米国関連

米海軍研究所、火災の危険性がつきまとうリチウムイオン電池の代わりに亜鉛電池を研究

艦艇や潜水艦で使用する再利用可能な電池を研究している米海軍研究所は最近、火災の危険性がつきまとい調達コストが高価な「リチウムイオン電池」の代わりに「亜鉛電池」の選択肢を海軍に提供するため研究を行っていると明かした。

参考:‘You can’t have fires on boats’: Navy research on safer zinc batteries moves forward

潜水艦に海自はリチウムイオン電池を採用、米海軍は亜鉛電池の可能性を探る

再利用が可能なリチウムイオン電池は艦艇や潜水艦に採用するための安全性を実証するのに苦労しており、主原料の採取も南米に集中しているため複雑な地域サプライチェーンに供給を依存しているが、米海軍研究所が研究を進めているな亜鉛電池は金属亜鉛の多孔質ネットワークで構成されたスポンジで出来ていて「バッテリーに流れる電流をスポンジ全体に流すことで単三電池のように1回限りではなく再充電して繰り返し使用できるようになる」と言っている。

さらに亜鉛電池は鉛電池よりも環境に優しくエネルギー密度も高いため、火災の危険性がつきまとい調達コストが高価な「リチウムイオン電池」に代わる選択肢になると米海軍研究所は主張しているのだ。

出典:海上自衛隊 潜水艦「たいげい」

日本は潜水艦の水中動力をAIP機関+鉛電池からリチウムイオン電池に移行したが、米海軍はリチウムイオン電池の安全性を信用しておらず「亜鉛電池」の技術改良に取り組んでいるというのは非常に興味深い。

勿論、米海軍もリチウムイオン電池の可能性を否定している訳ではないが現時点で安全性が確保されているとは考えておらず、別の選択肢として亜鉛電池の研究・開発も進めているのだろう。

関連記事:潜水艦「たいげい」が進水、日本は中国の潜水艦に静粛性と加速性で対抗

 

アイキャッチ画像の出典:public domain バージニア級原子力潜水艦ブロックIII「ノースダコタ」

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コメント

    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    日本の選択が間違っていないことを願う。

    19
      • 匿名
      • 2021年 8月 10日

      間違ってはないが、かつての酸素魚雷みたく限られた話で終わるかも。
      あれは高性能とは知られていても、日本人なりの細心な注意を払えてこそ運用できる危険な代物だったから、戦後に酸素魚雷のノウハウを知った米軍も採用は考えなかった
      まあ、日本としてもリチウムは産出しないし、まだ手に入りやすい亜鉛でやれるなら研究始めていいだろ

      32
        • 匿名
        • 2021年 8月 10日

        酸素といえば燃料電池にして酸素積んだらやっぱりヤバイのかな。

        水素と酸素両方載せたら浮上しなくていいし、
        機関・燃料でエンジン系とモーター系の二重搭載しなくていいし、飲料水も節減できるのにな~。

        1
      • 匿名
      • 2021年 8月 10日

      日本のリチウムイオン採用は繋ぎだと思うぞ
      本命は全固体電池

      46
        • 匿名
        • 2021年 8月 10日

        クルマの話で言うとトヨタが激推しのニッケル水素がその前に出ないか?
        リチウムイオンに匹敵する能力がありながら数百万台のプリウスで長年装備されて安全性は確認されてる。
        新型アクアもニッケル水素でありながら60キロまでEV走行できるし。

        3
          • 匿名
          • 2021年 8月 10日

          全固体電池は常温でも効率的に電力を取り出せるから、火災対策でも有利

          3
        • 匿名
        • 2021年 8月 10日

        リチウムイオンの全固体電池なんだが。

        5
        • 匿名
        • 2021年 8月 10日

        性能とともに安全性が高いのか。

        「リチウムイオン電池では、電解液に有機溶剤系の材料を使用しています。 そのため、液漏れ、発火・破裂などが生じてしまうことがあります。
        それに対し、全固体電池では固体電解質を使用するために、発火などの危険性が小さくなり、リチウムイオン電池よりも安全に使用することができます。」

        5
    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    全固体電池の開発も進んでるし、車・飛行機を含めあらゆる移動体・電化製品への応用が可能なので、安全性と高エネルギー密度の追求は止まることはないでしょうね。

    20
    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    全固体電池の採用はまだかねぇ。

    27
      • 匿名
      • 2021年 8月 10日

      まあ、それが本命だろうな
      リチウムイオンは繋ぎでしかないと思う

      21
      • 匿名
      • 2021年 8月 10日

      三洋化成工業の次世代型リチウムイオン電池「全樹脂電池」は
      まずは無人潜水艇や無人飛行機など特殊用途向けの販売から始める、ってよ.

