KC-46Aの追加発注が禁止される可能性がある米空軍は「9月末までにKC-135後継機に関する正式な情報提供依頼書(RFI)」を発行すると発表、ブリッジタンカーの契約を巡ってKC-46AとLMXTが激突する見込みだ。
参考:RFI for next round of Air Force tanker buy projected for end of September: USAF official
2025年の入札時点で提示できる「信頼性」や「将来性」の面でLMXTはKC-46Aを上回っている可能性が高い
米国の上院と下院は独自の国防権限法(NDAA)を可決済みで、8月の夏休暇を終えて議会が再開されれば上院案と下院案のすり合わせ作業が本格化し、1本化されたNDAA最終案が大統領のデスクに届けられる予定だが、下院にはKC-135退役に関連した条項が複数含まれており、これがNDAA最終案に生き残ると「KC-46Aの追加発注」が禁止され、次世代空中給油機(NGAS=以前はKC-Zと呼ばれていた)よりもKC-135の後継機(ブリッジタンカーもしくはKC-Yと呼ばれている)を優先することが法的に義務付けられる。
要するに空軍はKC-135の後継機入札をパスしてKC-46Aの継続調達を行いたいのだが、議会は不具合や製造過程の品質問題でボーイングやKC-46Aを信用しておらず、下院バージョンのNDAAには「KC-46Aを予定されている179機を越えて調達することを禁止する条項」が含まれており、空軍がKC-46Aを継続調達するためには「ブリッジタンカーの入札を実施しなければならない」という意味だ。
まだNDAA最終案に下院の条項が生き残るかどうかは不明だが、空軍は「9月末までにKC-135後継機に関する正式な情報提供依頼書(RFI)」を発行すると発表、この入札に参加すると表明していたロッキード・マーティンは「空軍が計画しているNGASは目標に掲げている2035年より遅くなる可能性が高い=LMXTの採算割れ(最小100機)を狙ったブリッジタンカー削減(150機→75機)方針は無意味になる」と予想している。
最終的な入札要件は2024年の第3四半期頃に決定される予定なので「2025年の入札実施」が濃厚で、RVS2.0搭載のKC-46Aと自動空中給油システム搭載のLMXTがKC-135後継機の座を争うことになるだろう。
2025年の入札時点で提示できる「信頼性」や「将来性」の面でLMXTはKC-46Aを上回っている可能性が高く、ロッキード・マーティンでLMXTプログラムを担当するラリー・ギャロリー氏は「ブリッジタンカーに求められる最優先事項は運搬できる燃料(飛行用燃料と給油用燃料の合計)の総量だ」と主張、空軍が台湾海峡を想定した中国との戦い焦点を当てているため「支援基地から遠く離れた戦場に航空戦力を投入するためには大量の燃料を効率よく運搬できる空中給油機が必要になる」と述べている。
ロッキード・マーティンが提案するLMXTは追加燃料タンクを2つ増設することでオリジナルのA330MRTT(111トン)よりも多い135トンの燃料を一度に運搬できるため、もしロッキード・マーティンが主張した通り空軍がブリッジタンカーに燃料の運搬能力を求めるとKC-46(最大燃料搭載量96トン)では到底太刀打ちできそうもない。
関連記事:米空軍のブリッジタンカー受注に自信満々のロッキード、不安要素しかないボーイング
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※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Senior Airman Skyler Combs
性能までlmxtに負けてるんか…
利権が育てた悲しきモンスターだろ
ボーイング「なるほどLMXTは優秀だ。しかし我々には仲間(議員)がいる!!みんなの力を合わせれば勝てるぞ!!」
その議員連中が不満でひっくり返そうという話しなんだが
ま…まだ空軍内に仲間がいるから…(震え声)
ぶっちゃけ政治力以外の全てが
ブリッジタンカーに負けてね?
遂に米空軍も根負けしてブリッジタンカー=LMXTの採用に一歩踏み出した感じですね
因みに、日本は1980年代にB767の生産に関与してからB777・787と約40年にも渡ってボーイング製大型旅客機の部品生産を続けて来た経緯から、日本の大手航空会社は2013年に経営再建を進めていたJALがA350XWBを採用するまでの間、ずっとB767・777・787を採用し続け(A330を破綻前のスカイマークしか採用しなかったのはこの為)、空自もその流れで空中給油機はKC-767とKC-46Aになっていた訳ですが、今になってボーイングべったりの政策が裏目に出たと言う訳です
それ以前にA330MRTTがでかすぎて日本では運用できない
A330MRTTの全幅がKC-767系統に比べ10mも長く、多くの地方空港の設備で問題が発生する。
さらに空自はKCを輸送機として多用しているため海外派遣の時の受け入れ空港の選択で問題が起きる。
>米国の上院と下院は独自の国防権限法(NDAA)を可決済みで、8月の夏休暇を終えて議会が再開されれば上院案と下院案のすり合わせ作業が本格化し、1本化されたNDAA最終案が大統領のデスクに届けられる予定だが
9月には尽きるとされていた大統領裁量のウクライナ支援予算だが
あらたな国防権限法でおかわりくるな
これだけウクライナ支援に使わなければならないと義務付けられる
白紙小切手が嫌ならレンドリース使えってなるだろな
使わないだろうけど
それでもww2のレンドリースも結局大幅に値引きだったけど
政府専用機の747が、民間航空会社での747退役に伴い整備面に問題が発生しましたが、
民間航空会社が運用している767なら整備コスト削減できるって理由で今更767で大丈夫なんですかね
旅客機の寿命を考えると自衛隊の軍用機よりはやく退役することになると思いますがその後はどうするのか
民間航空会社での運用を採用理由にするなら日米共同でKC-787を開発すればいいのに
枯れてなきゃ軍用機に向かないといわれそうですが枯れすぎたら民間航空会社からは退役しちゃいますよ
ラインの都合もあるからね。
民間で売れなくなったの転用してるからそりゃそうなる。
元々KC-135やE-3もB-707の軍用型なので、民間需要がある程度終息した時点で製造ラインを軍用に回す、というのが今の情勢下の定番じゃないでしょうか。
B-777やB-787は民間貨物用のF型の需要も十分ありますから、空中給油型を製造するにしてもこれらの需要がひと段落してからでしょうね
自衛隊がKC-46Aを揃える頃には、ステルス機への給油の制限はクリアされているんだろうか…
KC-46AのIOC宣言はまだですけど、ICRでじりじりと給油できる機種を増やしていて、昨年のうちにF-22 F-35A/B/C B-2までいけるようになってたと思います。
なんかこう、今のボーイングの落ち方は、昔、NECのPCが一気に淘汰された時くらいのインパクトがあるなあ
しかも昨今のボーイングは、NECと違って勝手に凋落していっているという認識だけど、それで合ってるよね?
茶々を入れますが。
KC-135は、更に改修されて、B52に続くような気がします(笑)。
つまり、100年現役(!!)
時間を稼いで、その間に不良品の改修をするのでは。
それが一番コスト的に有利な気がします。
ボーイング「KC-46を双胴化したKC-92を提案する」