米国関連

ボーイングは8,000万ドル以下でF-15EXを提供、空軍の144機調達に期待

ボーイングは「F-15EXの価格はインフレの影響を受けても8,000万ドル以下を維持する、空軍は最終的に144機のF-15EXを調達することになるだろう」と明かし注目を集めている。

参考:Despite inflation woes, Boeing says it can maintain $80M unit cost for F-15EX

議会は第4世代機の新規調達を止めるのか、ボーイングが政治力を発揮して空軍の提案を阻止するのか

F-15EXの調達中止を検討するようケンドール長官から指示されれた米空軍は「F-15EXの調達数削減(144機→80機)」を議会に提案、もし空軍の提案に議会が同意すればボーイングへの発注は2024会計年度予算で打ち切られることになるが、ファンボロー航空ショーに出席するボーイングの関係者は「F-15EXの価格はインフレの影響を受けても8,000万ドル以下を維持する。空軍は調達数を80機に削減しようとしているが最終的に144機を調達することになると確信している」と述べて注目を集めている。

出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Anna Nolte

これを受けて海外メディアは「(F-35Aの価格)7,800万ドルを維持できないと公言するロッキード・マーティンとは対照的だ」と報じているが、F-15EXの機体単価には電子戦システム「EPAWSS」やターゲットポッド「AN/AAQ-33」が含まれておらず、これらのコストを追加するとF-15EXに調達コストは1億ドルを超えると指摘されており、ボーイングのアピールは「数字のマジックだ」という批判も少なくない。

果たして議会は空軍の提案を認めて第4世代機の新規調達を止めるのか、ボーイングが政治力を発揮して空軍の提案を阻止するのか、夏が終わる頃には結果(確定するのは年末頃)が出ていることだろう。

関連記事:不透明なF-15EXの将来、空軍長官が調達中止の検討を行うよう指示

 

※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Ethan Wagner F-15EX

安全保障が最優先、国防予算を2.0%以上に設定するNATO加盟国が増加前のページ

ロシア軍はウクライナで約5万人が死傷、戦車や装甲車輌を5,000輌以上を失う次のページ

関連記事

  1. 米国関連

    国防総省、ハイエンドの技術開発や実戦配備における中国の能力が羨ましい

    国防総省で調達・維持の責任者を務めるラプランテ次官補は26日「ハイエン…

  2. 米国関連

    サンタはソリではなくC-130でやって来る、米空軍が恒例のクリスマス・ドロップ作戦を実施

    米空軍は世界で最も遠い南太平洋上に点在する55以上の離島に物資を届ける…

  3. 米国関連

    米国務省がポーランドへのAH-64E売却を承認、120億ドルで96機

    米国務省は21日「ポーランドへのAH-64E売却を承認した」と発表、最…

  4. 米国関連

    米空軍が熱望するA-10の処分、議会も2024年に42機の退役を認める方針

    米空軍のブラウン参謀総長は今年3月「今後5年から6年でA-10は在庫か…

  5. 米国関連

    ロシア軍が被った人的損失、米英は30万人以上の死傷者を出したと推定

    ロシア軍の死傷者数について英国防省は「推定32万人」と、米諜報機関も機…

  6. 米国関連

    削減規模は約1万人、トランプ大統領が駐独米軍の大幅削減を命じる

    ウォール・ストリート・ジャーナル紙を含む多くの海外メディアが5日、トラ…

コメント

    •    
    • 2022年 7月 17日

    自衛隊のF15改修よりも、新規にこれ買った方が運用年数勘案したらお得じゃね?

