米海兵隊は昨年3月に発表した大規模な部隊再編計画「Force Design 2030」に従ってハワイに配備されていたヘリコプター戦力の廃止を開始した。
参考:Marines trading away Hawaii helicopters for new capabilities to counter China
ハワイのヘリを廃止する理由はMV-22Bの方が広大な太平洋地域での活動に適しているため
米海兵隊は2030年までの10年間で主力戦車M1A1を装備する戦車大隊の全廃、歩兵大隊を3個大隊削減、砲兵大隊を16個大隊削減、水陸両用車中隊を2個中隊削減、F-35B/Cを装備する飛行中隊の定数を16機から10機に削減、MV-22とCH-53Eを装備する飛行中隊を各1個飛行中隊廃止、AH-1Zを装備する2個飛行中隊廃止、調達を予定していたF-35B/CとCH-53Kの調達を各130機分キャンセル、総兵力の7%にあたる約1万2,000人の兵士を削減する部隊編成計画「Force Design 2030」を発表した。
この計画に基づき米海兵隊は保有していた約400輌近いM1A1エイブラムスを手放し終え、ハワイで新設される沿岸連隊の最終構成を決定するため日々フィールドテストが繰り返されているのだが、今度はハワイで運用されているヘリコプターを2022年末までに取り除くプロセスを開始したと報じられている。

出典:public domain CH-53E
ハワイのホノルル・スター・アドバタイザー紙によれば、ハワイに駐屯する第367海兵隊軽攻撃ヘリコプター飛行中隊(AH-1Z/UH-1Y)と第463海兵隊重ヘリコプター飛行中隊(CH-53E)を2022年末までに廃止する予定で第463飛行中隊が保有する一部のCH-53Eは沖縄に移動させたが、第367飛行中隊が保有していたAH-1Zの一部は退役するため何処かに移送中らしい。
因みに米メディアTheDriveは「飛行機の墓場」と呼ばれるデビスモンサン空軍基地が発表した航空機の受け入れリストにAH-1Zが記載されていないため「今のところ第367飛行中隊のAH-1Zが退役処分になるのか別の部隊に配置転換されるのか不明」だと指摘しているが、部隊編成計画「Force Design 2030」の中でAH-1Zを装備する2個飛行中隊を廃止することは規定路線なので飛行機の墓場送りになった可能性は十分ありえる話だ。

出典:Gerry Metzler / CC BY-SA 4.0 AH-1Z
しかしAH-1ZはAH-1Wの後継機として2005年頃に配備が始まり初期運用能力の獲得は2011年に宣言されたばかりの比較的新しい機材で、今回廃止される第367飛行中隊に至っては2017年にAH-1Zを受領したばかりだ。もちろん第367飛行中隊のAH-1Zを初期に配備されたAH-1Zと入れ替えて古い機体を飛行機の墓場送りにする可能性もあるが、まだ15年程度しか使用していない機体を最終的に2個飛行中隊分(約30機程度)も削減するのだから日本人からすれば「勿体ない」の一言に尽きる。
因みにハワイからヘリコプターを取り除く理由については米海兵隊は「巡航速度や後続距離がヘリよりも優れるMV-22Bの方が広大な太平洋地域での活動に適しているため」と述べており、第367飛行中隊や第463飛行中隊が廃止される代わりに空中給油型のKC-130を装備した中隊がハワイに配備されるためハワイに駐屯する海兵隊の総兵力に大きな変更はないらしい。

出典:U.S. Marine Corps photo by Lance Cpl. Patrick King M1A1エイブラムスに別れを告げる海兵隊第2戦車大隊の兵士
管理人はForce Design 2030が発表された際「ここまで大胆な部隊再編を本当に実行するのか怪しいものだ」と思っていたが、たった1年で大半のM1A1エイブラムスを処分してヘリコプター飛行中隊の削減にまで手をつけ始めるとは想像もしていなかったので米海兵隊の迅速さには驚かされるばかりだ。
ここまで「有言実行」されるとF-35B/Cを装備する飛行中隊の定数を16機から10機に削減、調達を予定していたF-35B/Cを130機分キャンセルという話も現実になる可能性が高く、英国で浮上している90機削減案とわせるとF-35Bの将来は残念ながら「怪しい」と言わざるを得ない。
関連記事:米海兵隊が戦車大隊廃止を開始、M1A1エイブラムスは倉庫送りに
関連記事:テンペストを優先する英国、138機調達予定のF-35Bを48機まで削減か
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Marine Corps photo by Staff Sgt. William L.Holdaway
削減される1z自衛隊が導入できたらいいなぁ
そんな単純な話じゃないだろうけどいい機会な気はする
攻撃ヘリはミサイルとドローンに置き換える傾向になってきてるから自衛隊に導入したところで、既に時代遅れだと思う。攻撃ヘリよりも汎用ヘリと偵察ヘリを拡充してほしい。(OH-1はエンジンに欠陥+記憶媒体が未だにVHSは話にならない。)
削減した兵力は対艦ミサイルに転換するようですが、即応部隊としての海兵隊の存在が無くなると、台湾有事なんかを考えるととても不安です。
やっぱり従来戦力をバッサリ切ってるのは不安ですね。英国軍の再編計画とか陸自の特科・戦車整理とかも素人としては「こんなに減らして大丈夫?」と思いますが……
特科は対艦ミサイル中隊があるから心配ご無用だぜ。
もったいない。日本に譲渡してw
それはともかく買い手は、結構ありそうだが。
AH-1Z、何処かに売れば?
