マリウポリを防衛する第36独立海軍歩兵旅団はマリウポリからの脱出を図ったグループ、アゾフ連隊への合流を図ったグループ、製鉄所に残ったグループの3つに分裂していたらしい。
参考:Морпіхи 36-ї бригади в Маріуполі: частина з’єдналася з “Азовом”, частина – ішла на прорив, багато потрапили в полон
参考:Roman Ponomarenko
弾薬も食料も尽きてロシア軍に包囲される状況に絶望したため第36旅団はバラバラになったのだろうか?
マリウポリを防衛する第36独立海軍歩兵旅団(海兵隊)は11日「弾薬不足のためロシア軍への抵抗は今日が最後になるかもしれない」と明かしたが、その後「包囲を破ってアゾフ連隊に合流した(ウクライナ報道)」という説と「1,000人以上が降伏して第36旅団副司令官も捕虜になった(ロシア報道)」という説の2通りが報じられている。

出典:GoogleMap 大まかなマリウポリの状況/管理人加工
この件に詳しい人物によると第36旅団が11日~12日かけて取った行動は以下の通りらしい。
郊外で孤立する味方部隊は第36旅団に「ロシア軍の包囲を突破して欲しい」と要請、旅団の司令官は要請に応じて作戦を準備していたが11日夜に突然計画を変更、そのままロシア軍の包囲を突破して約90km離れたウクライナ軍支配領域を目指してマリウポリから脱出すること決意、脱出部隊は司令官に率いられ30輌(戦車数輌と装甲車輌5輌を含む)の車輌に分乗して製鉄所を出発、しかし直ぐに見つかり攻撃を受けて車輌が大破→兵士は散り散りになりロシア軍に殺されるか捕虜(司令官も行方不明)なってしまった。

出典:vadim.tk / CC BY-SA 3.0 アゾフスタル製鉄所
司令官が去ったアゾフスタル製鉄所には第36旅団の主力と負傷者、成り行きで原隊から逸れてしまった他部隊の兵士(第12作戦旅団やアゾフ連隊など)が残っており、アゾフ連隊の将校はマリウポリでの抵抗を継続するためアゾフスタル製鉄所からの脱出を提案、第1独立大隊と第501大隊の指揮官に率いられた数百人の兵士は何とかアゾフ連隊の本体に合流できたが、一部の兵士はアゾフ連隊への合流を拒否して製鉄所に残ったらしい。
この人物は「なぜロシア軍の包囲を突破して脱出するという無謀な作戦を実行したのかは謎だが、合流を拒否して製鉄所に残った兵士もロシア軍の捕虜になっているのが確認された」と述べており、この話が真実なら第36旅団は「ロシア軍に包囲されたマリウポリからの脱出を図ったグループ」「抵抗を続けるためのアゾフ連隊への合流を図ったグループ」「これ以上の戦いを拒否して製鉄所に残ったグループ」の3つに分裂していたという意味だ。