      トヨタが新型アクアが採用したバイポーラ型ニッケル水素バッテリーも地味に期待
      まあ、これは全固体への繋ぎかな.

      12
    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    防技研時代に挫折した水素吸蔵合金の研究の再開が妥当ではないかと。
    昨今のニュースを見てると、ブレイクスルーとなるような技術も開発されているみたいですし。

    1
    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    「潜水艦に原子炉積んだら強いんじゃね」とか小学生みたいなこと言ってた米帝を返せ

    20
    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    UPS航空6便墜落事故みたいにリチウムイオン電池は一歩取り扱いミスれば致命的になりうるからな
    まして戦闘艦だと敵の攻撃を受ける可能性があるわけで、下手すりゃチウムイオン電池のせいでダメージ拡大する可能性あるからね

    8
      • A
      • 2021年 8月 10日

      787のトラウマですね。
      そういえばこれもボーイング…。

      2
        • 匿名
        • 2021年 8月 10日

        念のため書いとくけど
        UPS6便事故の原因になったリチウムイオンバッテリーは、
        747の構成部品ではなく積み荷だった。
        必要な申請もしてなかった。

        12
    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    米軍は通常型潜水艦でも高性能ならそれに越したことないと考えてるのかな?原潜の代わりが務まるなら変えたいと思ってる?

      • 匿名
      • 2021年 8月 10日

      開発の進む無人潜水艦の動力源として探ってるんじゃないの。
      やはり原子力でやると、無人ゆえのリスクも高まるだろうし使い捨て的な作戦が難しいから

      28
        • 匿名
        • 2021年 8月 16日

        そもそも原潜本体だって蓄電池は積んでる。

    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    亜鉛電池と書くと何やら新しい物に聞こえるがいわゆる乾電池と同じ系で枯れた技術。で、今まで充電可能な物が一般化して無いのはそれなりの理由がある。
    安全性のために電解液に水を使うならセル電圧を上げられないから電力密度を上げにくいし。
    こんなこともやってます以上のものではないかな。

    7
    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    軍に関係ないけど、
    こういうバッテリーとか電池で信じられないことする人いるよね
    気が知れない。

    6
    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    全個体電池、樹脂電池、空気電池、カルシウムイオン電池に亜鉛電池と最近?の次世代電池はよく分からん

    2
    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    乾電池型充電池によく使われてるニッケル水素じゃダメなんかな?

    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    新しい技術は良いけど試すのは一つだけにしてね

    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    亜鉛二次電池は日本でも研究しています。

    NEDOでは今年度に「電気自動車用革新型蓄電池開発」をスタートさせてます。
    研究開発対象は発火リスクの無い「フッ化物電池」と「亜鉛負極電池」で、現行の液系LiBに対しエネルギー密度・カレンダー寿命で約2倍、急速充電時間は約1/2を実用化目標にしています。
    2025年の共通技術基盤確立を目指します。
    リンク

    また、2019年に日本ガイシは開発中の亜鉛二次電池「ZNB」が米国の第三者安全科学機関ULによる「UL9540A」規格(蓄電池システムの熱暴走火災伝播に関する評価試験規格)の検証マークを取得したと発表しています。
    リンク

    16
    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    アルミ使用の個体電池が現在のリチウム電池の50倍の蓄電池量可能で、現状の欠点は端子の劣化が激しいのと放電が大きい(1カ月間で85%、リチウムは1年で15%くらい)らしい。
    イヤホンなど用の小型家電用の製品は来年か再来年から販売予定で、30年代に電気自動車クラス用の製品化を目指して開発中らしい。
    こいつが実用化されると、潜水艦用としてはかなり有力。
    軍用の潜水艦なら、放電量が多いのも端子劣化の交換も許容可能なので。
    ちなみに、アルミなのでコストも安いそうだ。

