リトアニア、エストニア、ラトビアはウクライナに対する「長期的な支援(複数年14億ユーロ以上)」と「政治的な支持」を表明、英国政府も12日「ウクライナと安全保障協力に関する歴史的な協定に署名する」「2024年度の軍事支援額を25億ポンドに増額する」と発表した。
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欧州主要国のウクライナ支援(二国間支援)に対する姿勢には大きな変化はない
ウクライナのゼレンスキー大統領は11日までにバルト三国への訪問を終え、リトアニア、エストニア、ラトビアから長期的な支援(複数年14億ユーロ以上)と政治的な支持を獲得、英国政府も12日「スナク首相がキーウを訪問して新たな支援パッケージを発表する」「スナク首相とゼレンスキー大統領は安全保障協力に関する歴史的な協定に署名する」「スナク首相は2024会計年度におけるウクライナへの軍事支援を25億ポンドに増額(2023年と比較して2億ポンド増)する」と発表した。
リトアニアで会談したナウセダ大統領は「ウクライナに対する2億ユーロの長期支援が承認された」「この資金で1月に弾薬や発電機、2月にM-557(M113の派生型)を送る予定だ」と、リトアニア国防省も「2024年から2026年までをカバーする2億ユーロはウクライナ向けの軍事支援に必要な装備・物資の購入に充てられる」と明かし、アヌシャウスカス国防相も「我々も独立回復のため50年も費やしたが、それと同じように自由を求めるウクライナの戦いを支援し続ける」と述べている。
エストニアで会談したカリス大統領も「4年間で計12億ユーロの支援を提供する」と発表、これは2024年~2027年にGDPの0.25%を毎年ウクライナへの軍事支援に充てるという意味で、12億ユーロの支援が約束通り実行されるとエストニアの支援額は累計17億ユーロに達し、この額は人口130万人の国にとって非常に大きな数字だ。
ラトビアで会談したリンケービッチ大統領も「自走砲、弾薬、対戦車ミサイル、対空システム、迎撃弾オフロード車、ドローン、通信機器、発電機、冬用装備などが含まれた新しい支援パッケージを準備中だ」と明かし、ラトビアのシリニャ首相は「我々は今後もウクライナとともにあり続ける。ラトビアはソ連占領政権による残虐行為を経験しているためウクライナを支援するのは当然のことだ。ウクライナの自由は欧州と世界の安全を意味する」と述べ、バルト三国は足並みを揃えて「ウクライナへの支援と支持を再確認した」と格好だ。
英国政府も12日「金曜日に首相がキーウを訪問して安全保障協力に関する歴史的な協定に署名する。これはビルニュス(NATO首脳会議)でG7が約束した安全保障に関する2国間協定で、英国とウクライナの100年に渡る揺るぎないパートナーシップの第一歩になるだろう」「この協定は英国が提供してきた情報共有、サイバーセキュリティ、医療・軍事訓練、防衛産業協力などの支援を正式なものにする」「ウクライナが再び攻撃を受けた場合に必要な支援を行なうことも約束している」と発表。
さらに「スナク首相はキーウ訪問に先立ち、2024会計年度に25億ポンドの軍事支援をウクライナに提供することを確認した。これは前年度と比べて2億ポンドの増額となる。最低でも25億ポンドの内2億ポンドは偵察・監視、長距離攻撃、水上ドローンなど数千機の軍用ドローン調達・生産に費やされる。このドローンの大半は英国で製造される予定で、国際的なパートナーと共にウクライナに提供される無人機の数を大幅に増やす予定だ」と述べている。
EUは全会一致の原則によって行き詰まりを見せているが、ドイツのショルツ政権は2024年度のウクライナ支援を40億ユーロから80億ユーロに倍増させることで合意、ドイツ国防省も「ロシアとの戦いが10年以上に及ぶという見通しに基づき、2032年までの予算計画にウクライナ支援資金を組み込んでいる。これは我々の決意を示すもので自由のための戦いに期限はない」と述べたことがあり、イタリアのメローニ政権は昨年末「議会承認なしに武器供与を可能にする法令」の再延長を決定、8回目となるウクライナへの軍事支援も準備中だ。
英国政府も「我々の支援は衰えはない」と述べており、欧州主要国のウクライナ支援(二国間支援)に対する姿勢にも大きな変化はなく、今後の支援の重心は米国から欧州に移るのかもしれない。
追記:スナク首相がキーウに到着した。
I am in Ukraine to deliver a simple message.
