Bloombergは9日「各国の安全保障担当者らは冷戦時代並の国防支出が必要と考え始めている」「もし支出が4.0%台になると今後10年間で10兆ドル以上の追加投資が必要になる」と報じており、冷戦終結後の平和の配当は終わりを告げようとしている。
参考:The US and Its Allies Face a $10 Trillion Reckoning in the Race to Rearm
この影響から逃れられる西側諸国はない=国民負担が増えることがあっても軽くなることはないのだろう
Bloombergは9日「NATO加盟国の政治的指導者は2.0%台の国防支出に向けた前進を自画自賛しているが、各国の安全保障担当者らは即応性もつ再武装化には冷戦時代の国防支出が必要だと考え始めている」「もし米国や同盟国の国防支出が4.0%台に達すると今後10年間で10兆ドル以上の追加投資が必要になる」と報じ、Bloomberg Economicsのチーフアナリストを務めるジェニファー・ウェルチ氏も「冷戦終結後の平和の配当は終わりを告げようとしている」「これは防衛産業、財政、金融市場に大きな影響を及ぼすだろう」と述べた。
この残酷な現実は「ロシアが欧州地域にもたらす脅威と中国がインド太平洋地域にもたらす脅威に対処しなければならない」という意味で、西側諸国の政治的指導者らは「大陸間競争の復活」という現実的な問題に対処するため、長年に渡って積み重なった税金、福祉、政府借り入れを巡る問題と対峙しなければならず、Bloomberg Economicsの分析によれば2.0%台の国防支出を達成するだけでもパンデミック後の債務整理が停滞し、4.0%台を達成すれば規模の小さなEU加盟国は大幅な予算削減、深刻なレベルの借入、増税といった痛みの伴う選択を迫られるらしい。
さらにフランス、イタリア、スペインが債券市場を通じて追加支出の資金を調達すれば、特にイタリアの公的債務は2034年までに144%から179%に、GDPの3.3%を国防支出に充てている米国も4.0%台に引き上げると公的債務が10年間で99%から131%に跳ね上がり、既にIMF関係者も「今後半世紀はパンデミック以前よりも経済成長が弱まる可能性が高く、今から財政バッファーの再構築に着手するべきだ」と各国に指示しているため、Bloomberg Economicsは「IMFが来週発表予定の債務見通しに影響が現れてくるかもしれない」と指摘。
推定国防費が2023年のGDPに占める割合(Bloomberg Economics) | |
ロシア | 4.4% |
米国 | 3.3% |
韓国 | 2.8% |
英国 | 2.6% |
イラン | 2.2% |
オーストラリア | 2.0% |
インド | 1.9% |
フランス | 1.6% |
ドイツ | 1.6% |
イタリア | 1.5% |
中国 | 1.3% |
スペイン | 1.2% |
日本 | 1.2% |
カナダ | 0.9% |
結局のところ債権が大幅に増加すれば金利も上昇するため、各国の財政は国防支出の増加と債権の返済費用が膨らみ選択肢が狭まる可能性が高く、Bloombergは再武装化が果たされた世界での政治的な課題について「限られた税収と増え続ける福祉や保健ニーズ等をどのように調和させるかだ」と述べている。
もう世界の安全保障環境は後戻りできないほど相互信頼が崩壊してしまったため、仮にウクライナでの戦争が今直ぐ終結しても「状況が元に戻る」ということは考えにくく、長期間に渡って国防支出が高止まりしたままになり、この影響から逃れられる西側諸国はない=国民負担が増えることがあっても軽くなることはないのだろう。
関連記事:カナダが防衛政策を発表、GDPに占める国防支出はNATO基準を下回る
※アイキャッチ画像の出典:U.S. Army photo by Maj. Justin Wright
日本は融和路線で行ってほしいものです
どのみち予算を増やしたところで人がいなければ戦争なんてできませんし、金の無駄です
先の大戦から学んだことは負ける戦争はしないということではなかったでしょうか
融和という議論が成立する相手となら、その路線でいいでしょうし、それが通用しない国々相手だと、相手がその気にならない程度の部力を整えざるをえないのが現実ですね。何をもって負け、とするかという話であれば、防衛戦争は相手の侵攻を断念させれば負けにはなりませんから、それならそこそこの戦力差があっても負けません。
あと警察と言う強制武力がない国際社会では、経済のみで武力行使なし、というのは単なる鴨、ATMでしかないのが辛いところ。世界政府みたいなのがあって、警察力相当の部力に泣き付いて助けて貰えるなら、自身が戦わない市民みたいな真似もできるんでしょうが。……まぁ、それは全て遠き理想郷って奴でしょう。
国際社会の本質はどこまでいってもアナーキーだし軍事力なき主権国家があり得ないのも間違いないけど
だからといってヌーランドおばさん的な世界観は極端すぎる
そもそも国際政治学ではそれが分かってるリアリズムの立場を取る人ほど大国間のバランスに気を配って国際政治に価値観を持ち込むことに批判的だし
民主主義対専制主義みたいなうたい文句は現実の政治というより宗教的スローガンに近い
日本のある方角にミサイル撃ってきたり、爆撃機で日本を周回したり、事あるごとに排他的経済水域に侵入してきたりする国々が止めてくれれば日本も防衛費削減できるんだけどなー。残念だなー
ロシアの元軍高官の談話によると東京急行の意図は
「よっ!やってる?」「元気?」
くらいの挨拶なんだそうです。
北朝鮮のミサイルもきっとアイサツなんでしょう。アンブッシュは一回のみ許されていそうですが。
それならこちらからウラジオストクに挨拶しても国際問題にならなそうですね(?)
