クピャンスク方面で登場した視覚的証拠はロシア人達が主張する「前進」と矛盾し、スバトボ方面で登場した視覚的証拠も「ロシア軍がゼレベツ川左岸に確保した橋頭堡の縮小」を示唆しており、今のところロシア軍は東部戦線で何も成功を収めていない。
ロシア軍は東部で攻勢を仕掛けてウクライナ軍の戦力分散を狙うも、逆に南部での攻勢を阻止するため戦力分散のリスクに直面か
クピャンスク方面についてロシア側情報源(Рыбарь)は「ロシア軍が戦術的前進を遂げたクピャンスク方面は比較的安定している。現在の戦いは砲兵や無人機を使用した陣地攻撃に移行しており、敵はロシア軍が攻勢を継続すると考えクピャンスクやドヴォリチナに増援を送り込んでいる」と報告したが、相変わらず「戦術的前進」を裏付ける視覚的証拠は登場していない。
8月23日~9月2日までの間にロシア軍がオスキル川に設置された舟橋=Ⓐを攻撃する様子、クピャンスク北東の森林ゾーンで発見したM109=Ⓑを攻撃する様子、ヴィルシャナの集落内=Ⓒから南方向にT-72が砲撃を行う様子、ヴィルシャナ南郊外のウクライナ軍陣地=Ⓓを無人機で攻撃する様子、ウクライナ軍がヴェリキイ・ヴィセロック郊外=Ⓔで発見したムスタ-Sを攻撃する様子、ノヴァ・タラシフカの南=Ⓕで発見したムスタ-Sを自爆型ドローンで攻撃する様子を確認。
特筆すべきは「シンキフカのラインまでロシア軍支配地域が前進した」というロシア人の主張と矛盾する視覚的証拠=Ⓓで、何ヶ月も前進を裏付ける視覚的証拠が登場しなかったことを考慮し、ロシア人の主張はグレーゾーンとして残しつつ「ロシア軍支配地域」は視覚的証拠に基づくライン(5月時点の前線位置とほぼ一緒)まで後退させることにした。
ロシア軍が仕掛けたスバトボ方面の突破もロシア人は当初「ゼレベツ川を渡河したロシア軍はハルキウ州の州境に迫っている」と大々的に報告していたが、結局は報告されていたほど大規模な突破ではなく、この攻勢でロシア軍が確保できたのはライホロトカの対岸にあるセルヒフカだけで、マリャル国防次官も「ロシア軍はペルショットラヴネーブの南=オスキル川沿いのボロヴァ方向に進もうとしたが失敗した」と指摘している。
8月23日~9月2日までの間にウクライナ軍がノボセリブケ集落内=Ⓐに破棄された戦車を無人機で攻撃する様子、ライホロトカ集落内の建物=Ⓑ、歩兵戦闘車=Ⓒを迫撃砲で攻撃する様子、同集落郊外を走行する車輌=Ⓓ、装甲車輌=Ⓔを自爆型ドローンで攻撃する様子、ゼレベツ川の対岸=Ⓕ周辺でロシア軍陣地、車輌、装備を無人機で攻撃する様子、Ⓖ付近で放棄された戦車に無人機で攻撃する様子、Ⓗ付近のロシア軍陣地を攻撃する様子を確認、ロシア軍が確保した支配地域はどんどん縮小している格好だ。

出典:Military Media Center
因みにシルスキー陸軍司令官も英国防省も8月に「ロシア軍がクピャンスク方面とリマン方面で攻勢を仕掛けてくる可能性(英国防省は9月から10月の間と言及)がある」と警告していたが、英国防省は2日「ロシアの第58軍と空挺部隊はクピャンスク方面での攻勢を維持し、ウクライナ軍の戦力を東部と南部に分散させようと試みているが、逆にロシア軍は南部での攻勢を阻止するため戦力を分散しなければならないリスクに直面している」と指摘している。
関連記事:クピャンスク、スバトボ、リマンの戦い、ロシア軍は何も成功を収めていない
関連記事:ウクライナ軍と英軍が東部戦線でのロシア軍攻勢を警告、2ヶ月以内に開始?