Our support cannot and will not falter.
To all Ukrainians, Britain is with you – for as long as it takes 🇬🇧🇺🇦 pic.twitter.com/1ya8m2seiJ
— Rishi Sunak (@RishiSunak) January 12, 2024
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※アイキャッチ画像の出典:PRESIDENT OF UKRAINE
日本の岸田政権もそうだけど、「建前は民主政だが実態は上級国民による貴族政」となって久しい国の政権は、どこも簡単に“失敗したと認めたくないから”国家の金を他国に平気で出すものなのだな。
不満を持つ貧困層、無産階級が極右へと流れ、ポーランドの流通業者が国境を封鎖するという【潮流】がなぜ起きるのかよく分かる。そこに中東系の移民が1割以上を占めるようになれば、国体が揺らいでいくのは自明の理か。
まったく関係ない話してますね
国体揺らぐも何も民主主義国家ですから色んな立場の人が色々な意見表明するの当たり前ですよ
全体主義が理想なのかな
「意見表明」ができることと、「意思決定」に関われるかは異なります。
貧民や移民層が自由に意見を表明することが許されていても、意思決定に関わる権限(議会の場へ送り込む人間の人事権含む)が足りていなければ、参政権はないも同然。
日本においても、18歳から30歳までの若者層には愚痴を言う権利も政治を非難する権利も認められていますが、“老人に偏った社会保障を是正する法案”を意見表明したところで、老人が多数派を占める世の中では「意思決定」の段階で確実に葬られます。
昨今の女性の社会進出に鑑みて言うなら、明治大正の時代も家のことで女性にも「意見表明」は許されていました。25歳以上の男性のみが「意思決定」に関わるべきとされた故に、不平等ではありましたが。
>全体主義が理想なのかな
ついでながら、私は「自由経済個人主義」に対するのが「統制経済全体主義」と捉えています。後者のうち、国際主義はコミンテルン、国粋主義をファシズムと区分することもできます。
どういう文脈で貴方が全体主義を持ち出したにせよ、民主主義の反語ではありません。全体主義がやがて専制君主に結びつきやすい(例は習近平)のは事実ですが、
「国家レベルの全体主義」でありながらも民主政の選挙という建前で政権を握ったナチス党がありましたが、あれは一種の過渡期における欺瞞トリックというべきかと。その後、一人の総統による独裁国家に変貌したのは周知の通りで。
さらについでに言えば、私は「無能な衆愚政治に堕した民主主義国家」よりも、「有能な独裁者の率いる専制国家」のほうが望ましいと考える法家主義で、儒家ではありません。好きな日本人は織田信長です。
唐突に自分語りしだしてどうしたの
責任の所在を曖昧にする文化が大戦後もずっと根付いている日本では
意思決定が曖昧になりどんどん暴走することが先の大戦で証明されているからその政治体制はNGだよ
「有能な独裁者」というフィクションを万人に強制するのが全体主義だからねえ。
「無能な衆愚政治に堕した民主主義国家」よりましな「有能な独裁者の率いる専制国家」なんてファンタジーに過ぎんよ。
民主主義ができる前は全ての国が王政などの独裁専制国家でした。
その中にも長らく栄えた国と短期で滅んだ国があり、歴代の王も
名君や暗君といった評価が付く以上「有能な独裁者の率いる専制
国家」自体はファンタジーでも何でもなく実在し得ます(現在の
独裁国家の中に該当する物が有るかどうかまでは知りませんが)。
「昔あったとされる」有能な独裁者の率いる専制国家ということであればなおさらファンタジーになるじゃないですか。昔実際にどんなことがおきていたかなんて、今となっては本当かどうか分からんですからねえ。
ましてや、「全ての国が王政などの独裁専制国家」などというフィクションを信じろと言われても無理です。
>「昔あったとされる」有能な独裁者の率いる専制国家ということであればなおさらファンタジーになるじゃないですか。昔実際にどんなことがおきていたかなんて、今となっては本当かどうか分からんですからねえ。
学生時代に江戸時代前の歴史の授業を無駄だと思ってたタイプですか?
