ウクライナ支援法案の再延長を決めたイタリアのメローニ首相は4日「ウクライナが外交的解決策や交渉テーブルに着く唯一のチャンスは勢力間のバランスを保つこと」「もしウクライナに武器を送っていなければ我々の身近なところで次の戦争が起こるだけ」と述べた。
参考:Conferenza stampa del Presidente Meloni
メローニ首相のウクライナ支援に対する信念は今年も健在
イタリアのドラギ前政権はウクライナへの武器供給を迅速に実行するため「議会承認なしに武器供与を可能にする法令」を導入、米国やドイツのように支援内容を公開していないだけで相当量の武器(M270MLRS、PzH2000、M109、M113、FH70、イヴェコLMVなどを提供しているのが非公式に確認されているため『ドイツ支援に匹敵する』とも言われている)を送っており、メローニ政権も2022年末に効力が切れる本法令を延長したが、イタリアではウクライナへの軍事支援は不人気の政策だと報じられている。

出典:ПРЕЗИДЕНТ УКРАЇНИ
最も発行部数が多いコリエーレ・デラ・セラ紙は昨年2月に世論調査の結果発表、イタリア人の約45%がウクライナへの武器供与に反対(賛成は34%)、与党「イタリアの同胞」の支持者でさえ47%が武器供与に反対しているが、メローニ首相のウクライナ支援に対する信念は揺るがず「たとえ政権への支持率を下げることになってもロシアに抵抗するウクライナを支持し続けるだろう」と訴え、昨年末に「議会承認なしに武器供与を可能にする法令」の再延長を決定。
今月4日の記者会見でも「戦争のエスカレーションに繋がるため武器をウクライナに送るべきではないという主張は実際には逆だ。ウクライナが外交的解決策や交渉テーブルに着く唯一のチャンスは勢力間のバランスを保つことだ。ウクライナ支援に否定的な人々の言う通りにすれば平和が訪れるどころか我々のもっと身近なところで次の戦争が起こるだろう」と述べ、準備を進めているウクライナへの軍事支援(8回目)への理解と支持を訴えた。

出典:Stephencdickson / CC BY-SA 4.0
管理人の個人的な印象だが「欧州諸国とウクライナとの間で行われている軍事支援」は依然ほど人気のある政策でなくなったため、大々的にアピールされることはなくなったものの「軍事支援が途切れている」という印象はない。しかし報道されることが少なくなっため支援内容の中身は謎で、昨年末にメローニ政権が再延長を決定した「議会承認なしに武器供与を可能にする法令」の議会承認もこれからなので楽観視できる状況ではない。
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※アイキャッチ画像の出典:Governo Italiano Presidenza del Consiglio dei Ministri/CC BY-NC-SA 3.0 IT DEED
戦争のエスカレーションに繋がるため武器をウクライナに送るべきではないという主張は実際には逆だ。ウクライナが外交的解決策や交渉テーブルに着く唯一のチャンスは勢力間のバランスを保つことだ。ウクライナ支援に否定的な人々の言う通りにすれば平和が訪れるどころか我々のもっと身近なところで次の戦争が起こる
支援する金で自国防衛強化した方がよっぽど
安全に繋がる思いました(小学生並の感想)
自分達の血を流さずに潜在的敵対国の軍事力削れるならそちらの方が安上がりです
万全の防衛力があれば相手は攻めて来ないというのも必ずしも正しくありません、相手の認知能力と価値観次第でいくらでも暴挙に出てくる可能性があります
支援する相手がまともな国ならば
そうなんでしょうけど、汚職塗れの
ウクライナだと大半が無駄金として
消えることになりそうなので。
逆に西側の武器庫の底が見えてくるくらい削られてるのだから本末転倒だろ。
遠い日本さえも少ない備蓄を吐き出される始末。
西側の生産能力だと回復するのにロシア以上の年月が必要なのに。
私はそうは思いません。今と構成する地域は違いますが冷戦時代に戻るだけです。
すでにスロバキアは追加の武器支援はしないと言い、ハンガリーは支援に後ろ向き、ポーランドすら距離を置き検問封鎖を事実上黙認、チェコも大統領が二度目の攻勢に出せるものはない、と全てソ連の陣営にあった国の態度です。
もちろん戻りはしないと思いますが威勢が良いのは旧西側で脅威が迫っているはずの地域はロシアの影響力を認めている証左ではないでしょうか?
因みにイタリアの隣はクロアチア、旧ユーゴスラビアです。
NHKでウクライナに武器を送らなければ戦争が早く終わると言ってた少女と対象的なんですね
各国首脳は、対等じゃなくてもウクライナ人にしてみれば早く終わるので、迷惑じゃないですかね?