※アイキャッチ画像の出典:Оперативне командування “Схід”
良い写真ですね。
ウクライナ側が南部でロシアの防衛ラインを食い破ろうとしているとは対照的に、ロシアの東部での反撃はあくまでも、攻勢をかけることで防衛側の負担を強いる程度のハラスメントアタックの域に過ぎない感じですね。
二か月以内に大規模な攻勢が行われる、戦力の集中が見られる、という報道がありましたが、まだその時ではない感じでしょうか?
攻撃を防げているのは朗報ですが、本格的な攻勢をして失敗なのか、その前の探り程度の攻勢なのか気になるところです。
というよりも、ウクライナ側が大々的に喧伝しただけなのではないでしょうか?
そもそも東部にいきなり10万人規模・数百輌の戦力が現れて云々がまず怪しかった(それだけの戦力を示す視覚的証拠が無い)ので
仰るとおりに東部でロシア軍がハラスメント的に攻撃を仕掛けていたのが少し前進できた事に対して、ウクライナ側報道(10万人のロシア軍が東部から攻めてくる)の数字が独り歩きして”虚像のような東部ロシア軍”が報道されていたように思えます
それだとあんなにクピャンスク方面の進軍を声高に宣言していたのは
ロシア人ブロガーたちがまるごとウクライナの宣伝に引っかかった事でしかね?
それともそれぐらいしかポジティブなニュースがなかったのか
ロシア軍はすでに東部から南部へ部隊を移動中。
戦術が後手に回って行き当たりばったり。
スロヴィキンの言う通りに南部は防御に徹していればこんなことにはならなかったのに。
今となっては南部はあきらめて東部に集中すべきだと思うが
二兎を追う者は一兎をも得ずに なるのでは。
むしろ東部の攻勢は完全に諦めて、南部の防衛に全力をあげられていたら、ウクライナにとってはるかに厄介だったと思います。
おそらく防戦一方になる事は政治的に許されず、どこかで攻勢をかける必要があったのでしょう。
オスキル川東岸地域に通じるウクライナの使える橋はクピャンスク~シヴェルスクまでを数えると
全て修繕されていれば最大で17本ですね
船橋を合わせればヘルソンみたいに兵站を削るのは難しいでしょう
ウクライナ側に比べてやはり視覚的根拠のないロシア側の情報はこれまで通り嘘が本当に多い。
今回はウクライナの反転攻勢を邪魔しようと東部を攻めてたら、逆に南部の防衛線が突破され始めてそれどころではなくなった感じなんでしょうな。
少数の突破したロシア軍もセルヒフカのゼレベツ川まで追い戻されて背水の陣になっているし…。
こんな中途半端な戦い方するなら、最初から南部に全振りしすりゃよかったのに、ロシア軍は相変わらずグダグダ…
南部は兵站が今でもキツいから大部隊を持っていくと兵糧攻めを喰らうのでは ?
ロシア国境近くの分が良い東部で戦いたいのだろうけど、攻勢かけなければウクライナ側が乗って来ない。
しかも練度が低くてウクライナにキルレシオで圧倒されるから全力攻勢も掛けられない。
ここから推測。
練度が低いのは今まで少なくても3ヶ月以上沈黙して何をやっていたのかという話です。
小出しに南部やバフムトに兵を供給していたので、残っている東部の兵は3ヶ月前の兵とは違うのかもしれません。
移民や地方の非スラブ系に対して脅して兵を募っているという報道があり裏動員があり補充しているのでしょう。
ロシア占領のウクライナ領では既に総動員していると報道されています。
前線でのロシア軍が3バカ大将の采配ですり潰されているらしいので、動員しても端から消えていっていると見た方が素直だと思います。
こうなるとガーキン氏がいう総動員かけても状況が好転するかも怪しいです。
ウクライナの国土が広大すぎるが故に、ロシア軍が占領地域を広げれば広げるほど兵站の維持コストが跳ね上がることを考慮すれば、これだけロシア側の進捗が滞るのも当然と言えば当然かもしれないですね。もちろん政治的なゴタゴタも含めて…
