ロシア関連

プロトタイプから改良されたSu-75、正面方向のステルス性能が向上

露国営メディアのタス通信は17日「新たに公開されたSu-75のデザインは欧米が開発を進めている第6世代戦闘機の設計に似ている」と報じており、改良が加えられたSu-75は正面方向のステルス性能が向上し、簡単に分解して航空輸送できるらしい。

参考:ОАК работает над тремя новыми модификациями истребителя Су-75

新たなスポンサー探しと同時平行で機体開発が続けられていることができたSu-75

露国営のロステックは2020年12月末「シングルエンジンの第5世代戦闘機の開発に取り組んでいる」と、2021年3月には「開発を進めている新しい航空機を7月のMAKS-2021で展示する」と発表し、予告通りMAKS-2021で「Su-75 チェックメイト」を披露した。

出典:Rostec 

このSu-75はロシア空軍向けではなく、米国のF-35Aや中国のFC-31(中国海軍向けJ-35のベース機)に対抗するため開発されている輸出向けの第5世代戦闘機で、基本的なスペックは最大速度マッハ1.8~2.0、航続距離は2,993km、ペイロードは6.8トン以上、ウェポンベイは左右のエアインテーク側面と機体下部に設置されており、ここにR-37Mの輸出版「RVV-BD」や空中発射式の小型無人機などを携行でき、機体単価は2,500万ドル~3,000万ドルに設定されている。

さらにSu-75は政府資金ではなく「ロステックの自社資金」と「潜在的な顧客=アラブ首長国連邦、インド、ベトナム、アルゼンチンからの投資」で必要な資金を確保する仕組みを採用、発表当時にボリソフ副首相は「投資に前向きな国を確保している(後の報道でUAEと判明)」と説明していたが、UAEは投資を確約した訳ではなく「ウクライナ侵攻」や「初飛行の延期(2023年→2024年)」を受けて投資を見合わせたため、ロステックは新たなスポンサーを見つけつ必要に迫られ「エアロ・インディアでSu-75の開発にインドを招待した」と噂されている。

出典:Mztourist/CC BY-SA 4.0 ドバイ航空ショーで展示されたSu-75

この話にインドが乗ったかどうかは不明だが、露国営メディアのタス通信は17日「新たに公開されたSu-75のデザインは欧米が開発を進めている第6世代戦闘機の設計に似ている」と報じており、主翼や胴体の形状を変更してステルス能力を向上させたSu-75の単座機、複座機、無人機の3バージョンを開発しているらしい。

タス通信はSu-75の報道について「当社が入手したユナイテッド・エアクラフト(スホーイ、ミグ、イリューシン、ツポレフなどの設計局を統合した航空機メーカーでロステックが主要株主)の特許資料に基づくもの」と説明しており、主翼や胴体の変更点も6月にSecret Projects Forumで出回っていたSu-75の特許画像と一致している。

出典:Secret Projects Forum 左がモックアップのSu-75、右が特許画像のSu-75

特許画像のSu-75はノーズコーンやコックピット周りに鋸歯状処理を追加、エアインテークの位置が機首方向に移動、主翼付け根の形状を変更、フラッペロンの面積を拡張、後部ストレーキが大きくなり垂直尾翼のデザインも変更されており、タス通信は「新しい設計は正面方向のステルス性能=レーダーによる視認性が大幅に低下している。さらに機体の構成要素は簡単に分解と接合が出来るため航空機による輸送が可能だ」と指摘。

さらに複座型のSu-75についてもタス通信は「単座型の特徴に一致しているが、Su-30に似た3分割されたキャノピーが採用されている」と指摘している。

出典:Secret Projects Forum Su-75の複座型

無人機バージョンの特許画像も出回っているのが「単座型からコックピットを取り除いただけの機体」で外見的には特に言及することはない。

本当に量産機バージョンのプロトタイプが2024年に登場するのかは何とも言えないが、新たなスポンサー探しと同時平行で機体の開発が続けられていることだけは確認でき、西側の技術にアクセスできない状況下でSu-75をどう実用化させるのか注目される。

関連記事:ロシアのSu-75はUEAが投資を止めたため資金不足、インドを開発に招待か
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関連記事:ロシア、7月の航空ショーでシングルエンジンの第5世代戦闘機を発表か
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※アイキャッチ画像の出典:Kremlin.ru/CC BY 4.0

