米国関連

ボーイング、スキージャンプ台を使用してF/A-18E/Fの発艦デモに成功

ボーイングは21日、F/A-18E/Fがスキージャンプ台を使用して発艦できることを実証したと発表して注目を集めている。

参考:Boeing Defense

ボーイングがF/A-18E/Fを使用したスキージャンプ台からの発艦テストを行なった動画を公開

これは米海軍がスキージャンプ台を装備した空母を導入するという意味ではなくインド海軍の新型艦載機調達プログラムを意識した取り組みで、インド海軍は空母で運用中のMiG-29Kを更新するため新型艦載機を海外から調達する方針を掲げており米国のF/A-18E/F、フランスのラファール、ロシアのMiG-35が候補に挙がっているのだが、問題はインドが建造した国産空母「ヴィクラント」の発艦方式がカタパルトではなくスキージャンプ台だという点だ。

出典:Indian Navy / GODL-India MiG-29K

同発艦方式で運用実績のあるMiG-29Kの後継機「MiG-35」が最も有利で、スキージャンプ台方式での運用実績がなく機体サイズが最も大きいF/A-18E/Fは候補に挙げられている3機種の中で最も不利だと予想されている。

そのためボーイングは昨年、F/A-18E/Fは「特別な変更」を加える事なくスキージャンプ台からの発艦が可能だというコンピュターシミュレーション結果を発表したのだが、これとは別に実際のスキージャンプ台を使用した発艦テストを海軍と共同で行うとボーイングが示唆、印メディアも今年8月にF-35Bの発艦テストを行うためメリーランド州のパタクセント・リバー海軍基地に設置されたスキージャンプ台を使用したテストが現在進行中だと言及していた。

要するに今回の発表は今年8月にパタクセント・リバー海軍基地で行われた検証結果であり、ボーイングはスキージャンプ方式の空母からF/A-18E/Fは安全に発艦可能だと主張している。

因みに空母で運用される艦載機は厳しい発艦重量の制限が存在するため常に搭載兵器と燃料のバランスで頭を悩ませることが多く、例えば訓練やパトロールなど軽装状態で運用される艦載機は機体のタンクを燃料で満たした状態でも発艦可能だが、実戦に参加する場合は機体のハードポイントにミサイルや爆弾を満載した状態で運用されるため、この状態の機体に燃料まで満載すれば総重量が発艦重量制限に引っかかてしまう。

そのため、こういった場合はミサイルや爆弾を減らすのではなく燃料を減らして総重量を発艦重量内に収め、一旦空母から発艦させた後に空中給油で不足する燃料を補給するという手段を用いることが多い。

この発艦重量制限を緩和するに役立つのがカタパルトやスキージャンプ台といった航空支援装置の存在で、レガシーホーネットを開発したマクドネル・ダグラスも冷戦時代にF/A-18A/Bを使用してスキージャンプ台(傾斜9度)からの発艦効果を検証した事があり、総重量14.8トンのF/A-18A/Bが離陸するには117.4mの離陸滑走距離が必要だがスキージャンプ台を使用すると離陸滑走距離が約半分で済むというデータが存在する。

出典:public domain スキージャンプ台を使用したテストを受けるF/A-18A/B

果たしてF/A-18E/Fは傾斜角14度のインド海軍空母ヴィクラントから発艦した場合、発艦重量制限はどの程度になるのか注目される。

関連記事:カタパルトは不要、F/A-18E/Fは空母から「スキージャンプ方式」で発艦可能

 

※アイキャッチ画像の出典:ボーイング

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 12月 22日

    米露の兵器は性能以前に政治的に住み分けが成されている。(それを言ってしまっては兵器なんて全部か。)

    過去にインドが核開発をした際、アメリカは制裁、ロシアは引き続き兵器を売却した。
    アラブ圏も似たような経験をした国も多いだろう。

    とにかくロシアは、ロシアに敵対しない限り見境なく兵器を売るのがある程度の兵器輸出に成功している理由の一つだろう。

    8
    • 匿名
    • 2020年 12月 22日

    インドの目指すところがまだ見えない
    現状の、導入兵器の繁雑な多国化を容認してるのは、最終的にすべてを国産でまかなう意思があるから過渡的としかみてないのか
    まさに悠久のインド時間概念

