米空軍は18日、議会によって早期退役が許可された爆撃機B-1Bを通称「飛行機の墓場」と呼ばれるアリゾナの砂漠(デビスモンサン空軍基地)に近々移動させると発表した。
参考:AFGSC begins retirement of B-1 aircraft, paving way for B-21
冷戦末期に登場した可変翼の戦略爆撃機B-1Bが徐々に姿を消し始め、残り45機は2036年までに退役する予定
米空軍の戦略爆撃機B-1Bは約20年間、本来の任務からかけ離れた長距離近接航空支援任務(特にアフガニスタンやイラク)に駆り出され機体の構造的寿命を使い果たしてしまい稼働率が大きく落ち込むことになったのだが、大規模なメンテナンスを実施して半数以上のB-1Bは本来の任務に復帰している。
問題は特に状態の悪い17機を1機あたり数千万ドルの費用をかけてまで元の姿に戻すのかどうかで、費用が捻出できず放置状態が続けばB-1B全体の稼働率を押し下げることになるため最終的に処分すること決断したのだが、議会は17機のB-1Bを早期退役させることに同意しても内4機は飛行機の墓場と呼ばれるアリゾナの砂漠に放置して解体するのではなく現役復帰も可能な保管方法を要求したため米空軍は勝手に解体処分することが出来ない。
飛行機の墓場を管轄する「ボーンヤード(第309航空宇宙管理および再生グループ)」で保管される航空機は概ね4つに分類され、非常に高い確率で現役復帰することが予想される航空機は「Type1000」の指定を受けて空調の効いた倉庫で飛行可能状態を維持しながら保管されるが、今回B-1Bが指定された「Type2000」は現役復帰の可能性を残すため解体されることはないが同型機の維持に必要な「部品取り」が認められているため仮に現役復帰するためボーンヤードから引っ張り出しても再び飛行可能な状態に戻すのに数ヶ月以上の時間が必要になると言われている。
補足:2019年5月にType2000状態で保管されていたB-52Hを現役復帰させるためボーンヤードから引っ張り出されたが、同機を飛行可能な状態に戻すのに1年以上の作業が必要だと言われている。
余談だがボーンヤードでの指定にはType3000とType4000もあり前者は飛行可能状態を維持して一時的な保管を行う場合に指定(通称:フライング・ホールド)され、後者に指定される航空機はスクラップとして業者に売却される運命で金属のリサイクルに回されるらしい。
Type2000に指定される4機のB-1B以外は恐らくType4000=つまり博物館などの引き取り手が現れない場合はスクラップになる運命なのだろう。
米空軍はアンダーセン空軍基地(グアム)で火災事故を起こしたB-1B(85-0066)を近々デビスモンサン空軍基地に向けて出発させると発表して「状態の悪い17機は残された45機のB-1Bを稼働状態に保つのに役立つだろう」と語っている。
関連記事:米議会、A-10サンダーボルトやRQ-4グローバルホーク等の退役拒否
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Air Force photo by Airman 1st Class Christopher Quail
日本にももうちっと大規模な航空博物館欲しいね、世界中からこんなの輸入して展示したい
過疎化して土地の空いた被災地の復興と観光資産になればいいのに
無理だろうな…だって、下手にそんな物を集めたら「戦争ハンタイー!」って叫ぶ馬鹿が一杯いるし、第一日本には博物館文化が無い
実は最近、グランプリ出版から岐阜かかみがはら航空宇宙博物館の創設期に勤務していた方が書いた「航空機を後世に遺す」と言う本が出ているのだが、これを読むとかかみがはら航空宇宙博物館も当初は資料収集や復元、展示方法で幾多の失敗を犯し、遂には見学者もいなくなり閉館寸前にまで追い詰められていた事が分かる
そんな有様なのが日本の現状なのに、下手に被災地に博物館なんて造ってもバブル期に流行った博物館と同じで、直ぐに潰れる
そういうはじめから社会からの理解を放棄する斜に構える姿勢は感心しないけどな
良くも悪くもみてもらうことで理解は深まるんだよ
子供が見れる、ってのは大事だよな。
俺の親はどこに出しても恥ずかしいパヨク様だが
空自基地のある土地で空自機見上げて育ったおかげで、
俺自身はその呪縛には囚われずに済んだ。
それを言う前に是非「航空機を後世に遺す」を読んで欲しい
日本の社会その物がこう言う事に如何に無理解か、嫌と言う程思い知らされるから……
理想と現実というところでしょうか…。
>航空機を後世に遺す
読んでみますね。
> 「航空機を後世に遺す」を読むとかかみがはら航空宇宙博物館も当初は資料収集や復元、展示方法で幾多の失敗を犯し、遂には見学者もいなくなり閉館寸前にまで追い詰められていた事が分かる