ロシアは自国有利じゃないと折れないだろうし
メローニって選挙戦では「極右」
「過去にムッソリーニを崇拝する発言」
とかネガティブな報道がされてたけど、
いざ就任してみたら結構良い人でしたね。
選挙中の過激路線から、就任後の現実路線に修正するのは一つのお約束ですからね。最近の欧州は少し過激な事を言うとすぐに『極右』『極左』などと言いたがるので、単に言葉遊びがしたいだけなんでしょう。
メローニ首相は良い人というよりぽっと出の極右扱いされてた分余計に正統的な発言をして立派なエスタブリッシュメントとして認めてもらおうとしてる感じがする
育った経済環境もあんまり良くなかったみたいだし多分上流階級になりたい願望が強いんじゃないかな?
メローニの支援継続姿勢は、先の詐欺電話での本音暴露を踏まえるとどが掴みにくいのですが、内訳は不明でもドイツ並みの支援でしたか……
議会軽視の立法を議会に通すのでハードルは高いと言われてますね。連立与党の各党も与党と比較して少数ですが、その少数でも与党という立場を活かすためには議会が必要ですし、そもそも連立与党は親ロ派なので。
欧州諸国が支援継続に前向きなのはとてもありがたい話なんですが、質量ともに最大だった米国支援の見込みが立ってないのがきついよね
”ウクライナに武器を送らなければ戦争が近づくだけ”
同意です。西欧でも、日本でも、そうではないでしょうか。
懸命に戦っているウクライナには申し訳ないのだけれど。
>>ウクライナに武器を送らなければ戦争が早く終わる
→”ウクライナに武器を送らなければ戦争が近づくだけ”
あなた、何がしたいんですか?
それは悪魔の証明でしか無いと思います。ロシア(ソ連)は悪というイメージでしょうが実際に外国から侵攻を何回もされているんですからなるべく本国外周にバッファーゾーンを確保したいと思っています。
しかしむやみやたらにバッファーゾーンを広げるかと言えば疑問で、日本にしても海という障壁があったり米国という一応の後ろ盾がある訳ですからウクライナに対する短絡的な行動を起こせるのかは疑問です。西欧にしてもロシア安保に大きな影響を及ぼすウクライナ問題をクリア出来るなら、それ以上は核による応酬なりウクライナと比較にならないほどの損害を覚悟して世界を本気で敵に回すよりは適当な距離を取って利益を得つつ現状維持をするのではないでしょうかね。
アメリカ、ネオコン、ヌーランド、資源あるロシアをアメリカの物にしなければ、だってさ。
良かったね、日本、資源枯渇気味でさ。
イタリアには、今こそチェンタウロ・ドラコを派遣して欲しい。76mm高射砲を装備した装輪戦闘車。
失敗作扱いされるが、このウクライナ戦争では、ゲパルトと並んで、ドローンや戦闘ヘリに対して非常に有効だと思う。
しかも76mm砲は射程が長いので、短距離ミサイルが打たれる前に撃破出来る優れものだ。
「イタリアが味方した方が負ける」伝説を更新しようというのか…。
WW1では勝者側にいたから、寧ろどっちも敗者側にドイツが付いた方の印象が…。
冷戦だと東西どっちにもいたから分散された気もしますけど。
むしろ親露だったのが支援強化で勝利フラグでは(二度の大戦での裏切りムーブ的に)
メローニ首相は、2023年9月18日、ロシア芸人の偽電話に騙されており、ウクライナ戦争への厳しい本音を吐露しています。
今後の推移を、見守りたいと思います。
ロシアが調子に乗るとセルビアを中心に旧ユーゴスラビア連邦の地域が不安定になり
その余波がイタリアに来ることが予想されるのだから
ロシアの勢いはその手前のウクライナで削いでおきたい、ということかな?
右派政権にすれば珍しい行動をしてるよな
右派の人間はわりとロシアよりなのに
自分の支持率落としてまで支援する理由が謎なので
米独あたりに詰められてるのではないでしょうか
イタリアは金がないので移民、ウクライナでは後ずさり譲歩ばかり・・・
それがさらに極右をうまないか心配だけど
自国第一主義、ポピュリスト極右メローニ政権の誕生と言われていたが、今現在のアメリカよりマシなこと言っとる
いや実績値ではアメリカはダントツ一位のままでイタリアが5位とかにも今後も入らないのだろうが
イタリアがウクライナに武器を送ったところでウクライナがロシアに勝てるわけも無い。実際、西側がウクライナに送った武器はことごとくロシア軍に無効化され、破壊されている。JDAM、自爆ドローン、ハイマースはロシア軍の電子戦でGPS座標をロストし明後日の方へ飛んでいき、レオパルト2、チャレンジャー、ブラッドリー、カエサルは南部戦線で鉄の棺桶になった。NATOの武器弾薬庫は既に空っぽ。イタリアももう3日分しか弾薬が残っていない。ウクライナに武器を送ることはロシアと敵対すると言うことだ。ロシアと敵対することは自国の安全を危険にさらすことだ。ウクライナに武器を送り、ロシアと敵対し、自国の安全を危険にさらし、武器を送ったウクライナはロシアに惨敗し、自国の武器弾薬庫はほぼ空っぽと言うのが今のイタリアだ。この上でさらにウクライナに武器を送ることは正常な判断とは言えない。