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コメント

    • 名無し
    • 2023年 7月 18日

    チェックメイトくんの開発が続いてたことがおどろき。ウクライナ侵攻でポシャったもんだと思ってた。

    57
      • nachteule
      • 2023年 7月 18日

       ここまで来ると本国の為に必要な機体って感じもするし政府資金でなんとかって気もするが。

      3
    • 2023年 7月 18日

    かつてはミリオタとしてはうおおお!!って盛り上がって止まず、いつ空を飛ぶのかを心待ちにしてたのに
    今となってはこうも複雑な心境になってしまうとはなぁ…

    ってか言うほど西側第6世代と似てるか?
    これで似てるって言うなら第6世代みんなYF-23と似てる扱いにならん?
    そもそもどっちかって言うとX-32…

    53
      • 匿名希望係
      • 2023年 7月 18日

      同じ事思った人がいた>X-32

      17
    • 名無し
    • 2023年 7月 18日

    Su-47ベルクートの販売は無理でしょうか…前進翼

    3
      • ブルーピーコック
      • 2023年 7月 18日

      Su-35やSu-57の開発には役立ったらしいものの、ステルス機でもなければただの実験機なので。
      プラモかエースコンバットかエアショーで我慢してください。

      30
      • 匿名ちゃん
      • 2023年 7月 19日

      アクティブステルス技術と無人化が発達したら陽の目を診るかも>前進翼

      3
    • ブルーピーコック
    • 2023年 7月 18日

    第6世代戦闘機の設計に似ていると言われても、ステルス機だから似たり寄ったりになるでしょうよ。第6世代機の定義もまだあやふやだし。

    14
    • うー
    • 2023年 7月 18日

    ロシア機で単発エンジンってちょっと珍しい気がするね。

    発電能力足りるのかしら?(そもそもエンジンの信頼性大丈夫?)

    6
      •  
      • 2023年 7月 18日

      ロシア機のエンジンはむしろ西側機のそれより信頼度は格段に高い
      だから途上国でも運用出来る
      耐久性自体は西側機のエンジンの方が高いけどロシアはその分エンジンを積み替えるからね
      この方法だと部隊単位の整備がかなり軽減されて環境が劣悪になる戦時下でも高い稼働率を維持できる

      10
        • 台湾大好き
        • 2023年 7月 18日

        それは戦時運用の柔軟性や頑健性が高いという話で、エンジンの「信頼性が高い」「格段に」という話ではないのではないかな? ついでに言うと劣悪な環境下でも稼働率の低下幅が少ない、というだけ。
        ミリオタなら客観的にものを見よう

        34
          •  
          • 2023年 7月 18日

          いやそれが信頼性だろう
          頑健性はむしろ西側のエンジンの方が高い

          6
            • 匿匿
            • 2023年 7月 18日

            いいえ、違います。

            日本工業規格での信頼性の定義は以下の通りです。

            信頼性(Reliability)とは、JISでは、「 アイテムが与えられた条件で規定の期間中、要求された機能を果たすことができる性質」、及び、その定量的な尺度である信頼度
            (Reliability)は、同様に、「アイテムが与えられた期間与えられた条件下で機能を発揮する確率」と定義されている。

            出典
            JIS Z 8115 デイペンダビリティ(信頼性)用語

            10
            • 台湾大好き
            • 2023年 7月 18日

            主にはそこじやなくて、主語が違うと言いたいんですよね。エンジン自体のなのか、戦時のエンジン運用のでは違いますよね。

            5
          • ネコ歩き
          • 2023年 7月 18日

          オーバーホール間隔は耐久性によって定められるもので、工業製品的にはその間の故障率の高低が信頼性の指標になります。
          オーバーホール間隔の長短=信頼性の指標、ではないです。
          旧ソ連/ロシア製ジェットエンジンは西側製に比較して規定するオーバーホール間隔が短いですが、その間においては西側製と比較し信頼性に遜色は無い、或いは上回るのだろうと思います。

          7
      • TKT
      • 2023年 7月 18日

      ロシア戦闘機で単発エンジンというのは、さかのぼればMiG-23、MiG-27、MiG-21、MiG-17など決して少なくないでしょう。

      スホーイでもSu-22、Suー7,Su-9、Su-11など過去には単発機がいろいろあり、ポーランド空軍でもSu-22がずっと使われていましたし、Su-22は今でもあちこちの空軍で現役です。スホーイの単発機は信頼性が高くて使いやすいということです。

