ムィコラーイウ州知事のキム氏は9日「高価な巡航ミサイルの不足を補うためロシア軍はS-300の迎撃弾を対地攻撃に使用している」と明かし注目を集めている。
参考:Russia Now Firing S-300 Surface-To-Air Missiles At Land Targets In Ukraine
S-300を対地攻撃に使用する方が合理的なのか、巡航ミサイルの不足を補うため渋々S-300を対地攻撃に使用しているのかは謎
あまり知られていないがロシアが開発された防空システム「S-300」には地上目標を攻撃する機能が組み込まれており、2011年にベラルーシ軍はS-300PSの迎撃弾(5V55R)使用して地上目標の破壊に成功したと現地メディアが報じている。
空中目標と交戦する5V55Rの最大射程は90kmだが、地上目標と交戦する5V55Rは弾道ミサイルのように放物線を描きながら目標に接近するため120km先の目標を攻撃することができ、慣性・指令+アクティブ方式の誘導で大型目標に対する命中率は良好らしい。
しかしS-300の対地攻撃訓練は5V55Rが高価だったためロシア軍でも滅多に行われることがなかったが、米ディフェンス・メディアは「S-400への更新が始まるとS-300を使用した対地攻撃訓練が行われるようになった。冷戦時代と比較してロシア軍は地対地ミサイルの在庫が減少しているため対地攻撃にS-300を転用しているのだろう。ただ高価な巡航ミサイルの不足を補うためだけにS-300を対地攻撃に使用している訳ではない」と指摘している。
仮にS-300が配備された地域で砲兵部隊の射程圏外に存在する目標を攻撃する際、航空機や艦艇に搭載された巡航ミサイルや移動式プラットホームのイスカンダルMによる攻撃を要請するより、そのままS-300で地上目標を攻撃した方が合理的で、特に何十年も保管されてきた5V55Rを空中目標との交戦に使用するより、静止した地上目標との交戦に使用したほうがリスクが低い=作動不良でも困らないという意味だ。
まぁS-300を対地攻撃に使用する方が合理的なのか、巡航ミサイルの不足を補うため渋々S-300を対地攻撃に使用しているのかは謎だが、地上目標を遠距離から攻撃できるミサイルや弾道ミサイルの備蓄量が注目を集めているので今後各国は競うように同種の兵器備蓄に動くだろう。
※アイキャッチ画像の出典:Vitaly V. Kuzmin/CC BY-SA 4.0
ロシアはすでに退役しているはずのトーチカUを使い、(鉄道インフラを狙って)ショッピングモールを破壊した後、「我々はトーチカUを使っていない。やったのはウクライナだ」と言いながら、SNSにトーチカUを使った宣伝動画を誤爆して慌てて削除してるみたいだし、ミサイルの在庫が無くなってきているのは確かだろう。
ともあれ、巡航ミサイルがあったとしても、手元に使えるものは使うのでは?
多目的に使うことを予定してた?
こんなに逼迫することは予定してなかったろうけどね。
防空網が少しでも薄くなるのは良いことだ。
5V55Rって、S300が扱える弾種の中でも、一番古くて性能低い奴なので、在庫処分という意味ではロシア風合理的な使い方なのではないかと。
命中率を気にしないならロケット弾を使えばいいので、ミサイルを使うということは明確に命中させたい攻撃目標があると考えられます
それにも関わらず大昔に製造された低性能の骨とう品を使うということは、それより性能の良い対地ミサイルが(ロシア全体でか極地のみかは不明ながら)不足していることに他ならず、合理性というよりはやむを得ずと考えるのが自然かと思われます
対地ミサイルではなく、対艦ミサイルばかり飛んできているらしいから、ミサイルが不足しているっていうのは本当っぽいですけどね
これはおそらくすでにウクライナ空軍の戦力が壊滅しかかっているために、ロシア軍の地対空誘導弾がたくさん余っているのではなかろうか?
