米国関連

ロッキード・マーティン、敵ミサイルを無力化するレーザー兵器の動画を公開

ロッキード・マーティンは14日、戦術空中レーザー兵器システム(Tactical Airborne Laser Weapon System:TALWS)のプロモーション動画を公開した。

参考:Lockheed Martin Tactical Airborne Laser Weapon System (TALWS)

敵のミサイルを無力化する戦術空中レーザー兵器システムは直ぐそこまでやって来ている?

これはロッキード・マーティンが開発している指向性エネルギー兵器のプロモーション動画で、どの様にレーザー兵器が戦場で役にたつのかを示したものだ。

動画の内容を簡単に説明すると、設定不明(恐らく黒海?)の上空を飛行していると思われる米空軍の空中給油機「KC-46A」を護衛するため2機のF-16Vが登場、同機は機体下部にはポッド式のレーザー兵器システムを携行しており、そこに敵艦(ロシアのフリゲート艦ぽい)が現れKC-46Aに向けて艦対空ミサイルを発射、さらにMiG-29もしくはMiG-35らしき戦闘機も接近してきて空対空ミサイルを発射する。

KC-46Aを護衛する2機のF-16Vはレーザー兵器システムを作動させ、ミサイルの誘導装置が搭載された部分にレーザーを照射して無力化すると言う内容だが、動画で登場したような航空機搭載用のポッド式レーザー兵器システムは実際には存在せず、未だ空想の産物でしかない。

米空軍研究所とロッキード・マーティンは共同で「自己防衛高エネルギーレーザー実証プログラム」を進めており、50kWの戦闘機搭載用のレーザー兵器システム「SHiELD(シールド)」を開発中だ。

このSHiELDは動画で登場したように敵のミサイルを無力化するための装置で、当初の予定では2021年に戦闘機に統合してデモンストレーションを実施する予定だったのだが、技術的な課題と新型コロナウイルスの影響でデモンストレーション実施を2023年に延期すると今年6月に発表、同プログラムを担当していたマイケル・グリフィン国防次官(現在は辞任して民間企業に転職)は「レーザーで敵のミサイルを無力化できるか非常に懐疑的」と語っており、現時点の技術レベルで実用化するのは不可能なのかもしれない。

ロッキード・マーティンはプロモーション動画のような未来が直ぐそこまでやって来ていると言っているが、果たして「直ぐそこ」とは10年後それとも20年後の未来を指しているのだろうか?

 

※アイキャッチ画像の出典:YouTubeで公開された動画のスクリーンショット

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コメント

    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    仮にレーザーとかの指向性エネルギー兵器で既存のミサイルを無力化できるようになったとして、その次に来るのはどういう戦場なんだろう

    耐レーザー能力を持ったミサイルが登場してあまり変わらないなか、はたまたドッグファイトの世界に逆戻りするのか

    4
      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      ドッグファイトには戻らんでしょうね。
      今は人一人の価値が随分上がりましたから。
      より抽象化してゆき、同時により高価な戦場になってゆくでしょう。

    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    ついに時代もここまできたかって感じ

    撃つときはFox4!なんだろうか

    2
      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      素直に「レイジング!」だったりして

      5
      • 匿名
      • 2020年 9月 17日

      「ビーム!!!」じゃないの?

      1
    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    またロッキードか
    ボーイングはなにしているのだろう?

    8
      • 匿名
      • 2020年 9月 17日

      上層部は逃げ支度かも?

      1
    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    しょっぼいCG。(構想も映像も)
    もし全く同じ発表を中国あたりがしたら、皆嘲笑するんだろうな。

    3
      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      そりゃあ信用度が違いますしおすし

      6
    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    今のレーザーは出力が低いからミサイルの光学センサーを潰す目的の方が現実的な気がする
    しかし、こういう話はSDI計画のレーザー兵器開発の泥沼を連想するなぁ
    あれは金ばっかりかかって全然使い物にならんかったけど今もそうなのかな?

    8
    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    相手もレーザー兵器開発してターゲットに撃つようになるだけでは?

    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    流石にこれは与太話
    これが近いうちに実用化できるんならこれよりサイズも重量もでかい艦載型レーザーがもう実用化してないとおかしい
    艦載型の目処もたってないのに遥かに小型化しなきゃいけない航空型が近い将来完成とかLMも吹かし過ぎだぞ

    15
      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      説得力抜群の反論で夢のある話を潰してくれて本当にありがとうございました。

      20
      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      ぐうの音も出ない
      でも身も蓋も無いから0点で

      8
      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      対艦ミサイルみたいな(半)徹甲弾を潰すより対空ミサイルの方が潰しやすいってのがあるのでは?
      まあ、それを差し引いても確かにふかしてんなとは思うけど。

      5
      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      スカンクワークスは2014年に「10年以内に小型核融合炉を実用化する」って言ってたんですよね
      そちらの開発に成功すれば、後はトントン拍子でレーザー兵器開発も進むかも