      10
      • 匿名希望係
      • 2023年 7月 18日

      近年だと珍しいけど
      F-16以上F-35未満相手にするんなら十分なのでは?
      問題は価格だよなー

      7
        • 朴秀
        • 2023年 7月 18日

        安い単発ステルス機
        空母やブイトールは狙わない

        コンセプトはF-35よりよっぽどまともなんだよなあ

        6
          • DEEPBLUE
          • 2023年 7月 18日

          本当にその値段でステルス性あるの?ポラメとかみたいななんちゃって4.5世代機じゃないのという疑惑がね(4.5世代機としても十分競争的値段ではある)。

          1
      • paxai
      • 2023年 7月 18日

      3,000万ドルの戦闘機だしF35ほど大量の電子装備を搭載するつもりはなさそう。

      4
    • 名無し
    • 2023年 7月 18日

    現状は非常に残念ですがスホイはやはりカッコいいなぁ…
    西側半導体みたいな自国生産出来ない部品の調達目度は第三国経由で解決したのですかね?

    9
      •  
      • 2023年 7月 18日

      商用半導体ならともかく、軍用半導体ならロシアは自前で作ってるよ

      11
      • もり
      • 2023年 7月 18日

      中国のJ-11BGやJ-15J-16が実質ウルトラスーパーフランカーなのでそっちに期待しよう!

      1
    • もり
    • 2023年 7月 18日

    新時代のMig-29やSu-27輸出仕様となりえるか?
    ワクワクが止まらんね

    6
      • おわふ
      • 2023年 7月 18日

      そして中国やインドのコピー機の方が大量生産される流れ。

      1
        • もり
        • 2023年 7月 18日

        前世紀ならまだしも今や中国には同等以上のステルス機があるしインドもステルス戦闘機国産化計画があるのでワザワザコイツをコピーする理由がない

        12
    • 朴秀
    • 2023年 7月 18日

    なんかますますX-32に似てきた気が…

    5
    • 山田さん
    • 2023年 7月 18日

    ロシア君、第5世代さえまともに作れないのに、第6なんて本当に作れるの?って言おうと思ったけど、本邦も同じ様なことやろうとしてたわ。
    いずれにせよ、ロシアは国力を鑑みて自主開発なんて夢物語を描かずに、中国から買うか、第5世代に注力したほうが良いんじゃないかね?

    10
      • うー
      • 2023年 7月 18日

      本邦には変態兵器の王たる英国と、ゴーイングマイウェイ路線の王たるスウェーデンさんがついてるから平気平気

      イタリアさんは安心と信頼のレオナルドだしきっと大丈夫さ…

      3
      • nachteule
      • 2023年 7月 18日

       「デザインは欧米が開発を進めている第6世代戦闘機の設計に似ている」この内容からどうしてロステックが第六世代機を作っているって話になるの?
       たかだかガワだけの話じゃんよ元から安価な5世代機作るってコンセプトをぶち上げたはずなのに何で話を盛っているのか、ロシアが6世代機作っているって言っているの?

       6世代機の明確な定義も固まってないが光学兵器も積まない、新型エンジン積む訳でもない、後方の形状を見る限りステルスが全体的に高い訳でもないSu-75を6世代とか思う人いるんだろうか。

      11
    •  
    • 2023年 7月 18日

    推測するに、最高速度を妥協することにした(マッハコーンが鈍角になる)んでエアインテークを前に出したんじゃないですかね
    マッハ2超を目指すなんて話もあったけど、流石に単発では推力が足りなかったか
    尾翼もかなり垂直に近くなって、もうV字尾翼と言うより無尾翼デルタにも見えます
    これで機首上げ出来るの?って心配になるけど、ロシアお得意の推力偏向でどうにかするんでしょうか

    2
    • ありうえよ
    • 2023年 7月 18日

    似ているからと言って、ステルス性能が必ずしも向上するという話ではない。

    4
      • DEEPBLUE
      • 2023年 7月 18日

      まあお値段からして前面RCS特化した4.75世代くらいだろう。本当にこれでステルス性普通にあったらSu57が殆ど要らない子に

    • はる
    • 2023年 7月 19日

    今回のsu-75は元から第5世代だから関係ないんだけど第5世代より発展してる=第6世代っていうガバガバ状態だから実際に早くどこか完成してこれが第6世代です!って提示してくれ~

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