ウクライナ軍は27日「ベルディチ、オルリフカ、トネネキーで防衛ラインを安定させた」と述べたが、ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARは28日「ロシア軍がベルディチとトネネキーを占領した」「敵はノボポクロフスキー方向やウマンスキー方向に撤退している」と報告した。
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参考:Третя штурмова вибила окупантів з Красногорівки на Донеччині!
参考:Мапу оновлено!
ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏が予想した通りの様相になってきた
タブリア作戦軍のリホワ報道官は27日「ウクライナ軍はステポヴェとシェベルネから撤退した」「我々はベルディチ、オルリフカ、トネネキーで防衛ラインを安定させた」「敵の攻撃はオルリフカ北東郊外で阻止された」と発表したが、ウクライナ人が運営するDEEP STATEの評価はリホワ報道官ほど楽観的なものではない。
DEEP STATEはアウディーイウカ方面について「我が軍はステポヴェで敵の攻撃を撃退してきたがリスクを加味して日曜に集落から撤退した。既にロシア軍はステポヴェ集落の西郊外に足場を築いている」「敵はオルリフカに対する攻撃を続けて集落そのものに侵入している」「トネネキー近郊ではロシア軍が北から集落に侵入しようとしている」「敵はアウディーイウカの西側で圧力をかけて作戦スペースを確保しようとしている」「他の戦線も状況は厳しいがアウディーイウカ方面ほど酷くない」と指摘。
ロシア人ミルブロガーが運営するRYBARも28日「ロシア軍がオルリフカ方向で本格的に前進して集落南部分を制圧した」「トネネキーもロシア軍によって解放された」「ウクライナ軍はベルディチ近郊を含む地域からノボポクロフスキー方向やウマンスキー方向に撤退を開始した」「ベルディチもロシア軍によって解放された」「ウクライナ軍はベルディチ~トネネキーで防衛ラインの構築に失敗した」と報告。
まだDEEP STATEは「28日の変化」に言及しておらず、RYBARの主張を裏付ける視覚的証拠も登場していないが、アウディーイウカ方面の戦いはロシア人の主張通りに推移してきたため、もしRYBARの主張が事実なら「ベルディチ、オルリフカ、トネネキーで防衛ラインを安定させた」という発表は1日で崩れたことになり、ウクライナ人ジャーナリストのブトゥソフ氏が予想した通りの様相になってきた。
ブトゥソフ氏は「我々にとっても敵にとってもアウディーイウカはバフムートより遥かに重要だ」「もしアウディーイウカを失えば地形的に不利な戦場で戦うことになるためポクロウシク、ミルノフラド、クラホヴェが最前線の街になるだろう」「つまりアウディーイウカを失うということは戦闘に有利な地形まで後退するという意味で多くの土地を失うことに繋がる」と指摘したことがある。
アウディーイウカ西郊外の広大な空間は低地なので東から前進してくるロシア軍に優位性があり、ブトゥソフ氏がポクロウシク、ミルノフラド、クラホヴェを挙げたのは「ここまで下がらないと地形的な優位性を獲得できない(アウディーイウカ周辺の高地がもたらす優位性を消せない)」という話だ。
因みにRYBARは22日「ロシア軍がクラスノホリフカ南郊外にも支配地域を広げた」と主張、DEEP STATEも28日「ロシア軍がクラスノホリフカ方向に前進した」と報告していたが、ロシア軍がクラスノホリフカ市内の一部=Ⓐに取り付いたことを視覚的に確認。
ウクライナ軍の第3強襲旅団は28日「これを撃退した」と発表したが、もしクラスノホリフカを失うと「ドネツク西郊外でのウクライナ軍の抵抗」は総崩れになるため、アウディーイウカ西郊外だけでなくクラスノホリフカの状況も楽観視できない。
追記:DEEP STATEは29日に更新した戦況マップの中で「ロシア軍がオルリフカ集落の南部分(+東郊外)を制圧した」「ロシア軍がトネネキー南郊外で支配地域を広げた」「ロシア軍がベルディチ南郊外で支配地域を広げた」「ベルディチ、オルリフカ、トネネキーがグレーゾーンに収まった」と報告。
DEEP STATEは「ロシア軍がオルリフカ集落の南部分を占領した」という点でRYBARの見解と一致しているものの、ベルディチとトネネキーについてはグレーゾーンで扱いで「ロシア軍による占領」は認めていない。
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※アイキャッチ画像の出典:Сухопутні війська ЗС України
ノボバフムティカからノボセレフカ・ペルシャのラインまで下がる必要がありますね。
ただ、そこまでウクライナ軍が下がった場合ロシア軍はノボバフムティカ、ソロヴィオーヴェに集中しオケレタインを正面から攻撃しようとするような気がします。
同時に、H20から車両をつぎ込んでノボカリノベを東と南から襲撃しそうです。同時に攻撃されるだけでも対応が難しくなりますから。
ロシア軍の兵站とウクライナ軍の情況によってはヴォブチャ川の東側にある集落を手あたり次第に攻撃するということも考えられます。もっともロシア軍のやることなので兵站とウクライナ軍の状況に関係なくやるかもしれませんが。
クラスノホリフカもいやな雰囲気がありますが、個人的には現在最も危険なのはチャシブ・ヤールのように思います。ロシア空軍が滑空爆弾を多数投下しているようなので。あまり詳細に検討していない思いつきなのですが、ロシア空軍がバフムート周辺の地形を利用して低空で侵入しバフムートの東からトス爆撃を行った場合、ウクライナ軍は迎撃の機会をほとんど得られないのではないかと思います。
書き忘れですがアウディーイウカ周辺についてはRYBARの報告が事実だった場合です。どちらにしろそうなると思いますが。
コークス工場を失った時点でベルディチからトネネキーのラインを守ることは難しかったのでしょう。EWなど様々な支援が可能になりますし。アウディーイウカ市内とH20の通行が可能になったことによりステポヴェ方面のロシア軍の兵站状況も改善していそうです。
アウディーウカの撤退失敗が後方陣地構築の時間的猶予と適切な人員配置を妨げた。
疲弊した敗残兵に敵を迎え撃つ準備をさせるのは適切なリーダーシップでは無い。
モルドバはトランスニストリア地域がロシアに”支援”を求めたという。
ロシア軍が進駐するならウクライナへの挟撃といった事態に発展する可能性が?