    3
      • 匿名
      • 2020年 12月 22日

      >最終的にすべてを国産でまかなう
      インド政府と産業界はそんな感じらしいね
      その為に兵器統一よりも技術移転や国内生産に積極的な候補を優先して採用すると

      まあ付き合わされる軍はたまったもんじゃないけどw(テジャス・・アージュン・・)

      4
      • 匿名
      • 2020年 12月 22日

      兵器調達先の多角化は非同盟運動・非同盟主義の影響だろうから。国産化と平行して続くと思うな。

    • 匿名
    • 2020年 12月 22日

    すでに箱(インド空母)が先にあるから傾斜角とか決まってるんだな

    2
    • 匿名
    • 2020年 12月 22日

    いつもカタパルトでスタイリッシュ発艦してるF18がスキージャンプ使うと後ろ姿がちと間抜けでかわいい

    4
    • 匿名
    • 2020年 12月 22日

    草すわけではないが、滑走距離は大丈夫なのかな。

    2
    • 匿名
    • 2020年 12月 22日

    F/A-18が離陸時方向舵を内側に向けてピッチアップに使うの、主脚が後ろすぎるための窮余の策だったと思ったけど、E/Fでもやってるんだな。何でE/F再設計時に修正しなかったんだろう。離陸時に方向舵で抵抗増やすなんてナンセンスだと思うけど。
    あとラファールMは縮めた前脚を発艦直前に伸ばして機首を上げスキージャンプ的効果を得る機構があるけど、スキージャンプ発艦時も使えるんだろうか。

      • 匿名
      • 2020年 12月 22日

      スキージャンプの時点で迎え角足りてるだろうから使う必要ないだろう。

      • 匿名
      • 2020年 12月 22日

      戦闘機はエンジンパワーで抵抗を生む飛行姿勢から無理矢理揚力を生み出しているようなものだしこれくらいはね。
      そもそも水平飛行時だって速度によって変わるけど迎角取るんだから常に抵抗作っているようなものだからねえ。
      ナンセンスってほどでもないかと。

      • 匿名
      • 2020年 12月 22日

      水平尾翼もバタついてるからジャンプ台に適応した離陸制御になってないんだろうね。
      迎え角の上昇はジャンプ台が外からやってくれるので自分でやる必要はないって前提で飛行制御ソフトのモード切替でもつけとけばもっと効率良く発艦出来そうだけど、とりあえず「できますよ」ってのを証明する試験だからあまり細かいとこは詰めてないんでしょ。

        • 匿名
        • 2020年 12月 22日

        水平尾翼パタパタするのはオートで姿勢制御してるからでしょ
        カタパルトで発艦直後もパタパタしてるよ

        4
    • 匿名
    • 2020年 12月 22日

    mig-29kで問題の部品供給はmig-35はクリアしているのかな?ロシア本国のmig-29kも同様の問題があるのならロシアとしてもmig-35艦載機型を採用して欲しいところだろうね。

    • 匿名
    • 2020年 12月 22日

    クイーンエリザベスでも出来るといいね。

    1
      • 匿名
      • 2020年 12月 22日

      QE級には着艦拘束装置が無い

      ところで、インド空母の着艦拘束装置って何処まで対応出来るのか?
      元がSu-33に対応した着艦拘束装置を作ったロシアだから、まあF/A-18E/Fにも対応する強度は有りそうだけれども

      1
    • 匿名
    • 2020年 12月 22日

    スキージャンプ式の空母から空中給油機(バディポット搭載機)を発艦させても
    給油任務ができるくらいの燃料を積んで離艦出来るものなんでしょうかね?

      • 匿名
      • 2020年 12月 23日

      軽くても1トン近い兵装を積まず、数トンは必要な戦場までの進出用燃料も全部給油に回せるんだからそりゃできるよ。
      ただでさえ扱える機数の少ない中型空母だと無視できないロスになるからカタパルト発進の方が望ましいってだけで。

      どこまで本当かわからんが、J-15だと無風でも離陸重量27トンまで可能らしいから、給油任務は十分可能だろうな。

    • 匿名
    • 2020年 12月 24日

    採用されてジャンプ台で運用されたらインド海軍のスパホはアメリカ海軍のより機体寿命伸びるのかな

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