ボーイングはF/A-18E/F BlockIIIのコンフォーマル・フューエル・タンク(CFT)について「国際的な顧客に提供可能だ」と明かしたが、今年1月に発覚したCFTの欠陥が解消したのかについては謎のままだ。
参考:Boeing offers update on Super Hornet CFTs; T-7A ‘wing-rock’ fix
F/A-18E/F BlockIIIのCFT欠陥問題が解消されたのかは不明だが、国際的な顧客にCFTを提供可能だと主張するボーイング
米海軍が今後導入を進めていくF/A-18E/Fの最新バージョン「BlockIII」には幾つもの新しいアップグレード項目が含まれており、その主要項目の中にはF/A-18E/Fの作戦範囲を拡張させるコンフォーマル・フューエル・タンク(CFT)への対応が含まれている。
補足:米海軍のBlockIII新造機調達は予算の関係で打ち切り濃厚だが、既存のBlockII→BlockIIIへのアップグレードは維持される予定だ。
BlockIIIはレーダーで発見するのが困難なステルス機の検出、ミッションによっては敵に発見される可能性を最大限小さくするためレーダーの使用を極力控えたい場合の代替センサーとして赤外線捜索追尾(IRST)システムを新たに採用しており、このIRSTはロシア製戦闘機のように機体内に内蔵するのではなく機体下部中央に搭載する増槽に組み込む形で追加されるため本増槽の燃料は480ガロン→330ガロンに減少、これを補いF/A-18E/Fの作戦範囲をBlockIIよりも拡張させるのがCFTの追加だ。

出典:ボーイング F/A-18E/F BlockIII
具体的に言うとBlockIIはAIM-9×2発、AIM-120×2発、2,000ポンド爆弾×2発、胴体下部に480ガロン入りの増槽を携行することで594海里/1,100kmの作戦半径を確保、しかしBlockIIIは515ガロン入りのCFTを胴体中央の左右に追加するとIRST内蔵増槽を使用しても作戦半径が714海里/1,322kmまで拡張できるとボーイングは説明していたが、BlockIIIのプロトタイプを空母でテストしていた米海軍は「CFTに深刻な欠陥が見つかった」と明かしてBlockIIIからCFTを除外することも検討していると今年1月にAviation Weekが報じていた。
CFTの欠陥自体について詳細は明かされておらず続報も全くないので詳細は不明だが、唯一判明しているのは「CFTに関するテストが今年1月に停止されたまま再開していない」という点で、今年9月に引き渡された新規製造のBlockIII構成機もCFTを搭載しないまま運用されているらしい。
つまりCFTの運用が躓いたままIRST内蔵増槽を使用するとBlockIIIの作戦半径はBlockIIを下回ることになるという意味で、米海軍やクウェート空軍向けのBlockIII(厳密に言うとクウェート空軍向けのF/A-18E/FはBlockIIIではなくBlockIIとBlockIIIの中間構成でBlockIIIの要素を幾つか採用しておりCFTを使用するのに必要な燃料配管が施されているらしい)運用に支障きたすだけではなくカナダ、フィンランド、インドなどに提案中のBlockIIIも競争力に傷がつくためボーイングにとっては死活問題になる可能性を秘めていたが「BlockIIIのCFTは国際的顧客に提供可能だ」とボーイングが明らかにして注目を集めている。

出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 2nd Class Haydn N. Smith
ボーイングの説明によればBlockIII(クウェート空軍向けのF/A-18E/Fも該当する)はCFTを使用するのに必要な燃料配管が施されているため、国際的な顧客(クウェート空軍やBlockIIIを提案している国)にもCFTを提供可能だと説明しており、これが事実ならCFTの欠陥が解消したのかCFTの欠陥は空母運用時のみに作用する=陸上運用では問題ないという意味なのだろう。
ただインドに提案しているBlockIIIは海軍が空母で運用することを前提にしているため、CFTの欠陥問題を解消しない限り今後も後を引くことになることが予想される。
因みにBlockIIIの競合相手であるフランスのラファールは「近々インド国内の試験施設でスキージャンプ台による発艦テストを行う」とインドメディアが報じているので、CFTの欠陥問題が長引くほど不利になるのかもしれない。
あとT-7Aの欠陥=高迎角で飛行中にロール軸が不安定になる設計上の問題は修正され解消されたとボーイングは発表している。
関連記事:青ざめるボーイング、テスト中のF/A-18E/F BlockIIIに深刻な欠陥
関連記事:米空軍の次期訓練機T-7A、設計上の問題に対応するためフルレート生産を1年延期
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Navy photo by Mass Communication Specialist 3rd Class Isaiah William
発射時の振動で配管がはずれるとか?
