米国関連

水上航行モードと半潜水モードに対応したUSVが登場、マイクロUSVも搭載

Metal SharkはSea Air Space 2024で半潜水型USV「Prowler」を発表、センサーと通信装置を搭載したマストのみを海上に残す半潜水モードで当該海域を徘徊することができ、極めつけは搭載したマイクロUSV「Frenzy」を発射することで認識力を更に拡張できる。

参考:METAL SHARK DEBUTS AUTONOMOUS, AMPHIBIOUS, SEMI-SUBMERSIBLE “PROWLER” MILITARY USV AND “FRENZY” MICRO-USV
参考:Metal Shark Unveils ‘Prowler’ Military USV And ‘Frenzy’ Micro-USV

どんな環境下でも使用できるというモノではないが、海上の非対称戦は確実に現実のものになろうとしている

Metal Sharkは米海兵隊向けに長距離無人水上艦(LRUSV)を開発中で、このUSVについて米海兵隊は「海上・陸上の目標を正確に破壊できる徘徊型弾薬を運搬可能な半自律タイプの艦艇で、主にISR任務のプラットホームとして機能する」と説明、2023年5月にHero-120ランチャー(8発装填)を搭載したLRUSVを披露して注目を集めたが、8日に開幕したSea Air Space 2024で半潜水型USV「Prowler」を発表した。

このProwlerは水上無人艇として海上を航行(最大速度35ノット/航続距離500海里/ペイロード1,000ポンド)し、当該海域に到達すると半潜水モード=センサーと通信装置を搭載したマストのみを海上に残す半潜水モードで当該海域を徘徊(最長1週間)することができ、極めつけは搭載したマイクロUSV「Frenzy」を発射することで認識力を更に拡張できる。

要するにFrenzyとProwlerの関係性は「大型UAVから空中発射される小型UAV」に似ており、FrenzyもProwlerも半潜水状態で徘徊できるため敵に見つかりにくく、味方に視覚的な戦場認識力を提供してくれるという寸法だ。

UAVと同様にFrenzyやProwlerの運用も気象条件の影響を受けるため、どんな環境下でも使用できるというモノではないが、海上の非対称戦は確実に現実のものになろうとしている。

関連記事:米海軍も消耗可能な攻撃用USVをテスト、伝統的な海上戦力に対する非対称戦
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関連記事:米海兵隊、イスラエル製の徘徊型弾薬を搭載した無人艇LRUSVを公開

 

※アイキャッチ画像の出典:Metal Shark

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コメント

    • ブルーピーコック
    • 2024年 4月 10日

    フレンジー、イジェークト!するのか。
    ゴーストフリート・オーバーロードは順調と見て良いのかな。普通のフリゲートから上の艦艇はグダグダしてるっぽいが。

    3
    • すえすえ
    • 2024年 4月 10日

    こいつらみたいな奴らの検出手段をなんとかしないといざというときに痛い目見るなぁ
    検出できれば艦砲とかでも対応できそうだけど
    ミサイルで対応はコスパ悪そうだし

    26
    • 無印
    • 2024年 4月 10日

    海自が構想してる戦闘支援型多目的USVを実用化したらこんな感じなんだろうか
    海自の方は「戦闘支援」ってあるからガチ戦闘も想定しているっぽいですが

    11
      • 名無し3
      • 2024年 4月 10日

      むしろ長期運用形UUV+海洋状況監視モジュールだな
      どうせマストを出すならレンジエクステンダーというか発電ユニットも追加してしまえばいい

      3
      • バーナーキング
      • 2024年 4月 10日

      むしろ戦闘「支援」ってのは自分でミサイルや魚雷は撃たない、って意味の観測やアクティブソナー、デコイその他諸々のことじゃないでしょうか。

      4
        • ネコ歩き
        • 2024年 4月 10日

        事前の事業評価書には
        >警戒監視や対艦ミサイル発射等の機能を選択的に搭載し、有人艦艇を支援する
        >ステルス性を有したUSVの基盤技術を獲得する
        >我が国は、人的損耗を局限しつつ任務を遂行するため、既存の装備体系・人員配
        >置を見直しつつ、各種無人アセットを早期に整備する方針であり、艦艇と連携し、
        >効果的に各種作戦運用が可能なUSVを開発・整備する予定である。
        とありますし、運用構想図では彼潜水艦に対し短魚雷らしきものを撃っています。
        「人員損耗を極限しつつ任務を遂行する」支援には敵艦艇攻撃を含む構想のようです。

