ロッキード・マーティンは2023年度までにF-35の運用コストを3万ドルに削減することでF-35ジョイント・プログラム・オフィス(JPO)と合意したと報じられている。
参考:Lockheed agrees to $30,000 per flight hour cost for F-35A by FY2023
米軍だけでなく同盟国が運用するF-35の運用コストを2023年まで10%削減することをロッキード・マーティンが約束
下院軍事委員会は2028年までにF-35の年間運用コストを基準値まで引き下げなければ国防総省が購入するF-35の数に制限を設けると国防権限法案に盛り込み、同機最大の運用者である米空軍も運用コストによる購入制限を支持すること表明していたが、ロッキード・マーティンは2023年度までにF-35の飛行コストを1時間あたり3万ドル(2020年度の年間運用コストと比較して10.7%削減)に引き下げることでF-35ジョイント・プログラム・オフィス(JPO)と合意したと報じられている。
ロッキード・マーティンとF-35JPOが合意した内容は同盟国が運用するF-35にも適用されるため、日本が運用するF-35AやF-35B(予定)の運用コストも2023年度までに10%程度削減されるという意味だ。

出典:航空自衛隊
因みにロッキード・マーティンは2025年までにF-35Aの飛行コストを1時間あたり2万5,000ドルまで引き下げること主張しているが、この目標を達成したところで米空軍の要求を満足させられるのかは不明だと米メディアは報じているのが興味深い。
A.2020年度運用コスト | B.達成すべき運用コスト | AB差額/削減幅 | |
F-35A/空軍 | 780万ドル | 410万ドル | 370万ドル/47% |
F-35B/海兵隊 | 910万ドル | 680万ドル | 230万ドル/25% |
F-35C/海兵隊 | 790万ドル | 680万ドル | 110万ドル/13% |
F-35C/海軍 | 990万ドル | 750万ドル | 240万ドル/24% |
米空軍が運用するF-35Aの年間運用コストは780万ドル(2020年度実績)で、同じ年度の飛行コストは3万3,600ドルだと言われているため単純に年間運用コストを1時間あたりの飛行コストで割れば1機あたりの年間飛行時間は232.14時間になる。
つまり米空軍が要求している410万ドルという運用コストを2020年度と同じ飛行時間で達成するためには1時間あたりの飛行コストを1万7,660ドルまで引き下げる必要があり、仮に2025年までにロッキード・マーティンが主張する2万5,000ドルを達成できても残り3年(2028年)で7,340ドルも削減しなければならない。

出典:U.S. Air Force photo by William R. Lewis
これが達成可能なのは謎だが下院軍事委員会や空軍が「年間運用コスト」を指数に用いているため、おそらくロッキード・マーティンは232.14時間に含まれる訓練飛行時間の幾らかをフライトシミュレーターを活用した訓練に移行させて燃料費や整備コストを削減、空軍が提示する410万ドルという運用コストに合わせてくるのではないだろうか?
勿論、この手法を活用するには実際の訓練飛行とフライトシミュレーターの訓練効果が近いものであると実証する必要があるので簡単ではない(単純な飛行訓練だけではなく実際のミッションに対応する高度なプログラムの開発など)だろうが、実際の飛行時間を維持したまま3万3,600ドルを47%も削減するよりも可能性があるように思える。
どちらにしてもF-35の運用コスト削減と次世代エンジン統合を義務付けた国防権限法案は年内に成立する見込みなので、一先ずF-35プログラムに対する批判(主に議会)は沈静化するだろう。
関連記事:米下院がF-35の運用コスト削減期限を2028年に設定、不達成なら購入数を制限
関連記事:米下院軍事委員会が決断、2027年までにF-35Aへ次世代エンジン統合を空軍に要求
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo/Tech. Sgt. Sam King
同盟国も値下げはありがたい……米国頼りではなくボーイングに直接強く言える日本になって欲しい
何でボーイング?
ボーイング「」
野暮な突っ込みは置いといて
最近のボーイングのやらかしは擁護できない…
コスト見積よりも工具、残渣管理ができていない等々の方がありえない。
なんかボーイングに飛び火してて可哀そう
前記事の管理人様の補足を「みんな仲良くね」と読んだので乗っかりました。
(飛び火で)明るくなっただろ?(違うそうじゃない
この所コメントが荒れてる感があるので、皆さん仲良くしましょう(お前に言われる筋合いは無い
LM「やったか!?」
ほんとぉ?