今日プーチンの演説があるらしいのでその中で言及するかどうかでしょうか。
現在駐留している部隊も少数みたいですし、新たに派遣というのはあそこ完全に内陸の飛び地で難しいと思いますが。
まあ、それ以前にロシアが新たに戦線を開くほどの余裕があるのかという問題もありますからね。
何十年も前からいますが、何かした話は、聞いたことがない。
開戦当初も動かず。
モルドバ政府の方が、排除のために嫌がらせをしていて、刺激を与えている。
ジョージアの南オセチア侵攻みたいになるかもしれない。または阻止のためにロシア軍が先に動くか。動いてもその後のストーリーは難しい。
西側は侵略者ロシアのイメージを強化できる。
ウクライナの次はモルドバ。モルドバの次はxxx。だから国防費増やせ、ウクライナ支援しろ。というストーリー作り。 モルドバはeu、nato早期加盟で大喜び。どこかで見たような展開だな。
と言うか、「防衛ライン」なるものが
司令官の脳内にしか存在しなかっただけなのでは。
まあ防衛ラインは地図上に引いた線としては実在したが、現地には砲弾も武器もなかったのではないでしょうか?
アンドリー・ビレツキーが旅団長の第3アゾフ強襲旅団は今はコークス工場からクラスノホリフカの方に移動したのでしょうか?だとするとオルリフカの方はなおさら誰もいないでしょう。もっともアゾフ旅団と言っても、今は残っているのは何個中隊なのかよくわかりませんが、こっちに来るということはクラスノホリフカが今度はヤバいということでしょう。
ウクライナ軍がバカの一つ覚えで不利な陣地にフレッシュな肉壁を供給し続けて溶かしまくるのではなくちゃんと撤退を選択していることに驚きを禁じ得ない
これもザルジニーからシルスキーに交代したことによる戦略変更の影響だろうか
しかし特に撤退というものは事前の準備と高い指揮能力そして兵士各自の勇気が必要なもので、この戦線の推移は現在のウクライナ軍の総合力を見るいい材料になりそうですね
>これもザルジニーからシルスキーに交代したことによる戦略変更の影響だろうか
更迭されたことの影響という点では、間違いないかと。
人望のないシルスキーが死守命令を出したところで前線兵士が崩れるのは止まらないでしょうし、最大要因として【シルスキーも更迭されない保証がどこにもない】。兵士から嫌われることはシルスキーの首に迫るギロチンを意味します。
国民からの支持が相変わらず90%以上のザルジニーですら更迭されたのですから、40%程度のシルスキーなど、僅かのミスで更迭されかねません。ゼレンスキー本人はそのつもりはなくとも、周りはそうは見ないでしょう。
セリタフ?まで引いて川を防衛ラインにしてその向こうの高台から攻撃するような形にしたほうがよいと思います。
もう誰が見てもそうすべきですが,そうしていないということは。
すなわち,「その線には何の防御陣地も構築されていない」ということを意味します。
なので、不利な場所で一生懸命戦って、陣地を作る工事の時間を稼いでいるわけですね。
泥縄式ですが、戦争ではよくある光景でもあります。
ゼレンスキーは「アウディーイウカからの撤退は大した問題ではない」と矮小化してましたが、現実はそうはなっていない。
気になるのは、後退を重ねる敗残兵は十分に休めているのかどうか。
2年ものローテーション無しの防衛戦の後の敗北で心身ともに疲弊しきっているだろうに、その後に中途半端な場所で留められてはまた後退を繰り返すのでは、士気以前にまともに動けなくなるのでは。安全圏がないままの逃避行で心が休まるはずもない。
6月の反転攻勢の際のロシア側は、2重3重に後方ラインがありましたから、退くとともに戦列交代も出来てましたが、その役を果たすべき“ゼレンスキーライン”がまともに機能しているようには見えない。
現在戦闘が起きている所は、前線から近すぎるため本格的な重機を持ち込むと狙われるので、基本的には手作業で塹壕を掘るか地雷を埋めるのが精一杯でしょう。
もっと後方のスラビャンスク周辺になればまともな要塞が築かれているのかもしれませんが、バフムト戦と反攻作戦で工兵を消耗したウ軍は陣地構築を指揮する人員が足りて無いのかもしれません。
仰る通りです。
重機がないとどうしようもないですし、最前線に重機は無理でしょうね(撃破されると手痛いため)。
重機を激しく使うなら、軽油(おそらく)の消費も激しくなりますから、タンクローリーも準備する必要があるでしょう。
ロジスティクスが重要ですね。
信じてはいませんでしたが「ベルディチ、オルリフカ、トネネキーで防衛ラインを安定させた」とは何だったのかという状況に唖然とします
軍や関係者、ひいてはウクライナ国民を動揺させないためのアナウンス的な意味はあるのでしょうけど、あまり現実と乖離した事を言い続けると信用を失うだけだと思ってしまいます
ほんと、防衛線はどこ…?