全般戦略の問題としてロシア軍が兵力不足に直面している以上、多方面で作戦を実施して作戦術的な連関した効果を得ようにも、相手の反応を引き出すのに必要な圧力を発揮できない現実。
ロシアが戦略的な主導権を喪失している事の、具体的な表われですね。
ISW等では、スバトボ戦線に現在展開中の第41諸兵科連合軍を、練成未了の新編部隊と交代させて南部戦線に廻すなんて話も出てきました。
そもそもがクピャンスク~スバトボ~クレミンナの北東部戦線は、軍事的には最悪主抵抗線をオスキル川とドネツの川岸に設定した弾性的な作戦で充分な地域ではあるんですが、ロシア軍の圧力が弱まるなら、ウクライナ側からつけ入る余地が生じてきます。
ロシア軍、かかし部隊を容赦なく突破されて酷い目に遭ったのは昨秋の事なんですが。
ロシア上層部の命令なんでしょうけど、非合理的な行動すぎて、意図が分からないですね。
ロシアは南部防衛と言っても、外線作戦に実質的になりますからね(補給路が狭く・遠い+レジスタンス)
東部からの部隊移動も、今からでは難しいのではないでしょうか。
ロシア軍は兵士の人数は十分であっても
練度が低い兵士の割合が高いのかも知れませんね
防御陣地に籠って防衛をするだけであれば
それでもある程度は戦えるのかも知れませんが
堅固な敵陣地へ攻勢をかけるには十分な練度の精鋭が必要です
空挺軍の精鋭をあっちこっち引っ張り回して使い倒しているようですが
それは練度の高い精鋭が居ないと作戦の成功率が著しく低いからでしょう
精鋭を引き抜かれた戦場ではロシア軍はたちまち弱くなります
しかしさすがの空挺軍もこき使われ過ぎてすり減ってきているようです
クピャンスク方面は練度の高い兵士が足りないと思われ
人数は居るようですがウクライナ軍拠点を落とせず
精鋭が引き抜かれた後は、ウクライナ軍の反撃を受け
せっかく奪った陣地を再度奪還されています
スバトボ方面では、ロシア軍はセベレッツ川西岸にしきりに進軍しようとするものの
そこは川が流れる低地であり、周辺の高地は全てウクライナ軍が抑えており
ロシア軍は丸見えですから、ここでの活動は指揮官がアホとしか言い様が無い気がします
ロシアは軍事大国でウクライナとは地力に大きな差があるのは事実ですが
なまじ強い力を持つだけに、その余裕からか非効率的な行動が多々見られます
指揮官の面子やプライドを優先する傾向があるように見えます
撃退されても同じ様な攻撃を何度も何度も行います
命令の変更は最初の上からの指示が間違っていたという事になりかねないため
なかなか命令が変更されないのでしょうか
まるで中世の貴族が指揮する軍隊を見ているような気がします
同意見です。ロシア軍には、それほどの大兵力はなかったと思います。
スバトボ方面は意外に侵攻できたが、ウクライナ軍が増援を送ったら、簡単に押し戻されてしまった。
クピャンスク方面は戦略上に重要ですが、ロシア軍は大攻勢をかける兵力はないようです。
開戦以来、ロシア軍は寡兵が弱点でした。昨年秋に予備役の30万を召集したが、半分以上は戦場にも出ずに、戦車兵などを除いて多くはすでに期限切れで帰国しているという情報があります。そして、2回目の召集がされてないのは確かです。
バフムトなどはワグネルに頼らざるをえなかった。しかし、囚人兵の募集も禁止したという情報もあります。そもそも、ロシアでは一般人に対する動員ができていない。
ウクライナでは、一般人の動員が続き、短期の訓練でどんどん補充兵として送ったり、外国に訓練に送り新しい旅団を作ったりしている。やはり、数は力である。
クピャンシクもスバトバも、ロシア軍に大攻勢の兵力はないのではないか。プーチンの戦略が今一つ分かりにくい。
きみぃ、まだいたんかね
安価ミスっててダサすぎんよ
セルヒフカはこれで3度占領されたわけか
・戦争初期にロシアが占領
・反攻でウクライナが解放
・今回の占領
セルヒフカは大丈夫だろうか。3回も戦場になったという事で更地同然になっていないだろうか
いい写真だけど現状考えるとちょっと悲しい写真だな
青い空と黄金色の大地、早く取り戻せますように