いつものあれですね
ポジショントークなのか、バイトなのかは知りませんが
ロシアがNATO諸国に攻め込むというのは能力からして非現実的だし
中国の脅威もたとえ中国が台湾に武力行使したとしても(個人的にはあり得ないと思うけど)台湾が中国の統治下に入る以上のことが起きるとは考えられない中で
これほどの巨額の軍事支出が本当に正統化できるのかね
なんかどっかの誰かにまんまと乗せられてる気がするけどな
ちなみにNATOに加盟してない島国があってですね
侵攻しちゃったからねぇ..
ありえないはありえない、になっちゃったんですよね
能力なくても侵略自体は出来るので、それが最終的に失敗、敗北としてもだからして戦争は起こらないなんて保証にはならないかと
防衛投資は、公共事業と同じような性質があります。
各国インフレの中で、防衛投資を行っていく訳ですから、インフレ加速により政治が不安定化する国がでてくるでしょうね。
公共事業の場合は、波及的な経済効果があるのですが。
軍備はそれがあまり無いので、辛いところです。
金だけでなく、人員も取られますし。
一応、コスパ無視で開発された軍用の画期的な技術が、民間に降りてきて非常に大きな経済効果が得られる場合もありますが。最近ではGPSのように。
まさに、仰る通りです。
先進国が少子化の流れの中で、人員が取られるのが、かなり厳しく感じますね。
軍事費って波及効果が低いから
インフレの加速という観点からすると
一般的な支出よりマイルドになるんじゃないの?
(普通に考えれば支出純増じゃなくて、別の支出を減らして付け替えるので)
インフレは加速しなくても、一般支出減、軍事費増加で
幸福度が減って政治的安定性がへるのはそうだと思う。
西側先進国が少子化の流れの中で、徴兵再開・兵器生産などにより労働力をとる事も、インフレ要因になります。
今般の軍事投資増加に対して、義務的な公共事業を削るのは、なかなか難しいと思うんですよね。
例えば、医療費を大幅に削れるかというと、政治的に難しいのではないかと(特に日本です)。
管理人様が、公的債務に焦点を充てられていますが、債務増加によりインフレ圧力がかかるのは妥当かなあと。
仰る通り、何らかの痛みを伴うのは、避けられないでしょうね(多少のインフレは悪くないと考えています)。
>徴兵再開・兵器生産などにより労働力をとる事も、インフレ要因になります
それだけじゃなく軍需が資金を吸い上げることで民間投資に使われるはずだった資金が吸い上げられるクラウディングアウトも起きるから
生活にいいことは何もないね
ソ連崩壊からチキンレース再開まで約30年保ったから、世界大戦の戦間期よりは保ったな。それはそれとして先進国の国債の債務救済措置はできるんだろか。
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《Bloombergは再武装化が果たされた世界での政治的な課題について「限られた税収と増え続ける福祉や保健ニーズ等をどのように調和させるかだ」》
ビリオネアたちから絞れば良いって判ってるクセに。このこの〜。
まあ絞ったところで足らんだろうけど。
>ビリオネアたちから絞れば良いって判ってるクセに。このこの〜。
福祉予算を削減して軍事費ドバドバで軍需企業の株主のビリオネアがさらに大儲けって算段かもね
と、言いたくなるくらい10兆ドルという額は常軌を逸してる
まともじゃないよはっきり言って
誰のそろばんから出てきた数字なんですかね。
現実的にロシアと中国の脅威があるにしても、限定的な地域に限られたことだし、冷戦期のような2大イデオロギーの対峙って構造もないし。。。
なんかこれらの紛争を機に軍需需要のアップグレードを狙ってる機関投資家がいそうな雰囲気ですよね。むしろ、戦争よりそっちの方が怖い。
戦争で成金的に儲ける人はいますが、そんなのはごく一部ですよ。目立ちますが。
誤解があるようですが、一般的に富裕層は戦争には反対するものです。
どちらかというと、失うものの少ない庶民の方が過激だったりします。
戦争では多くの財産が棄損しますが、庶民は財産をあまり持ってないので、失うものが少ないからです。
また戦費は富裕層から搾り取ることになります。
庶民は絞っても何も出てこないからです。