        5
          • バーナーキング
          • 2024年 4月 12日

          あら本当だ。とはいえ

          >対艦ミサイル発射等の機能を選択的に搭載し

          って「やろうと思えばシューターくらいはやれますよ」程度の話に見えますので、やっぱり「ガチ戦闘を想定してる」とは思えないですが。

    • 58式素人
    • 2024年 4月 10日

    対抗手段が必要でしょうね。
    別件とはなりますが、フーシ派の自爆UAV /USV対策も兼ねて。
    警戒/索敵は交代で常時滞空するUAVに任せて。
    攻撃は超小型のジェット機が良いのでは。
    昔のドイツのHe162やP.13aのサイズで。有人/無人兼用で。
    センサーはIRSTのみ、またはF6F-3EのAN/APS-4のような物で。
    武装はM2重機×2と、必要に応じハイドラ70/APKWSとRAMをAAM化して。
    監視用UAV共々、運用に小型の護衛空母が必要でしょうか。
    こういう想像は楽しいですね。

    7
      • マイクのテスト中
      • 2024年 4月 10日

      UAVは高所にあり速度も速いから 推力は要らないんじゃないですかね?小直径爆弾で十分やれそう
      バイラクタルがもろピッタリ

      そして対抗するためにUSVにもIRSTとMANPADSベースの対空ミサイルを積んで…
      イタチごっこ不可避
      IRSTなら電波出さないしこれを海上から徘徊させたらステルスキラーになれるか?流石に索敵距離が足りないか

    • 航空太郎
    • 2024年 4月 10日

    マイクロUSVは母船との無線通信が発生するので、その存在を察知することは簡単そうですね。マイクロUSVに搭載できる出力で水中音波通信を長距離で行うのは無理でしょうし。ただ衛星通信経由となると上方だけに向けて電波を指向して出せばよいので、それを狙われている艦艇側で察知するのは大変そう。

    それにしても、大量の警戒ドローンを周囲に飛ばして自動警戒するような仕組みをどの艦艇でも搭載するようにしないとならない、凄い時代がもう目の前まで来てますね。チープキルされないためにも。

    11
    • ネコ歩き
    • 2024年 4月 10日

    対潜望鏡レーダのような広域の水上小物体を検知できる装備と、その検知位置に急行し速やかに映像視認・識別・脅威度を判定、必要なら攻撃できるドローンとの組み合わせとかが現実的じゃないでしょうか。

    3
      • あへ
      • 2024年 4月 10日

      あさひ(OPS-48)やもがみ(OPY-2)が装備してるような高度な対水上レーダーは今後必須装備になりそうですね・・・
      航空アセットに関しては海自は西側では米国に次ぐレベルで哨戒ヘリ運用能力はあるものの、24時間哨戒は余りにも負担が大きく、ヘリもUAVも荒天では中々運用がし辛いので艦艇自身の探知能力を高めるのが現状一番効率的かな?
      ソナーではどのレベルで捉えられるのか・・・

      1
        • kitty
        • 2024年 4月 11日

        もがみ型には、せっかくの「水上艦艇用機関銃架(遠隔操作型)」が搭載されているのに、開発時に比較検討した20mmから12.7mmになり、「レーザー測距装置や自動追尾装置、映像記録機能などを省略」なのが不安。
        OAX-3との連携ができているから大丈夫という判断なんでしょうか。

          • あへ
          • 2024年 4月 12日

          OAX-3は一応固定式併せて全周警戒ができるが、結局レーザー測距機が載ってる回転式は1個しか無いので全周防御の面では不安がありますね
          最悪RAMの水上発射でもさせるのかな?

    • T.T
    • 2024年 4月 10日

    山岳地帯では運用出来ないとか、密林では運用出来ないとか、外洋では運用出来ないとか、南洋では運用出来ないとか、人間否定するのは得意なんですよね。どれもこれも、結局技術的に解決されるから単にやる気の問題だったりしたから、いずれはね・・・

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