米国関連

伝説の戦闘機が70年ぶりにカムバック、XP-82「ツインマスタング」航空ショーに登場!

初飛行から70年が経過した米空軍(運用当時は米国陸軍航空軍)のXP-82「ツインマスタング」の実物が、再び空に帰ってきた。

参考:Soar Over Oshkosh In The World’s Only Flying Twin Mustang In This Cockpit Video

ツインマスタングの試作機、XP-82が再び空に戻ってきた!

米国、ウィスコンシン州オシュコシュで開催された航空ショー「Airventure」で、珍しい飛行機が会場の空に舞い上がった。

米国、ウィスコンシン州オシュコシュで開催された航空ショー「Airventure」で、珍しい飛行機が会場の空に舞い上がった。その正体は、米国陸軍航空軍のP-82「ツインマスタング」の試作機として、たった2機しか作られなかったXP-82だ。

これはCGなどではなく完全に本物のXP-82で、現在、飛行可能なXP-82(P-82を含めて)は、世界中を探しても、この1機だけしかない。

こんなロマン溢れるプロジェクトを実行したのはトム・レイリー氏が率いるレストアチームで、彼らは、2008年7月からXP-82のレストア作業を始め、飛行可能なコンデションを取り戻すために207,000時間もの作業を行い、2019年1月28日、初飛行に成功した。

その後、今回の航空ショーでXP-82の飛行を披露するため、調整を続けてきたと言う。

出典:public domain P-51D

このP-82と呼ばれる戦闘機は、第二次世界大戦機の中で最優秀戦闘機と評されるP-51「マスタング」を2機連結した双胴式戦闘機で、パイロットが2人搭乗し、相互に操縦を行うことで長時間の任務でもパイロットの負担が少なくて済んだ。

P-51を横に2機連結するという奇抜な形態のため機体は大型化したが、P-51譲りの優れた機動性はそのままに、700km/h以上の速度に加え、航続距離は3,500km以上という高性能を発揮したが、第二次世界大戦に間に合ったのは初飛行のみで、運用開始は戦後の1946年から始まり、戦闘機のジェット化に押される形で7年後の1953年、静かに現役から退いた。

原型機のP-51は、16,000機以上も生産され、今でも航空ショーやエアレース等で良く見かけるが、P-82は試作機のXP-82を含めても、たったの272機しか生産されなかった為、非常にレアな軍用機と言えるだろう。

11年にも及ぶレストア作業の末、XP-82を空に飛ばしたトム・レイリー氏には、敬意を評して拍手を贈りたい。

 

※アイキャッチ画像の出典:public domain 1945年、試験飛行時のXP-82ツインマスタング44-83887

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