イスラエルと米国が共同開発した防空システム「David’s Sling(デービッドスリング)」に使用される迎撃ミサイルが、無傷のままロシアの手に渡ってしまった。
参考:Russia reportedly in possession of advanced Israeli interceptor missile
イスラエルの最新型防空システムで使用される迎撃弾「Stunner」がロシアに連行される
2017年4月に実戦配備された防空システム「David’s Sling(デービッドスリング)」は、イスラエルのラファエル・アドバンスド・ディフェンス・システムズ社と、米国のレイセオン社が共同開発した最新の中長距離防空システムで、イスラエルが構築する3層構成のミサイル防衛システムの中では中層を担当し、マッハ7.5で飛翔する迎撃弾「Stunner(スタナー)」で航空機、無人機、戦術弾道ミサイル、巡航ミサイル、ロケット弾を撃ち落とすことができる。
しかし実戦配備から15ヶ月後の2018年7月、シリアから発射された2発のロケット弾を迎撃するため、イスラエルは防空システム「David’s Sling」から2発の迎撃弾「Stunner」を発射、しかしシリアの発射したロケット弾がイスラエル領に到達しないことが判明したため、発射したStunner弾を自爆させることにしたが、2発の内1発が自爆に失敗しシリア領内に墜落してしまう。
結果、シリア軍は墜落したStunner弾を探し出し捕獲に成功、シリアはこの捕獲したミサイルをロシアに引き渡してしまった。

出典:public domain 防空システム「David’s Sling」で使用される迎撃弾「Stunner」
当然、イスラエルや米国はStunner弾の返還を要求しているが、ロシアはこの要求を無視している。
そのためイスラエルは、導入したばかりの防空システム「David’s Sling」や迎撃弾「Stunner」がロシアによって無力化される可能性を、米国は同迎撃弾に使用された技術を解析することで、ロシアが自国の防空システムを改良し、S-400やS-500が今よりも厄介な性能を手に入れる可能性を懸念している。
特に問題なのは、防空システム「David’s Sling」を共同開発したレイセオン社は、ロシアの防空システムに比べ性能が時代遅れになりつつある米国の「パトリオット」を更新するため、新型の防空システム「PAAC-4(Patriot Advanced Affordable Capability-4)」を開発中で、この新型防空システムの迎撃弾には防空システム「David’s Sling」で使用されている迎撃弾「Stunner」を改良したものが使用されるという点だ。
要するにロシアは、シリアから手にれた迎撃弾「Stunner」を解析することで、将来、米国が導入するであろう新型防空システムの弱点を知る事ができ、今から対応策を研究することが出来るという意味だ。
米国にとっては、非常に頭の痛い問題になるだろう。
※アイキャッチ画像の出典:public domain 防空システム「David’s Sling」で使用される迎撃弾「Stunner」
しかし、名前が皮肉だな。
自軍営がスタンされるとはw
上手い!
…まぁ我々西側からしたら呑気なこと言えないんですけど。
弱点って言ってもそこまで、大したものは見つからないだろう。
サイドワインダーから続く不発弾あるある話ですね
きっと回収及び爆破のために特殊部隊を送り込んでただろうに
もしそうだとしたら駄目だったんですね
弾体やミサイルに高度な技術が使われている限り必ずいつかは捕獲され解析されますから、機密を守るという方向に進むのなら最終的には如何にただの金属片や火薬を高速かつ精密に打ち込むか、ということになりそうですね。レールガンとか高出力レーザーなどがその究極でしょうか。
特に大したことない話だったね