    …調達が大分先になるであろうからギャップ埋める事はできないだろうが

    1
      • Ard
      • 2022年 7月 17日

      それならF-35買った方が…

      55
      • くらうん
      • 2022年 7月 17日

      ご自身でおっしゃているように費用でなくスケジュールの問題なので導入はナシですね。

      26
        • バクー油田
        • 2022年 7月 18日

        なんか戦闘機に限らず、どこもかしこも西側は生産能力がボトルネックになってますよね
        大軍拡の時代に明らかに入ったのですから、生産能力の増強の話こそ聞きたいですね。

        5
          • ナイトアウル
          • 2022年 7月 18日

           生産設備増強しようが選定して売れてくれなければ投資が回収できないでしょ。投資分を国か組織でカバーしてくれるならやるべきだろうがFー16やFー35、K9とかベストセラーじゃ無い限りは企業努力に依存すべきじゃ無いよ。

          3
      • 匿名
      • 2022年 7月 17日

      4.x世代の機体寿命が下手に残るのを嫌っての処置かも? >新造ではなく既存機の改修を選択
      機体寿命が残っていても、性能寿命が尽きて対中国などで使えない事を嫌って。

      11
      • 7C
      • 2022年 7月 18日

      一見お得に見えるかもしれないけど、空自の要望が「今持ってる68機のF-15MJを早期にパージしたいけど無理なのでせめて退役まで改修して濁したい」なのでそこに噛み合ってないってのが最大の問題

      値段的に新規で買う値段で2~3機分改修出来るから新規で68機分のギャップを埋めようと思うと当初予定の3倍近い値段が掛かって全然お得じゃないし、運用年数といっても性能考えたらゼロ戦を2000年代まで使うレベルの話になるが宜しいかって言われていいよって言う奴はおらんでしょうから(2030年に新品のEX初号機が納入されるとして約20000時間の寿命の機体を年間平均飛行時間200時間未満の国で運用すると何年飛べるでしょうっていう・・・
      ちなみに現状のF-35とのキルレシオは約30:1からパーフェクトゲームでの惨敗まであるので性能的には届く前から正面戦力にはならないのが確定してる

      そして色々あるけど根本的な問題として「買い替えていいならF-35買う」で話が終わっちゃうのもあるけど(それが出来ないからじゃあ手持ちの機体改修するわってなってるんだろうし

      16
    • 名無し
    • 2022年 7月 17日

    即納なら欲しいけどねえ。F-35って選択肢がある中第4世代機買う余地はないわなあ。

    24
    • no war in UA
    • 2022年 7月 17日

    >これを受けて海外メディアは「(F-35Aの価格)7,800万ドルを維持できないと公言するロッキード・マーティンとは対照的だ」と報じているが

    十分に売れているので不利なことも言えるLMと兎に角売りたいから良い事ばかり言うしかないボーイング
    確かに対照的ですね

    49
    • 戦略眼
    • 2022年 7月 17日

    生産ラインに余裕があるわけでもなし。
    良いところがない。

    3
    • 匿名さん
    • 2022年 7月 17日

    >「F-15EXの価格はインフレの影響を受けても8,000万ドル以下を維持する。空軍は調達数を80機に削減しようとしているが最終的に144機を調達することになると確信している」

    イニシャルで回収しなくても、と~ても長いランニングで回収すればいいからね。
    あと、本社をワシントンD.C.に移したと話題になってましたから、ボーイングはロビー活動に自信があるのでしょう。

    一時期は撃墜数0で最強戦闘機と言われて、個人的にも好きな機体ですが、
    ここまで邪魔者扱いされるのは、悲しいですねぇ。

    12
    • NATTO
    • 2022年 7月 17日

    F35やF16の製造の下請けでもした方が良いんじゃ?

    10
    • A29
    • 2022年 7月 17日

    吸収した部門の為だろうけど損切りしちまえ。こっちとしては737の後継機を新規設計してくれとしか
    Bは民間部門こそ稼ぎ頭なのを思い出してくれ・・・今は酷いもんだよ

    8
    • みくす
    • 2022年 7月 17日

    ボーイングはFA18の後続機開発してろよ。
    ノースロップは爆撃機、LMは制空機、と議会の対応見てても反発わかんだろうが

    4
    • dai
    • 2022年 7月 18日

    F-15もF/A-18もA-10もいらない子扱いされるけど、米軍はF-16のことはどう思っているんだろうか
    あまり気にしていない?
    とはいえF-16全部をF-35に更新できるんだろうか