>CFTの欠陥は空母運用時のみに作用する=陸上運用では問題ないという意味なのだろう。
とあるから、発艦か着艦の衝撃で何らかの不具合が起きるんだろうなとは思われる。
CFT付与したりステルス機検知能力上げたところで中国海軍のJ15や空軍のJ11に劣ることには変わりないのに、米海軍航空隊は何と戦うつもりでFA-18EFをアップグレードしてるんだ
何を根拠に?
F-35はなんでもできるわけじゃないからF-35にできないことをやるためじゃないの
空軍でいうところのF-15EX(任務的にはF-16も?)ポジションかな。
ステルス形態のF-35Cより兵装積めるしね。
あとはF-35Cの機体寿命節約の為に、CAPや安価な対地・対艦ミッションの肩代わりとか。
これは、議会からの強制だよ
海軍はF/A-18はいらないっていってるのに、議会が配備を強制してきた
この配備の強制は、海軍作戦部長や幹部将校が公然と批判してる
海軍上層部が批判してるのはブロック3の新規調達分の事でブロック2からアップグレードは否定していないよ
CFTを装着するのは新造のブロック3だけじゃなかった?
ブロック2の改修機は配管が付いてなかったような
今でこそF-35は認められつつあるけど数年前までは炎上中だったから、比較的順調なFA-18EFをさらに発展させるのは仕方なかったとも言える。
そして対テロ作戦ではF/A-18でも能力が足りていたからねぇ。
そういえばBlockIIIってエンジンはF414-EPEに換装されたのでしたっけ?
してなくて見送りのはず
あらそれは残念。
じゃあCFT積む分(加速・上昇力の面で)更に鈍足になるのか…
ボーイングの経営を心配すべきじゃないかな。
株価は冴えないし、ボーイングがコメしても、マーケットはほとんど無視しているね。
やはりボーイングは苦しい経営を強いられいるようですね。
ボーイング2期ぶり赤字 リンク
しかしいつまでF/A18を使い続ける気なのだろうか、F-35Cでは完全に代替えするのは不可能らしいし。
新車が開発できずに業績が悪化した日産自動車を連想してしまう、次期艦載機の噂も聞こえてこない。
他人ごとながら心配になる、しっかりしてくれアメリカさん。
空母打撃群自体の運用方針が定まってないんじゃね?なんでどういう飛行機を用意したらいいか決まらんと。
いや35C諦めてボ製でFAXXとか言うてるのが海軍やろ
ちなみに日産は中国ではシルフィ、北米欧州ではローグキャシュカイマキシマとBセグはちゃんとマイクラが新しくなっててノートとセレナだけが商材の日本市場とは違うよ
アリア売る売る詐欺は相変わらずだけどね
やたら重心上がる部分で発着時に問題起こすんだろうが根本解決できるんか?
重心の移動等による空力特性変化はFBWで補正できる。
FBWで補正できるのは当たり前だが操舵でどうにかなる範囲だけだよ。
フォードで試験してたのかな。既存の蒸気カタパルトで問題が起きるなら原因の切り分けできる。陸上運用やスキージャンプで問題起きないと考えているなら、単純に蒸気カタパルト発艦問題の可能性が高い。
そもそもの疑問なんだが「IRST内蔵増槽」って事は増槽なのに投棄できないの?
高価すぎて透過許可なんて出ないとすると飛行性能低下は避けれないし、
投棄したら今度は戦闘性能が低下するのでは?
そもそもが仕様欠陥な気がするが
機首部分は他の電子機器で、もういっぱいいっぱいだから内蔵増槽にするしかない。
胴体中心部の装着なら大して性能低下しないだろう。