ウクライナでの戦争に反対の声を上げ拘束されたロシア人ジャーナリストは「この狂気の沙汰を止められるのは私たちの力だけだ。抗議に行け。何も恐れるな。私たち全員を刑務所に放り込むことは出来ないのだから」と国民に呼びかけた。

参考：Marina Ovsyannikova: Russian journalist who denounced lies on TV appears in court
参考：Die Frau, die live im Staatsfernsehen protestierte
参考：В Кремле назвали инцидент в эфире Первого канала хулиганством

ウクライナで破壊された街も傷ついた人々も一切映らない報道に何の疑問も感じないほど人々は鈍感でない

ロシアで最も視聴率が高いチャンネル1のニュース番組に「戦争反対、プロパガンダの嘘に騙されるな、あなたはここで騙されている」というメッセージボードを掲げて乱入、警察に拘束された同局勤務のマリーナ･オフシャンニコワ氏は15日、弁護士を伴いウクライナの国旗をイメージさせるカラーのネックレスを身に着け法廷に現れた。

検察当局は無許可のイベントを実行した容疑で彼女に最大15日間の懲役を求刑しているが、今後新しく制定された新法（ウクライナでの特別な軍事作戦におけるロシア軍の信頼を損なうような情報を発信する罪）で起訴される可能性が高く、検察の要求に応じて「メッセージボードの内容がフェイクだったと認めない限り最大15年の懲役を求刑されるだろう（自白に応じれば執行猶予がつく）」と弁護士が述べているもののシャンニコワ氏は「この狂気の沙汰を止められるのは私たちの力だけだ。抗議に行け。何も恐れるな。私たち全員を刑務所に放り込むことは出来ないのだから」と主張している。

この行動に各国の指導者や政治家から賞賛や支援の申し出が次々と集まっており、フランスのマクロン大統領は「彼女を保護（亡命）するための外交的な取り組みを開始する。私はプーチンとの会談でこの件を取り上げ具体的な解決策を提案する」と発表、ウクライナのゼレンスキー大統領は「真実を伝えようすることを止めないロシア人に感謝する」、米上院議員のサンダース氏は「信じられないような勇気ある行動」、ロシア人政治家で現在亡命中のグドコフ氏も「これを始まりにして我々全員の手本にしよう」と述べている。

出典：Okras / CC BY-SA 4.0 反戦のメッセージを投稿したのちロシアを離れたイヴァン･ウルガント氏

さらに注目すべきはプーチン大統領の始めた戦争に反対しているロシア人ジャーナリストが「彼女だけではない」という点だ。

英国のThe Times紙は「ここ数日間で少なくとも3人のジャーナリストが国営放送を辞めた」と報じており、国外に向けてロシアのプロパガンダを量産しているRTでは戦争に抗議するため20人のスタッフが辞職、チャンネル1で最も人気の高い司会者だったイヴァン･ウルガント氏もSNSに反戦のメッセージを投稿したのちロシアを離れるなどロシア人ジャーナリストのプーチン離れは確実に増えている。

因みにプーチン大統領の始めた戦争を「恥ずかしい」と口にする市民についてロシアのペスコフ大統領報道官は「真のロシア人はロシア人であることを決し恥じない」と主張し、オフシャンニコワ氏の事件については「フーリガニズムでクレムリンの思惑とは無関係」と明かした。

出典：Времяのスクリーンショット

追記：反政府活動家ナワリヌイ氏の側近であるレオニード･ヴォルコフ氏は「オフシャンニコワ氏に課される罰金を全て肩代わりする。他のメディア関係者が同じことをしても同様の措置をとる」と発表、これがロシア人ジャーナリストのプーチン離れを後押しすることに繋がるかは未知数だが、ウクライナで破壊された街も傷ついた人々も一切映らない報道に何の疑問も感じないほど人々は鈍感でないだろう。

追記：ロシア軍に拉致されたメリトポリ市長はルハンシクに連行されていることが判明、そこで市長はテロ事件の容疑者として起訴されているらしい。ただ同じように拉致されたドニプロルドニー市長の行方は依然として不明のままだ。

追記：無許可のイベントを実行した罪で裁判所はオフシャンニコワ氏に罰金30,000ルーブルを命じて釈放したが、新法に基づく起訴が行われるのは今のところ不明。

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※アイキャッチ画像の出典：kremlin.ru