ロシア関連

露メディア、ウクライナ軍はSu-24でストーム・シャドウを運搬している

ロシアのイズベスチヤ紙が16日「我が軍の防空部隊がストーム・シャドウの迎撃に成功した」と報じており、同紙によればMiG-29やSu-27がAGM-88HARMでストーム・シャドウを運搬するSu-24を援護しているらしい。

参考:Небесный сход: ПВО России впервые сбила британскую ракету Storm Shadow

撃墜を示す写真が動画が登場する可能性は低く、ロシア側の主張を検証するのは不可能だろう

イズベスチヤ紙は「我が軍の防空部隊がストーム・シャドウの迎撃に成功した。さらに同タイプのミサイルを2発迎撃したという情報もあるが今のところ検証中だ。5月上旬にストーム・シャドウを運用するためアップグレードされた機体を受け取ってからウクライナ軍機の活動は活発になった。特に直近3日間の活動は非常に活発でストーム・シャドウを使用した攻撃を試みている。MiG-29やSu-27がAGM-88HARMでストーム・シャドウを運搬するSu-24を援護し、同時にUAVの形をしたデコイを積極的に使用している」と報じている。

出典:U.S. Air National Guard photo by Tech. Sgt. Samara Taylo ADM-160MALD

UAVの形をしたデコイとは米空軍の空中発射式デコイミサイル「ADM-160MALD」のことを指している可能性が高く、米ディフェンスメディアは「MiG-29やSu-25でストーム・シャドウを運搬するのは難しく、Su-27やSu-24が空中発射の母機に使用されるだろう」と指摘していたので、イズベスチヤ紙の報じた内容は大体予想通りと言えるが、12日にストーム・シャドウでルハンシクへの攻撃を試みたSu-24と護衛機のMiG-29は「ロシア軍の戦闘機によって撃墜された」と主張しているのが興味深い。

ロシア側の情報には多くのフェイクが含まれているため鵜呑みには出来ないが、英国王立防衛安全保障研究所(RUSI)は「R-37M(射程150km~398km/飛行プロファイルによって射程は変動する)を搭載した戦闘機をクリミアやロシア領の上空に飛ばしてロシア軍は8つの作戦地域をカバーしており、この戦術は非常に効果的でR-37Mに狙われると回避するのが難しく、MiG-31BMとR-37Mの組み合わせは遠距離から低空を飛行する目標と交戦できる」と指摘、実際に低空を飛行していたウクライナ空軍のSu-25(昨年7月)やSu-24(昨年10月)が撃墜されている。

出典:MBDA/Thierry Wurtz/2004

ストーム・シャドウのオリジナルは最大560km先(飛行プロファイルによって射程は変動する)の目標に届くものの、輸出バージョンのストーム・シャドウは300km以下に射程が制限されており、どちらのバージョンがウクライナに提供されたのかは不明だ。

最も可能性が高い輸出バージョンのストーム・シャドウの場合でも、ウクライナ支配地域の上空から発射すればルハンシクに十分届くはずだが、ルハンシクの上空(高高度)を飛行するMiG-31BMとR-37Mとの組み合わせが機能しているなら、ストーム・シャドウを運搬するSu-24は迎撃されるリスクがあるため「12日にSu-24とMiG-29を撃墜した」という話も荒唐無稽なものではない。

出典:Andrei Shmatko/CC BY-SA 4.0

仮にSu-24とMiG-29の迎撃が事実だったとしても墜落したのはウクライナ支配地域なので、撃墜を示す写真が動画が登場する可能性は低く、ロシア側の主張を検証するのは不可能だろう。

追記:SNS上で「フランスのマクロン大統領が英国に習いSCALP-EG(ストーム・シャドウの仏バージョン)のウクライナ提供を認めた」という情報が出回っているが、これは仏メディア(TF1)のインタビューを受けた中で「ウクライナがロシアに抵抗できる射程のミサイルを送る」と言及したのを「SCALP-EG提供だ」と解釈しているだけで、マクロン大統領が「SCALP-EGを提供する」と明確に言及した訳では無い。

