米空軍の次期高等訓練機に採用が決定してる「ボーイングTK」の正式名称が「T-7Aレッドホーク」に決定した。
参考:Air Force announces newest Red Tail: ‘T-7A Red Hawk’
T-7A レッドホークという名称は、タスキーギエアメンに由来
米空軍は、1960年代から訓練機として使用し続けているノースロップ(現在のノースロップ・グラマン)製のT-38「タロン」を更新するため、各社に新しい訓練機の提案を求めた結果、米国のボーイング社と、戦闘機「グリペン」で有名なサーブ社が共同で開発した案(便宜上、ボーイングTK)が採用されることになった。
採用が決まった後も、空軍の要求を反映させるため開発が続いていたが、最近になって、この新型高等訓練機の正式な名称が「T-7Aレッドホーク」に決まった。
レッドホークという名前は、米国のアラバマ州にあったタスキーギ訓練基地で訓練を受けた、アフリカ系米国人のみで構成され「タスキーギエアメン」と呼ばれた米国陸軍航空隊の第99戦闘飛行隊、第332戦闘飛行大隊、第477戦闘飛行大隊に由来し、タスキーギエアメンらは尾翼を赤く塗り上げた「P-47 サンダーボルト」や「P-51 マスタング」に乗り込み、欧州戦線で大型爆撃機の護衛役として活躍を続けた。
そのため彼らの機体は「レッドテール」と呼ばれるようになり、今でも空軍のレッドテールと呼ばれる部隊では、尾翼を赤く塗り上げる伝統は受け継がれている。
空軍参謀総長のデービッド・ゴールドファイン大将は「T-7Aレッドホーク」について、T-38とF-35は昼と夜ほどの違いが有るが、T-7とF-35にはそこまでの違いがなく、これは非常に重要な要素だと述べた。
ボーイングは「T-7Aレッドホーク」を、航空自衛隊へ売り込むことを表明しており、日本にとっても無関係な存在ではない。
現在、航空自衛隊は国産の川崎T-4中等訓練機を運用中で、T-4で訓練の終わった新人パイロットは、F-15やF-2の複座タイプを使用し訓練を続けていくことになるが、現在、導入中のF-35には複座タイプが存在しないため、F-35への機種転換訓練は、主に地上シミュレーターを使用し行われることになる。
しかしF-35が採用する、最新のグラスコックピットの操作に対応するには、実機ではなく訓練機の段階で、グラスコックピットの操作に慣れておくのが最も理想的だ。
日本はF-35を計147機(A型105機、B型42機)も導入するので、素直に「T-7Aレッドホーク」を導入してしまうの一つの手だが、国内の航空産業のことを考えると、どちらの手を挙げるのが正解なのか、非常に迷ってしまうところだが、T-7Aレッドホークは、1機20億円程度で、国産開発したT-4は1機あたり約30億円ほどした事を考えると、国産開発に価格的なメリットはなさそうだ。
果たして、尾翼を赤く塗り上げた「T-7Aレッドホーク」が日本の空を飛ぶ日が来るのだろうか?