これだと「かかみがはら航空宇宙博物館がやらかした」様にしか読めない。
「日本の無理解」の話をしたい、そのためにこの本を読んで欲しいならもう少し違う要約の仕方があるんじゃないかな。
反対はしません。
それどころか是非造って欲しい。
しかし維持をするのは並大抵の努力では出来ませんね。
残念ながら我が国には寄付の文化がないですから。
屋外に置いて錆びさせたり、部品盗まれて無残な姿になる映像しか思いうかばない。
大体、過疎地まで観光に行くような余裕のある方たちはこんな武骨な兵器より、もっと高尚なものを見に行くでしょう。
あと関係ないけど船の科学館再開して欲しいなあ。
愛知県の某町立郷土資料館にF-86その他屋外展示されていたが、腐乱死体にしか見えなかったな。
各地のSLもそうだが、展示するなら定期的な塗装など維持管理にも配慮して欲しい。
その為には、後世に残すものと廃棄するのもの峻別必要。断捨離。B-1Bはいらんかな。
B-1Bはもちろんの事ライトニング(英)やミラージュなど欧州製も展示、とかおじさんの夢が一杯詰まった博物館希望。
B-52おじいちゃんは、退役した部品ストックが大量に並んでるからこそ、おじいちゃんでも仕事続けられるんだろうなあ、と、B-1B構造寿命の話を見るたびに、しみじみ思うわ。
あと、1986年から運用開始で今年運用開始35周年を迎えるB-1Bって、製造数が100機に対して残存数45機と言うのは多いのか少ないのかが気になる
少ないね
可変翼って耐用年数少ないんだろうなって思ってしまう
B1-Aがキャンセルされた後、主翼を固定式にする案(空中給油母機の案もあった)があったような気がするが、その方が良かったのかも。結果的に超音速性能は要らなかったのでは?
部品取りを考えれば、まだ現役が多いよ
現役の比率を1:2より落とせば、逆に稼働率が上がるか
誰か詳しい人続けてw
アフガンで滞空時間の長さを生かしたCAS機として酷使されたの言うのが泣ける話
仕事が無くてリストラされるよりは、良かったのでは?
F-111退役させたせいにも見えるな。
アフガンみたいな米軍に絶対の制空権があるところで使用したのはもったいないな。
B-52で十分だと思うんだが
それかC-130かP-3Cを爆撃機に改造したほうがよかったのでは。
どうせ誘導爆弾を積むのがメインだと思うし
C-130「俺の眷属にAC-130シリーズやKC-130Jハーベスト・ホークがあるのはスルーか?」
飛行機墓場でモスボール処理される機体が増える。もしB1が墓場から復活する場合、何かしらの事情でB21の代わりにミサイル運搬機として戦場の空を飛んでそう。
日本はこの手の機体を揃えるのが抑止力としては一番なんだろうけどな
国内外反対が凄いだろうが
戦略爆撃機なんて数えるほどの国だけの贅沢品さ
この機体はもともと核攻撃のための機体ですから、ヤポーンには配備できんでしょう。
あとアメちゃんが投げ出すぐらい維持費も高いという。
ランサーちゃんもさようならに…おじさん悲しい!
これもほぼアメリカしか運用していない貴重な機体なのにね
実はB-52より搭載量が多いという。
砂漠地帯の低空を長時間滞空しててダメージが蓄積したらしいね
低空を高速で侵入するB-52より搭載量の多い爆撃機って中国にはかなりの脅威なんだけど、また中国の脅威が減っていくね
この手の記事を読むたびにいつも思うんですが、
17機のうち4機は他より良い状態で保管するというその「4」という数字の根拠や、
保管Typeの違いやコストの見積もりとか、米国は議会でどういう議論をしているんでしょう??
たとえば日本の議会だと、こういう議論ができるとはとても思えないんですよね。
戦闘機はいるー!いらないー!っていうクソみたいな大雑把な議論がせいぜいで。
米国は日本と違って、コストと期間と起こりうる事態への対応性などこれこれこういう
理由で4機は良い状態で残します、みたいな議論ができる議員が多いってコトなんでしょうか?
議会参加の軍事委員会での議論じゃないかな。別に議員が4機という数字を作るわけじゃなくて、議員のスタッフや協力するシンクタンク、軍のスタッフが一体に作り上げてるものですよ。承認を議会=議員がやってるだけ。もちろん議員の中には元軍人もいますが、知識ゼロの人の方が圧倒的に多いのも事実です
しかし美しい機体だな
B-1が退役できるって事は、B-21の開発は順調よ
と言う遠回しなメッセージかな
米空軍「B-52の寿命延長は順調よ、HAHAHA!」
リンク
アメリカ、すごいね。
2024年4月にチェックしたら20機以上のB-1が見えますね。
B-1Bで100機生産したので今回の一斉退役以外に退役した分も保管されているようです。
Google mapsの航空写真はデビスモンサンでも高解像度で見られるので機体の形もわかって面白いです。