    5
      • クローム
      • 2022年 7月 18日

      F-16は単純に扱い易いのかと。
      F-15Cは対空戦専用でありながら肝心の性能は陳腐化、A-10は近接航空支援専用で他の使い道がない。
      となれば、どんな任務もある程度こなし低コストなF-16が重宝されるのでしょう。F-35があるので低コスト機としての役割に合致しますし、F-16の更新はしばらく先そうです。
      リンク

      3
      • DEEPBLUE
      • 2022年 7月 18日

      既に部隊が消滅したりドローン転換すると決まってますよF-16

    • Goodman80
    • 2022年 7月 18日

    要はバランスだよね。性能は良いが維持費の高いF-35を147機も購入しても維持・運用ができないし、機体の寿命のF-15Jを改修してもコスパ悪いから、F-35の購入も最小限にして、F-15J改修はF-15X新規購入に、戦闘機の半分は性能はそれなりでも維持費の安いF-16Vにしないと維持費で悲鳴を上げる事になる。

      • 匿名希望
      • 2022年 7月 18日

      F-35とF-15の維持費大して変わらないんですが。

      15
        • Goodman80
        • 2022年 7月 18日

        空軍発表は違わないが、議会やメーカー調査ではかなり違う。議会調査金額でメーカーが維持費の更なる減額を約束している。

        1
      • ユーリ
      • 2022年 7月 18日

      F-2はもう生産できないが新しく第4.5世代のF-15EXやF-16V買うこともありえないので
      決定済みのF-35の147機と開発中のF-3の調達を着実にやっていくしかないのでは

      8
      • 原点にして頂点
      • 2022年 7月 18日

      日本の場合、敵のA2/ADに対抗する上で生存性の向上は必須です。

      空は技術格差が戦力差として如実に現れ、生存すら危ぶまれる廉価な非ステルス機は選択肢として考え難いです。 

      そしてアメリカ空軍のF-15EX導入に関して、同様の観点から批判する声もあります。

      これらの理由により、日本にはステルス機が求められます。

      それに、F-15EXは非5世代機のくせにF-35より高くて、E型整備基盤も必要になるため、導入には反対です。

      F-15EXは、単価が高いし、性能寿命が短いし、国産弾薬互換は別途費用と時間が必要で、おまけに日本にはE型運用基盤がありません。

      ついでに言うと、F-15EXを導入すれば一定稼動率と戦力化までに時間が必要で、LCC上昇要因になりえます。

      F-15EXの導入は、時間も買えず費用もそこそこ高くて微妙な選択でしょう。

      F-35Aは運用方法の工夫でF-15EXの代わりを務められますが、F-15EXは工夫してもF-35Aの代わりを務められないですし。

      F-16Vの導入も、上記のほとんどが当てはまるため、導入には反対ですね。

      12
    • けい2020
    • 2022年 7月 18日

    ここ20年のボーイングの軍用で、コスト増加しないと大見得きってたけど
    大幅に上がらなかったやつありましたか?

    10
    • nimo
    • 2022年 7月 18日

    2028年に性能の限界がきて敵地で使えなくなるらしいから買いたくないよな

    2
    • 匿名希望
    • 2022年 7月 18日

    そもそもがだ・・・。
    F-15EXふやすぐらいならPre-MSIPをJSIにした方が安いだろう

    3
  1. この記事へのトラックバックはありません。

  1. 欧州関連

    アルメニア首相、ナゴルノ・カラバフはアゼル領と認識しながら口を噤んだ
  2. 中国関連

    中国、量産中の052DL型駆逐艦が進水間近、055型駆逐艦7番艦が初期作戦能力を…
  3. 軍事的雑学

    4/28更新|西側諸国がウクライナに提供を約束した重装備のリスト
  4. インド太平洋関連

    米英豪が豪州の原潜取得に関する合意を発表、米戦闘システムを採用するAUKUS級を…
  5. 欧州関連

    トルコのBAYKAR、KızılelmaとAkinciによる編隊飛行を飛行を披露…
PAGE TOP