この発言はSAMP/Tの迎撃弾=Aster30とも解釈できるため、フランスがウクライナに提供するミサイルが何なのか今のところは不明だ。

関連記事:ロシア軍にとって安全地帯のルハンシクで爆発、現場でADM-160の残骸が見つかる
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関連記事:ウクライナ人パイロットは数ヶ月でF-16を飛ばせる、但し飛ばせるだけ実戦は別

 

※アイキャッチ画像の出典:Ministry of Defense of Ukraine/CC BY-SA 2.0

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コメント

    • 鳥刺
    • 2023年 5月 16日

    もしかすると、4機同時撃墜の犯人もこれではないですかね(笑)

    6
      • くらうん
      • 2023年 5月 16日

      「これ」とはストームシャドウのことですか?
      ストームシャドウは空対地巡航ミサイルですが。

      3
      • 鳥刺
      • 2023年 5月 16日

      あ、Mig-31と長距離AAMの方の事です。

      有効に運用され対抗が難しいロシアの兵器システムの話も久々です。
      根本の所は、西側もAAMの長射程化で対抗して行く流れになるのでしょうかね。

      10
      • 鼻毛
      • 2023年 5月 16日

      ストームシャドウ狩りが同士討ちを誘発した可能性はありえますね。

      16
    • 霞ヶ浦
    • 2023年 5月 16日

    本当かはさておき戦闘機搭載ならまぁこうなるの予想できるから地上発射型にするかと思ってたがまだ裏がありそう

    2
    • らっしー
    • 2023年 5月 16日

    〉MiG-29やSu-27がAGM-88HARMでストーム・シャドウを運搬するSu-24を援護し
    この部分に引っかかりを覚えたんですが、
    確か東側戦闘機にAGM-88HARMを載せても飛行前に把握出来ている目標しか狙えなかったのでは?と。

    Su-24か攻撃可能な位置に接近する間に何処から狙って来るか判らないレーダー波を、
    感知次第目潰しを喰らわせる運用みたいに書いてるように読めるんですが、
    AGM-88HARM運用の制限がクリアされたのか、ロシアの法螺話かどっちなんでしょうね?

    3
    • TDNトーシロ
    • 2023年 5月 16日

    あらら、御フランスさんまで巡航ミサイルを提供する可能性が出て来たんかい。しかしミサイルの名称はどうにかならなかったんだろうか?このままじゃシャンプーと間違える人が出て来そう…。
    冗談はさておき機体側のシステムに統合しなくても使えるちゅう事は既存のF2,15,35にも積めそうな感じが…。
    どうなんですかね空自さん(チラチラ)

    4
      • たぬき
      • 2023年 5月 16日

      男性の薄毛に効きそうな名前のミサイルですね…

      7
        • 地毛
        • 2023年 5月 16日

        また髪の話してる
        彡⌒ミ
        (;ω;)

        3
      • 匿名希望係
      • 2023年 5月 16日

      リスク込み運用だからあんまりやりたがらんのでは?

    • チェンバレン
    • 2023年 5月 16日

    長距離AAMはやっかいですなあ
    完全にアウトレンジされてる
    どうにかしてこいつらを排除できないだろうか?

    西側で対抗できそうなのはAIM-120とミーティアくらい?
    仮に使うとしてもウクライナの持ち駒に統合するのすげー時間かかりそう

      • 匿名希望係
      • 2023年 5月 17日

      ついでにいうとレーダーが多分へっぽこなんで換装する必要が>フルスペック運用

    • Mob
    • 2023年 5月 17日

    ロシアのミサイルは系譜が西側のコピーから始まってたりそもそも完全な西側のコピーだったりすることも往々にしてあるから規格が西側と似通ってて、そのおかげで東側機体にも案外すんなりと西側のミサイルを積めたりするって話をどこかで読んだがほんとなのかね?

      • 匿名希望係
      • 2023年 5月 18日

      実際Bukで撃ててるあたりね。>シースパロー

      1
    • らっく
    • 2023年 5月 18日

    しかし、フェニックスミサイルはついに戦果を出すことなく退役してるのに、なんでR-37は当たるのかね?

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