>「全ての国が王政などの独裁専制国家」などというフィクションを信じろと言われても無理です。
民主主義ができる前なんだから民主的な国な訳無いでしょ?国ができる前の原始時代の村社会をカウントして違うと言ってらっしゃる?
原始時代の村社会も含めて「全て独裁専制国家」と強弁されてもねえ。
それに、教科書の江戸時代前の記述内容なんて、高度成長期以降に限定しても大幅に変わってきているじゃないですか。だからといって、歴史の授業なんて無駄ということになるんですかねえ?
「強弁されてもねえ」じゃなくて、違うと言うなら具体的根拠を示して反論してください。どんな地域の歴史でも原始人から始まって部族社会ができてそれらの争いの末にある程度の広範囲を治る王国が出来て更に王国同士で争っての流れは基本的に必ず通る道です。
そのあらゆる地域の部族社会・王国の全てが「独裁専制国家」であると?そういう思い込みを当方に押し付けられても迷惑です。
>そのあらゆる地域の部族社会・王国の全てが「独裁専制国家」であると?
はい。人間の本質なんて古今東西変わりません。人権だとか民主主義といった思想は、ある程度社会が成熟し、学問が発展し知識が増えてから生まれてきたもので、猿山の延長上の域を出ない古代の社会では結局力こそ全てです。それは違う、私の思い込みだとおっしゃるならば具体的な反証(〇〇王国は王政でありながら一般民衆に政治決定に携わる仕組みがあったよとか)のご教授をお願いします。
あいにく相手が示さぬものを示すお人よしではないものでね。
それに昔実際どんなことがおきていたかなんて、今となっては本当かどうか分からんのだから、思い込んでる相手に示したところで無駄というものです。
民主主義の実現にはある程度の教育水準、経済力、文化的統一性が必要で、水準に達していなければ権威主義(個人や党による独裁、宗教支配)にならざるを得ない。アフリカや中東では文明の発展が遅れたため権威主義であるのは当然で、我ら「最先端の」西側諸国の多くは大抵これらの地域を喰い物にして発展したことを忘れてはならない。そして西側諸国ですら経済格差の拡大や移民の流入による統一性の困難が生じ、極右や極左が台頭している。
「腐った民主主義」と「有能な権威主義」のどちらが優れているか断言するのは難しい。収入や治安といった生活水準で考えると「パンとサーカス」を与えられる権威主義国家、つまり資源国の国民は素直に羨ましい。しかし民主主義の最大の利点は「国民の批判によって権力者の間違えを正すこと」ができる点であり、ロシアがリベラルな政権だったら今回の戦争は回避できたのではと思う。まあこれも権力の主体である国民が特定の宗教・思想に拘泥しているケースでは上手く行かないのだが(インドなど)。
好きな日本人は山本宣治(戦前の政治家で出産調整と戦争反対を主張)です。
若年層の投票率が100%近いならある程度は理解できなくもない見解ですが、「面倒くさいから」「投票したって何も変わらない」「興味が無いから」等々権利を自ら放棄する人には発言権も尊重されないでしょうね。
記事の本質と関係無いコメントで失礼いたしました。
あの、おそらくスナク首相のことを仰ってるんでしょうけど。
彼は医者と薬剤師の両親から生まれたインド系の東アフリカ移民二世で、裕福な家庭ではありますけど一般階層出身ですよ。
貴族的上級国民とするには少し無理があるのでは……?
仰る通りです。
岸田政権は政権支持率10%台ですが、(ウクライナ喜捨の増額など)都合の悪い事は議会で、深く議論しないですからね。
日本でも過去、自民党政権交代・民主党政権交代など、無党派層の不満が高まれば短期間で選挙に大きな変化がでており、仰る点をイメージしやすいです。
ヨーロッパも、政治の安定が見通しにくくなっていると感じています。
現ロシア政府に対する意見かな?