      1
        • 匿名
        • 2020年 9月 16日

        「小型核融合炉」諸共墜落したら大惨事

          • 匿名
          • 2020年 9月 16日

          核融合炉はどこぞのロボットアニメみたいな爆発はしないぞ
          破損しても内部のプラズマが急速に冷えて終わり

            • 匿名
            • 2020年 9月 16日

            近くに液体か個体がそれなりにあれば、水蒸気爆発的な現象が起こり得ると思います。
            プラズマは高温な上に、電力として回収できるエネルギー総量より、プラズマが内蔵するエネルギー総量の方が多い筈だから。

      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      艦載型はずっと搭載実験中だね

      4
      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      超音速の戦闘機ならミサイルのシーカーさえ潰せば回避は容易。
      でも低速な艦船だとそれじゃ不確実で、かといってミサイルそのものを迎撃するほどの高出力は難しい、ってのはない?

      あと、空対空だとスタンドオフミサイルは大概、真正面から来るので打ち落としやすいが、艦船だと360度カバーしなきゃいけないのがネックとかさ

      4
      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      本件がミサイルを破壊するほどのレーザー兵器のことだったらあなたの言う通りで与太話ってことでしょうが、ここではシーカーの無力化を謳ってるからねえ・・・。
      自分は管理人の感覚に一票かな。
      近い未来?20年後のことですか?って感じ。

      5
    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    ミノフスキー粒子、、

    3
      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      そ、それだ!

        • 匿名
        • 2020年 9月 16日

        アメリカがやっていれば
        当然対抗するものを中露も造っているでしょうね
        しかしまぁ、この手の技術は公表するものなのか隠匿秘密裏に配備しておくべきものなのか判断に苦しみますな

      • 匿名
      • 2020年 9月 17日

      半島の連中が言いそうなことを…。

    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    本当にプレゼンのような効果が出れば素晴らしいんだが、自機も相手も高速で移動している状態で数十キロ離れている小さなミサイルの一点に数秒間照射出来るとは思えない。
    それにエネルギー源はどうするんだろう、電子レーザーなら巨大な電力が必要になるし化学レーザーではオゾン層破壊が気になる。
    F-3のように高出力なAESAレーダーでミサイルや戦闘機のシーカーを破壊する方が早く実用化すると思う。
    それよりも10式戦車のFCSのように、目標の速度と自機の位置と機銃弾の速度を計算し目標の未来位置に機銃弾が散布するように自動射撃するほうが有効に思える。
    これならドッグファイトにも有用だし何よりソフトのアップデートだけで実現できる。
    相対速度が大きいから一発でもミサイルに当たれば完全に破壊できる。

      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      レーザーならロックオンした時点で命中するのでは

        • 匿名
        • 2020年 9月 16日

        その一瞬で破壊できるとでも? お互い数百キロ以上で動いている中でその一点にレーザーが向くよう何秒間か姿勢制御し続けるんだけど。

        1
          • 匿名
          • 2020年 9月 16日

          目の前を超音速で横切る訳ではないので追尾に係る角速度は微小ですよ。
          この程度ができないなら光学ディスクもDiscからデータを読み取れません。

          3
            • 匿名
            • 2020年 9月 16日

            あほか。どれだけの振動をキャンセルして1点に照射するんだ? 光学Diskは何百キロで飛んでるのか?

            • 匿名
            • 2020年 9月 16日

            横失です。
            ご自身で勝手にハードルを上げてそれを根拠に「無理だ」と力説されてる様に見えます。

            > 1点に照射するんだ?
            本当に光学ディスク読み取る訳じゃないんだから別に1点に照射しなくてもいいでしょう。
            「当てられてかつ効果を維持できる」程度に拡散させればいいだけの話。
            「100%当てる」必要も「連続で当てる」必要もないので振動も別にキャンセルする必要はありません。
            そして既に指摘されてる通り時速何百キロ何千キロで飛んでいようが自機に向かってきてるんだから、(仮に多少の迂回軌道・ランダム軌道を取ったとしても)角速度は微小です(「多少」ではない極端な軌道を取るのであればそれはそれで回避の機会が生まれます)。

            4
          • 匿名
          • 2020年 9月 16日

          まさか機銃での射撃みたいにミサイルに機体の軸線向けて当てるとでも思ってます?
          「照射システム側での照準補正」は既存技術で可能だし、そもそも数10km先ならレーザーを数cmに収斂させる方が大変ですよ。
          シーカー潰し目的ならそこまでピンポイントに照射しなくていいでしょう。

          4
          • 匿名
          • 2020年 9月 16日

          そんな簡単にロックオンから逃げらるなら、そもそもレーダー照射範囲から逃げられるし、ミサイル回避も余裕なのでは

          1
          • 匿名
          • 2020年 9月 16日

          つまり、Fire-and-forgetではないわけね。
          初期の空対空ミサイルと同じで、母機が回避できなくなると
          これなら、KC-46AやE-3にパルスレーザー機銃座を付けた方がいいかも。