中古市場に出回ったりして。
それとも陸軍が引き受けるのかな。
陸自が騙し騙し使っているコブラに比べたら、海兵隊が削減するヴァイパーはピカピカの新品に感じる
F−35Bの生産数が大きく減らされて単価が跳ね上がったら日本は大変困る
陸自が購入すれば済む話。
なるべく安く購入して再整備してから配備すればいいのでは。
あのさあ
その〜すれば済む話ってのは何なのよ
オモチャじゃねーんだからさあ
AH-1Zという名前だけど、AH-1Sとは全然別物だし、海兵隊仕様だから塩害対策や4枚ローターやエンジン2個やら余剰機器が多いから、陸自では難しいのでは?
AH-1Zはご指摘の通りほぼ別物、共通点のほうが少ないくらいかわってるので今から導入ってなるとほぼほぼ新機種導入になるので陸自としては微妙なんでしょうね。
正直UH-1Yとの共通点のほうが多いんじゃなかろうか。
海兵隊としては戦車の廃止に引き続き、機甲戦力との殴り合いは陸軍に任せる方向性でいくってことなんでしょうねー。
陸自の攻撃ヘリ調達やら開発やらはいつの間にやら聞かなくなったし
MANPADSでヘリがバンバン落とされたからロシアも紛争地域ではNOEで地形に隠れながら飛ぶありさま
今はドローンもあるし、何かしらのブレイクスルーが起きるまで攻撃ヘリはしばらく不遇の時代かもね
あとオスプレイがとにかく圧倒的に便利で、戦車やらヘリやらを準備して繰り出すよりもアレで海兵隊員を素早く展開させる方が有効なんだと思う
削除するのは勝手だが、航空戦力が激減し戦車も砲も持たない海兵隊は普通の陸軍歩兵部隊以下の歩兵になるの?
この大編成は中国の太平洋進出を抑えるためのものですからね。
海兵隊は最前線で戦うことが本懐なので、歩兵以下という評価自体的外れです。
再編後の海兵隊は最前線で戦うことが本懐でなくなる、ということでは?