富裕層が富裕でいられるのは、平和があってこそですよ。
ピケティの著作、『21世紀の資本』が話題になりました。
戦争は、仰る通り、格差が縮小する効果があったと言われていますね。
(巻き起こる格差議論 ~ピケティ「21 世紀の資本」の意味~ ニッセイ基礎研究所)
ピケティの本を直接読めばすぐ気付くと思いますがピケティが言っている戦争には格差を縮小させる効果があるというのは
資本ストックが徹底的に破壊されるような総力戦のことであって代理戦争や局地的紛争やあるいはそれを利用した緊張状態のことではありませんよ
だがそんなことはもはや起き得ない(冷戦時代と変わらずに核抑止力が効いている上に中国はイデオロギーの輸出を全く考えてないのに冷戦時代にすら起きなかったことが起きるわけがない
てか、上また書き間違えてるな・・・
頭痛でちょっと集中力が落ちてるみたいですみません
これも書き間違えてないといいけど
一般大衆が戦争好きだとは思わないな
イラク戦争にしろあるいはもっと遡って第二次世界大戦にしろアメリカで戦争することに積極的だったのは政治的エリートで大衆ではないでしょう
大衆はエリートに説得されたにすぎない
常に戦争というのは社会学用語で言えば働きかけの能力が高いアクターが起こすんであって政治的決定に直接的に関われないエリートが起こすわけじゃない
それはエリートが嫌悪するポピュリズムですからね
メモ帳で添削してたら一番重要なところが書き直せてなかったw
×政治的決定に直接的に関われないエリートが起こすわけじゃない
○政治的決定に直接的に関われない大衆がが起こすわけじゃない
酷いミスだなぁ・・・
この状況だと、無人兵器の推進と核武装してGDP3%位に軍事費削減するのが現実味を帯びて来ていますね。もしくは日本列島要塞化か‥前者の方が安く出来そうですけれど、後者の方が多くの雇用を生み出せますね、両方やったらGDP4%位でしょうか、日本列島要塞化だと、予備自衛官制度の見直しで消防団の感覚にしないと無理なような気がするのですが・・もちろん、平和への取り組みは継続していくのですけれど、雇用問題対策としては予備自衛官制度の見直し(今のと違うお手伝いさん制度みたいなのを新設する)で一般化してしまうのと、自衛隊の輸送能力や自衛隊関連施設の建て替えとかも重要視するべきで、その為のGDP4%の布石なのでしょう。
ロシア 4.4%
米国 3.3%
中国 1.3%
中国のこの数値は絶対にウソ
旧ソ連と同じでGDP値を盛りまくってるから、
結局は米中露という三大覇権国は似た様なGDP比3~4%台だろう
税金搾り取るなら金持ちだけにしてくれ〜
西側はロシアや中国に支援しなきゃ良かったのに
よく30年も持ったよほんと
小競り合いはあれど言葉も文化も違う国々がよくもここまで協調できた
戦争を知らない世代が増えるとやっぱり戦争は避けられないものになるんだろうね
現実的には冷戦の二の舞になるでしょう。当時、米英ソ連は経済がガタガタ、経済全振りの日本が一人勝ちでした。
今回はG7とロシアがガタガタ、漁夫の利の中国とインドが経済ブーストで大勝利となるでしょう。
仰る通りです。
中東産油国も、原油価格上昇ブースト・ロシア産原油の精製により大儲けなので、漁夫の利大勝利の組に入れたいですね。
WW3の戦略ゲームが出たら開始年はここ数年のどこかになりそう
というかさ、軍拡に賛同してる人って
ロシアにはもう西ヨーロッパを攻める軍事力も仲間もいないし
中国はイデオロギーの輸出を全く企図してないからたとえ台湾が中国に占領されても余勢をかって周辺国に攻め込むなんてあり得ないしましてやアメリカと全面戦争なんて尚更ありえないのに
本当にNATOと上海協力機構が全面対決みたいなこと起きると思ってんの?
はっきり言ってめっちゃ頭悪いよそれ
まあまあ、落ち着きましょう。
「各国の安全保障担当者らは冷戦時代並の国防支出が必要と考え始めている」という記事です。
つまりこれが現実ですよ。
彼ら全員が頭が悪いのですか?
そんな訳はないですよね。
ありもしない脅威にビビって一人相撲で自滅するとしたらとんでもない間抜けだね我が陣営はw
頭クラクラしてきた
あなたの理論は、ロシアが侵攻したという事実のみで
論破可能です