ロイターは「KC-135後継機調達の入札からロッキード・マーティンは撤退した。LMXTに取り組むチームとリソースをNGASや他のプログラムに移管させる」と報じ、ボーイングがKC-46Aの追加契約を獲得する可能性が高まった。
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ボーイングにとって最高のニュース、KC-135の後継機入札からロッキード・マーティン
米国の上院と下院は独自の国防権限法(NDAA)を可決済みで、すり合わせ作業後に1本化された最終案が大統領のデスクに届けられる予定だが、下院にはKC-135退役に関連した条項が複数含まれており、これがNDAA最終案に生き残ると「KC-46Aの追加発注」が禁止され、次世代空中給油機(NGAS=以前はKC-Zと呼ばれていた)よりもKC-135の後継機(ブリッジタンカーもしくはKC-Yと呼ばれている)を優先することが法的に義務付けられる。
空軍はKC-135の後継機入札をパスしてKC-46Aの継続調達を行いたいのだが、議会は不具合や製造過程の品質問題でボーイングやKC-46Aを信用しておらず、下院バージョンのNDAAには「KC-46Aを予定されている179機を越えて調達することを禁止する条項」が含まれており、空軍がKC-46Aを継続調達するためには「ブリッジタンカーの入札を実施しなければならない」という意味だ。
NDAA最終案に下院の条項が生き残るかどうかはまだ不明だが、この入札に参加すると表明していたロッキード・マーティンは「空軍が計画しているNGASは目標に掲げている2035年より遅くなる可能性が高い=A330MRTTベースのLMXT採算割れ(最小100機)を狙ったブリッジタンカー削減(150機→75機)方針は無意味になる」と予想していたものの、ロイターは「KC-135後継機調達の入札からロッキード・マーティンは撤退した。LMXTに取り組むチームとリソースをNGASや他のプログラムに移管させる」と報じて注目を集めている。
KC-135の後継機調達でロッキード・マーティンと提携していたエアバスも23日「同社はKC-135の後継機調達に関する情報提供依頼書(RFI)に回答する予定で、A330US-MRTTは米空軍にとって信頼できる選択肢であり、手頃な価格、実証済みの性能、比類ない能力を提供するものだ」と述べたため、ロイターも米ディフェンス・メディアも「エアバスは単独で入札に応じる」「ボーイングがKC-46Aの追加契約を獲得する可能性が高まった」「ロッキード・マーティン撤退でボーイングの株価が1.7%上昇した」と報じているのが興味深い。
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※アイキャッチ画像の出典:Lockheed Martin
ボーイング救済策?
流石政治力で生き残ってきたボーイング
ロ「繋ぎの給油機なんて別にいいや、本命の給油機に本気出す」
って事ですか?
繋ぎの給油機に本気になってる、ボーイングへの止めが先延ばしになっただけじゃ…
母機の関係でA330なのには変わりなさそうなのが
すでにKC-46を運用してる日本にとっては、アメリカの調達数が増えれば
将来的なアップグレードや部品調達の面で不安が減るかな
そんなどこかの会社を狙い撃ちにするようなことまで議会で決められるとかアメリカって国はいかれてるな
まあ密室で決められる入札よりは公正……なのか?
機器導入の入札は、本命が落札できるように現場側から調整されているのがほとんどですよ。
値段だけでトンデモないものが落札されたら目も当てられませんから。