まぼろし~
アウディーイウカのような規模の都市(3万人程度)は、ポクロウシク(6万人程度)~ミルノフラド(ポクロウシク近郊)になってしまいますからね。
弾薬不足・兵力不足・資材不足を考えれば、大きめの都市を防衛拠点にするしかないように思えます…
ゼレンスキー大統領が決断するしかないですが、なかなか難しい決断ですね。
ひとつ厄介な現象として。
劣勢になると、住民があまり協力してくれなくなるんですね。
なぜかというと、自分達の街でウクライナ軍が頑張れば頑張るほど、自分達の街が破壊されて焦土となるから。
それで勝てればまだマシですが、今の様子では勝てる保証もない。もはやウクライナ軍拠点が迷惑施設みたいな扱いになってしまいます。
こうなると、住民は物資の供出は渋るようになり、偵察や情報提供もあまりしてくれなくなり。ムードとしても兵士に伝わりますから、士気もなかなか上がらない。
これからしばらくはかなり苦しい戦いになりそうです。
確かにそうですよね。ただでさえ兵役拒否者がいることが報道されるほどの問題になっているのに、自分の家が、街が戦火に焼かれるのは忸怩たる気持ちになるでしょう。バフムトやアウディーウカがたどった運命を見れば、なおさらですね。
文化圏が近いだけに、まるっと街ごと降伏してしまう方が良いと考える人も少なくないと思いますが、今のウクライナの立場ががそんなこと許してくれるはずもなく。。。
バフームート・マリンカの廃墟を見れば、仰る点は理解できます。
ゼレンスキー大統領・キエフ政権(西部が支持基盤)に、戦後に東部復興・東部住民の生活を優先する保証もないでしょうし…。
非常に苦しいですね。
ウクライナ軍=ロシア軍を引き寄せる疫病神
という扱いをされてしまうと。“敵軍から住民を守り通す力がない”軍隊の悲しさです。
日本の戦国時代でも落ち武者狩りはありましたが、積極的な攻撃とまではいかずとも、「貴方を泊めることは、匿ったと見なされるので難しい」という態度になるのが普通でしょう。
米軍とベトナム民兵、イスラエル軍とガザのパレスチナ人のような環境ではまた別でしょうけど(新たな占領者が旧住民を追い出す、浄化する可能性が高い)、ロシア軍は同じスラブ民族である上に、総司令官であるプーチン大統領は【ウクライナとは必ず和解する。欧米による分断工作は失敗するだろう】と述べていますからね。
へルソン市 ・・・ ウクライナ軍に奪還されたのに最前線であり続け、廃墟化が進む一方
マリウポリ ・・・ 戦争初期に徹底的に破壊されたが、劇場なども含め復興がどんどん進んでいる
兵站のみならず、「戦場となった後の都市を復興させる国力」でも、格差が出ています。
欧米からの支援がさらに細れば、モスクワ政権とキエフ政権のどちらにつくのが、各都市にとって良いのかという判断が出てくるのも時間の問題でしょう。
マリウポリの復興、仰る通り、自分も驚いています。
国家プロジェクトとして、資材投入・工兵の協力・現地住民の協力がなければ、できないレベルで進んでいますね。
ウクライナはソ連崩壊後、売春・人身売買が有名な貧乏国ですから、住民が生活に敏感になる事は非常に理解できます。
特に東部・南部は、言語・文化を見ても、ロシアに近いですからね。
>ドンバス最大の冶金企業であるイリチ冶金コンビナートが、生産を再開した。
>非常事態省、ロシア連邦親衛隊、ロシア国防省の工兵部隊による爆発物処理はすでに完了している。
(2024年01月03日 ロシア占領下のマリウポリで巨大製鉄所が生産再開 ロシア・ウクライナ・ベラルーシ探訪 服部倫卓ブログ)