露国営メディアのRIAノーボスチは19日、ドネツク人民共和国のデニス･シネンコフ少将を殺害する爆破テロに関与した「ウクライナ人工作員」を拘束したと報じている。

参考：Задержанный украинский агент раскрыл планы Киева по захвату Донбасса

ドネツク側の自作自演が濃厚な爆破テロに関与したウクライナ人工作員が早くも登場、しかも拘束して間もないのによく喋る

ドネツクの国家安全保障省に拘束されたウクライナ人工作員は「殺害計画のターゲットだった少将の動きを本国の諜報機関に報告していた」とRIAは説明しており、他にもドネツクのインフラを破壊するテロ攻撃実行のため協力者を募る任務を行っていたことやウクライナ軍によるドンバス地域の強制解放計画、武器や爆発物をドンバス地域に輸送する計画などについて言及し「まもなくウクライナ軍による大規模な砲撃が始まるので、リスクの高い高層ビルには近寄らいない方がいい」と語ったらしい。

I kid you not. Not only did the separatists prerecord the evacuation videos, but they also didn’t want to blow up the DNR militia head’s expensive UAZ Patriot so badly, they put its number plates on a different old UAZ worth a thousand bucks. Spotted by @djxtrees pic.twitter.com/7fEHEWDPXA

— Tadeusz Giczan (@TadeuszGiczan) February 19, 2022

ドネツク人民共和国のデニス･シネンコフ少将殺害を狙った爆破テロについて同国の報道官は「ドネツク軍のデニス･シネンコフ少将が所有する車が政府庁舎近くで爆破された。幸い少将に怪我はないが爆破事件は攻撃を準備しているサインで破壊活動の一環だ」と明かして遠回しに「ウクライナ軍が侵攻前にドネツク軍を弱体化させるため指揮官の殺害を狙った」と訴えていたが、爆破された車輌が少将の高価な愛車（UAZ社製パトリオット）ではなく、UAZ社製の古いハンターに少将のナンバープレートを付け替えたものであったためドネツク側の自作自演で疑われている。

ただ17日に拘束→18日に爆破テロ発生→19日に自称ウクライナ人工作員をチャンネル1のカメラの前に登場させ「ウクライナが事件に関与してましたドネツクやルガンスクを武力で解放するため行動を起こします」とべらべらと喋らせるのだから事前にシナリオが用意されていた可能性が高く、ドネツクもロシアも事件の整合性に不備があっても「少将の殺害を目的にした爆破テロはウクライナが関与している」とゴリ押しする気なのだろう。

さらにウクライナ国境からロシア領ロストフ州に約1km入った地点で砲撃痕が見つかり、追加で2発分の弾薬の残骸も確認されためロシア側は関係当局に調査を命じたと報じているため、こちらも明日には大々的に「ウクライナ軍がロストフ州に避難する親ロシア勢力の住民を狙って発砲したものだ」と発表するのではないだろうか？

確かにロシアが仕組んだ可能性の高い偽爆破テロや偽攻撃は幾つも不審な点が見受けられるが、結局これを誰かが裁定するわけではないので戦争の口実作りはこれ位で十分なのかもしれない。

因みに上記の図が自称ウクライナ人工作員が明かしたウクライナ軍のドンバス侵攻計画らしい。

関連記事：ドネツク軍の少将殺害を狙った爆破テロはフェイク？ 指揮官の愛車は別の車
関連記事：米国の予想通り、ドネツク軍の指揮官殺害を狙った爆破テロ攻撃が発生

※アイキャッチ画像の出典：Россия 1