再編後の海兵隊は海軍の補助戦力という位置付けになり、最前線で頑張らないといけないのは各国の陸軍(陸自)になる。
今はヘリの有効性に疑問符が付いてるものなぁ。
勿体ないと言えば持ったないけど、役に立つか怪しいのに金を出す余裕もないしなぁ。
回転翼攻撃機はここ15年復権しとるで
輸送機に関しては確固たる地位にあるしな
だったら米軍が削減とか言い出すはずがないんだよなぁ
戦闘ヘリの有用性は確かに低下していると思う
低空を低速で飛行するヘリコプターは地対空ミサイルの脅威から逃れる事は出来ない
機体をいくら頑丈に作ってもミサイルの直撃を受ければ無事には済まないし、不時着しても敵の勢力下で相手が正規軍じゃ無い武装勢力とかだと乗員を捕虜としてきちんと扱ってくれるか判らない
欲しいなーとは思うけど「なんに使うの?」聞かれたたら確かに答えられないな
費用対効果を見て削減するか決めてるのであってだな
攻撃ヘリを削減するのは有用じゃないからとするとF-35Bはどうなるのよw
次世代型ハイエンドAH開発してるのとか知らなそう
確かに兵員輸送においては現時点ではヘリの廃止なんて今のところ不可能だね
でも攻撃ヘリは無人機へ代替すべきものかな
もちろん全てが全てとは言わないけど
F-35Bは、削ってはいけない。
クロスデッキ用に確保しないと。
日米クロスデッキは、日本の安全保障に直結することなので、数機の米F-35Bを
(訓練)常駐させることが出来るだけでも海自に大きなメリットがあるでしょう。
オスプレイが(既存ヘリと比べて)航続距離が凄い速度が凄いといえばいうほど
それに随伴できない既存ヘリは役立たずということになる
既存ヘリにあわせた運用ではオスプレイの強みを活かせない
輸送機であるMV-22と用途が全く異なる既存ヘリを並べて随伴できなければ役立たずとか、頓珍漢もいいところやな
離島奪還をイメージしてるんでしょ
盾役の攻撃ヘリと同時でないと厳しそうだし
V-22じゃあランディングゾーンの制圧が出来ないからね
V-280やSB>1の攻撃型モデルでも実用化されないと
しかしV-22じゃあ装甲車両どころかバギーの運搬にすら難儀する有様だから、ホント空挺降下と同レベルの軽歩兵としてしか活動できないのがね。帯に短しタスキに長し感が拭えない
C-130級とは言わずとも、チヌークくらいの貨物室サイズと搭載量のティルトローターが有れば、革命的な変化になりそうなのだが
ティルトローター機は可変機構の重量のせいで積載量は少なくなるからもっと巨大化するしかないがそんなん使いづらいわな
V-220は人の輸送に特化してそうで使いやすそうではあるが
陸海空軍と同じ事をしていても存在感が薄くなる一方だろうから。
良し悪しはともかく、海兵隊の変革スピードが凄い。どの軍よりも危機感が高いのだろうけど、トップの決断と実行力がモノを言うんでしょうね。
というより、やっぱり戦闘経験でしょ。
いる、いらないがはっきり分かる。
F-4Eの機関銃復権ドタバタもそうだし。
今はトルコ、イスラエルがそのトップだろうねぇ。
「危機感」と「戦闘経験」はあんまり分けて考えなくてもいいと思うけど、
隣の半島の体たらくを見てるとどっちかと言えば大事なのは危機感じゃないかな。
末端の小競り合いの経験なんかあっても中央できちんと吸い上げて共有しなければ長期的には役に立たん。
退役するのなら陸自が、と思ったけど海兵隊で10年酷使された機体の程度を考えると難しいかな。「ほとんど飛んでいなかった」というKC-130Rも、海自で再就役となるとかなり手を入れる必要があったそうだし。
攻撃ヘリが無くなって、近接航空支援はドローンが代替するのか、また別の何かが出てきて新しいトレンドになるのか。
とりあえず個人的には重火器持って動ける個人兵士用のパワードスーツとか良いと思います(コスト無視)
たしか防衛装備庁で研究してますね。パワーアシストですけど。
機関砲とヘルファイアで精密なCASができる攻撃ヘリは自衛隊員の犠牲を極力減らすためにも有用なんだけど残念ながら攻撃ヘリに割ける予算が日本には無い
いつの間にかイスラエルが獲得して運用してそう
それってあるあるですね。
攻撃ヘリの有用性を指摘されると抗弁しにくいけれど安く購入出来るんならAH-1Zの中古は欲しいね。30機くらい。
普通に使い道どっかであると思うんだけどな。高ければ不要だけど。
AH-1Zは安くて程度が良ければ自衛隊に導入しても良いでしょう。AH-1Sなんてエンジン非力なせいでまともなペイロードを持たない。そもそもガチの武装するなら燃料削るとかのレベル。むしろ日本のAH-1Sこそさっぱりと削るべきだよ。
エンジンに関して言えばT700なので既存のヘリとの共通化が図れるし、AN/AAQ-30ホークアイ目標照準システムならアパッチよりも鮮明な映像だって見る事が出来、対空ミサイルの備えも最低限ある。輸送ヘリ護衛させるならこいつはうってつけだとは思うけどな。安くゲット出来るならヘルファイア隠れて打って生存性上げる為にドローン連携出来るような装置は付けるべきだし、vuit-2付ける魔界増と化しても良いはず。ドローン活用前提なら5億以上するはずのロングボウレーダーなんて無理して導入する必要も無い、代わりにドローン連携で活用する方向で良いと思う。後サイドワインダー運用可能だから探知さえ出来るなら中国側のAHとか完全にアウトレンジ出来るし有りじゃ無いかね。