ウクライナ戦況

ドイツがPzH2000×100輌のウクライナ売却を承認、売却額は17億ユーロ

ドイツ政府は「ウクライナがPzH2000×100輌をKMWから直接購入するの承認した」と報じられており、本格的に西側製重装備の直接提供へ踏み切った格好だ。

参考:Германия одобрила продажу Украине 100 САУ PzH 2000

今のところ新規に製造したPzH2000の引き渡し時期は不明、本当にウクライナの助けになるのかも不明

独クラウス・マッファイ・ヴェクマン(KMW)が開発したPzH2000は30km先の目標を攻撃できる自走榴弾砲で計8ヶ国(ドイツ、クロアチア、ギリシャ、ハンガリー、イタリア、リトアニア、オランダ、カタール)が導入したが、最近は韓国のK9に押されて新規受注の獲得に苦しんでいる。

出典:Public Domain オランダ陸軍のPzH2000

KMWは今年4月、ウクライナに自走砲を早急に提供するためドイツ陸軍が保有するPzH2000×100輌をウクライナに提供、KMWが新規に製造したPzH2000を2024年~2027年までにドイツ陸軍へ納品するという案を政府に提案したが自国の安全保障に影響が出るという理由で拒否、そのためウクライナは「KMWから直接PzH2000×100輌を購入したい」と要請していたが、ショルツ首相は「西側製重装備の直接提供」ではなく「Ringtausch=装備交換による旧ソ連製装備の提供」に拘っていたためウクライナの要請を認めてこなかった。

しかし7月13日にドイツ政府はPzH2000売却を承認していたと独紙は報じており、ウクライナへの売却額は17億ユーロになるらしい。

出典:Резніков Олексій

今のところ新規に製造したPzH2000の引き渡し時期は不明だが、以前のタイムラインが有効なら2024年頃になる可能性が高く、本当にウクライナの助けになるのかは不明だ。

因みにドイツが追加提供を約束していたPzH2000×3輌と新たに提供を発表したM270(MARS-II)×3輌がウクライナに到着したらしい。

関連記事:独KMW、ウクライナへPzH2000×100輌提供をドイツ政府に提案
関連記事:ドイツとオランダ、共同でウクライナにPzH2000を追加供給すると発表

 

※アイキャッチ画像の出典:7th Army Training Command from Grafenwoehr, Germany / CC BY 2.0

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コメント

    • dada
    • 2022年 7月 28日

    西側で唯一の新型装軌自走榴弾砲とタカを括っての出し惜しみで、韓国に市場を奪われたからかな?

    24
      • 名無しさん
      • 2022年 7月 28日

      遅きに失した感ありますよね

      25
      • バクー油田
      • 2022年 7月 28日

      モノが良すぎて慢心してローエンドのメーカーに足をすくわれた典型ですね
      日本のガラケーが発売当時は性能・機能はガラケーよりしょぼかったスマホにひっくり返されたのを連想します。
      スマホより圧倒的に長い待機時間、しょぼいカメラの画素数、操作性、お財布携帯などの機能、全ての性能・機能が劣ってたはずのスマホに全部奪われました。
      売れて天狗になった芸能人のように唯一無二になると慢心になって自分は腐るし相手にストレス玉を出しまくるし最悪ですね。
      ドイツは日本と同じく旧枢軸国という原罪を背負ってるのを忘れてEUのリーダーという自意識にも慢心が加速したんでしょう
      戦争初期にウクライナやポーランドに対してあんな塩対応は無いわという感じでしたからね
      それでもヨーロッパ諸国は自分の差配に従うしかない(良いモノを作ってるから)という感じやったんでしょうね。

      10
        • 名無し3
        • 2022年 7月 28日

        ガラケー時代から消費者から支持されてた記憶は特にないですがね
        そもそも日本のケータイ市場はメーカーではなくキャリア主導の商売で顧客囲い込みのためにいらないサービスも多く新規優遇で長期契約者が割を食う(この辺はあんまり変わってませんが)形態だったので

        そもそも当時世界的に売れてたのはノキアとかモトローラとか欧米のメーカなんでシェアを奪われたのはどちらかというとそっちの方でしょう

        1
      • 月虹
      • 2022年 7月 28日

      韓国のK9は現在のA1(装填補助装置付きで毎分6発)に続き自動装填装置を装備したA2(毎分9発以上)を開発し、A2はポーランドでK9PL(600輌以上)として採用されることが決まっている。更にイギリスのAS90更新プログラムである「MFPプログラム(最大116輌の調達)」にレオナルドやロッキードマーティンらとコンソーシアム(チーム・サンダー)を結成し、参加しているほどだ。