ウクライナ空軍はMiG-29が足りないということで、東欧各国にMiG-29の供与を求めていて、いろいろあった挙句にスロバキアなどが供与することになったが、届くのは9月以降と言われ、今のウクライナ空軍にどれくらいの戦闘機やSu-25のようなのが残っているかはよくわからないが、とにかくロシア空軍の戦闘機よりは圧倒的に少ないと想像できる。
一方で、ロシアの地対空誘導弾工場は生産を続けているだろうから、ウクライナ空軍機が減るにつれて、ロシア軍の地対空誘導弾はどんどん余っていくだろう。
もともと5V55Rは、地対地攻撃に使えるようにも設計されているわけで、ウクライナ空軍機が減って、やることがなくてヒマを持て余している高射砲隊に、あまった地対空誘導弾による地対地攻撃が命令されているのではないだろうか?
涙拭けよ
そうですね。
ところでロシアって、半導体ファウンドリってありましたっけ?
90nmクラスの半導体工場ならあるよ
昔は台湾からの委託生産も引き受けてた
高性能なやつは無理だが耐久性重視の軍用なら十分作れる
探したら見つかりました、ありがとうございます。
ただ↓を読んで、別の方向でロシア厳しいなと思いました。
リンク
ウクライナ軍壊滅した、ウクライナ空軍壊滅したってもうええて
ヘルソン方面ではウクライナ空軍活動してるし
ロシア軍が東部に装備集めすぎてギャップも相当出てるだろ
暇を持て余しているなら、地上用のミサイルを撃ち込めばいいだけの話です。
ロシアの工場では貴重な半導体を使って、用途のない対空ミサイルを作り続けてないで、巡航ミサイルを作るべきでしょう。
対空ミサイルを撃つという事は、その分、防空網が薄くなるわけで、ウクライナ空軍がゼロになったわけでもないのに対空ミサイルを浪費するのは合理的ではありません。
対空ミサイルより対地ミサイルの方が安価だと思うので経済的では無いだろうが、ない袖は振れないので渋々使ってるとしか思えん
けども対空対地両用だと二種類のミサイルを配備する必要がないのである意味合理的とも言えるし現に今活用してる
今は資本主義の世の中なので効率性とか費用対効果を優先するきらいがあるが、戦争の場合どんなに効率が良かろうが負ければオジャンなので平時の経済優先の考えとは違う思考が求められるのかなと思う
賞味期限切れのミサイルだからでは?
そんなもの撃っても当たらないかもしれんが。
ギリシャが持っているS-300はトルコに対しての嫌がらせに使えるのですね・・・
ウクライナの航空戦力が壊滅してて手持ち無沙汰なんでしょうね
あなたも懲りないねえ。
S300は100kg超の重量級の弾頭を備えてるので
地上目標に使用した場合でも十分有効
ただ知事の発言だけで映像や写真のソースが出てくるまでは留保すべきじゃないかね
ウクライナ側の当局者の発言は無批判に事実として扱うのはどうかな
軍人や中央政府の人間ですらなく、州知事の発言だもんなぁ。しかも過激な発言やプロパガンダを発信しまくってるキム州知事だし、士気高揚のためにそれっぽいこと言ってるだけの可能性も否定できない
たしかに、軍人ではない知事の発言をうのみにするわけにはいかないです。
ですが、他の方のコメントにあるように、対空ミサイルは巡航ミサイルとは明らかに違う挙動を見せるので「撃たれた側」には「これは巡航ミサイルではなく対空ミサイルだ」と判断できる根拠はあります。
被害を受けたウクライナ市民からの報告も上がってきているでしょうから、そこまで的外れな主張とは言えないと思います。
プー○ンの玉無しやろうw
それにしてもどのミサイルも対空ミサイルは弾頭は異様にデカいが何故なんだろうか。戦車が5㎏で吹き飛ぶのだからダウンサイジングくらいできそうなものだと思うが。
まずVT信管でググろうか
そもそも前提から間違ってる。自己鍛造弾や成形炸薬じゃない限り、ただの爆薬で戦車を破壊するのは相当困難。
ティーガーですら250kg爆弾(炸薬150kg程度)の5mほどの至近弾でほぼ損傷無しと報告がある。
真下で爆発(爆風の逃げ場がない)でもさせない限り戦車は吹っ飛ばないし、5kg程度なら真下でも履帯転輪がダメになる程度かと
対空ミサイルは直撃させることが難しく、まして比較的近距離の空対空でなく、高度も距離も離れている地上から航空機に対しては近くに飛ばすことさえさらに難しいです
そのため地対空ミサイルは大量の子弾(鋼鉄のブロック片)を弾頭部に抱え込み、一定距離まで近づくとクレイモアのように炸薬によって全周囲にそれを高速でばらまく仕組みになっており、そのため大きさがかさんでいます
ウクライナのHIMARSに対抗するために用いるのかな?
