しつつ低い稼働率を隠し、特殊軍事作戦中の大国()
KF-21ならSu-30に対抗できると思うのですが、国際市場に出てくるのはまだ早いのでしょうか
KF-21は現状試作機が飛んだ程度のステータスなので市場へ本格的に出てくるには時期尚早。
空対地攻撃対応のBlockIIは2028年度開発完了予定で、共同開発前提のインドネシアなら兎も角今回のように置き換えが切迫した状況で円熟期のF-16V・グリペンE・ラファールの対抗馬にはなりえないでしょう。
別に腐す訳じゃないけど、KF-21にそこまでの性能が出てくるかは疑問かな。
RCSとかも計測値ではないでしょうに。
それならアビオとミサイル運用がアプデされたFA-50かな。
何つったって安いし、設計元も確か。
エンジンも単発だけど、同じやつだからトラブった時はどうせ飛行停止だし。
フランスの提案をどの程度信用して良いものか
他の話を聞いていれば、後だしジャンケンで上乗せしてくる可能性を疑いますよ
コロンビアにとって一番魅力的ななはすぐに金を払わなくてよいことでしょ
性能とか二の次なのかも
兎に角金が無い
もうFA-50blockII(ポーランド仕様)で良いんじゃないか
レーダーがF-16VのAPG-83に匹敵すると喧伝されているレイセオン製の新型、ファントムAESAレーダー
統合される空対空ミサイルはAIM-120C-7にAIM-9X
運用コストはF-16の半分
もうこれで十分だろ
コロンビア・ベネズエラ国境のガソリン密輸業者のドキュメンタリーを見ましたが、アメリカの過干渉による内戦でボロボロになったコロンビアの人々は違法と知りながら50キロもあるガソリン入りビニール袋(缶は高くて買えない)を同じくアメリカの制裁でめちゃくちゃになった産油国ベネズエラから担いで運び入れていました。中南米の国々はヤンキーに酷い目にあわされすぎて中身がヤンキー製の兵器はいくら高性能でも使いたくない気持ちがあるのは無理もないと思いました。
先進国の情報は見つけやすいのですが、途上国の情報は中々見つからないので、今回のような記事は嬉しいです。
念のため書きますが、管理者さんへの要望の意図はありません。
ここらへん、ミラージュ5やクフィル、ネシェル、チーターが入り混じってて本当に面白いんだよな
ベネズエラとの経済緊密化を話し合いながらも殴る準備は怠らない。これぞ国際政治よな。ただベネズエラはバイデンが制裁緩和しちゃったからなあ。
「空軍が希望するF-16Vには米国による制限」というのもひょっとしてクフィール用に導入しているイスラエル製の兵器が運用できないとか?
それはともかく米国製兵器、特に航空機とかは実戦での運用上の制約を課せられてる事が多いですからラファールの採用は良いのですが、以前ミラージュ5を運用していたとはいえ、フランス製の運用インフラ整備にそれなりの金額がかかりますのでどう決断するのか楽しみですね。
クフィールもフランス系だし。
意外と互換性はありそう