      K9A2では他に主砲の換装計画(52口径→58口径)も有り、性能以外に価格や現地でのライセンス生産や技術移転(現地で製造されたK9を他国に販売できる)等の諸条件を考慮するとPzh2000との差は大きくなるばかりだ・・・

      7
    • 無印
    • 2022年 7月 28日

    2年後って微妙だ、その頃のウクライナがどうなっているかは誰にも解らない
    ウクライナをダシにしたKMW救済案なのでは

    14
    • 名無し
    • 2022年 7月 28日

    終戦の再軍備を見据えたものかもしれませんが、頭の片隅には2年後まで戦争が継続する腹積もりがあると言うことでしょうね

    話は逸れますが個人的には、日本の人道的支援金を渡した段階でそのお金自体は人道的なものに使われるかもしれないですが、それによって浮いた費用でウクライナがこのように武器の購入に回して、他国の経済が潤っていると思うとやりきれないですね
    支援金の拠出は国富の流出でもあることをもっと強く認識してほしいです
    ただ、防具を送っただけクウェートのときよりは学んだかもしれません

    4
      • ななし
      • 2022年 7月 28日

      仕方ないでしょ。
      だってロシア軍排除が喫緊に対処すべき案件だと思われ。
      バイラクタル社は「プレゼントするから寄付金は復興に使って」とイメージアップしたけど、他の企業に強いる訳にもいかん。

      32
        • 名無し
        • 2022年 7月 28日

        だからこそ金を渡すのではなく日本の装備品を輸出して、ロシアの弱体化と日本の経済振興の両方をすべきではないのでしょうか?

        5
          • ブルーピーコック
          • 2022年 7月 28日

          ゲームのようにすぐに増産とかはできません。
          何より去年の10月と今年6月のように中露艦隊が日本一周して威圧と挑発を行って来る中で手持ちの兵器を手放すのは愚策だと思います。海を挟んでいるので忘れがちですが、日本は対ロシア最前線です。

          12
            • 名無し
            • 2022年 7月 28日

            そうやって出来ない出来ないと言って輸出してこなかった結果が、5年間で100両生産するドイツと年に数台しか戦車を生産しない日本の差ではないでしょうか
            むしろ、ウクライナがロシアと戦争状態であり、更にはモスクワを始めとしていくつもの軍艦が撃沈するなど1番ロシアの海軍力が弱体化している今ほど日本に余裕があるタイミングはないと思います

            1
              • ななし
              • 2022年 7月 28日

              言いたいことは大体分かるが、そこで優等生側にドイツを持ってくるのはナンセンス。
              でも武器弾薬が圧倒的に少ない感は拭えない。

              10
              • エポキシパテ
              • 2022年 7月 28日

              以上、日本が敵対国に半包囲されてる事実を失念してると思わざるを得ない人の寝言でした。

              中国と南北朝鮮の存在忘れてないか?

              3
                • 名無し
                • 2022年 7月 28日

                もしかして輸出と供与が一緒くたになっていませんか?
                中国、北朝鮮とやり合うならなおさら金を渡さずに防衛産業に落として、生産ラインを増やしてコストを下げていい装備品を生産して装備の新陳代謝を上げることで防衛力の基盤を作るのがベターじゃないですか?

                2
                  • ido
                  • 2022年 7月 28日

                  あなたこそ輸出と供与のがわからないようにみえますね。その生産ラインを増やすのに何年かかるとお思いで?というか、戦車の生産数とは全く関係ない。あるから作ってないだけ。

                  3
                  • エポキシパテ
                  • 2022年 7月 30日

                  生産ライン増設するのも時間とカネがかかりますが、貴殿が負担するのですか?
                  下手すると1両あたりの価格が下がるどころか上がりますよ。
                  輸出する相手がいるならともかく、居ないのに増設する意味ないですよ、有事の前に企業が潰れます。

                  1
            • 匿名11号
            • 2022年 7月 28日

            だったら、なおさら苦しい中でも融通することで欧州に貸しを作っておき、
            南西諸島有事で中国に戦力を集中する際には、東北・北海道に派兵してもらってロシアをけん制してもらうなり、兵器弾薬の支援を受けられるようにすべきだろう。

