米空軍は、ステルス爆撃機「B-21 レイダー」の開発について順調であることを強調し、初号機は2021年12月に初飛行するだろうと言ってきたが、どうも雲行きが怪しいと報じられている。
参考:B-21 First Flight In 2021 Not Likely
B-21レイダーが2021年12月に初飛行する可能性は低い?
米空軍のアーノルド中将は今年の4月、米議会の上院小委員会で「B-21の開発プログラムは順調に推移しており、次のマイルストーンは初飛行だ」と話し、7月にワシントンDCで開催されたミッチェル研究所のイベントで、スティーブン・ウィルソン空軍副参謀総長はB-21の初飛行について「863日後」だと話した。
この発言内容が正しいとすれば、B-21は2021年12月に初飛行を行うことになる。
しかし、B-21の開発やスケジュールの決定で重要な役割を果たした国防総省の元高官は「もし空軍がスケジュール通りに、コストの超過なくB-21を手に入れることができれば驚く」と話した。
米軍全体の装備取得・維持を担当する国防次官へ報告を行う米空軍「ラピッド・ケイパビリティ・オフィス(RCO)」の担当者は、ウィルソン空軍副参謀総長が話した期日に縛られたくないと話し、2021年12月という期日を守るつもりがないことを示唆、さらにB-21の仕様変更は大幅な開発遅延を招き、コストを増大させる可能性があるとも語り、それを決定できるのは「空軍参謀総長の1人だけ」とも話した。
これまで米空軍はB-21の開発がスケジュール通り進んでおり、当初予定された開発コストを維持していると主張してきたが、今回飛び出した発言は、B-21の開発スケジュールに「遅れ」が出始めていることを示しているとも受け取れ、海外メディアは開発コストの増加にも繋がる初めての「兆候」だと報じている。
補足:下院軍事委員会のロブ・ウィットマン議員は2018年、ステルス性能を高めるための設計で、最も難しい部分とされるのは「エンジンの排気口」と「エアインテーク」で、B-21もこの部分の設計で問題に直面していると話し、B-21搭載機器の統合を容易にするため、飛行できないフルスケールの「Iron Bird」が作られていたことを明かしたことがある。
しかし、B-21開発に関する情報は完全にブロックされているため、具体的にどのような問題に直面しているのか誰も知ることが出来ない。
そのため全ては推測の域を出ないのだが、近年の軍用機開発は軒並みスケジュールが遅延し、開発コストが高騰するというパターンがお決まりなので、B-21の順調すぎる開発をどうしても鵜呑みにできないと言う気持ちも分からなくはない。
B-21の初号機は米空軍の主張通り「2021年12月」に初飛行を迎えるのか、それとも開発が遅れ2022年以降にずれ込むのか、結局は、神のみぞ知るといったところだ。
もちろん、神とは米空軍とノースロップ・グラマン社のことだが・・・
因みに米空軍は、B-21のコンセプトアートを近日中に公開する可能性があると話しており、B-21のロールアウトには報道陣を必ず招待することも約束した。
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo/Airman 1st Class Jazmin Smith
仕様変更で高騰が恒例になって来たな
後から空対空ミサイルキャリア任務を持たせるから。