米国のGeneral Atomics Aeronautical Systems(GA-ASI)はウクライナに「2機のMQ-9Aを1ドルで売却すると提案した」と報じられているが、この売却を実現するにはバイデン政権の承認が必要なため実現するは謎だ。
参考:U.S. Company Offers Advanced Drones to Ukraine for One Dollar, With Some Costs
GA-ASIは機体価格を1ドルにすることで「ウクライナとの直接取引条件を満たした」と言いたいのかもしれない
米国のGeneral Atomics Aeronautical Systems(GA-ASI)と駐米ウクライナ大使はMQ-9の調達について何ヶ月も協議を行い、バイデン政権もMQ-9よりも小型のMQ-1Cをウクライナに売却しようとしたが「MQ-1Cに搭載されたセンサーシステムがロシアの手に渡る可能性がある」と国防総省が異議を唱えたためMQ-9やMQ-1Cの売却は暗礁に乗り上げている。
ウクライナは大型のMQ-9を求めている理由を明かしていないが、MQ-9Bが搭載するMX-20はTB2のMX-15よりも一回り大型のEO/IRセンサーなので戦場監視能力が優れている可能性があり、TB2は見通し通信外の運用に通信中継機が必要だがMQ-9は衛星通信に対応しているため運用面で利点(その分コストがかかる)があるのだろう。
このMQ-9について「GA-ASIが2機のMQ-9A(L3Harris WESCAM製のMX-20ではなくレイセオン製のMTS-B搭載)を1ドルで売却できるとウクライナ側に提案した」とWJS紙が報じており、ウクライナはMQ-9Aの輸送準備費用、輸送コスト1,000万ドル、運用コスト年800万ドルを負担する必要があるらしい。
GA-ASIの提案を実現するためにはバイデン政権の承認が必要(GA-ASIは政府経由のFMSではなくウクライナとの直接取引を希望)で、国防総省が異議を唱える問題をクリアするにはセンサーシステムを含む機密部分をダウングレードする必要があり、このコストを誰が負担するのかは依然として不明なままだ。
因みに防衛装備品でも取引額が2,500万ドル以下の場合、議会の輸出承認が必要な対外有償軍事援助(FMS)や直接商業売却(DCS)を経由する必要がないため、GA-ASIは機体価格を1ドルにすることで「ウクライナとの直接取引条件を満たした」と言いたいのかもしれないが、米国の無人機取引はミサイル技術管理レジーム(MTCR)の制限を受けているため「ウクライナと直接取引を行う」というのは難しいかもしれない。
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おそらく本当に欲しいのはハーピーみたいな遠距離攻撃可能で、そこそこ弾頭威力があるドローンなんだろうけど、クリミア大橋届く兵器は無理だよなあ。
無人機でも、有人機でも良いのですが。
黒海艦隊とクリミア大橋をなんとかしなければ、ですね。
250lb爆弾では不足と思います。2000lb誘導爆弾が必要では。
MQ-9はハードポイント×6で、合計3750lbです。能力不足と思います。