対地S300のほうがHIMARSより射程が長いし、車載外観じゃ対空用と区別できないだろうし。
記事にあるように誘導できて命中精度もよさそうだから
ウクライナがHIMARSで狙いそうな場所の近辺に配置して、HIMARS見つけ次第打ち込むのか
HIMARSの射程が70㎞だとして、弾薬補給車は20㎞ぐらい後方に待機させると思うが
その補給拠点を狙って打ち込むのかわからないが
HIMARS以上の射程があり、偵察で識別困難な対地ミサイルをロシアが装備しているというのは
ウクライナにとっては、たいへんやりにくいことだと思う。
対HIMARSで使えるかどうかは、終端誘導がどのくらい機能するか、次第でしょうかね。
対空ミサイルですから、「ある程度の場所までは慣性指令で飛んでいって、最後の誘導だけは自分で発信する電波で敵を見つけてそこに突っ込む」という動作をするはずです。
S-300のレーダー画面ではHIMARSの6発セットで撃ち出すロケットを捕捉出来るので、そこから大体の発射位置までは分かるわけです。半径10キロぐらいの誤差があるとは思いますが。
そこに5V55Rを撃ち込んだ場合。
その目標地点の周囲10キロとか20キロで、1番レーダー波を反射する目標に向かって突っ込んでいくことになるわけです。
いくらウクライナの大平原とはいえ、半径10キロにHIMARS以外のレーダー波の反射物、例えば車両とか工場とか家とか送電塔とか、シーカーが拾ってしまう反射物がどのくらいあるか。
そんなに都合よくHIMARS車両にピンポイントでは当たらないような気がしますね。
詳しい解説ありがとうございます。
対艦ミサイルにせよ、対空ミサイルにせよ、ターゲットは広い空間にポツンといることが前提なので、込み入った地上の目標を狙うには不向きなんですよね。
巡航ミサイルの代わりに使っているという主張もありますが、そんな非効率的な運用を強いられている時点で、ロシアのミサイル事情の厳しさが伝わってきます。
ウクライナ空軍は対空ミサイルを警戒して活動を制限されているので、対空ミサイルまで不足してくると、ロシアの優位が失われていく可能性もありますね。
対HIMARSにつかえるようにロシア軍兵士にみせつけることも出来るし、反撃能力あるならばまぐれあたりもありますからね。
第二次世界大戦で地方で博物館に飾ってあった日露戦争の戦艦の大砲B29の高度まで弾が撃てると配備していたらまぐれあたりで撃ち落としたようにまぐれあたりもありますからね。
何千機、何万機も飛来してきたB29ならまぐれあたりも期待できますが、
虎の子のHIMARSを大平原に晒して補足されるほど、ウクライナ軍も間抜けではないでしょう。
対空ミサイルを使用しているとバレたら、周辺に反射物の多い地形を選んで戦うでしょうし、貴重なミサイルの有効な活用法とは思えませんね。
90秒後に70㎞先の地点に到着する放物運動を計算すると、初速900m/s 到達高度10,000m 打上角度30度になり
S-300の5V55Rの最大速度が1,700m/s(ウイキペディアより)
地球上で70㎞の距離を見通すのに高度350m程度が必要(スカイツリー展望デッキの解説)
S-300の制御や誘導・運用や終端誘導の改造がどうなっているかわからないが
理屈上はピンポイントとまではいかなくても、至近まで遠隔誘導できる精度がある攻撃を
HIMARSの発射検知から数分以内に可能ということかな?
5V55Rはアクティブレーダーではないはずですが
そういえば韓国も最初の国産地対地ミサイルは、ナイキミサイルの改造型
効率的かどうかは置いといても、兵は拙速を尊ぶの古語通り、とりあえず対地攻撃に使おうかの柔軟な発想は評価すべき
ソ連時代にはその柔軟な戦術がナチスを破る功績をあげた