            後生大事に手持ち兵器だけを抱え込んでいるだけでは何の活路も開けない。

            1
              • 匿名
              • 2022年 7月 29日

              日本には、戦時に他国からの援助を受けられる様な陸路は無いんだ
              海路も空路も、真っ先に侵略側から潰されるんだ

              危険地帯へわざわざ護衛船団を送る様な「親切な民間企業」も居ないし、そもそも海を隔てた日本に大量な軍事物資を送れるだけの軍事組織も(米軍除いて)居ない

              もう20世紀の様な戦時徴用船を使える時代は終わって、君も現実と向き合う時なんだ

              1
                • 匿名11号
                • 2022年 7月 29日

                別に米国抜きで戦おうというわけじゃないんだがなあ。

                ただ、米軍の来援支援は「無条件かつ完全に依存」できた前世紀とは違って、「条件付き限定的に期待できる」ぐらいに考えた方が無難だよ。「中国+ロシア」をまとめて相手にするんだったら特に。

                むしろ今となっては、欧州を巻き込んだ方が米国の増援支援も来やすくなるし、日米は中国への対処に集中できるというもの。

      • NHG
      • 2022年 7月 28日

      信用や信頼といった無形の資産が作られているのだ

      8
        • 名無し
        • 2022年 7月 28日

        少なくともクウェート侵攻では、新聞に感謝の言葉すら乗りませんでしたけどね

        2
          • 名無し2
          • 2022年 7月 28日

          ドイツの自走砲はともかくスターリンクで初戦の善戦を支えたイーロンマスクは個人で感謝動画に載れるのか気になります

          1
      • ナイトアウル
      • 2022年 7月 28日

       あくまでも個人的な考えだけど、浮いたお金が武器になると言うよりは戦争対策にお金を取られるせいで国民への人道的な支援が出来ないと考えるべきだと思う。つまり日本からのお金が無ければ国内の人道支援はされないか規模が小さいままになる。

       それに他国の懐が温かくなると言っても無償やそれに近いレベルで対応しろってのも酷な話だろう。
       こんな物はお互い様だよ、日本だって震災の時とか支援してもらってるし、そのお金は大半が国内に落ちるけどウクライナはそうでもない。必要な物が外国にあるか国内で作る状況にないならどうしてもお金は出ていかざる得ない。

      7
      • daishi
      • 2022年 7月 28日

      基本的に対外支援は約1兆ドルほどある日本政府の外貨準備から行われるため、国富が直接的に流出するわけではないです。
      とはいえ、相手国を潤すだけでなく、日本の国内産業も潤すwin-winの形が望ましいですね。

      5
    • HAi
    • 2022年 7月 28日

    今回の戦争で自走榴弾砲の重要性が再認識されたし、アメリカも新型作らないかな
    別にクルセイダーでもいいけど、早くM109は隠居させてやって

    1
      • ブルーピーコック
      • 2022年 7月 28日

      今月上旬、アメリカ軍はM109A7を40セットBAEに新規発注しました。また、将来の機材増加などのアップデートを見越して、最大重量を50トンにするそうです(発注されたM109A7の重量は35トン)。
      B-52同様にまだまだ使うみたいです。目指せ100年。

      6
      • 戦略眼
      • 2022年 7月 28日

      未だ未だ改修しないと。
      そこそこ空輸出来る自走砲は、M109位だから

      2
      • ナイトアウル
      • 2022年 7月 28日

       既存の改良型であるERCAを作っている時点で完全新型は無いだろう。
       エクスカリバーで現行39口径砲の2倍の射程距離は出したらしいし、よりGPS妨害対策出来るPGK-AJとかも作ろうとしているから実用化されれば全ての性能では無いにしろ世界一の榴弾砲になるんじゃないか。

      1
      • 名無しさん
      • 2022年 7月 31日

      HIMARSの活躍ぶりを見ると、
      米陸軍「対砲兵戦は軍団砲兵のHIMARSで十分だし、対砲兵戦をしないなら
      旅団砲兵隊は旧来のM109やM777でも歩兵の直接支援には十分だな!」

      ってなりそう。

    • 無無
    • 2022年 7月 28日

    よくある、モノは良いけど売れませんだの言い訳すると背筋が寒い
    価格や納期もぜんぶ引っくるめて性能のうちだよ、高いし客に条件つけるし遅れるしなんて誰も手を出さない
    あれ、これドイツだけの話では無い気がしてきたぞ

    5
      • 名無しさん
      • 2022年 7月 28日

      トルコとアメリカのドローンが連想させられますね。
      ただウクライナにたいしてトルコはお代を取らないことにしたみたいですが。

    • 2022年 7月 28日

    世界各国が無償で軍事支援する中でちゃっかりお金を取るドイチェ

    2
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