米国関連

米国、韓国空軍のF-16C/D Block32に対する「IFF Mode 5」アップグレードを承認

米国務省は30日、韓国空軍が運用しているF-16C/D Block32に対するアップグレード関連機器のFMS(対外有償軍事援助)方式による販売承認を発表した。

参考:Korea – F-16 Identification Friend or Foe (IFF) & Link 16 Upgrades

韓国空軍が運用中のF-16PBが敵味方識別装置「Mode 5」へアップグレード

韓国空軍が保有するF-16の区別がややこしいので先に説明しておくが、韓国空軍はロッキード・マーティンから完成機として輸入した40機のF-16C/D Block32と国内でライセンス生産して計140機調達(※1)したF-16C/D Block52を保有しており、この両機を区別するため韓国では前者をF-16PB、後者をKF-16と呼んでいる。

※1補足:正確に言うと計140機調達したKF-16の内48機(完成機輸入分12機+ノックダウン生産分36機)は国内でライセンス生産されたものではない。さらに運用中の事故で機体を失っているため韓国が現時点で保有しているF-16PBは35機、KF-16は134機だ。

先に導入されたF-16PBは2014年にまでに搭載レーダーをAN/APG-68(v)7へ換装、戦術データリンク「Link-16」、中距離空対空ミサイル「AIM-120」、短距離空対空ミサイル「AIM-9M」、精密誘導爆弾「JDAM」などを統合するアップグレードが完了しており、KF-16は2020年から2025年までにF-16V仕様へアップグレードが行われる予定だ。

出典:public domain 韓国空軍のKF-16

今回、米国務省が発表したアップグレード関連機器の販売承認はF-16PBに対するもので、敵味方識別装置「Mode 5」やアップグレードされたLink 16の通信端末、音声やデータ通信を盗聴から保護するソフトウェア無線の通信機「AN/ARC-238」などが含まれており、このアップグレードに掛かる推定総費用は1億9,400万ドル(約210億円)だと発表した。

6年前にアップグレードが完了したばかりのF-16PBに再びアップグレードを行う理由は米国が自軍及びNATO加盟国に対し2020年6月までに敵味方識別装置「Mode 5」へ切り替える計画を進めており、日本や韓国といった非NATO加盟国の同盟国に対しても切り替えを要請しているためで、韓国は敵味方識別装置「Mode 5」への切り替え作業を自国企業(正確に言えばレイセオンとの共同事業体)に担当させて作業を進めているのだがF-16PBは国産兵器のように勝手に手を入れることが出来ないためFMS方式での切り替えになったのだろう。

今回のアップグレード内容は比較的地味な内容だがF-16PBを今後も使用し続けるためには必要な措置であり、KF-16のMode 5切り替えはF-16V仕様へアップグレードの際にまとめて行われる予定だ。

因みに、韓国が敵味方識別装置を全て「Mode 5」に切り替えるために投じる予算は1兆~2兆ウォン(約1,800億円)と言われている。

 

※アイキャッチの出典:whitelook / stock.adobe.com

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コメント

    • 早く
    • 2020年 4月 01日

    ドルと言うお金あるの?

      • 匿名
      • 2020年 4月 01日

      北の同胞が一生懸命刷ってる。

    • 匿名
    • 2020年 4月 01日

    新しい敵味方識別装置をつけるのはいいけど、肝心の運用者がまともな敵味方識別できてないのが問題なんだよなあ

      • 匿名
      • 2020年 4月 01日

      それについては米国さんも微妙なところ…

      • 匿名
      • 2020年 4月 01日

      運用者のアップグレードは、望めませんから

    • 匿名
    • 2020年 4月 01日

    KF-16のアップグレードってたしかBAEシステムズともめていたやつでしたよね?
    解決できたんでしょうか。
    F-16PBの方はすんなりいくといいですね。

      • 匿名
      • 2020年 4月 01日

      解決したというか、契約をロッキード・マーティンに戻してFMS継続中。

    • 匿名
    • 2020年 4月 01日

    いずれも機体寿命には十分な余裕があるから、だろうな

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