※アイキャッチ画像の出典:Photo by: U.S. Air Force
個人的には、空自のT-4導入時期がF-3の開発・調達時期とバッティングする可能性があると思うので、ボーイングT-7A採用はアリだと考えるが、そうなると、現在空自が使っている初級練習機T-7(SUBARU製)と制式番号が被ってしまうんだよね。
実際、T-7採用当時の国産練習機の制式番号は海自のT-5が一番新しかったので、「T-6」になる可能性があったのだけど、防衛省は「T-6だと空自草創期に使っていた『T-6テキサン』練習機と被るから、書類上混同されて不味い」と考えて、番号を飛ばしたと言う説があるので、その辺をどうするのか興味がある。
訂正とお詫びです。
コメントの冒頭で「空自のT-4導入時期がF-3の開発・調達時期とバッティングする可能性がある」と書きましたが、これは「T-4導入時期→T-4後継機の導入時期」の誤りですので、この場をお借りしてお詫び申し上げます。
練習機も是非国産でお願いしたい。国内産業発展の良い機会です
それにボーイングの飛行機って最近ちょっとアレだし…
上のコメントにも有るが、T-4後継機はF-3開発時期とバッティングする可能性が高い
国産で練習機を開発・製造する最大の意義は、国産戦闘機開発・生産能力の取得と維持に有るので、本命の国産戦闘機が開発・生産できるのならば不要で、むしろ国内航空機技術者の層の薄さを考えれば多忙で余裕が無くマイナスにすらなりうる
アメリカ海軍航空隊の艦上練習機は「T-45 ゴスホーク」でホークつながりですが、グラスコックピット化してるとはいえこちらも30年経過しているのでそろそろリプレースですね。
BAe原型/マクダネル・ダグラス製造の機体なので、マクダネル・ダグラスを吸収合併したボーイングとしては艦上練習機もレッドホークの艦上型で売り込みたいところでしょう。
どこにオカネが回るかを考えたなら金額で比較するのは間違いです。
ロックウェルからノースアメリカン部門はボーイングに売却済みだった。
極論だけどT-4をグラスコクピット化したやつの再生産で時間を稼いでもいいわけで、練習機を輸入・ライセンス生産するメリットが思いつかない。
タロン自体グラスコックピット化させて使い続けていたがそれではF-35に搭載されている最新のグラスコクピットの操作習熟には不十分だったという事がある
だからT-4を単にグラスコックピットにすればOKなんて簡単な話ではないし、F-35のコックピットを模造するなんて論外だし
T-4をグラスコクピット化すればOKとは言っていない。
日本の練習機が新規開発で間に合わないくらい早く必要ならばT-4のグラスコクピット化で時間を稼ぎ、その間に新しく開発すればいい。
その頃になればF-3(仮)も出て来ているだろうからF-35だけに対応すれば良い訳ではないので。
そもこんなところで(戦闘機に比べれば)わずかばかりの金を節約しても仕方がない
とにかくアメリカと一緒がいいと思考停止したい人たちは別としても
>本命の国産戦闘機が開発・生産できるのならば不要で、むしろ国内航空機技術者の層の薄さを考えれば多忙で余裕が無くマイナスにすらなりうる
そんなことはない。
そも、今でさえ輸入が増えてるんだからそれで相殺される。
かっては一応5~7割のライセンス生産がF35で4割になって後で増えるかと思ったらゼロになった
それで練習機まで輸入になれば仮に国内開発がうまくいったとして単純な市場規模は激減する(=民間で養える技術者・技能者が激減する)かその分単価は高くなってしまう
T-7購入がF-3単独開発の免罪符になるなら幾らでも導入すればいいさ。
どうせ今回も米国に美味しいところをもってかれちゃうんだろうな。
空自も海自も練習機は国産でやってきましたが、F-35は先進グラスコックピット、機体透過型HMD、フライバイワイヤ(FBW)、サイドスティック、単座の機体なのでT-4からシミュレータで済ませる、というのでは不足するのは確かです。
とはいえ、ボーイングT-7A並みのハード、ソフトウェアを備えた機体を日本で開発できるか、という問題はあって、亜音速・中等練習機であるT-4で訓練した後、高等練習機として数十機のボーイングT-7A、F-35とステップアップしていくのが現実的かもしれません。
そのあとF-3と同時期のT-4のリプレースまでにF-3の要素技術を共有した中等・高等練習機を開発するのが国産練習機を活かす道でしょう
ボーイングT-7Aのブルーインパルスやレッドアローズはちょっと見てみたいですが、F404はうるさいので入間では問題になりそうですが
先日小松基地航空祭でF-15JにF-16がアフターバーナーガン回しで飛び回ってたけど、アレよりもうるさいん?(人口密度無視)