インフレとかで相殺されるどころか高騰するんでしょう?
わかっちゃう
LM社「2023年までにコスト10%下げます!」
↓
LM社「2024年からアップグレード始めます。ただし運用コストは30%上がります!」
みたいなオチじゃなかろうな…
ボーイングもF-15EよりF-15EXの方が運用コスト安いって言ってるので…
ほんとにぃ?と思うけど…
3枚のCRTディスプレイとアナログ計器を1枚の大型液晶ディスプレイに纏めたり、APG70を可動部や部品の少ないAPG82に換装したり、エンジンをF100の初期型からF110の新型に換装や操縦系統のFBW化をしているから維持費用が安くなる要素は一応ある。
まあ仮に1割維持費が低減していたとしても機体価格を1割吊り上げられたら帳消しになるが。
そりゃ中身が変わっているなら良くなっているでしよ。
例えばの話
旧型のCPUで待ちが発生していたものがなくなるとか処理が早くて、より効率的にミッション遂行や機体制御できるようになった。
制御系のソースコードを作り直して、より少ない推力で飛行することが出来る。
プログラムのアップデートするのはワイヤレスでいけてアップデートの時間も短い。
パーツの小型化で機体内のスペースに余裕が出来るので空いたスペースに搭載することで抵抗となる外装が不要になる。
モジュールの脱着がしやすいように組み付けを改善した。
ミッション遂行時に複数機必要だったものが単機で可能になる。
等々、メンテもミッションも含めてトータルで考えると改善されているならコストは下がる方向になると思うけど。
ある程度はアップデートで上がるのかもしれんけど、運用コスト下げんと許さねぇぞって状況から始まってそのコスト増の結果を招いたら間違いなく議会ブチギレ案件になるかと
そしてそのまま調達数削減ルートへまっしぐら
何でF-35Cのコストが、海兵隊と海軍で差があるの?
カスタマーの能力の差か?
F-35Bの運用経験が効いているのか?
それより、F-35Aがそんなにぶっちぎりで安く運用出来るのかな?
>何でF-35Cのコストが、海兵隊と海軍で差があるの?
海兵隊機は艦隊防空をやらないから
全くやらないわけじゃないけども、緊急発進とかは基本海軍機しかやらない
このコストっていうのは年間でかかった総額だから、やらせる任務が増えれば額そのものは増える
週末しか乗らない車と、毎日乗る車、後者の方が車のガソリン代とかオイル代やらで維持費はかかるでしょ?
もう飛ばさないほうがいいまであるのでは
じゃあ、何飛ばすんだよ、f-16に頼り切りも限界やろ。
これもある意味では企業努力(?)かな?
LM社は大変だ
論点がずれるけど、こんな記事読むとアメリカはひらかれた軍国なんだって分かる、議会はキツい要求もするけれども、国防政策を良いほうに主導しようとする意思を感じる
軍人の横暴に気圧されて軍事費の中身に口出しできなくなってしまった帝国議会とは雲泥の差だ
逆にアメリカの場合、議員への企業のロビー活動や、議員の地盤企業や雇用への配慮が原因で軍事的整合性より企業利益が優先される傾向もあるけどね
それは何処も同じ
民間と官は緊張感ある関係でないと汚れていく
ついこの前、岩国のF35が普天間に離着陸した際の記事が載ってたけど、
肝心の内容は離着陸時の騒音がうるさかったってただそれだけ
琉球新報って未だにそんなしょうもない記事を書いてるんやな
こんな報道が幅を効かせてるようじゃ、日本じゃ運用コストの議論なんか到底無理やね
下手にかじるとスクランブル専用機とか言い出すやつも増えるけどね。
LM「運用コストは35%下がりました!」
議会「888888888」
LM「新型アビオニクスと攻撃システムとミサイルの統合を行うため機体価格の45%でアップグレードを行います」
議会「は?やらなくてもよくね」
LM「やらない場合F-35ラインの維持のためアップデートしませんが25%いただく事になります」
みたいな未来しか見えない
つまり減らせなかった分はLMが赤字切るってことか?
インチキロビーで殿様F22にしたのが間違いだった。あの後だったら、LMも真面目にF35作ってただろ。潰せないからってLM舐め過ぎよ