            • 匿名
            • 2020年 9月 16日

            ?開発中の兵器なんだから設計次第、運用次第でしょ?
            前に向けて遠方で対応するのも一つの方法ですし、近距離用に後方に向けて拡散させるのもありでしょう。
            例えば光学手ブレ補正程度の機構とかでも数度くらいの照射角変更は十分可能な訳で、用途次第で何とでもやり方はあるかと思います。
            現時点では無理でも我が国としては15年(できれば10年)以内に実用化出来れば十分な訳ですし。

      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      エネルギー源については「50kWの戦闘機搭載用のレーザー兵器システム」となってるから
      XF9やRRのアドバンス1 の様な将来を想定したエンジンなら十分賄えるかと。
      到達も光速、観測も光速だから「連続して3秒当てる」のは難しいかもしれないけど「10秒中5秒当てる」とかなら十分できるし、それで同等の効果は出せるはず。
      高高度なら大気や雲の影響も少ないですし。

      少なくとも光学系シーカー潰しには使えるんじゃないかな。
      他の防御手段と併用すれば一定の効果は見込める気がします。

      3
      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      素人考えですが、誘導用のフィンは比較的薄いのでそこに傷をつけるだけでも命中率は下がりませんか?

      1
        • 匿名
        • 2020年 9月 16日

        フィンが狙える精度と傷がつけられる出力があるならもはや完璧な兵器じゃん

          • 匿名
          • 2020年 9月 17日

          その通りですね。
          甘くはないですねー。

      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      >それよりも10式戦車のFCSのように、目標の速度と自機の位置と機銃弾の速度を計算し目標の未来位置に機銃弾が散布するように自動射撃するほうが有効に思える。
      「有効射程1kmあるかないかの戦闘機の固定機銃でミサイルの未来位置に機銃弾を散布する」
      それを有人機でやれ、って本気で言ってます?

    • HY
    • 2020年 9月 16日

     旅客機ベースの機体に搭載するならともかく、戦闘機に搭載するのなら主にエネルギー面で相当なブレイクスルーが必要です。それがなかったらカメラのフラッシュのように一瞬の照射しかできず、対空ミサイルを降ろしてまで装備する有効性が示せません。もっとも、だからこそ米空軍は「自衛用小型ミサイル」にも投資しているのでしょう。

    2
      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      >50kWの戦闘機搭載用のレーザー兵器システム
      との事ですので現用機では厳しいかもですが、現在開発中・構想中の戦闘機(K-FXを除く)であれば問題ないのでは。
      もちろん「その程度の電力で実用に足る出力が得られるのか」という根本的な課題をクリアできればの話ではありますがり

    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    これって具体的に何で何を破壊するんだろう?
    フィクションで見るような「焼き切るレーザー」なんてまだ想像のレベルの話だろうし。
    ミサイルに搭載されたコンピュータを熱で破壊?周波数とかでバグらせる?
    ロケット燃料を発火させる?熱で構造体強度を下げて自壊させるとか?
    ひょっとして着弾(着光?)面積とかが語られる世界になるのかな

    2
    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    実用化の二歩手前くらいに聞いとけばいいんじゃないの。
    その二歩が短いか案外遠いか、いずれにせよ到達できる範囲までは来てるんだね

    5
    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    自分が気にしてるのは高度2万メートル以上の大気が薄い状況での運用
    大気が薄い分減衰が少ないからより低出力でも効果的なはず
    ただレーザーだと熱エネルギーにしかならないから相手がヒートシールド装備してたらどうにもならない気がしてきた

    2
    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    よし
    ミサイルのシーカーにサングラスを掛けよう😎

    1
      • 匿名
      • 2020年 9月 17日

      本体にアルミを巻いてあげて

    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    これって護衛の戦闘機に載せるより空中給油機とか早期警戒機に直接搭載した方が良さそうな気が

    2
    • 匿名
    • 2020年 9月 16日

    シーカーやレドームを加熱して電波・光波を受信できなくするんじゃなくて、誘導部分を外から加熱して
    LSIを熱暴走させる方式なんだな。

    対流・輻射熱でBANするには時間が足りないような気がしないでもない。
    素直にシーカー・レドームを加熱しちゃいかんのか?

      • 匿名
      • 2020年 9月 16日

      エネルギー密度が上がれば、その可能性が出てくるかも。

    • 匿名
    • 2020年 9月 17日

    日本はハイパーマイクロウェーブや電波妨害でミサイルやっつけようぜ!

    • 匿名
    • 2020年 9月 18日

    実際にはアニメとは違って、発射音もなく肉眼でも見えないだろうね、光線砲
    見物人としてはさびしいよ

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