こうやって自分の国で金で支援する分にはいいんですけどね。
合意していないのに合意していない人達の金まで使って支援するから揉めるのです
ウクライナ応援したい国や個人が勝手にやっていればよいのです
並べるとドイツの支援額の大きさが浮き彫りになりますね…
GDP的にはドイツが80億ユーロ出すならイギリスは50〜60億ポンドほど出してもおかしくは無いのですが
口では急先鋒でも支出はそうでもないのは、イギリス外交の老獪さですかね
イギリスは空母と戦略原潜にお金かかりすぎるし、
EUからブレグジットしたことで、低コストな資金調達も出来ないし、放漫財政を打ち出したトラス政権は、市場から一発KOさせられたし、まあ仕方ない。
GDPで単純比較することに無理があると思う。
日本の労働生産性が低いと言われる類と同じ。
デタラメとまでは言わないけど、正確とは程遠いもの。
「ビルニュス(NATO首脳会議)でG7が約束した安全保障に関する2国間協定」
G7の他に六カ国が共同宣言に参加しており、共同宣言に基づいた個別協定が続々と結ばれる事になる
ちなみにウクライナのNATO加盟までの支援が謳われてますな
>ちなみにウクライナのNATO加盟までの支援が謳われてますな
トルコとハンガリーが加盟批准を拒否し続けたら、10年以上も支援し続けることになるのかしら?
NATOもEUも全然関係ないな
NATO会議に合わせて開かれたG7首脳会議の共同宣言だから
ウクライナのNATO加盟まで支援していく事を宣言、各国がそれぞれウクライナと個別協定を結ぶという形なのでEUなどの枠組み関係なし
トルコやハンガリーが何を言おうが意味がない
そうなんです
NATOに加盟するまで支援し続ける約束なんですよ
残念でしたね
もちろん日本もね
欧州の危機なんだから、ヨーロッパが中心に出すのが当然だよな
アメリカ頼りの去年までがおかしかった
今はまだバイデン政権のはずなのに、トランプの主張する欧州軍事負担増の形になっているのは皮肉。
イタリーの動きが気になる
ヨーロッパの安全保障問題に、ヨーロッパが主体的に取り組む姿勢が見えますね。
今年は選挙が多く、ヨーロッパ議会選挙などもありますので、欧州が揺らぐ事がないのか見守りたいと思います。
諸国での極右の台頭は比較的よく耳にするが、ヨーロッパ議会は実際のところどうなんだ?
かつてのイギリス勢以外で右派が台頭した記憶がないんだよね
欧州議会どうなんでしょうかね。
極左が、不法移民の受入賛美・負担推進になるのでしょうか。
マスコミも、極右の定義が、移民規制などフワッとしており。
そこに寄せて、全体的に右に動いていると解説していますが、それ世論だなあと…。
欧州議会選挙で、議席拡大を目指すようです。
(2023年12月4日 欧州極右政党が会同、来年の欧州議会選での躍進目指すと表明 ロイター)
(2023年12月22日 移民規制の強化に動く欧州~極右の真似事では極右を阻止できない~ 第一生命研究所)
この戦争がどのように・どこまで続くか次第ではありますが、バルト海におけるトランジットの要所としての地位を失いつつあるだけでなく、ウクライナを含む東欧諸国との競争が激化していくであろうバルト三国の経済や政治が長期的にどうなるかは興味深いところですね。
今年の秋に選挙やる憶測だが支持率20%、労働党が40%だから下野決定的なんだよね。
だからこの約束自体が反古にされるか骨抜きになります。だいたい舌が何枚あることやら…
そうなんですよね。スナク首相はほぼ下野確定状況なので、この支援協定が本当に複数年続けられるかは怪しいです
下手すると2億ポンド分だけで残りはウヤムヤとかも有り得そうなのがイギリスなんですよね
欧州としてはここでウクライナが決定的に崩れたら100万単位の難民が雪崩込んできて国がメチャクチャになる可能性があるので何とか踏ん張って欲しいでしょうが
結局のところウクライナはどこの勢力にも受け入れては貰えないんですね
相当な外交巧者以外は回せない立地の国で方向性の違う外交音痴政権が数世代に渡って続いてるのは不幸としか言えない
自国政府による他国の支援に不満を持つ国民が多いのなら、篤志家を募って他国の支援に充てるのはどうだ。例えばウクライナの戦時国債をメガバンクで扱うとか、ふるさと納税みたいに「ウクライナ納税」枠を創設するとか。単なるウクライナへの募金とは異なり、戦争に勝利して復興が上手く行けば利子付きで還ってくるようにすれば、投資する人は増えるのではないか。