    7
    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    艦艇に不安定な爆発物を搭載するのは旧海軍由来の伝統…というのは冗談として米海軍の懸念も分かる。リチウム電池は劣化や破損で内部格子が壊れると凄まじい高温になって真っ黒い有毒の煙(金属と有機溶媒系電解液のガス)を出しながら燃えて、水でも炭酸ガスでも消火不能だからサブマリナー的には悪夢だろう。まして事故の事例を見ると大電系統(車やスクーター)に使ってるものほど火を吹いてる印象。
    でも、鉛蓄電池だって取り扱いがだいぶ厄介なのは間違いないし(加熱すると安全弁が抜けて硫酸電解液が飛びとって蒸発するのでバッテリー室全部隔離。火災時に消火しづらいのも同じ)、リチウムイオン電池だけ避けるのは別の意図も混じってそうな気がするな。そうりゅう型後期型みたいにバッテリー調達費だけで値段が百億単位で上がってしまう=建造費用の何割かは海外に流出するのを嫌ったとしても驚かない。アメリカ国内にはリチウム鉱床ないしね。

    6
    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    電池の用途は限りがないから、純粋な技術革新のための研究としても大きな意義のあることだな

    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    ナトリウムイオン電池は?

    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    プリウスがあるんだから大丈夫なんじゃないの?

    1
      • 匿名
      • 2021年 8月 11日

      トヨタは新型アクアでリチウムイオン採用をやめている

        • 匿名
        • 2021年 8月 11日

        いや、アクアもリチウムイオン電池を継続採用しているんだが…

        結局バイポーラ型で電気容量が上がろうがニッケル水素電池には変わらない(電池としての特性が変わるわけじゃない)から、燃費優先のグレードには、充放電性能の高いリチウムイオン電池の方が有利なのをトヨタも理解して使い分けてるよ

        そんな訳で、バイポーラ型が出たから次期潜水艦にはニッケル水素電池を! っていうのは違うと思うよ
        電池容量だけ大きくて、リチウムイオンと同じ充放電性能が実現出来ないなら、たいげい型以前の潜水艦と同じ構成同じ運用の潜水艦しか作れないからね

        3
          • 匿名
          • 2021年 8月 16日

          アクアのバイポーラ型ニッケル水素はその充放電性能で上回ってるんだけど……。
          燃費の違いは重量の違いが主要因だと開発者自身が言っている。

          1
    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    電池は後で載せ替えし放題と自由なのが良いな
    新しい技術が来てもすぐに追従出来る

    2
    • 匿名
    • 2021年 8月 10日

    バッテリーの話は良くわかるから、日頃のコメントのレベルもこんなものなのかな?
    参考になります

    1
    • 匿名
    • 2021年 8月 11日

    GSユアサが米国企業だったら、結論が変わったかもしれない。

    3
      • 匿名
      • 2021年 8月 14日

      そういうこと。

      1
    • 匿名
    • 2021年 8月 11日

    リチウム自体が高価だからかな

    1
      • 匿名
      • 2021年 8月 11日

      短・中期的には資源枯渇の心配はないが、レアメタルで基本高価なのに加え採掘可能な地域に偏りがあり供給構造も寡占的。
      将来のEV等の大量普及時に投機的取引による価格高騰の可能性が懸念されています。
      つまりLIBは将来的にも思ったほど安くはならなない。
      しかも安全性を確保しつつ現況の液系LIBの性能を大幅向上するのは見通しが立っていない。

      現在の液系LIBは発火の危険及び発熱による電池自体の劣化対策として、バッテリーパックに安全装置と冷却装置が組み込まれています。潜水艦用はどうか分かりませんが、EV等車載用はそのせいで重く嵩張るものになっています。
      発火の恐れの無い亜鉛二次電池等革新型蓄電池は、より低価格化と軽量コンパクト化が可能な上に更なる大容量化が見込まれています。

      液系LIBとは反応原理の異なる革新型蓄電池の研究開発が活性化している理由です。

      1
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