出典:Украинская правда 第36旅団が12日に公開した最後のビデオメッセージ
まぁオフィシャルな情報ではないので本当かどうかは不明だが、弾薬も食料も尽きてロシア軍に包囲される状況に絶望したため第36旅団はバラバラになってしまったのかもしれない、、、
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※アイキャッチ画像の出典:Генеральний штаб ЗСУ
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バンザイアタックよりは、ましな対応です。
この話がどれくらい信憑性があるかはわかりませんが、それぞれの選択を非難できる人間はいないでしょう。それぐらい絶望的な戦いだったと思います。またアゾフ連隊に合流しなかったメンバーについても、海軍歩兵旅団のまま降伏したほうがまだ兵士として扱われる可能性が高いと考えられますし。
一方で捕虜になるという選択肢がないアゾフ連隊(即時射殺か犯罪者として訴追・死罪)はこのままゲリラ戦にでも移行するのでしょう。あるいはマリウポリが解放されようとするその日まで潜伏するのか。
いずれにしてもロシアには都市を完全に掌握する余裕は全くないでしょうから、今は陥落を受け入れて我慢する時なのかもしれません。
残った部隊は陽動とかして囮になったのかもしれないな
この状況なら必須レベルになるだろうし
やはり分裂してましたか
しかし弾薬はなかったとはいえ30両の装甲車両を一度に失うとはもったいない(当然、人命も)
90kmの敵中突破は無謀とはいえ、残ってたら「死ぬか捕虜、そののち極刑か」で第三の道を選んだと考えると致し方なしか
一連の記事で気になるのはアゾフ連隊のほうは弾薬・食料はあるのかどうか
それ次第でマリウポリに残された兵士の命運は大きく左右されることになる
30輌(戦車数輌と装甲車輌5輌を含む)とありますから
大半は現地調達した動ける民間車両にでも便乗したのでしょう
この段階まで動ける戦車があった事が驚きですが
「戦車数輌」と「装甲車輌5輌」でしたか
30ー5で残り25輌が戦車と読み間違えてました
このそれぞれの選択を我々は否定しない。これが大事。安全な場所にいる我々が否定できるわけがない。現地にはそれぞれの考えがあっただろうし、もう限界という人もいるだろう。我々ができるのは、捕虜になった人が生きているように願うこと、まだ戦うと言っているアゾフ連隊を応援すること。
命がかかった最後の瞬間に選ぶ方法は人それぞれということでしょう。
そういう意味では2万人が立て籠もり、18000~19900人が戦死、アメリカ軍がほぼ制圧した
3月末時点で200人の捕虜しかいなかった硫黄島は、やはり異常な精神状態だったんだろうなと思う。
凄惨を極めた戦場では、被害の大きかった米軍兵士も異常な精神状態に陥るから、投降した日本兵をその場で処刑した噂はある、もちろん犯罪にあたるから公表されはしないが、
硫黄島の捕虜の少なさの背景には何があったのか、多くは語れまい
孤島ではまた事情が異なるのかもしれません。
一か八か敵中突破という手も使えないワケですし。
一部の兵士がコッソリ逃亡(あるいは投降)するようなことも難しいでしょう。
マリウポリの市民をすべて強制連行し無人になった市街地で、
拡声器で投降を呼びかけ、それでも潜んでいる残兵を圧倒的な火力で掃討する。
後は廃墟だけが残される、最終段階はこうなりそうな。
故郷を守ってるだけなのに弾丸尽きて投降したら殺されるって、自分が同じ境遇だったら絶望すると思います。
プーチンの領土欲のためにウクライナ人が殺されるなら、プーチンの家族がウクライナ人に殺されても仕方ない。
みんな向日葵の肥やしになるために産まれたわけではないのに
WW2末期のヴロツワフやフランクフルト=アン=デア=オーデル等の要塞都市で捨て駒になったドイツ守備隊じみた状況ですね。
物資と人的資源が底をつき、部隊の統率は限界を迎え、兵士個人の裁量と意思に行く末を委ねるしかなくなったというところがそっくりに感じます。
ロシアの掲げる大義名分から、投降した兵士たちの多くは戦犯やテロリストとして重犯罪者扱いされることになるのでしょうが、今後の交渉によって一日も早く祖国への帰還が果たされることを望みます
合流した第36旅団とAZOV連隊の指揮官による共同声明です。
部隊や状況の詳細は不明ですが、”我々は戦闘を継続し、任務を全うする”と言っています。
身なりは整っており、合流後すぐにこのような声明を出してくることからも、現地のウ軍は
いまだ戦闘意欲は衰えていないものと推測されます。
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小生ロシア語は分からないですが、欧米系のメディアでは海兵旅団長とアゾフ連隊はアゾフスターリ製鉄所に健在?で、今回投降した部隊はやや北西(管理人さん地図の交戦地域)にあるイリィチ冶金工場を守備していたようです。血路を開いて旅団長の下に結集できた戦力がどれだけあるか不明ですが、港湾地区も風前の灯火の今、スターリングラードのトラクター工場のごとくアゾフスターリ製鉄所が最後の砦になるのでしょうか。アゾフ連隊はもはや人外部隊と化した感があり、最後の一兵まで戦い抜くと思われますが、住民被害が拡大しないことを祈るのみです。